ガールズバンドが人気な時代ですが、男も頑張ってみます。 作:怜哉
でもあれですね。しばらく書いてないと、文の書き方忘れちゃいますね。あ、元からそんなに書けてないだろってツッコミはナシの方向でオナシャス。
突然だが、『福引き』というものを知っているだろうか?
まぁ知らない人はほとんどいないだろうが、福引きとは、「当たり」や「ハズレ」、または一定の景品があるくじ引きのことだ。
福引きは、デパートや縁日なんかの催しでよく目にするだろう。
そして、我らが地蔵商店街でも、その福引きという概念は存在する。
まぁ、福引きなんてそうそう当たるもんじゃない。良くて三等の商品券くらいだ。いや、それでも十二分に得なんだが。
一等の『〇〇旅行プレゼント』だったり『豪華・最新家電』だったり、そんなものはまず当たらないし、そもそも当たりが入っているのかも怪しい。
だが、それを込みで楽しむのが『福引き』だろう。何が出るのか分からないドキドキ、「もし一等が当たったら」という夢想や皮算用。
宝くじにも言えたことだが、これは本当に一等が当たることを心底望むのではない。いや確かに望みはするが、それ以前に、俺たちは“夢を買っている”のだ。
「お、大当たりぃ!! おめでとうあんちゃん、一等の『箱根温泉旅行一泊二日』大当たりだ!!」
ふえぇ...(困惑)
✿ ❀ ✿ ❀ ✿
「商店街の福引き当たった」
いつも通り、羽沢珈琲店の窓際の席にて。
CiRCLEでのAfterglowの練習に軽く付き合ったあと、新作のケーキを食べにきていた幼馴染みたちに向けて、俺は昨日あった出来事を話した。
「商店街の福引き? ってアレか、一等が箱根旅行の」
「それ」
「確か二等がご利益があるとかいう怪しい壺で、三等が地元銭湯のタダ券十枚だったよな」
巴は福引きの景品まで覚えていたらしい。
さすが『商店街のソイヤ』こと宇田川巴だ。いやそれ俺とモカしか言ってない二つ名だけど。
「それで何が当たったの!? 四等のチ〇ルチョコの瓶詰めだったらちょっと分けて欲しいな〜、なんて」
「ひーちゃん、昨日『明日からダイエットする』って言ってなかった〜?」
「うっ...」
明日から、って辺りが実にひまりらしい。そんで三日と持たずにダイエットに失敗するまでが形式美な。
「一等だよ。箱根旅行が当たった」
「なっ、マジか!?」
? めちゃくちゃ驚くじゃん巴。まぁ無理もないか。一等なんてそうそう当たるもんじゃな...
「あの福引きは一等なんて入ってないはずだぞ!?」
「おい待て」
今なんつった巴。
「あはは...いや、本当は入ってるんだよ? でもいっつも、福引き開始五分くらいで長老さんたちが一等当てちゃうから」
今は長老さんたちぎっくり腰とか風邪とかで福引きどころじゃないんだよね〜、とつぐは言うが...えと...それは...それはどうなん...?
そういや長老たち、毎年この時期になると旅行行ってんなーとは思ってたけど、まさかそんな.....。
ま、まぁいいや。いやあんまよくないかもしれないけど、今は置いておこう。
「あー...んでな? この箱根旅行、十人まで行けるんだってさ。うちの姉ちゃんが引率で来るんだけど、お前らも一緒に行かね?」
これが本題だ。
別に「俺一等当てたんだぜ! いいだろ!」って自慢したかったわけじゃない。ほんとに。そんな気持ちは七割くらいしかないってばよ。
「箱根旅行か〜。ちなみに日程はいつなの? 海くん」
「来週。二十一と二十二日」
「あ、三連休のうちの二日間なんだ?」
「そう」
十一月二十一日と二十二日。こんな時期に箱根に行けるのはついているとしか言いようがない。ちょうど木々が紅葉し、見頃になっている頃だ。
芦ノ湖を横断する遊覧船なんか乗ったら凄いだろうなぁ。寒いかもだけど。コート持ってこ。
それに、今回用意されている宿には露天風呂があるらしいし、近場の紅葉はライトアップされているようなのだ。夜桜ならぬ夜紅葉。うーん、風情風情。
「三連休か〜。お店の手伝いの都合とかあるから、ちょっとお父さんに相談してみるね?」
「まじ? ありがと。一緒に行けるといいな」
来週ってのがちょっと急だからなぁ。もしかしたらみんな予定があるかもしれない。
「あたしは空いてる。花展が無くなって暇だったし、私行こうかな」
「モカちゃんもバイト、今リサさんに代わってもらったから行けるよ〜」
え、それはリサさんごめんなさい。
「はいはい! 私も空いてる!」
「アタシも空いてるぞ。十人、ってことはまだちょっと余裕あるよな? あこも連れてっていいか?」
「お、いいじゃん。人数多い方が楽しいだろうし」
三連休だし、Roseliaの練習と被んなきゃいいけどな。Roseliaは、ってか友希那さんと氷川さんが練習の鬼だし、遊びに行くので練習休みますは通用しなさそう。
とまぁ、そういうわけで。Afterglowの全員参加は決まった。
あこちゃんが来れたとして、今んとこ人数は俺と俺の姉ちゃん、Afterglow、あこちゃんの八人か。あと二人誘えるな。んー...須田と五十嵐誘うか。
kai『商店街の福引き当たった。一等の箱根旅行一泊二日』
kai『今月の二十一と二十二日に行くんだけど、お前らも来ねぇ?』
Yuta『三連休か』
Yuta『その連休は
Yuta『(ごめんね、のスタンプ)』
kai『ぱおん』
誠『五十嵐はバルス』
誠『俺も三連休はりみと遊ぶ約束しちゃった』
誠『遊園地とか動物園とか行ってくる』
誠『から箱根は無理。ごめんちょ』
kai『お前に五十嵐をバルスる資格はない』
Yuta『(がんばれ、のスタンプ)』
うーむ。あいつら青春してやがるなぁ。
いやまぁ俺もメンツだけ見たらハーレムみたいなもんだけど、全員身内みたいなもんだし...。いや、
まぁとりあえず、須田と五十嵐は不参加、と。
ほかに俺が誘えそうな友達で、Afterglowともちゃんと面識があるやつらってーと...ポピパにハロハピ連中くらいかなぁ。いやでも二人しか誘えない状況だし...。
ま、無理して十人で行かなくてもいいか。八人でも十分楽しいし。あ、でもあこちゃんが来るなら白金さんとか着いて来るかもなぁ。
「.....ん?」
そんなことをぼんやり考えながらホットコーヒーを啜っていると、ふと俺の視界に見覚えのある後ろ姿が目に入った。
近くの中学校の制服に身を包み、青みがかった白髪を肩口辺りで切り揃えた、どこか自信の無さげな背中。こちらに背中を見せてるから顔は見えないけど、あれは多分──
「あ、あの子。いっつも
隣に座っていたひまりがそう口にする。
それに答えるように、巴も記憶を漁るような間の後に「ああ、あの」と同意を示した。
「だよな、やっぱ。今日はここでやってんだ」
俺やひまり、巴のいるバイト先であるファストフード店に、週三くらいで通っている女の子。いつも奥の角っこの席でノートや参考書なんかを広げてる子だ。
何回か差し入れでシェイクとか持ってったっけなぁ。店長の娘さんも今年受験らしくて、あの子のことも店長がずっと気にかけてるんだよな。
「あの女の子、
「ふーん。頑張るなぁ」
今年三年なんだとしたら、もう二ヶ月もすれば試験本番だ。私立を目指してるならそこが山場だし、公立志望だとしても猶予はあと三ヶ月くらいか。
俺も去年、この時期は勉強めちゃくちゃ頑張ったっけなぁ。一応花咲川はA判定貰ってたんだけど、いくら勉強しても不安なものは不安だったし。蘭たちはみんなエスカレーターだったからあんま勉強してなかったけど。
ま、あの子がどこ受けるとかは知らないけど、頑張って第一志望に受かってほしいもんだ。陰ながら応援しておこう。
✿ ❀ ✿ ❀ ✿
さて、日が経つのは早いもので、今日は十一月二十一日。つまり、箱根旅行出発の日になった。
集合場所は新宿。ここからバス、というよりキャラバンが出るらしい。
一泊二日ということで、特に多くもない荷物をリュックに詰めて俺は朝の新宿駅にいた。隣には缶ビールを片手に持った姉ちゃんもいる。
つーか今まだ朝の九時前だぞ。なんでもう酒飲んでんの。
「バッカね、あんた。冬でも結構な量の汗かくのよ?」
何一つ理由になっていないが、まぁいい。潰れても世話してやんないからな。
呆れた目で姉ちゃんを見ていると、改札の方から、やけに大きなキャリーバッグを引くひまりが手を振りながらやってきた。
「やっほー! おはよ、海!
「ん。おはよー、ひまりちゃん。今日もかわいいね」
「え、ほんとですか!? うれしー! ...ってなんでもう飲んでるんですか!?」
「あのね、ひまりちゃん。冬も汗はかくの。水分補給を怠ったら死ぬよ」
「す、水分補給...?」
いつからうちの姉ちゃんはこんな酒カスになってしまったんやろか。おばあちゃん(九州人)の血かな。多分そうだな。
「にしてもひまり、その荷物どしたの」
姉ちゃんのカバンから出てきたウイスキーの瓶を見て引いていたひまりに、俺はそう言う。
「これ? 旅行の荷物だけど」
「いや多すぎだろ。旅行っつっても一泊二日だぞ?」
「女の子には必要なものがたくさんあるの! 希さんだって、カバン二つも持ってるじゃん!」
「姉ちゃんのアレは八割が酒だから」
「えぇ.......」
ドン引きじゃん。草。
その後つぐ、宇田川姉妹、少し遅れてモカ、と続々集まってきた。
残すは蘭だけか。まぁ別にまだ集合時間過ぎたわけじゃないんだけど、蘭がモカより遅いのは珍しいな。蘭モカは一緒に来るか、それかモカが遅刻すると思ってたんだけど。
キャラバンも到着し、荷物を荷台に詰め込み終わった頃。
俺が背中を向けている方から蘭の声が聞こえてきた。
「ごめん、お待たせ」
「あー、別に遅刻とかじゃないし全ぜ...ん.....?」
振り返ると、そこには赤いリュックを背負った蘭がいた。
それはいい。むしろ蘭じゃなかったらなんだという話だし、荷物もリュック一つくらいでちょうど良いだろう。ほらひまり、蘭を見習え。
しかし。しかしだ。俺の予想にない存在がそこにはいた。
男だ。俺と同じくらいの身長で、眉が見えるほどの短髪。眼鏡を掛けていて、服装は和服とかいう新宿の特異点みたいな格好をしている。
そういう格好の他人が歩いていれば、「あぁ、まぁそういうのが好きな人なんだな」で終わる話だ。しかしながら、俺はその男を知っている。なんならこの場にいる全員が知っている。
その男は──
「おはよう。遅れてすまないね、準備に手間取ってしまって」
蘭パパだった。
✿ ❀ ✿ ❀ ✿
「エビせんを買ってきたんだ。みんなで食べるといい」
箱根に向かうキャラバン内にて。
言いいながらコンビニの袋を漁る成人男性、蘭パパ。
蘭パパの隣に座っていたモカがそれを受け取り、みんなに配っていく。ふぅむ、エビせんの塩気を含む香ばしい匂いが鼻腔をくすぐり──いやそうじゃなくて。
「(なぁ、なんでお前の父ちゃんいるの)」
コソッと小声で蘭に問いかける。
エビせんを齧っていた蘭は一度それを飲み込み、小声で答えた。
「(いや、なんか今朝あたしが家出る時に箱根旅行行ってくるって言ったら『じゃあ父さんも着いて行く』って...)」
じゃあってなんだよ。
「それにしてもモカちゃん、蘭パパが来るとは思ってませんでした〜」
ポリポリバリボリとせんべいを貪るモカが、ふとそんなことを言う。
俺も蘭パパが来るのは知らなかった。一応主催者とか渉外っぽい立ち位置の人間なのに。宿との連絡取ってたの俺だけど、普通に八人で予約しちゃったが? 蘭パパ野宿説ある?
「安心したまえ。宿泊施設には『大人一人追加で』と私から連絡してある」
「いや
渉外の存在意義がないな、これ。
つーか宿も宿だよ。なんで部外者からの連絡受けて了承しちゃうんだよ。管理体制狂ってんのか。着く前から不安になったんだが?
「まーまー! 大人があたし一人ってのもアレだし、美竹さんに来てもらって良かったってことで!」
やや睨むような目付きで蘭パパを見ていた俺を宥めるように、姉ちゃんが明るく声を上げる。その手にはすでに空になりつつあるビール缶が握られていたりするのだが、まぁそっちは無視一択だな。
来てしまったものは仕方がない。いて困ることもないだろうし。
蘭パパから視線を外し、窓の外を見る。まだ東京から出ていないので目新しいものがあるわけじゃないんだが、まぁ手持ち無沙汰ならぬ目持ち無沙汰的な? 何も考えずに外を眺めていると、それはそれで暇が潰せるものだ。
それにしてもさっきからエビせんのいい匂いが気になるな。朝飯はちゃんと食ってきたんだけど、少し小腹が空いた。エビせん食べたい。
「はい、海! エビせん、クズを落とさないようにね」
「ん、あり」
ひまりがそう言ってエビせんを渡してくる。
うーん、美味しい。これは甘い系の炭酸飲料が飲みたくなるなぁ。
「はい、海! 私のファ〇タオレンジあげるっ」
「ん、あざす」
ひまりの飲みかけだったペットボトルに口を付け、中のファ〇タを流し込む。口や喉を刺激する炭酸が心地いいな。
十年も付き合ってきてる幼馴染み同士だと、それが例え男女であっても間接キスなんて気にしなくなるもんだ。蘭だけは未だに気にしてるっぽいけど。純情なやつめ。
「相変わらず、ひーちゃんと海はひーちゃんと海ですなぁ」
? 何いってんだろ、モカのやつ。
巴やあこちゃんまで深く頷いちゃったりして...え、何やめて蘭、痛い痛い、肩殴んないで。車内で暴れんな。
こうしていつも通りっちゃいつも通りな俺たちを乗せ、キャラバンは箱根へ向かうのだった。
✿ ❀ ✿ ❀ ✿
キャラバンに揺られること数時間。
道中の山道で蘭パパが車酔いするとかいう
箱根の空は青々としていて、雲が疎らに浮いている。
よく晴れた秋空だ。うん、悪くない。風がちょっと冷たいけど、日が照ってるから体感気温的にはめちゃくちゃちょうどいいな。
今回俺たちが泊まるのは、芦ノ湖から少し離れた、仙石原の宿だ。
宿の本館ではなく別館に泊まるのだが、丸々一棟を貸切にするという中々豪華なプランとなっている。たかだか商店街の福引きの景品だってのに金かかってんなぁ。長老たちの力か。それとも弦巻家が一枚噛んでるのかな。
部屋は全部で四部屋。いくら幼馴染みとはいえ一緒の部屋に泊まるわけにはいかないし、部屋数が多いことはシンプルに感謝した。
チェックインを済ませ、それぞれ部屋に荷物を置きに行く。荷物を持ちながら歩き回るのはキツいからな。特に姉ちゃんとひまりは。だから先に荷物を部屋に置こうって話になった。
ちなみに、部屋割りは俺・蘭パパ、姉ちゃん・ひまり・つぐ、宇田川姉妹、蘭・モカというもの。まぁ夜はみんな一部屋に集まって遊ぶだろうし、俺と蘭パパ以外は部屋割りなんて関係なさそうだけどな。
「それじゃー親父さん、俺ら観光行ってくるんで。水とおにぎり、机の上に置いときますから元気になったら食べてください」
「わ、私も蘭と一緒に観光を...!」
「いや無理でしょ」
俺の敷いた布団の上にぐったりと横たわる蘭パパを見て、俺はそう言う。
車に酔った蘭パパはそのまま回復することなく、今も顔は真っ青で、心做しか頬も
宿に着いてからも、動けなかった蘭パパを俺が背負って部屋まで運んだのだ。そんな人がこれから観光になんて行けるわけがない。大人しく寝ててほしい。
「観光は明日もしますし、今日は休んでください。もし日の高いうちに元気になったら、連絡してくれれば現在地のマップ情報送るんで」
「私は元、気.....」
「寝てろ」
こちらに手を伸ばす蘭パパにそう言い、俺は部屋を出る。
「あ、海。父さんどうだった?」
部屋を出てすぐに蘭と会った。
後ろにはチュッパチャプスの棒をピコピコさせているモカもいる。
「ダメ。まぁただの車酔いだしそのうち元気になるかもだから、後で合流できりゃ上々って感じだな。知らんけど」
「なんかごめん、迷惑かけて」
「蘭が謝ることじゃねーだろ。車酔いは別に親父さんが悪いってわけでもないし、誰も悪くねぇよ」
「まー、しいて言えば蘭パパの三半規管が悪かったよね〜」
「確かに」
「間違いない」
駄弁りながら、俺たちは別館を出る。
外には蘭パパを除く全員が集まっており、何やら話をしているところだった。特に団体行動をしようなんて話はなかったんだが、みんな蘭パパの容態を気にしているのだろうか?
「おまたせ」
そう一声かけて輪に入り、最初に蘭パパの不参加をみんなに伝える。
「まぁ残念だけど、仕方ないよな」
巴がそう締めくくり、この話は終わりとなった。
せっかく箱根まできたんだしな。蘭パパには悪いけど、ここは気を取り直して羽を伸ばさせてもらおうじゃないか。
「とりあえずどうするよ? みんな好き勝手に動くでおっけー?」
目一杯楽しもうと決め、今後の行動はどうしようかとみんなに問う。
俺としては自由行動が一番好ましい。この人数で団体行動ってなると、ちょっと面倒だしな。せめて二手に別れたい。
「そうだね。芦ノ湖は明日帰りに行く予定だし、今日のところは自由行動がみんなやりやすいんじゃないかな?」
つぐの一声で、今日はそれぞれが自由に行きたい場所に行くことになった。
聞けば、宇田川姉妹とつぐはロープウェイに乗って紅葉を見に行くらしい。姉ちゃんは...
「ああ、私は宿に残るよ。さすがに美竹さん一人残しては行けないしね」
酔った“モノ”こそ違うものの、同じ酔っ払い同士。少しは面倒を見ることにしたらしい。偉いな、ちゃんと保護者してるじゃん。保護対象は大の男だけども。
さてさて、そんじゃ俺はどうしようかなとスマホを開く。
正直な話、箱根についてそんなに調べてはいないのだ。だからどこが観光名所なのかとかも知らない。箱根って温泉と芦ノ湖のイメージしかないんだよな。あと不倫旅行。
というわけでここはグ〇グル大先生に相談してネットの海から情報を攫おうとしたところで、ひまりが声をかけてくる。
「ねぇ海! 今日私たちと一緒に回らない?」
「たち?」
「うんっ! 私と、蘭とモカ!」
ふーむ。まぁ蘭パパの体調が治ったら蘭の現在地教えるって言ったしな。一緒に行動してた方が都合はいいか。
「ん、おけ。どこ行くか決めてんの?」
「星〇王子さまミュージアム!!」
へぇ。そんなのあるんだ。
マップで調べてみたら、案外近くにその星〇王子さまミュージアムはあった。
「バスも出てるっぽいけど...徒歩でも行ける距離だな。二kmくらい」
「じゃあ歩いていこ! 天気もいいし、散歩も兼ねて! 蘭もモカもそれでいいよね?」
「モカちゃんは大丈夫〜。むしろ賛成〜」
「あたしも、別に」
まだまだ日は高い。
道中は色鮮やかな紅葉や、茶色に染まった草木なんかも多く見れるだろう。これで寺なんかあれば風流なんだが...いや、温泉があるだけで十分風流だな。
それに今回泊まる宿は、夜紅葉がライトアップされている露天風呂を売りにしている宿だ。普通の温泉よりも、目で楽しむという点では勝っているだろう。楽しみだなぁ。実は俺、温泉ソムリエとかいう資格擬きを取るくらいには温泉好きなんだよね。
夜の景観に心を踊らせつつ、今は目の前の観光を楽しむため、ひまりたちと共に歩を進めた。
海くん、実は温泉ソムリエ(唐突な設定)(多分もう二度と出てこない)