ガールズバンドが人気な時代ですが、男も頑張ってみます。 作:怜哉
彼はとても大人で、それでいて同じくらい子供だ。
初めて彼と出会った時、彼は笑っていた。
友達と語らい、にこやかに微笑む彼は、はたから見れば“幸せ”を謳歌する普通の男の子。
けれどその笑みはどこか空虚に見えて、中身を伴っていないように思える。
彼は心から笑っていない。彼の心は満たされていない。その姿はとても儚く、淡いものに見えた。
だから私は、彼を『笑顔』にさせたいの!
★ ☆ ★ ☆ ★
とある秋の日。
バイトもRoseliaやAfterglowの練習も自分とこのバンド練もない、完全フリーの日曜日だ。
今日は天気も良く、風も穏やか。絶好の散歩日和だったので、俺は財布だけ持って散歩に出たのだ。スマホもWALK〇ANも持っていない。たまには音楽ではなく、自然の音に耳を傾けるのもいいなと思ったから。
特に目的もなく、ただふらふらと街を歩く。
閑静な住宅街だ。柔らかな秋風の音が耳に心地いい。それに加えて、俺の耳にはいろんな生活音が聞こえてきた。
掃除機をかける音、自動車の駆動音、赤ん坊の泣き声、犬の遠吠え、鳥の囀り、ボールを蹴る音、ハロハピの掛け声。
...ん?
「ハッピー! ラッキー! スマイル〜? イェーイ!!」
「「「イェーイ!!!」」」
逃げなきゃっ(脱兎)
「あら? 海じゃない! 奇遇ね!」
遅かった...(本気の絶望)
「...ああ、危遇だな(危機を感じさせる遭遇の意)」
タタタッと駆け寄ってくるお嬢に、精一杯の作り笑いを浮かべてみる。引き笑いの間違いかもしれない。
「そうだわ! 海、私達今から病院でライブをするのだけど、一緒にやりましょう!」
「えっ、いやでも俺は...」
「打ち込みのギターパートがあるの! 薫一人だと手が回らないパートがあるのよ、そこを弾いて欲しいわ!」
「こころが、打ち込みを理解している...だと!?」
奥沢さん驚きすぎじゃないですかね。
そりゃお嬢でも打ち込みとかくらい知ってんだろ。曲がりなりにも音楽やってんだし。
「いや、俺今日ギター持ってきてないし...」
「大丈夫よ!」
「譜面とかも覚えてないし...というかやる曲も知らないし...」
「大丈夫よ!」
何がですかね?
「関口様。こちら、関口様が普段使用なされている機材と同じかほぼ同等のものを用意致しました。ライブで演奏する曲が三曲で、こちらが譜面になります」
黒服ェ.....
「海! 私達とライブをやりましょう! みんなで笑顔になるの!」
輝く笑顔という名の拳で容赦なく右頬をぶん殴ってくるお嬢に、俺は大人しく左頬を差し出すしかなかった。お嬢の笑顔には勝てんて。
✿ ❀ ✿ ❀ ✿
「さぁ、出発よ〜っ!」
という訳で始まってしまったハロハピライブin〇△病院。
軽快なタム*1の音から始まったこの曲は、『にこ×にこ=ハイパースマイルパワー!』という曲だ。
この曲はギターもいいけど、俺はどっちかって言うとピアノが好きなんだよな。ハロハピにキーボーディストはいないから打ち込みなんだけど。機会があれば弾いてみたいもんだ。いや、キーボードってか普通にピアノで超ムズいからやりたくないなやっぱり(フラグ)
そうは言っても、ギターが楽しくないわけじゃない。なんの意味もないけどサビで頭振ったし、返し*2に足乗せて弾いた。V系かな? 違いますね(素早い自己完結)
元々は瀬田先輩一人で弾く用の曲だし、俺はテキトーにバッキング弾いてるだけなんだけど、裏拍刻んでる時とかがめっちゃ気持ちいい。あと許可貰ってちょっとしたアレンジも加えてるし。Bメロでめちゃくちゃ早弾きした。
「どんどん行くわよ〜!!」
続いて二曲目が始まる。
次の曲は『ゴーカ!ごーかい!?ファントムシーフ!』。ハロハピらしいポップな曲だ。ジャズを極端に明るくするとこうなるのかもしれない。
つーかこれ半分くらい打ち込みだろ。これ全部奥沢さんが作ってるんだろ? すげー(純粋な尊敬)
この曲は何故か瀬田先輩が怪盗に扮して登場する。演奏中に分かったことだが、演劇みたいなの始まって瀬田先輩ほとんどギター弾かなくなったんだよな。曰く「いつもはちゃんと弾くけど、今日は仔犬くんがいるから」らしい。まーじで焦るからそういうことは事前に言っといてほしい。てか仔犬くんって俺のこと?
さて、二曲目も終わり、少しばかり休憩が入る。瀬田先輩は着替えに行った。
ハロハピの曲はやってる側も見てる側も非常に疲れる。プラスの意味で。ポピパも大概だけど、ハロハピの観客巻き込み型ライブは尋常じゃない。三馬鹿の運動能力と王子力が遺憾無く発揮され、ステージもフロアもてんやわんやだ。それがまた楽しいしハロハピの味なのだが、演者側で毎回これは本当に勘弁してほしい。奥沢さんと松原さんの苦労が窺える。どんまい、ファイト、って気持ち。
お嬢と北沢の元気いっぱいハチャメチャMCが終わり、瀬田先輩が怪盗から王子に戻って帰ってきた。そういやお嬢と北沢はさっきの怪盗=瀬田先輩って気付いてないって話、マジなの?
「こころん! 怪盗がいないよ!?」
「ホントだわ! ...あら? 薫、今までどこに行っていたの?」
マジなんだぁ...。
「まだまだ行くわよ〜!」
頼むからお嬢はもうどこにも行かないでほしい(切実)
せめてステージ上でバク転するだけにして。突然なんの説明もなく空飛んだりしないで、マジ頼むから。
最後の曲は『ハイファイブ∞あどべんちゃっ』。
この曲はシンバルとギターから始まる。最初の十秒くらいは瀬田先輩一人で、途中から俺がハモったりピロピロ早弾きしたりする譜割りにした。とても...気持ちいいです...(恍惚)
本当なら原曲を崩すべきじゃないんだが、お嬢に「楽しくやりましょう! アレンジ? どんどんやっていいわよ!」って言われたから常識の範囲内で好き勝手やってる。調子に乗ってギターソロもツインにした。さすがにやり過ぎたかと思って瀬田先輩を見たけど、ニッコリしてたから問題ないだろ多分。
三曲目も終わる。
曲覚える時間が一時間しかなくてマジで死ぬって思ったけど、なんとかなるもんだなぁ。いや覚えきれなかったとこテキトーに弾いちゃったんだけど。それは許してほしい。
しかし終わって見れば早いものだ。
お嬢に乗せられて暴れた俺の額に汗が光る。いい汗かいた、水飲みたい。
さっさと機材片付けて...
「もっとも〜っと行くわよ〜!!」
えっ? 何それ俺聞いてない。
『諦めなよ関口くん。ああなったこころは止まらない』
「進撃のこころちゃん...」
松原さんなんて?
「馬鹿野郎お前、俺はやらない(やれない)からなお前!」
そもそも曲何するんだよ! それすら知らねぇでギターなんか弾けっか!!
「次はカバー! 『シュガーソング〇ビターステップ』よ!」
弾いたことある曲だぁ...。
──とりあえず全力で弾いた。
終わった。もう無理、頭が無理。あと体力。お嬢動きすぎだしこっちに絡んできすぎ。合わせてたら死ぬほど疲れた。
まぁとりあえずこれでライブは終わりだ。はい、お疲れさ...
「止まらないわよ〜っ!!」
止まってくれよ〜っ!!
「次は『G〇!G〇!MANIAC』!」
知ってる曲だぁ...。
いやでも知ってるからって弾けるわけじゃないんだぞ!!
「いや無理。俺無理帰る」
『そこをなんとか...。ほら、入院中の子とかおじいちゃんおばあちゃん達がキラキラした目してるし...』
うるせぇ! 無理なもんは無理だ! 俺は帰らせてもらう!
『あとでデートしてあげるって言っても? ...花音さんが』
「ふぇ!?」
「はんっ、そんなもんで俺が釣れるとでも?」
もちろん気合いで弾いた。
✿ ❀ ✿ ❀ ✿
「うーん! と〜っても楽しいライブだったわね!」
所変わって、場所は病院近くのファミレス。
結局、あれからオリジナル曲を三、カバー二曲の合計五曲も弾かされた。全部合わせたら九曲だ。意味が分からない。
毎度毎度うろ覚えの曲を三十秒でなんとか思い出し、ちょこちょこ改変することでなんとか試練を乗り切った俺。マジで偉い。本当に偉い。凄いぞ俺。海、俺がナンバーワンだ...(王子)
「うわ〜...関口くん燃え尽きてる...」
「カバー曲、私たちは前にやったことある曲だったからよかったけど...」
「弦巻製の着ぐるみ着てたら視界に譜面くらい出てくるんだけどね〜」
made in TURUMAKIってそんなハイテクなの? モビルスーツの間違いだろそれ。そのうち空飛んだりしない?(する)
「そういえば、ミッシェルには弟がいるって設定があるんだよね...」
「...何で俺見んの?」
「いや、一応知っておいて欲しくて」
俺は絶対にモビルスーツなんて着ないからな。
「というか関口くん、前よりも上手くなってない? 演奏もそうだけど、こう、なんて言うんだろ。演奏中の振る舞いっていうか、そういうのが凄く板に付いてる感じ」
「ん? あ〜...まぁ、経験値が溜まってきたんじゃない?」
「そんなにやってるんだ、ライブ。なんだっけ関口くんのバンド。えと...オスバンド?」
「オスバンドは(仮)だよ。まだ名前決めてない」
そろそろ名前決めなきゃなぁ、ってもう三ヶ月くらい言ってる気がすんな。まぁオリジナル曲をライブでやるまでに決めればええやろ。
「てかオスバンド(仮)の方は全然ライブやってないな。そろそろやんなきゃ忘れられ...いや、そもそもそんな知名度もないか。コピーしかやってないし宣伝もしてないバンドだし」
Twitterとかでバンドのアカウント作ってみるかなぁ。
「オスバンドの方は、ってことは、別でライブやってるの? バンド掛け持ちとかしてたっけ?」
不思議そうに奥沢さんが聞いてくる。
別に隠す必要もないしな、言ってもいいだろ。
「なんか最近、サポートギターやってくれっていう依頼がよく来るんだよな。んで、それに出てるんだよ。報酬が出るから断る理由もないし。上手くなったってんならそれが原因だろうなぁ」
ライブパフォーマンスの訓練はライブ本番でしかできない。というか、ライブをやっていけば勝手に身に付くもんだ。こればっかりは現場で積み上げた経験値がものを言う。
「へぇ、そんなことやってたんだ」
感心したように言う奥沢さん。
どうでもいいんだけど、奥沢さんの着ぐるみで火照った肌がとても
「すごいね、関口くん。どのくらいやってるの? その、サポートギターのお仕事」
「仕事ってほどじゃないですけどね。んー...パスパレのライブに出てから依頼がくるようになって...大体二週に一回くらいですかね? あ、来週もやりますよ、ライブ」
「そうなの? すごいなぁ...。あっ、そのライブ、見に行っても良いかなぁ?」
若干上目遣いで聞いてくる松原さんあざとい。
「まぁ別にいいですけど...どうだろ、大丈夫かな」
「? 何か不安でもあるの?」
歯切れの悪い俺に、松原さんではなく奥沢さんが聞いてきた。
まぁこれも別に隠すことじゃないしなぁ。
「いや、来週のライブね? 席がもう埋まってるかもなんだよ」
「へぇ。そんなに人気のバンドのサポートやるんだ?」
「あー、いや。まぁバンドもすげー人気だけど」
軽く頭を掻いて、俺は言葉を続ける。
「その、場所がね? 武道館なのよ」
「「武道館?!」」
びっくりするよね。分かる。俺も聞いた時はびっくりした。
「今回の依頼人、バンドってよりソロ歌手でな? 俺はバックバンド任されただけなんだけど、その歌手が結構な人気で。チケットとかもう無いかもしんない」
「いやその前に武道館!? 武道館て!」
「えと...関口くん、武道とかやってたん、だ...?」
「なんて?」
松原さんも冗談とか言うんだなぁ。いやスケール大きすぎて分かってないのかもしれない。正直俺もよく分かってない。昨日リハ行ってきたけど本当に意味わかんなかった。ステージ、てめぇ回ってんじゃねぇぞ。
「? 武道館がどうかしたの?」
と、ここでお嬢が話に混ざってきた。
これはダメな予感。早く誤魔化さなきゃ。
「いや、別になんでも──」
「そうだわ! 海がやるのなら、私達もライブをやりましょう! 武道館で!」
がっつり聞いてたんじゃないか!
というか何やらかすつもりだこのお嬢様。武道館貸し切るつもりか? いやまぁ、弦巻家ならそれも可能っちゃ可能なのか。チートめ。
「海は来週ライブをやるんでしょう? だったらその時がいいわね!」
「ストップお嬢」
基本お嬢の蛮行にはなんだかんだで流される俺(自覚アリ)だが、これはちょっとばかし見過ごせない。
「あのな、お嬢。今回のイベントはな? 俺の依頼人にとってめちゃくちゃ大事なライブなんだよ。武道館でワンマンライブするってのは、これ以上ないような極上のステイタスだ。それをお前、ただの思い付きでツーマンなんかにしてみろ。依頼人からしたら顔面に泥塗りたくられたようなもんだろ」
武道館でのライブは生半可なものではない。お遊び気分で害していいものじゃないんだ。
つーかそんな重要すぎるライブにバックバンドとして雇って貰えたことは嬉しいことだけど、俺が呼ばれた理由は今年度最大の謎なんだよな。なんで俺なんだろ。
「うーん、そうなのね。分かったわ!」
うん。お嬢は基本いい子なんだよな。話せば分かる。
「じゃあその前日に武道館でライブをしましょう!」
何言ってんだこいつ。
✿ ❀ ✿ ❀ ✿
武道館でライブをするっていうお嬢の願いを黒服さん達が叶えようとするのを奥沢さんが必死に止め、俺自身は無事に武道館ライブを終わらせた翌日の月曜日の朝。
「ふぁ、あ〜.....」
大きな欠伸を右手で隠しつつ、俺は登校していた。
昨日はライブの高揚感が抜けずにあんまり寝れなかったんだよな。今更眠気がきてる。ちょうねむい。
こんな日に限って三限目に体育があるんだよなぁ。四限確実に寝るだろ俺。
「おはよう、海!」
不意に背後から声が掛けられる。
朝からテンションの高いことだ。
「んぁ...あー、お嬢か。おはよ」
振り返れば、今日も今日とて輝く笑顔のお嬢がそこにいた。
さらさらとした金砂のような髪が朝日に照らされて本当に輝いてる。これで落ち着いた性格だったら深窓の令嬢って感じがするんだけどなぁ。いやまぁ、奥ゆかしいお嬢なんて想像できないけど。お嬢は天真爛漫でこそお嬢だ。
「なんだか眠そうね? しっかり寝なきゃダメよ?」
お母さんかな?
「美咲は授業中にたくさん寝てるわ! 寝る子は育つって言ってたの!」
奥沢さん...。
「そういえば! 昨日のライブ、とっても凄かったわ!」
「あれ、昨日来てたの? 言ってくれたら...いや、別にどうこうってことはないけど」
百人規模くらいのライブハウスなら、ライブ終わったあとに声掛けるとかあったけど、昨日のは武道館だからなぁ。控え室もマジで“楽屋”って感じだったし。
「ええ、美咲と薫とはぐみ、花音も一緒だったわ! ミッシェルは用事があるって言って来れなかったけれど」
「まぁミッシェルは多忙だから」
本当に多忙だよなぁ。毎度舵取りお疲れ様。
「あっ! 美咲だわ! おはよう、美咲〜!」
噂をすれば、少し前の角から奥沢さんが出てきた。
それを見つけたお嬢は元気に手を振って走っていく。小走りなんて可愛いもんじゃない、世界を狙える疾走だ。スカートでそんなに走んなと言いたいところだが、何故かお嬢のスカートは翻る様子もない。鉄で出来てんじゃないだろうな、あれ。サ〇ヤ人の修行かよ。
だとしたらお嬢の身体能力の高さも頷けると妙なことを考えながら、俺は奥沢さんに挨拶すべく軽く駆け出した。小走りで。
★ ☆ ★ ☆ ★
彼を笑顔にするのは、簡単だけど難しい。
美味しいものを食べれば嬉しそうにするし、綺麗な景色を見ればそれに見蕩れる。けど、心の底からは笑っていない。そんな感じだ。
そんな彼が唯一、心の底から笑顔になるもの。それが音楽だった。
「ふんふふ〜ん。ここで出てきたミッシェルを、ドカーン!」
「何する気だお前」
放課後。CiRCLEのカフェテリアでクリームソーダを飲みながら次のライブのことを絵にしていたら、後ろから声をかけられた。
「あら海! 奇遇ね! 貴方もCiRCLEに用事があるの?」
「ちょっとまりなさんに呼ばれててな」
立ったまま、海はそう言う。
お隣どうぞ。
黒い服の人達が椅子を下げ、そこに海が「あ、ども...」と躊躇いがちに腰を下ろした。
「まりなから?」
「そ。どうせどっかのサポートの依頼だろうけどな。あの人、そういうのの仲介役やってるし」
何か飲むかしら? 今日は少し暑いし、クリームソーダがいいと思うの。
黒い服の人達がクリームソーダを海の前に置き、海は「あ、すんません...」と躊躇いがちにクリームソーダを啜る。
「サポート...昨日の武道館みたいなライブのお手伝いかしら!」
「いや、さすがにそんなポンポン武道館ライブの依頼はこないと思うけどな。てか武道館より普通にそこらのライブハウスでライブしたい。武道館広すぎるし重圧やべぇのよ...」
割と本気めにゲンナリした顔をしている。そんなに昨日のライブは疲れたのかしら? 私にはそうは見えなかったけど。むしろ、とても楽しそうで笑顔が輝いていたわ。
「それなら私達とライブをやりましょう! ちょうど今週末に幼稚園でライブをする予定なの!」
「え、予告もなく曲増えたりするからやだ」
「場所は羽丘女子学園の近くで、時間は朝の十時からよ!」
「俺の言葉に耳を傾けてくれ」
「ミッシェルをドカーン、海はズドーンね!」
「ミッシェルと俺は死ぬんか?」
「そうだ! 新曲も作りましょう! うーんと楽しい曲を!」
すっごく楽しみだったのが、もっともーっと楽しみになったわ!
早速この気持ちを美咲に伝えましょう! うーんと楽しい曲を作ってもらわなくっちゃっ!
「ねぇ海! 美咲がどこにいるか知らないかしら?」
「いや知らんけど。てか聞いてお嬢、新曲って俺もやるの?」
「うーん...電話でもいいけれど、やっぱり直接話した方が良いわよね!」
「ねぇ。ねぇってばお嬢」
「そうと決まれば街へ出発よ! 美咲を探すの!」
「いやLINEすればいいんじゃん。てか俺今から用事あるしってよりその新曲は俺も弾くのてかそもそも俺ライブ出るの決定なの?」
音楽は人を笑顔にする。
もちろん、世界を笑顔にするのは音楽だけじゃない。演劇も、ソフトボールも、ぬいぐるみも、クラゲだってみんなを笑顔にすることはできる。
けれど彼は、少なくとも彼にとっての一番の笑顔は、音楽だ。
周りの人達から一歩引き、まるで俯瞰するように、傍観するかのように、普段の彼の笑顔には中身が伴っていないことがとっても多い。
そんな彼が心から笑う瞬間には、いつだって音楽がある。それが全てではないだろうけど、それでもほとんどが音楽だ。
だから、私は音楽をする。
彼と、そして彼のような人達を笑顔にするために、私は、
関口「あれ、そういやライブ報酬(松原さんとのデート)は?」
美咲「ライブ終わったあとやったじゃん。ファミレスデート」
関口「ま? 詐欺じゃんそんなの」
この後、責任を感じた花音ちゃんが海くんをカフェデートに誘ったとかなんとか。
専門用語とかマイナーすぎるバンド名とかについて。
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伏字で出されても分かんねぇわ!辞めろ!
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好きにやってええんやで(菩薩)
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全然分かるけど辞めな
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分かるからそのまま続けて、どうぞ。