ガールズバンドが人気な時代ですが、男も頑張ってみます。   作:怜哉

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なんか日間ランキングにチラッと載ったみたいで。嬉しい限りですね。調子に乗って第3話書き上げちゃったので載せときます。


人をおちょくる時は引き際だけは考えた方がいい

 

 

 

 

 

 

「また貴方ですか!!」

 

 ふと、私が登校してきて校門を抜けようとしている最中。

 聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「この一週間毎日毎日...昨日も、一昨日も、その前も言いましたよね? 『明日も服装検査するからちゃんと制服を着てくるように』と。それがなんなんですか!」

 

 私と同じクラスで、同じバンドに所属している氷川紗夜さん。彼女の声は非常に通りやすく、声の小さな私にとっては羨ましい限りだ。

 そんな彼女の怒りの矛先は、ここ一週間ずっと氷川さんが愚痴を漏らしている相手。一年生の男の子に向いている。確か名前は...関口くん。

 

「いや、今日はちゃんとしてるじゃないっすか。ネクタイしめてるし、靴下も白だし、靴も鞄も指定のやつ」

「自分の下着を見てみなさい!!」

「えっ? そんな...公然わいせつですか?」

「〜〜〜!!!! うっ、上のことです! 肌着!!」

 

 声にならない怒りで顔を般若のように歪める氷川さん。怖い。

 そんな氷川さんに臆することなくおどける彼は、心臓に毛でも生えているのだろうか?

 彼の肌着は、ワイシャツの上から透けて見えている。校則では、肌着の色は白でワンポイントまで、だったはずだけど...。彼は黒い肌着で、ワンポイントではすまない文字入りTシャツを着ていた。

 ...粉塵爆発? なんで?

 

「あー、これっすか? 俺の好きなユーチューバーのTシャツです。にゃ〇たこっていうんですけど...」

「知りませんっ! はぁ...今日はもういいです。肌着を脱げというわけにもいかないですし、反省文を放課後までに提出してください」

「はーい」

「明日は絶対! ぜぇったいにキチンとした服装で登校してくるように!! いいですね!?」

「努力は...してみます...!」

「か・く・じ・つ・に! 校則に則った服装をしてきなさい!!」

「はいはーい」

 

 顔を真っ赤にして怒る氷川さんと、楽しそうに笑って校舎に向かう関口くん。

 すごいなぁ。私にはあんなことはできない。氷川さんに怒鳴られたらすぐ謝っちゃう。いえ、真似しようとか真似したいとか、そういうのは無いけど。

 

 

 そんな彼とお昼休みにすれ違った時、彼の肌着は無地の白になっていた。

 

 

 

 ✿ ❀ ✿ ❀ ✿

 

 

 

「給料を貰いました」

『おぉ〜』

 

 羽沢珈琲店にて、俺は分厚くなった財布を掲げる。まあ分厚くなったっていっても数枚の諭吉じゃたかがしれてるけど。小銭増えた時の方が分厚いよな。

 だが、財布の分厚さなど問題ではない。事実として金が手元にある、それが重要だ。

 

「つーわけで、シールドとエフェクター買いに行きたいんだけど、誰か付き合ってくんね?」

 

 そう、念願のエフェクター購入の時が来たのである。

 一ヶ月分の給料は五万と少し。研修中ということで若干時給が安くなっていたので、来月はもう少し期待できそうだ。

 とりあえず、今日エフェクター代に使えるのは三万円まで。残りは貯金して、遊ぶ金にする。俺だって現役の高校生、遊びたい盛りだ。学校帰りに友達と買い食いしたいし、服だって欲しい。全てを楽器類に貢ぐわけにはいかない。

 

「あたしはパス。今は勉強したい」

「アタシもだ。悪いな、海」

「ごめんね、海くん。私もちょっと...」

「明後日中間テストだもんね〜。花咲川もそろそろテストなんじゃないの?」

「数学以外は九割取れるし。数学も赤点はないだろ」

「うわ、これだから海は...モカと同じタイプだ」

 

 なんだ、みんなしてノート広げてると思ったら、テストが近いのか。

 俺はテスト来週からだし、授業はちゃんと聞いてるから赤点はない。全国模試ならまだしも、学校の定期テストは先生が言ったこと聞いてりゃ点取れるからな。モカは聞いてないのにできる天才型だけど。

 しゃーない、モカだけにでも付き合ってもらって...あれ? モカは?

 

「なぁ、今日モカは来ないの?」

「そういえば来てないな...蘭、何か聞いてないか?」

「今日バイトって言ってた」

「あぁ、なるほど。...え、モカのやつバイトしてんの?」

 

 なにそれ初耳。あいつなんでも器用にこなせるけど意図的にふざけるからなぁ。バイトとかできんのかな?

 

「先週から始めたみたい。モカの家の近くのコンビニだって」

「え、そこ私がよく買い物行くとこじゃん! モカがレジの時、なんか割引とかしてくれないかな〜。ってかあれだね? そこ、リサさんも働いてるとこじゃない?」

「そうなん? そりゃまた派手なコンビニ店員がいたもんだな」

 

 まぁ、モカがいないんだったら今日はもういいかな。一人で行ってもエフェクターのこととかよく分かんないし。歪みとか空間系とか、そういう種類までは調べたけど、どれがいいのかとかが分かんない。高い金出すんだし、ちゃんとしたの買いたいからな。

 

「なぁ海、ちょっとここの英文の訳し方教えてくれ」

「ん? えーっと...『雨の中あなたの家に行ったのに、あなたは結局いませんでした』、かな。only to V で『Vしたけど、結局…だった』っていう逆説的な意味になるんだよ」

「なるほど...サンキューな、海!」

「ほいさ。そうだな、今日はもうエフェクターはいいから、俺も勉強すっかな」

 

 来月には全国模試もあるみたいだし、そこで好成績出して親に小遣いねだってみよ。金はいくらあってもいいんだよォ...。

 てか、昔からみんなに勉強を教えるのは俺の役目だったし、今回も分からないところは教えてやろう。それも勉強の一環だし。

 モカの方が勉強はできるんだけど、あいつは教え方が奇天烈すぎるからなぁ。まずノートの解読に時間がかかるし、感覚派だから何言ってんのか分からん時もある。てか勉強感覚派ってなんぞ? 感覚で解けんのは国語と英語の長文くらいだろ、ふざけんな。

 

 

 

 その後、三時間ほど勉強会を続けて、今日のところはお開きとなった。

 みんな別に頭が悪いわけじゃないし、なんなら真ん中よりは上の成績だから、教えるっていってもそんなに苦労はない。てか数学については逆につぐみから教えて貰ったし。これは満点取らなきゃつぐみに合わせる顔がないってもんだな。よーし、ツグるぞー。

 

 まぁそれはともかく。

 羽沢珈琲店で少し遅めのおやつを頂いたあと、ひまりの提案で、帰りがてらモカの働くコンビニに寄ることになった。つぐみも連れて行くあたり、帰りがてらってより普通に冷やかし目的な気がしないでもないが、まぁ細かいことは気にすんな。

 

「バイトか〜。私も何かやろっかな?」

「お、じゃあウチくるか? ひまり。この前バイトが三人くらい辞めちゃって、少し人手が足りないって店長が言ってたし。多分求人もまだ出てんじゃねぇか?」

「ホント!? じゃあちょっと応募してみよっかな〜」

「おう。なんなら俺の紹介って感じで店長に言っとこうか?」

「あっ、それ助かる〜! じゃあお願いしていい?」

「ん、おっけ」

「おっ、ひまりもバイトするのか。じゃあアタシもやろうかな。海んとこの店ってまだいけそうか?」

「いけんじゃね? まぁ店長に言ってみないことには分からないけ」

「そっか。じゃあアタシも一応頼む!」

「おっけー。こうなりゃ蘭やつぐみもやるか?」

「私は家の手伝いあるから、ちょっと掛け持ちは厳しいかな。ごめんね、せっかく誘ってくれたのに...」

「あー、うんにゃ、気にすんな。それは仕方ない。蘭は?」

「.....あたしもパスで。バイトやってる暇ないし」

 

 あ、蘭は家のこととかあるんだっけ。

 詳しく本人から聞いたことはないけど、華道の家元とかなんとか。他人(ヒト)()の事実は知らないけど、大変なのかもしんない。

 

 そんなことを駄弁っていると、例のコンビニに着いた。

 なんだろ、友達が働いてるとこに行くのって初めてだけど、なんかソワソワするな。口元ニヤケそう。

 そんな思いの中、俺達はコンビニの自動ドアをくぐる。

 

「パンプキーン。...あっ、みんな〜。やっほ〜」

 

 どこか間の抜けた声が、店内に響く。

 ...パンプキン? かぼちゃがどうした? 季節外れのハロウィンキャンペーンでもやってんのか?

 

「も〜、モカ、ちゃんと接客しなって言ってるじゃん。あ、アフグロに海くん。いらっしゃいませ〜☆」

「サンシャイーン」

 

 奥から出てきたリサさんがモカに注意する。一緒のシフトだったんだ。てかモカのやつ、クビになったりしないよな?

 その後、ひまりが買ったコンビニスイーツのカロリーを言い上げるという新手のイジメをやり始めたモカがもう少しで退勤すると言うので、俺達はコンビニの前でアイスとかスイーツとか食って時間を潰した。

 

 ...蘭と巴がいるとヤンキーが溜まってるみたいに見えなくもない(小並感)

 

 

 ✿ ❀ ✿ ❀ ✿

 

 

 月曜日、放課後。

 明日からの中間テストに備え、今日は午前で授業は終了した。

 中学までは二日で終わっていたテストだが、高校になると四日も使うようで、明日から金曜日までずっとテストだ。まぁ前日午前中だけで終わるから楽っちゃ楽なんだけどな。

 

「なぁ関口。ちょっと図書室で勉強しないか? 古文と漢文教えてくれっ!」

 

 帰り支度をしている俺に、男友達が話しかけてくる。

 去年まで女子高だった花咲川だが、今年から共学になり、現一年の男女比は六対四。そんな男女比であれば、男の友達だって普通にできる。

 今話しかけてきたのは須田(すだ)(まこと)。入学当初の席順で、俺の一つ前だった奴だ。須田はいい奴で、入学式に遅刻してきた俺に快く話しかけてくれた、高校で初めての友人である。

 

「別に勉強教えんのはいいけど、なんで図書室? あそこ、静かにしなきゃいけない雰囲気あるし、教えるには向いてない場所だと思うんだけど」

「いや〜、それもそうなんだけど...図書委員の先輩、めっちゃ可愛いらしいんだよ」

「なんだそれ。ったく、可愛い先輩目当てとか。ちゃんと勉強する気ないな?」

「んー、そっかぁ。関口は美人な先輩に興味無いか〜」

「興味あるに決まってんだろさっさと行くぞ準備しろ須田」

「お前のそういうところ好き〜」

 

 ってことで図書室に行くことになった。

 年上美人を一目見てみたい。男なら当たり前だよなぁ? まぁちょっと見たら帰るけど。明日数学あるし勉強しなきゃ。

 

 

 

 支度を終えた須田と共に、俺達は図書室へと辿り着いた。

 勉強といえば図書室で、ってのは少しばかり古い考えらしく、窓から見える図書室内はがらんとしている。まぁ夏場はエアコン効いてるからともかくとして、この時期は図書室にいて得することなんてほぼないからな。自宅か、もしくはファミレスとかに集まるんだろ。現にAfterglowは羽沢珈琲店に集まるしな。

 

「で? その美人先輩は今日図書室にいるのか?」

「知らね。入ってみりゃ分かんだろ」

 

 そう言って、須田は図書室のドアを開ける。

 それと同時、図書室特有のあのカビ臭いような匂いが俺の鼻腔を(くすぐ)った。いや、カビ臭いとはちょっと違うな。なんていうかこう、古本の匂い? そんな感じ。

 須田に続き、俺も図書室に入る。さて、噂の美人図書委員はいるのだろうか。せっかく来たんだからいて欲しいな〜。

 

「.....あ、関口くん」

「白金さん?」

 

 図書室の受付に一人座っていたのは、最近なぜか御意見番とかいうものになってしまったRoseliaというガールズバンドのキーボード担当、白金燐子さんだった。

 え、この人花咲川の生徒だったん? というかもしかして、美人な先輩って.....。

 

「おい関口ィ...ちょぉっと(つら)ァ貸せや...」

「お前キャラ変わってんぞ」

 

 なんか須田に肩掴まれて図書室の外に連れ出されてしまった。やだ、顔怖いよ須田くん。せっかくのイケメンが台無しよ。...言うほどイケメンじゃねぇな、こいつ。悪くもないけど。

 

「てめぇ今失礼なこと考えたろ」

「いや? 事実を事実として再認識しただけ」

 

 ナチュラルに心を読まれかけたのは一旦置いておくとして、一体なんの用だろうか。白金さんに聞かれちゃまずい話? ...そんなん猥談しか思い付かないんだけど。昼間っからそんな話する気かこいつ?

 

「お前...あの先輩と知り合いなのか?」

「白金さんのこと? まぁ、知り合いっちゃ知り合い」

 

 御意見番とかしてるよ。

 

「お前ってやつは...お前ってやつは...!!」

「? どしたんお前」

 

 肩をわなわなと震わせる須田を、俺は理解できてないですって顔で見る。いや、本当にこいつの行動の意味が分からん。悪いもんでも食ったか?

 

「お前! 氷川先輩っていう超絶美人な彼女がいながら、他の女に手ぇ出してんじゃねぇぞ!? 山吹さんやおたえちゃん、香澄ちゃんに留まらず!! お前別の美人先輩にまで!!」

「ちょっと待て少し話をしよう須田」

 

 誰と誰が付き合ってるって? え、俺と氷川さん? マジ? そんな噂流れてんの?

 

「須田、落ち着いて聞け。まず前提として、俺は氷川さんと付き合ってない」

「嘘だッ!!」

「いやホントだよ、なんで嘘つく必要があんだよ。彼女出来たら真っ先にお前に自慢するわ」

「...確かに。それによく考えりゃ、お前に年上美人がなびくわけねぇな」

 

 ぶん殴ったろかこいつ。

 

「...まぁ今はいいや。んで、次。俺は山吹さんにも花園さんにも戸山にも、ましてや白金さんに手なんて出してない」

「確かに。お前にそんな度胸あるわけないもんな」

「歯ァ食いしばれ」

「あだッ!!」

 

 顔はさすがにまずいと思ったから肩に一発入れといた。なんだこいつ、俺のこと馬鹿にしたいのか?

 

「つーかだいたい、なんで俺と氷川さんが付き合ってることになってんだよ」

「いや...毎朝あれだけ元気に痴話喧嘩してたらそりゃ...ねぇ?」

「痴話喧嘩だぁ?」

 

 毎朝っていうと...あれか、俺が氷川さん弄ってるやつか。

 えー...あれ痴話喧嘩に見られてんの...? 氷川さんの反応が面白いから色々やってたけど...なんか悪いことしちゃったな。俺と付き合ってるように見られてたとか、氷川さんもいい迷惑だろ。

 ま、とりあえず今後は控えるか。そろそろしつこくて嫌われるかもしれなかったし、いい引き際だろ。嫌われたくはないしな。

 

「で? 山吹さん達のは」

「あれはお前、教室でずっと喋ってるし、おたえちゃんに至ってはお前と話してる時が一番楽しそうだし」

「そりゃギターの話してるからだろ。むしろその話しかしてねーよ。お前もベース始めりゃあ、牛込さんと楽しくおしゃべりできんじゃねぇの? 知らんけど」

「マジか!? じゃあ俺ベース初めよっかなぁ」

 

 軽率過ぎひんこいつ? まぁいいけど。

 以前須田本人から聞いた話だが、こいつは牛込さんにホの字らしい。大人しそうだし、そういうところが良いのかもしれない。頑張ってくれ。

 

「ちなみに、白金さんも楽器...バンド繋がりで知り合った人だよ。氷川さんと同じバンド組んでんの」

「そうなん?」

「そうなん」

「じゃあさっきの先輩...白金先輩だっけ? その人とも、そういう男と女の関係じゃないと」

「言い方がヤラシイなお前。ちげーって」

「なるほどなるほど」

 

 どうやら誤解は解けたらしい。須田だけな。

 ったく、噂流れてるってことは、多分クラスの奴は半分以上が俺と氷川さんが付き合ってるって思ってるんだろうし、そんな彼女持ちの俺が色んな女の子に手ぇ出してるって思われてるってことだろ? ...うーん、丸山さんには知られたくないなぁ。あの人に軽蔑の目で見られんのはちょっと精神にこたえる。

 

 はぁ...ちょっとは考えて行動しなきゃダメなのかね?

 これで変な噂がさらに広がったら、それに巻き込まれたみんなに申し訳ないし、俺も困る。なんで困るってお前、校内で好きな人ができた時に積極的にアピールできなくなるじゃん。

 

「ま、いいや。過ぎたことはしゃーないな。とりあえず須田、勉強すっか」

「ホント、お前のそういうとこ好き〜」

 

 それさっきも聞いた。

 てかどういうとこだよ。

 

 

 

 ✿ ❀ ✿ ❀ ✿

 

 

 

 関口くんがお友達(らしき人)に連れられて図書室を出て行ってから十分と少しくらい経った頃。二人はまた図書室へやってきた。

 明日からテストだし、おそらく勉強しに来たのだろう。

 

「白金先輩! はじめまして! 俺、須田誠っていいます! 関口のクラスメイトっす!」

「えっ.....!? え、と...は、はい.....よろしく...お願い、します...?」

 

 元気に頭を下げられて自己紹介されちゃって、びっくりしちゃった。

 おどおどしながらなんとか返事をしたら、関口くんのお友達...須田くんは、一歩私に近寄ってくる。ひぇっ...。

 

「趣味は映画鑑賞、最近は純愛モノをよく観ます! あ、あと音楽興味あるっす! .....おい関口、白金先輩の趣味は? 好きなものとか

はぁ? 知らねぇよ、読書とかじゃねぇの? 図書委員だし

なるほど確かに。 あと読書も好きです! えと...そう、推理モノとか!」

「は、はぁ.....?」

 

 関口くんと小声で何かを話した須田くんは、また元気に自己紹介をしてくる。な、なんなんだろう...?

 助けを求める意味で、関口くんの方を見る。だが彼は呆れたような顔を須田くんに向けるだけで、私のSOSに気付いてくれない。うぅ...須田くん、分からない...。

 

「白金先輩! 下のお名前をお伺いしてもいいですかっ!」

「え!? あ、あの...白金、り、燐子...です.....」

「燐子先輩! いえ燐子さん!」

「ひぅっ!?」

 

 また一歩近寄ってくる。お、男の人にこんなに詰め寄られたら...こ、怖い...。た、助けてください、関口くん...!

 

「あー...じゃあ白金さん、俺らここらで失礼します。ほら須田、行くぞ」

「お、おいちょっと待てって! まだ話したいことが...」

あんましつこいの苦手な人だから、ここで退いとけ

「え? あ、そういう...分かった。じゃあ燐子さん! またいつか!」

 

 そう言って、十数分前とは逆に、関口くんが須田くんを引っ張って図書室から出て行く。二度目のSOSはキチンと届いたらしい。良かった...普通に怖かった...。

 ...でも、多分今のを怖がってちゃ、私は変われない。Roseliaに入って、変わろうって思えるようになれたけど...まだ、思ってるだけ。怖がりな自分を、この人見知りな性格を克服するんだ...!

 

 

 その夜、関口くんからLI〇Eがあった。彼がRoseliaの御意見番になった際に交換したのだが、連絡がきたのは初めてだ。

 

 Kai『お疲れ様です。夜分にすいません、関口です』

 Kai『今日は友人がすいませんでした。今後、俺の目の届く範囲では自重させますんで...』

 

 昼のことを謝るために連絡をくれたらしい。

 彼は何も悪くないのに。きっと、私が怖がっていたからだろう。優しい子だ。...でも、目の届く範囲でしか、しかも自重させるだけなんだ...。

 

 白金 燐子『お疲れ様です(^^♪』

 白金 燐子『ヾノ≧∀≦)oイエイエ! 大丈夫ですよ〜! 私が勝手に怖がってしまっただけなので...(´×ω×`)』

 

 慣れた手つきで返信する。既読はすぐには付かなかった。

 一旦お風呂に入り、上がってLI〇Eを確認すると、返信が返ってきていることに気付く。

 

 Kai『大丈夫でしたら良かったです〜。須田も決して悪い奴じゃないんで、できれば誤解しないでいただけると...』

 Kai『あいつ、普段は明るくて気も利く良い奴なんで』

 

 友達を庇っているのか、それとも本心から褒めているのか。多分、どっちもだろう。本当に、関口くんはいい人だ。本人の知らないところで友人を庇い、褒めるのは、大変好感が持てる。だって、その行為は見返りを求めたものじゃないから。

 

 白金 燐子『そうなんですね(´∇`)』

 白金 燐子『大丈夫です。今日は怖がってしまいましたが、関口くんがそういうのなら悪い人ではないと思います(≧∇≦*)』

 白金 燐子『なにより、関口くんのお友達ですもんね(*゚▽゚*)』

 

 そう送ったところで、今度はすぐに既読が付いた。

 

 Kai『良かったです〜』

 Kai『あ、あと、白金さんってSNSとかだとめっちゃ喋るんですね。正直意外でした』

 

 ひぅ。ついいつものノリで返してたけど...ひ、引かれちゃったかな...。

 

 白金 燐子『タイピング、得意なので...』

 

 Kai『へー、そうなんですね』

 Kai『俺タイピングとか全然ダメで...』

 

 良かった、引かれてはないみたい。

 

 Kai『姉に勧められてオンラインゲーム始めたんですけど、チャットが中々打てなくて。なんかコツとかあったら教えてください〜』

 

 ...オンラインゲーム?

 

 白金 燐子『ちなみに、そのオンラインゲームのタイトルってなんですか?(・_・?)』

 

 Kai『えと...Neo Fantasy Onlineってやつです』

 白金 燐子『お友達になりましょう(っ'ヮ'c)ウゥッヒョオアアァ』

 

 関口くんとは良いお友達になれる! ...かもしれません。




オリキャラ登場。
感想・評価、めちゃくちゃモチベになります。ありがとうございます。
ちょうだいちょうだい、そういうのもっとちょうだい!!(某杉谷)

専門用語とかマイナーすぎるバンド名とかについて。

  • 伏字で出されても分かんねぇわ!辞めろ!
  • 好きにやってええんやで(菩薩)
  • 全然分かるけど辞めな
  • 分かるからそのまま続けて、どうぞ。
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