ガールズバンドが人気な時代ですが、男も頑張ってみます。 作:怜哉
彼と会った時のことは、正直よく覚えていない。
小学校一年生の時に同じクラスになって、秋頃に席が隣になって。そこからなんとなくお話した。
「関口くん、算数の宿題やった? プリントのやつ。あれ、最後の問題分かんなくって〜...」
「昨日用水路に流したからボクも分かんない」
「何やってるの!?」
小学校二年生も同じクラスになって、よく遊ぶようになった。
「おかえりなさい、ア・ナ・タ♡ ご飯にする? お風呂にする? それとも.....って...別の女の匂いがする...」
「ねぇ、怖いからこのおままごとやめない?」
「えー! 金曜日の夕方のアニメでこういうのやってて、すっごく面白そーだったのにー!!」
「それクレヨンし〇ちゃんだよね? リアルおままごとだよね? え? 僕マ〇オくん役? やなんだけど」
小学校五年生で三回目のクラスメイトになって、その頃には幼なじみのみんなと同じくらい一緒にいるようになった。
「海ー! 夏休みの宿題手伝って〜!!」
「お前...今日夏休み最終日だぞ? 今まで何やってたんだよ」
「えーっと...遊んでた!!」
「だろうな。俺も毎日のように誘われてたからな」
「海、私が誘っても来てくれない時あって寂しかったよ〜。用事あるって言ってたけど、何やってたの?」
「宿題だよバカ野郎」
そして中学校に上がった頃には、他の男の子よりも特別になった。
「かーいっ! 一緒に帰ろ〜!」
「ちょ、お前...急に抱き着くな! しかもお前こんな教室のど真ん中で...」
「え〜? 別に場所とか関係なくない? ...あ、もしかして海〜、照れてる?」
「はぁ!? てっ、照れてねーし! 全然余裕だし!」
「ほほーん? はいじゃあギュ〜〜!! ...ぷっ、あはは! 海ったら顔真っ赤〜!!」
「うっせぇ!!」
中学校三年生になって、少し諦めってものがチラついた。
「海ってさ、女子の好みのタイプとかあるの?」
「あ? 突然なんだよ」
「いや〜、海って優しいしモテそうなのに、全然付き合わないなーって思ってさ? もしかしてホモなの?」
「ふざけろ。それに俺モテないし。仮にモテてたとしても、俺、年上が好みだからなぁ。下級生はもちろん、同級生とでも考えられん」
「え〜、もったいないなぁ。そんなんじゃ一生彼女できないよ?」
「分かんねぇだろ俺のことめっちゃ好きになってくれるお姉さんがいるかもしれねぇじゃねぇかよ諦めてたまるか馬鹿野郎お前俺は諦めないぞお前」
「ご、ごめんなさい...」
そして、彼と別々の高校に通い始めてもう少しで二ヶ月が経とうとしている今。
なんか最近海と一緒にいる時、海の視線感じるんだけど!! なにこれ、最近急におっきくなってきたコレが原因なの!? そうなの!? 年上好きとか言ってたけどやっぱり大きいのがいいんだね海の変態さんめ!!
これはワンチャンあるね? あるんだよね!? Foooo↑↑
邪魔だなって思ってたけど海が興味持ってくれるなら育ってよかった、ありがとう私のおっぱい!!(混乱)
✿ ❀ ✿ ❀ ✿
「らっしゃっさせー」
土曜日、午後四時。
姉ちゃんが小学生の頃には土曜日にも学校があったらしいが、俺たちの世代は土日は学校が休みだ。まぁ、だからと言って全員が全員休むわけではないのが学生というものである。
部活に遊びに趣味。様々な理由で、土日祝日も予定がある者は多い。...と思う。少なくとも、俺は毎週土曜日はバイトの日で働き詰めだ。
「ポテトLサイズお一つ、烏龍茶お一つで〜。お代のほう三百九十円になります〜。...あい、ちょうどのお預かりで。隣にずれてお待ちください。次の方どぞ〜」
今日は午前十時出勤で、上がりは午後五時。二時から三時まで一時間の休憩をもらい、実働六時間の中々ハードなシフトである。まぁ大学生である俺の姉ちゃんは実働八時間で拘束九時間とか普通にやっちゃってるので、そこらと比較してしまうと楽な部類になってしまうのだが。
「クーポンのご使用で? スマホアプリの画面を...あ、はい、確認しました〜。以上でよろしいでしょうか。お会計百九十円になります〜」
それにしても、最近は店の混み具合は異常だ。俺が入ったばっかの時はこれの半分くらいだったのに。てか午後四時っていう時間帯を考えたらもっと異常だろこれ。さっきからトイレ行きたいのにレジからはなれらんねーんだけど。
こうまで忙しくなったのには理由がある。
特大セールとか新商品発売とか、そんなチャチなもんじゃあ断じてない。もっと恐ろしいモノだ。
「「いらっしゃいませー♡ スマイルは0円ですっ♪」」
おぅそこのダブルピンク。これ以上店前で道行く男に愛嬌振り撒くんなら少し裏の仕事に回ってこいや(憤怒)
「お先あがりまーす。お疲れ様っしたー」
「はい、お疲れ様ー」
店長に挨拶をして、スタッフルームから出る。
店内にはまだまだお客さんが残っているが、レジの前はガラッとしていた。ついさっきまで激混みだったのにな。
「「お疲れ様でした〜!」」
後ろからシンクロした声が聞こえてくる。
振り返るまでもなく、例のダブルピンクだ。
「あ、海〜! お疲れ〜!」
「ホントにな」
「海くんお疲れ様〜! 今日もお客さんいっぱいだったね」
「誰のせいだと」
呑気に駆け寄ってくるダブルピンクこと、上原ひまりと丸山彩さん。
この二人、何を隠そう顔が良いのである。それはもうバチバチに良いのである。あとひまりに関しては立派すぎる核弾頭を拵こしらえているのだ。そんな二人が店頭で元気に愛想を振り撒けばどうなるか? 男共がホイホイ寄ってくる。Q.E.D.
元々、現役アイドルである丸山さん目当てで来るお客さんも少なくはなかったが、ひまりがウチで働き始めたらお客さんが倍になった。
丸山さん目当てのファンには「プライベートアルバイト中のアイドルに気安く近付いてはならない」という紳士的思考を持った人も多かったらしいのだが、如何せんひまりは一般人だ。みんな躊躇というものがない。というか、「同じピンクでも俺ひまりちゃんのファンだから。彩ちゃん目当てじゃないから。セーフだよセーフ」とか思ってる紳士(偽)が増えてる気もする。最悪の相乗効果だふざけんな。
可愛くてスタイルが良いだけならまだしも、二人ともファンサが非常に良い。なんなら握手とかしてるまである。ひまりはともかくとして、丸山さんは事務所ストップとかかからないんですかね?
まぁとにかくその
「ねぇ聞いて海〜。私、今日で研修終わりなんだ〜。次から時給上がるって、さっき店長さんが教えてくれたの」
「そりゃ良かったな」
「...海、なんか機嫌悪い?」
「疲れてんだよ、どっかの誰かさんのせいで」
ひまりも丸山さんも、何一つとして悪いことはしていない。むしろいい事をしている。俺と、あと複数人のスタッフが死ぬほど働かされて疲れただけだ。給料上げてくんないかな。割に合わないんだが。マジで。
「お、お疲れ様でしたぁ...」
俺が死んだ目で虚空を見つめていると、スタッフルームから疲れきった声が聞こえてきた。
声の主は想像がついているので、俺はそちらを向く。
「お疲れ様です、松原さん」
「あ、関口くん。お疲れ様〜」
今日もお客さん多くて大変だったね〜、と。
そう言って疲れた笑顔を浮かべるのは、松原花音さん。丸山さんと同じく、バイト先&高校の先輩にあたる人だ。
この松原さん、ダブルピンクには劣るものの、そのファンの数は多い。松原さんは基本レジに立っているのだが、松原さんのレジには行列ができることが多い。何かしらの癒しを見抜いているのか、老若男女問わず松原さんのレジに並ぶことが多いのだ。まぁ男が圧倒的に多いけど。
「ねぇ海、今日これからどうするの?」
恐らく俺より大変だったであろう松原さんを労っていると、ひまりにそう聞かれた。どうでもいいからちょっと前屈みになるその姿勢やめろ。そういうとこだぞ。
「家帰って...あ、今日家誰もいないんだった。あー...しばらくブラブラしてから、飯食って帰るか」
今日は巴はシフト入っていないし、これ以上ここに居座る必要はない。家に帰っても誰もいないことを思い出した俺は、これからのプランを練る。
まだ夕飯には早いし、家に帰ってからもう一回外に出るのも面倒だしな。自炊なんてほぼ出来ないし。
「おばさんがいないのはたまにあるけど、
ひまりは小学校からの友人だ。俺の家族構成も知っているし、会ったこともある。
父親と母親と姉。これがうちの家族構成だ。父さんは九州の方に単身赴任中で、うちに居るのは母さんと姉ちゃんと俺の三人。
母さんは元バンドマンで、昔の仲間と一緒に飲みに行くことがまれにある。今日がそれだ。こういう日はたいてい朝帰りになる。
「姉ちゃん、今日サークルの飲み会なんだってさ。そのまま友達の家に泊まるって言ってた」
「希さん、何やってるんだっけ?」
「ジャズ研究会」
まぁジャズとは名ばかりのバンドサークルで、色んなジャンルの音楽やってるらしいけどな。楽しそうだから俺も大学生になったら入りたい。高校? まずもって音楽系の部活が合唱部と吹奏楽しかなかったよ。
「海くん、お姉さんいたんだ?」
「ええ、まぁ。四つ上の大学二年です」
「へぇ。どんな人?」
「え? えと...普通だと思いますけど。あ、性格が俺と似てるってばあちゃんに言われたことあります」
「そっかー、変な人なんだね〜」
「おいまてバカピンク」
「バカピンク!? え、私先輩だよ!?」
まったく、失礼な先輩だな。
「希さん、綺麗な人ですよ。いい人ですし。ちょっとガサツっていうか、大雑把なとこもありますけど」
「あー、そういう...確かに似てるのかもね〜」
なんか納得されてしまった。
え、俺そんなにガサツ?
「そ・れ・よ・り! 暇だったら遊びに行こーよ! 彩先輩たちも、一緒にどうですか?」
「え? 行くー! 今日はレッスンもお仕事もない日だし〜」
それでいいのか現役アイドル。
✿ ❀ ✿ ❀ ✿
「しゅ〜わしゅわっ、どり☆どり〜みんっ、Yeah!」
さぁ場所は変わって、ここはとあるカラオケルーム。
まん丸お山に彩を、Pastel*Paletteボーカル担当の丸山彩さんによる『しゅわりん☆どり〜みん』が終わる。いやぁ...本物だったわ(当たり前)
「すごーい! 本物だ!」
「えへへ〜」
得意げな顔をしながらもちょっと照れてる丸山さん可愛い。
結局、俺はひまりの誘いに乗ることにした。暇だったし。
丸山さんと松原さんも暇だったらしく、四人で遊びに行くことになった。最初はテキトーに歩いて気になった店に入る予定だったのだが、カラオケを見つけたひまりが「久々に海の歌聴きたい! 彩先輩のも聴きたい!」と言い出してカラオケに入ることになった。
「次の曲は〜、『Go! Go! M〇NIAC』? あ、これ私知ってるー。けいおんの曲だよね?」
次の曲を見たひまりの反応を見て、俺もそういえばと思い出す。
俺のオタク趣味は、八割以上が姉ちゃんから勧められたものだ。そのなかに、けい〇ん! ってアニメもあった。あのベースのキャラの声、巴に激似なんだよな〜。
「わ、私の番だね」
「あ、花音先輩が歌うんですか? はいっ、マイクどーぞ!」
おずおずと挙手する松原さんに、ひまりは元気良くマイクを渡す。
いやぁ、小学校の時からひまりのコミュ力は高いよなぁ。俺がAfterglowのみんなと交流持ち始めたのだって、ひまりが話しかけてきてくれたからだし。
ひまりのコミュ力に感心していると、曲が流れ始めた。
カラオケって、原曲とちょっとだけ音違うよな。著作権とかそういう問題? あとなんか音が薄い。まぁ歌の邪魔をしないようにするためかもしれないけど。
軽快なイントロから、松原さんの歌が始まる。
歌声は初めて聞いたけど、結構上手い。現役プロの丸山さんにも引けを取っていないと思う。
そういや松原さん、最近バンド組んだとか言ってたな。くそっ、ドラムやってるって知ってたら俺も声かけたのに...。
やがて曲が終わり、次は俺の番になる。
松原さんの歌を褒めつつ、彼女からマイクを受け取った。
曲が始まる前にリモコンを弄り、エコーを小さくする。これかけすぎたら、実際はそうでもなくてもなんか上手く聴こえちゃうからな。
「...MY FIRST ST〇RY? 初めて聴くアーティストかも」
丸山さんが画面に映し出された曲名を見てそう呟く。
MY FIRST ST〇RY、通称マ〇ファスの『Mis〇ing you』。マイ〇ァスはなんか色々酷評されてたけど、俺は好きだよ。カッコイイと思う。歌詞とか結構厨二チックだよね、中高生好みの。
ギターの音から始まるイントロが流れ、三十秒ほどで歌が始まる。
歌の入りは不安定になりがちだ。だが、一番大事な部分でもある。極論、始めと終わりが良ければその曲は他者に良い印象を残すからな。
この歌の入りは英語だ。音程はもちろん、発音にも注意しなければならない。アクセントがどこにあるのかを意識しながら、最初は静かに入る。気持ち的には呟く時より少し強め。クリーンになりすぎず、少しだけ声をかすらせる。
そのまま数フレーズほど歌った後、声量とキーを少し上げる。ここ、俺的気持ちいいポイントな。歌も演奏も。ブリッジミュート好きなんだよ。
そんな感じで勝手に気持ち良くなりながら歌い切った俺を待っていたのは、女子三人からの拍手だった。
美少女たちからの拍手、悪くない...(恍惚)
✿ ❀ ✿ ❀ ✿
海の歌は、小さい頃から聴いてきた。
カラオケでもそうだし、それより弾き語りしてる時の方が多いかな?
小学校中学校と、音楽室にアコギがあったから、ちょくちょく弾いてもらっていた。中学校の授業ではアコギを弾くって授業があって、その時はみんな聴き蕩れてたっけ。友達としてすごく誇らしかったけど、海がクラスの女子からキャーキャー言われてたのはあんまりいい気分じゃなかったな。
「海くん、歌上手だね! 私聴き惚れちゃった」
「ありがとうございます。丸山さんも上手かったですよ。さすがプロ」
「えへへ〜、ありがとっ」
カラオケからの帰り道。
外はすっかり暗くなり、すこしお腹も空いてきた。
それにしても、海ったらデレデレして...彩先輩が可愛いのは認めるけどさぁ...。むぅ...。
「松原さんも上手かったっすね、歌」
「そ、そうかな? 彩ちゃんや関口くんほどじゃないと思うけど...」
「いやいや、松原さん声が良いですから。歌えるドラマー、俺も欲しかったなー。コーラスとかバリバリできるドラマー、欲しかったなー」
「ふえぇ...あ、圧が強いよぉ...」
近い。近いよ海。花音先輩に近付きすぎ。
いっつも自分から女の子に近付くのは避けてるくせに...。そんなにドラマー欲しいのかな? あ、というかバンドメンバーが欲しいのか。
「私は? ねぇ、私はどうだった?」
「んぁ? ひまりはいつも通りっつーか...うん、いつも通りだった」
「なにそれ酷くない!?」
二人のことは褒めたくせに! 褒めたくせにぃ!!
.....落ち着くのよ、私。海の「いつも通り」は蘭のそれと同じ。つまり褒めてる。「いつも通り上手かった」って意味だから、海は私のこと褒めてる! もぉ〜、海ったら素直じゃないんだからぁ〜(ポジティブ)
「じゃあじゃあ、私が海とバンド組んであげよっか? ドラムは叩けないけどベースは弾けるよ? 歌も歌えるし!」
ベースボーカルだってその気になればできるんだからっ!
「え? いや別にいらない」
「うわーん!!! 海が虐めてくるぅ!!!」
なんで!? なんで!?
私じゃダメなの!? なんで!?
「か、海くん、さすがに今のはちょっと...。ひまりちゃんじゃダメなの?」
私が彩先輩に泣きつくと、彩先輩が海にそう言ってくれた。
そうだそうだ! もっと言っちゃってください先輩!
「いやダメっつーか...ベースはもういるんで、二人目はいいかなって...」
「えっ、ベースもういるの?」
なにそれ聞いてない。
いったいどこの女が...リサさん? 海、年上好きって言ってたし。
「ウチのクラスの須田ってやつ。そいつ最近ベース始めたんだけど、バンド組みたいって言ってたから、じゃあ一緒にやろうぜって」
同級生!! まさかのクラスメイト!!
くぅ...!やっぱり高校離れたのは大きかったかな...。
「えと、その、なんだ...悪かったな、ひまり」
海の謝罪を聞いて、私はちょっとだけ落ち着いた。
うぅ...もっと早く海にバンド組もうって言えばよかった...。アフグロあるから掛け持ちになっちゃうけど、海のバンドならみんな許してくれると思うし...。
まぁ泡に消えた話ですけどねっ!(ヤケクソ)
少しだけ落ち込みながら歩いていると、私達は駅に着いた。
私と海は彩先輩たちと別方向だから、お二人とはここでお別れ。それぞれホームに向かう。
「あ、そういえば海、ご飯食べに行くんじゃなかったっけ」
「え? ...あっ」
忘れてたみたい。海って昔からちょっとボーッとしてるところあるからなぁ。
「あー、ごめんひまり、先帰ってて。俺飯食ってくるわ」
「待って。私も一緒に食べに行くよ」
「それは悪くね? 家に晩飯あるだろ?」
「今『今日は海と食べて帰るからご飯いらない』ってお母さんにLI〇Eした!」
トーク画面を海に見せるように突き出す。
ちょうど既読もついて、猫が『OK』って言ってるスタンプも届いた。あと、同じ猫が『頑張れ』って言ってるスタンプも届いたけど...そんなんじゃないよって後で送っておこう。いやでも明日休みだしワンチャン...。
「俺の名前出してんのかよ...。はぁ、高いのは奢れないからな」
「大丈夫だよー。それに奢ってもらうつもりないし」
何かの罰ゲームならまだしも、何も無い時に奢ってもらう気はない。そういうの、なんか悪い気がするし。誕生日とかだったら遠慮なく奢ってもらうけどね〜! あっ、でもアクセとかも貰いたいな。今年海に
密かにそんなことを思いながら、駅員さんに頼んで改札を出る。定期圏内じゃないから、一回入場をキャンセルしなきゃ。
先に海が外に出て、そのあと私が出る。さてどこに行くかと地図アプリを開く海に駆け寄ると、後ろから声がかけられた。
「おー? 関口じゃん、お疲れ〜」
「ぁ? あー、お疲れ須田。今帰り?」
「おう。つっても帰んのはばぁちゃん
知らない男の子が声をかけたのは、海。中学でも見たことない人だし、多分高校の友達だろう。
っていうか、今須田って...?
「あ、そうだひまり。さっき言ってたベーシスト、こいつな? 須田誠。花咲川の一年」
「あ、関口の友達っすか? どうも゚ッ!?」
軽く頭を下げた須田くんは、そのまま固まってしまった。
どうしたんだろ.....あっ(察し)
「...おい須田、目線上げろ。さすがにガン見はヤバいぞ」
...海だってたまにチラチラ見てるくせに。
「はじめましてっ! 私、上原ひまりですっ。海とは小学校から友達で...まぁ幼馴染みみたいな感じかな?」
「あ、ども。関口のクラスメイトです、須田です。...おい関口、まさかお前の彼女じゃ...」
彼女...! 彼女に見えます!? 見えちゃいます!?
いやぁ、そっかそっか〜、見えちゃうか〜(満悦)
「違ぇよ。友達とか幼馴染みとかいう単語が聞こえなかったのかお前」
「むっ...」
「ちょっ、やめっ、やめろひまり足を踏むな...っ」
即答するとか...いやまぁ事実だから仕方ないんだけど。
「...おい関口さんよォ...ちっと顔貸せやァ...」
「えっ、何このデジャブ。やだよさっさと帰れよお前」
「言い残すのはそれだけかァ?」
「帰れっつってんだろ帰れ。あっ、テメやんのかコンニャロ...! 離せ肩を掴むな...っ」
なんか軽い取っ組み合いを始めた二人をとりあえず諌めて、用事があるという須田くんとバイバイする。最後まで海のこと射殺さんばかりに睨み付けてたけど、何かあったのかな?
それはそうと、須田くんは須田さんじゃなくて須田くんだった。
そのことにひとまずは安心する。
「? なんだひまり、なんか機嫌良さそうだな」
「んー? べっつにー? あ、あそこサ〇ゼあるじゃん! あそこにしよーよ、海の奢りで!」
「はぁ!? お前さっき奢られる気はないって...ちょ、おい! 腕を組むな!」
「えへへ〜、いーじゃんっ! そ・れ・と・も。昔みたいに抱き着いて欲しい?」
高校生になって、別々の高校に通うようになって。なんだか海との距離が遠くなっちゃった気がしてた。私が知らない交流があって、私が知らない一面もあるのかもしれない。そんなことは当たり前だ。むしろ今までが知り過ぎてた。
「ぷっ、あははっ! 海ったら顔真っ赤〜!」
でも。こうやって顔を赤く染める海は、小中学校の頃と何も変わってない。私の特別になった、私の好きな人。
よーしっ!
ライバル多そうだけど、これからも私、ツグっちゃうぞ〜!!
ブリッジミュート…ブリッジを手の付け根くらいで押さえて音をぶつ切りにする奏法。詳細が気になる人はググってください。絵付き解説とか解説動画とかあると思います。
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あとラブコメ難しい上手く書けない(定期)
専門用語とかマイナーすぎるバンド名とかについて。
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伏字で出されても分かんねぇわ!辞めろ!
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好きにやってええんやで(菩薩)
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全然分かるけど辞めな
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分かるからそのまま続けて、どうぞ。