ガールズバンドが人気な時代ですが、男も頑張ってみます。   作:怜哉

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もんっ、じゃねぇんだよなぁ...(あまりの筆の遅さに絶望する作者の図)


サンタさんはいるもんっ!

 

 

 

 

 

 

 トリのRoseliaの曲も終わり、クリスマスライブの幕が降りる。

 やっと終わったと息をついたのもつかの間。

 

『アンコール!! アンコール!!』

 

 会場ではまさかのアンコールである。

 Roseliaだけもう一曲やるのかと思ったら、これまたまさかの全バンド追いの一曲をやるらしい。まて、練習してないぞ。

 

「おいお前ら、何なら弾ける?」

 

 恐る恐る須田と五十嵐に問いかける。

 最悪、俺たちはやらなくても良いのでは? そう思っていた。だって練習してないんだもん。是非もなし。

 

「最近聴いてるのはドロ〇の閃〇。個人的に練習してたから弾ける」

「俺も閃〇。映画良すぎて五回見に行った」

「マジかお前ら」

 

 閃〇か...。確かにかっこいいし、映画も良かったと思う。姉ちゃんに付き合わされて見に行った。まぁ今までのガンダ〇シリーズをそんなに知らないから内容はよく分からなかったけど。絵が綺麗でした(小並感)

 

 

 

 と、いうわけで。

 

「やってみせろよ、マ〇ティー!!」(五十嵐)(地声)(クソデカ)

「なんとでもなるはずだ!!」(須田)(マイク)(適正音量)

「厄介なものだな。生きるというものは...」(俺)(マイク)(哀愁)

 

 

 十分ちょいでコピーしてやったぞ。誰か全力で褒めろ。俺を。

 

 須田はまぁ...まぁ須田だし。何より練習してたっていうからな。ほぼほぼ完璧だった。

 五十嵐はなんで叩けたんですか? この曲結構難しいだろドラム。手数多いわ速いわ複雑だわで。まぁフィーリングでテキトーに叩いてた部分もあるけど、それでも「あ〜、そういうアレンジもいいよね」みたいな感じだった。化け物め。

 

 んで俺はというと、もう訳が分からん。

 とりあえず曲の進行を覚え、明らかにギターが二本ないと物足りないので六弦を三音下げ、五弦を二音下げ、それ以下はレギュラーにして無理やりコードらしきものとリードギターの単音を同時に鳴らした。脳筋とかいうレベルじゃない。というか本当によくなんとかなったな。

 まぁ実際、本家とはだいぶ違った音になっていると思う。ぶっちゃけ全部は覚えきれなかったから半分くらいその場で作って弾いてたし。歌詞に至っては普通に覚えられなかったから譜面台にスマホ置いてた。全然褒められることしてませんね。ごめんなさい。

 ライブっていう環境下だったこと、そして「これが俺流のアレンジですが、何か?」ってすました顔をして弾いていたことから、その場の雰囲気でどうにかなったんだろうと思う。

 

 昨日は「金払って貰ってるんだからハンパなもんは見せられねぇぜ!」とか言ってたけど、アンコールは勘弁してほしい。応えただけで褒めてくれ、頼む。

 

 

 

 

 最終的に大トリはやっぱりRoseliaで締められ、聖夜前昼祭ライブは今度こそ幕を降ろした。

 

 聖夜前昼祭が終わるとどうなる?

 知らんのか。聖夜前夜祭パーティという名の打ち上げが開催される。

 パスパレは仕事があるから帰るらしいけど。

 

「それじゃあ、二時間後にCiRCLEに集合だよ!」

 

 香澄が、今度はちゃんと連絡してくる。

 なぜ二時間後かというと、皆一度家に帰ってプレゼントを持ってくるらしい。なんでもプレゼント交換があるんだとか。

 

 皆と別れ、俺たちカプリベルテは「風呂に入りたい」ととりあえず旭湯に向かうことになった。

 その後は三人でテキトーにプレゼントを買いにいく予定だ。

 

 旭湯に着き、暖簾を潜る。

 ここは昔ながらの銭湯で、玄関から入るとすぐに番台があり、そこから男女に別れる、といった作りになっている。

 最近流行りのスーパー銭湯みたいに、食事処や寝られるほどの休憩スペースなどはないが、このレトロな感じがなんとも。

 温泉ソムリエな俺だが、別に銭湯も嫌いじゃない。むしろ好きまである。特にこの旭湯は小さな頃からお世話になっているため、高校生になった今でもちょくちょく来ている。

 

「ばあちゃんこんちゃー」

「はいはい...あら、海くん。お友達も一緒かい?」

 

 番台に座ってボーッとしていたばあちゃんが、こちらにニッコリと柔和な笑みを向けてくる。

 昔馴染みの旭湯の番台。小さい頃はお年玉なんかをせがみにきた仲だ。

 

「そー」

「あらあら、海くんが男の子のお友達を連れてくるなんて。ひまりちゃんたち以外にも、一緒にお風呂に入るお友達がいたんだねえ」

「一緒に風呂に入る...? おい関口。説明」

 

 怖ぇよなんだよ須田このやろう。

 

「一緒に入ってたって別に本当に一緒の湯船に浸かってたわけじゃねぇからな? そうだよなばあちゃん」

「...はえ? なんだってぇ?」

「そんな難聴系主人公みたいな...!」

「ああ、そうそう、そうなんだよ。最近、耳が遠くてねえ」

「今のは聞こえたのか。本当に主人公くさいな、このばあさん」

 

 感心したように五十嵐が呟く。なに感心しとんねん。

 てか大丈夫かな、ばあちゃん。最近足腰も弱くなってきたとか言ってたし、受付以外は娘さんに任せて番台に座ってるだけとはいっても働いてるのは辛そうなもんだが。

 

「でもねえ、来年からは親戚の子がくるんだよ。それを機に娘に店渡して、あたしゃ引退だねえ」

「へぇ。じゃあ寂しくなるね」

 

 ばあちゃんが番台にいないのは寂しいが、まぁそんなことより体の方が大事だ。

 

「その子ねえ、岐阜に住んでるんだけど、羽丘を受験するらしいんだよ。合格したら、ひまりちゃんたちの後輩さね」

 

 高校で進学のために上京とか。よくやるなぁ。

 まぁ無事合格したなら顔を合わせる機会もあるだろう。この銭湯とか、あとひまりたち経由とか、いろいろ。

 面白いやつならいいなぁ、と思いながら、俺は入浴代を払って暖簾をくぐった。

 

「関口。説明」

 

 まだ言ってたのか。

 

 

 

 ✿ ❀ ✿ ❀ ✿

 

 

 

 

 時間は過ぎて打ち上げ開始時刻。

 

「「「カンパーイ!!!」」」

 

 CiRCLEを貸し切り、かつ弦巻家監修という大クリスマスパーティが開催された。

 出演者だけで二十三人。そこに黒服さんやまりなさんなど、大人を含めると三十人前後になろうという大人数。普通に手狭だし、どうせ弦巻家監修なら弦巻家でやれば良かったのでは? 関口は訝しんだ。

 

「海〜! お疲れ様!」

 

 乾杯の音頭が終わったあと、ひまりがピンク髪と肉団子(最低比喩)を揺らながらてこてこと近寄ってくる。

 

「お疲れ」

「今日も海すごかったよ〜! 新曲もかっこよかったし!」

「だろ? もっと褒めろ」

「へへ〜、すごいすごいっ」

 

 おいやめろよ。素直に褒めるな。照れるだろ。

 てかぶっちゃけそんなにすごくないからな。アンコールとかひどいもんだったろ。

 

「あ、そういえば! 海、明日って予定あるの?」

「明日? いや、五十嵐とかいうリア充を東京湾に沈める以外には特にないけど...」

 

 再確認して泣きたくなってきたな。

「あ、クリスマスは予定あるんで!」って意味の無い見栄で仕事断っといて予定なしとか。

 

「ほんと? じゃあ明日遊び行こーよ!」

「えぇ...?」

「なんか嫌そうな顔された!?」

 

 いやだってお前。今日の疲れがな? こちとら寝てないんだ。そのうえこの打ち上げでさらに体力使って、明日は昼過ぎまで寝るって決めてるんだよ。クリぼっちは寝て過ごすのが一番だ。外に出なければ世間のクリスマス感を見ることもないし。

 

「せっかくのクリスマスなんだよ!? 遊び行こうよ〜!」

「ちなみに行き先は決まってんのかよ」

「え? えっとねぇ.....お、お台場...とか?」

「寒い。却下」

 

 つーかクリスマスのお台場とか地獄だろ。デートスポットじゃねぇか。

 そんなとこ行ってみろ。イチャイチャしてるカップルを恨み辛みの篭った目で見たあと「ちょっとすいませ〜ん」とか言ってカップルの間を引き裂くように通る遊びくらいしかできなくなるぞ。

 

「じゃあよみう〇ランド!」

「寒い。却下」

「六本木〇ルズ!」

「場違い。あとやっぱり寒い。却下」

「う〜〜...! あ、すみ〇水族館!」

「水族館は行きたい。でも却下」

「なんで!?」

 

 デートスポットばっかりじゃねぇか。バーサークしてもいいなら行くけど。...いやしたくはないな。した後に虚しくなるだけだし。

 

「遊ぶにしても、どこ行くとかは他の奴にも聞いといた方がいいんじゃね? どっか行きたいとこあるやつもいるかもだし。寒い場所にゃ行かんけど」

「ほかのひと...?」

「? いつものメンツで行くんじゃないの。アフグロの」

「え」

 

 え、何?

 

「いえーい! 海くん飲んでる〜!?」

 

 ひまりの反応を訝しんでいると、元気ハツラツリポ〇タン香澄がウザい絡み方をしてきた。

 

「酒臭い。近寄んな」

「私お酒は飲んでないよ!!?」

 

 デフォで酔ってるからなあ、香澄。

 いやでも本当に酒臭い。アルコールの臭いがする。そう、飲んだくれてる姉ちゃんを前にした時のような臭いが──

 

「いえーい! 弟飲んでる〜!?」

「ヒェッ」

 

 あまりの衝撃に変な声出た。

 

「あ、(のぞみ)さん! いえーい!」

「香澄ちゃんいえーい! ひまりちゃんもー!」

「え、あはい、いえーい!」

 

 背後から這い寄る混沌から肩に手を回され、姉ちゃんが手に持っているジョッキからビールの雫が顔に飛ぶ。うわくっさ。ビールの臭いって苦手なんだよなぁ。

 

「なんで姉ちゃんがここにいんだよ。今日は彼氏と飯食べに行くっつってたろ」

「あ、それ聞く? 聞いちゃう? しょーがないなー、そんなに気になるなら話してやんよー」

「あ、やっぱいいです。どうせまたフラれたんだろ」

「違うやい!」

 

 ええ〜? ほんとでござるかぁ?

 今までの彼氏にはフラれてきただろ。なんか思ってたのと違うとか言われて。

 まぁ姉ちゃんは外ではめちゃくちゃ猫被ってるからな。何回か外での姉ちゃんを見たことあるけど、めっちゃ清楚だった。でも蓋を開けてみればコレだもんなぁ。詐欺って言われても仕方ねぇよ。

 

「突然『希ちゃんは強いよね。俺なんかがいなくても一人でやっていけるくらいに』とかイミフなこと言われてさー? なーんかほかの女とコソコソ会ってるっぽいし、シャンパンぶっ掛けてフッてやった! ねーどー思う!?」

「男を見る目がない」

「あたしが悪いってか!? わーん! ひまりちゃん慰めてー!」

 

 まぁ、今回に限っては男が悪いかなぁ。

 でも、ひまりに泣きついて胸に顔埋めながら「ふほぉー! 相変わらずいいおっぱい」とか人様に見せられない顔で言ってる姉ちゃんも姉ちゃんだと俺は思う。

 

「あ、ところで弟よ」

「なんすか姉」

 

 人格入れ替わったんかってくらい真顔なのなに。怖いんだけど。

 

「明日はあたし友達と朝からやけ飲みしにいくから家いないしオールする予定だから帰んないのと、お母さんも仕事で今日から明後日まで家帰れないって言ってたから」

「へー」

 

 お母さんも大変だな。

 

「へーじゃないの。晩ご飯どころか朝ご飯からずっとご飯ないから、あんた明日は外で食べてきな」

「あいあい」

「ってことでひまりちゃん、明日この愚弟連れ出してくれる?」

「え?」

 

 え?

 

「愚弟、あんたちょっとこっち来な」

 

 ひまりの胸から名残惜しそうに、それはもう本気で名残惜しそうに離れた姉ちゃんが俺を連れてひまりや香澄から離れたところまで俺を連れて行く。だから何、怖いんだってばよ。

 

「あんたバカァ?」

「あ?」

 

 なんだァ? テメェ...(ヒエラルキーへの反逆)

 あ、ごめん姉ちゃん! 生意気な口聞いてごめん! 拳握んないで!!(失敗)

 

「あんたさっきひまりちゃんに誘われてたでしょ。それに行ってきなって言ってんの」

「え、いやでも」

「でももヘチマもないの」

 

 拒否権なしとか。

 

「あたしゃ可哀想に思ったよ。ひまりちゃんが」

「なんでさ。てか明日って蘭とかも入れたいつもの幼馴染メンツで行くんだろ」

「あんたバカァ?」

 

 さっきからなんなんだそのエ〇ァネタは。

 

「ひまりちゃんは『二人で』って思ってんのよ」

「それこそなんでだよ。クリスマスにひまりと二人で出かけるとか」

 

 それじゃあまるでカップルじゃないか。

 

「は? は〜...期待外れなことだけはせんでくださいよ。ほんま、勘弁してほしいわ」

「だからなんなんだよ」

 

 呆れきった顔やめろ。無性に腹立つ。

 

「ひまりちゃーん! このバカ明日行くってー!」

「え!? ほんとですか!?」

「え、いや俺まだ何も...」

「行け」

「ヒェッ.....ハイ.....」

 

 声が女子大生のそれじゃないんよ。ヤーさんとかそっち系のそれなんよ。逆らったら殺される気がする。

 

 

 というわけで、いや全然どういうわけかは分からんが、ひまりと二人で出かけることになった。

 

 余談だが、どうやら須田は牛込さんと出かける約束を取り付けたらしい。おめでとう。結局クリスマスに予定がないのは五十嵐だけになってしまったので、須田と二人、全力で「ざまぁwwww」と言ってやったら、仏のような顔で「二人とも、一足早い春が来て良かったな」って優しく言われたので己の矮小さを鑑みて死にたくなりました、まる

 

 

 ✿ ❀ ✿ ❀ ✿

 

 

 

 打ち上げが終わり、時刻は十九時。

 外に出てみると既に暗く、星々の微かな明かりが空を彩っている。

 プレゼント交換で入手したほぼ実物大の豆柴のぬいぐるみ(氷川さんセレクション)を抱きながら、俺はボケっと空を見ていた。

 ホワイトクリスマスなんてものが世間では人気らしいが、ぶっちゃけ寒いのは得意ではないので雪に降られても震えるだけであまり嬉しくはならない。小さい頃は少しでも雪が降ろうもんなら犬のようにはしゃいだもんだが、今ではそんな純情さは持ち合わせてないんだ。交通機関麻痺するし。

 口から漏れる白い息がだんだんと薄くなり、空気に溶けていく。冬には冬の風情があるが、やっぱり夏が好きだな。

 そんな事を考えながら帰路に着こうとすると、誰かに肩を掴まれた。

 別段痛くもないが、不意に掴まれたのでちょっとびっくりした。振り返ってみると、お嬢がいる。彼女は寒さなんて感じさせない太陽のような笑みを浮かべ、子供のような無邪気な声でこう言った。

 

「海! 二次会に行くわよ!」

 

 何それ聞いてない。

 

 

 

 

 さて、所変わって弦巻家本邸。

 突然目の前が真っ暗になったと思ったら、気付いたら弦巻家にいた。何をされたのか分からなかったが、まぁ普通に拉致だろうなぁ(いつもの)

 拉致誘拐の類いはこの一年で慣れた。慣れてしまった。ので、もう何も思うところはない。以前なんとか大統領と会合した大広間にて、俺は二次会に強制参加させられていた。(26話「ふふっ。つまり、そういうことさ」参照)

 

「そうだ、ミッシェルとミッケルも呼びましょう!」

 

 などと言い出したお嬢を俺と奥沢さんでなんとか説得し、生身で高級そうな炭酸のジュースを飲み、これまた高級そうなローストビーフに舌鼓を打つ。さすが世界の弦巻、基本「質より量!」と豪語する素人男子高校生でさえ味の違いが分かるレベルのものを用意している。

 おいし〜!(知能5)

 

「お疲れ様です、関口くん」

「んあ、ひふぁあはん」

「飲み込んでから喋りなさい」

 

 お母さんかな?

 もぐもぐごっきゅんと口の中のものを胃に収め、改めて彼女の名を呼ぶ。

 

「お疲れ様です、氷川さん」

 

 シャンパングラスを片手に登場した氷川さんは、一見すればどこぞの女優のようだ。なんと言うか、品がある。

 

「なんだか、ものすごい空間に放り込まれたわね」

 

 そう言う氷川さんは、どこか気疲れしているようだった。

 まあその気持ちも分かる。体育館くらいあるんでね?というレベルの面積があるだだっ広い広間で、全部で三つある出入口にはそれぞれ二人ずつの黒服さん達が立っており、場面はさながら要人の参加する舞踏会のよう。俺は慣れてきたが、初めてなら場違い感に戸惑ってしまうのも仕方がないだろう。

 

「まぁ弦巻家についてはこんなものだって受け入れるしかないっすよ。遊んでればそのうち気にならなくなります。ほら、今お嬢がバク宙講座してるんで、参加してみたらどうっすか?」

「嫌よ。そもそも、今日はスカートだもの」

 

 ベージュのスカートに手を当て、こんな格好で運動したら中が見えてしまうと示唆する。

 そりゃそうだ。というかそもそも、体操競技もしていない現役JKがバク宙をしようとは思わない。そう思うのは、どうしても再生数が欲しいティックトッカーやユーチューバーくらいなものだろう。

 

「それより、関口くん。貴方、それをずっと抱えているようだけれど、そんなに気に入ったの?」

 

 それ。氷川さんの指す物は、プレゼント交換で手に入れてからずっと抱えている豆柴のぬいぐるみのことだろう。

 

「ゴンザレスのことですか? めっっちゃ気に入りました」

「ゴンザレス...?」

 

 左手で胴体と挟むように抱えていたぬいぐるみ──ゴンザレスを一度両手で持ち、目と目を合わせる。くりっとしたつぶらな瞳がこちらを覗き込んでいた。

 わんわん〜!(知能3)

 

 俺は犬が好きだ。

 犬か猫か、という問いにも犬と答える。まぁ、犬猫論争とかいう争いは愚か極まりない行為なのだが。全ての愛玩動物は荒んだ心を癒してくれる。全てを愛せ(過激派)

 犬の中でも俺が特に推しているのが柴犬だ。次点でハスキー、ゴールデンレトリバー、ポメラニアンと続く。強風に煽られるポメ、大変素晴らしいと思います。

 

「ま、まぁ気に入ってもらえたなら良かったです」

 

 氷川さんも犬好きだからな。

 今度柴犬カフェ誘ってみよ(デート)

 

「氷川さんは紅茶セットでしたっけ?」

「ええ。ティーポットとカップ、それから茶葉が何種類か入っていたわ」

 

 こっちは確か瀬田先輩のチョイスだったか。意外とセンスあるよな。いや、まぁ確かに瀬田先輩はセンスの塊みたいなもんではあるんだが。

 

 ちなみに俺が準備したプレゼントは「ジョジ〇の奇妙な冒険」全巻である。全巻であるッ! 百三十三冊なのであるッッッ!

 購入から会場に持って行くまで、軽いどころじゃない筋トレになりました。

 受け取ったおたえは「グレートですよこいつはァ」などと供述しており...ってオメー、さては履修済だな...? え? 読んでない? ネタも知らない? それであのセリフが出てくるとか、やっぱりおたえは最高(ロック)だぜ!

 

「紗〜夜っ! なぁに話してんの〜?」

「ちょ、今井さん!? なんで抱きついて...!?」

 

 何やら頬をほんのり朱色に染めたリサさんが、背中から氷川さんに抱きつき、頬擦りをしている。

 うーん、これは良き百合のにほひ(匂い) 何がどうしてこんなエデンが広がったのか分からんが大変目の保養になる。もっとやれ。

 

「えへへ〜! 紗夜いい匂いがする〜!」

「今井さん! ダメよ、ちょ、あっ.....!」

 

 光となって消えたい(昇天)

 だがしかし、ただのヒューマンである俺には光となることは不可能。

 ならせめて、このサンクチュアリを目に焼き付けてやろうじゃないか!

 しかして彼女らの世界に入るわけにはいかない。百合の間に入ろうとする男は死んで然るべし、生きていることを後悔させるべし、そういう法律もある。

 よってここでの最適解はゆりゆららららゆりゆりワールドから適切な距離(半径十メートル以上)を取り、完全に気配を消して見守るべきなのだ。

 

 フッ、男(不純物)はクールに去るぜ。

 

「イェー! 海くん食べてるゥ↑?」

 

 クールに去るっツってるじゃろがい!!

 このノリは絶対に香澄だと思いその口を塞ごうとしたところで、予想外な顔が目に入る。

 え、おまん香澄じゃないやん。山吹どんやん。なして?(困惑)

 

「あ、おい関口! さーや止めろ! そいつ酔ってるぞ!」

 

 市ヶ谷さんが慌てた様子で駆けてくる。

 酔ってる? 山吹どん酔ってる? なして?(困惑)

 

「あははっ! つまりそういうことさァ」

「どういうことだってばよ(やはり困惑)」

 

 言われてみれば確かに目が虚ろっぽい。

 どうして未成年(姉除く)の会で酔うんですか?

 うわ、ちょ、抱きつかないで!? ダメだっていい匂いするから俺だって男なんだから! こんなところで俺の僕がオッスオッスしたら明日からみんなに冷めた目で見られちゃうだろォ!?

 

「ば、ほら離れろさーや!」

「やーん、どこ触ってんの〜? 有咲のえっち!」

「うるせぇ! あ、まっ、胸に顔うずめんな!」

「ふわふわたわわ〜。いい匂い〜」

 

 市ヶ谷さんが山吹さんを俺からひっぺがし、そしたら何やらくんずほぐれつが始まりやがった。なんだなんだ、百合のバーゲンセールか?(ベジータ)

 至高の感触が離れていき、なんとか落ち着いたところでこれだよ。理性高すぎ高杉くんでブイブイ言わせてる関口さんでも限界はあるのことよ? 高杉くんなのに関口さんなのか(徹夜&疲労)

 

「すまねぇ関口。あたしが目を離した、つーか香澄の世話してる間に、さーやのやつウイスキーボンボン食べたんだよ」

 

 図らずも百合の間に入るような真似をしてしまったので自殺でも決行するかと現実逃避していたところ、市ヶ谷さんから事の始まりを聞く。

 ウイスキーボンボンで酔う? 何それ漫画?

 

「ちなみにリサ先輩もウイスキーボンボンでああなった」

 

 ウイスキーボンボンでゆりゆりするギャル、いいと思います。

 じゃなくて。

 

「洋菓子程度でここまで理性なくすとか、そうはならんやろ」

「あ、その返し知ってる! なっとるやろがい☆」

 

 リサさんもこちらに混ざってきた。そんでこっちにフラフラと寄ってくる。

 おい止めろ、ギャル目美人科ってだけでいっぱいいっぱいなのに、その上に酔っ払い艶マシマシ属絡み癖種ってのは俺の深いところによく刺さる!(性的趣向)

 

 ギャルは氷川さんがなんとか押さえつけ、接触だけは回避できた。

 良かった、ボディタッチなんてあろうもんなら間違いなく氷川さん市ヶ谷さんにバレるレベルでオッスする。オッスしたらどうなる? 知らんのか? ドン引かれる。

 それだけで済めばいいが、最悪今までの積み重ねが無に帰すレベルで嫌われる可能性もある。JKに生モノの性を見せつけたらそうもなるだろう。いや別に見せつけはしないけど。

 

「何か楽しそうなことをしているわね!」

 

 嫌われたくない一心で素数を数え出した俺の前に、バク転でお嬢が乱入してきた。

 いいぞお嬢、今ばっかりはお嬢の日常的奇行に感謝ッ!

 このまま弦巻ワールドでお茶を濁してくれ!

 

「空を飛んだらもっと楽しいと思うの! だからみんなでスカイダイビングしに行きましょう!」

 

 

 あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!!!!

 

 

「もしかしたらサンタさんに会えるかもしれないわ!」

 

 

 あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!!!!

 

 

「(電話)私だ、今すぐスカイダイビングの用意を。夜は暗くて危険? なんとかしろ」(黒服)

「サンタの用意も忘れてはならない」(黒服2)

「(電話)サンタも忘れるな。そうだ、赤鼻のトナカイもだ。なに? サンタはいないしトナカイの引くソリは空を飛ばない? こころ様が所望しておられる、なんとかしろ」(黒服)

 

 

 ぞん゙な゙ヷー゙ル゙ド゙ば望゙ん゙で゙ね゙ぇ゙よ゙ぉ゙ぉ゙お゙お゙お゙!!!!

 

 

 

 

 




赤鼻のトナカイ「俺...俺やってやりますよ!」


クリスマスまでには投稿できるといいなって(希望)
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