すっかり怯え切った1年の馬鹿どもを軽く睨みながら俺は思う。
こっから先どうしよう・・・
そんな事を思っていたら、この学校で1番面倒な人間がやってきた。
「何やこのどえらい殺気はー。またお前か吉野!!」
なんで
「1年がちょっと舐めた事言ってたんでちょっと説教してただけですよ。まぁ、返答しだいじゃ実力行使も辞さないつもりですが」
「そらええな! おい1年男子全員集れ! 吉野と勝負や!」
たとえのつもりが本気にしたよこの教師!
別に良いが、巻き込まれた男子ゴメン。
1年の男子30人ほどが集る。
「ルールは昨日と同じ急所以外アリアリの戦闘不能で負けや良いな!」
「良いですよ。分かり易い方がやりやすいんで」
1年の男子達も驚いた顔しているが別に良い。
このくらい中学の頃の立て篭もりよりマシだ。
「俺の武器はこれだけだがな」
そう言って左腕の袖口に手を入れ、カランビットナイフを引き抜く。
1年男子達は驚きに怒りが混じった表情を見せる。
当たり前か、こんな小さいナイフ一本で相手すると言われたら怒り位湧くか。
「来いよ! 教育的指導してやる」
「じゃあ吉野! 1年共に痛い目見せたれや!」
蘭豹のM500が火を吹く。
それと同時に1年たちの拳銃の銃口がこちらを向く。
狙いは悪くないが丸見えだ。
「全員撃て!! この人数ならいけるぞ!!」
俺は左端の男子に向かって走る。
一斉射撃された弾丸は外れ、俺が狙った男子に向ってナイフを投げる。
ナイフをぶつけた男子は体制を崩し怯む。
俺はその男子の左足のつま先を、左足で踏み付ける。
そして左拳で男子の顎先を打ちぬく。
更にその男子の後ろに回ると、首筋に左手で手刀を打ち込みその男子の意識を奪い、その男子の襟を左手で掴み盾にする。
「撃つな! 味方に当たるぞ!!」
そしてその男子の右手にぶら下がっている拳銃を、その男子の手ごと右手を添えて撃つ。
銃弾は5人に当たる。
1人は右足の脛に、1人は左足の太腿に、1人は右足の太腿に、1人は左足脛に、1人は鳩尾に1発づつ打ち込む。
更に、今掴んでる男子の左手に持っているサバイバルナイフをそのまま撃ち、サバイバルナイフを弾き飛ばし、落ちたサバイバルナイフの柄頭を打ち抜き跳ね上げさせる。
掴んでいた男子を投げ捨てると、跳ね上がったサバイバルナイフの柄を左手で逆手に掴んで残りの男子達を見る。
残り24人。
「余裕過ぎてかったるいな・・・」
俺は更に特攻を開始する。
次は中央の男子に狙いを定め、柄頭をその男子の鳩尾に叩きこむ。
そこからその場で回り右隣の男子の銃身を水平切りで叩き切り、そのまま顎にアッパーを叩きこむ。
そしてサバイバルナイフを真正面の男子の拳銃に向って投げ、銃口からサバイバルナイフを突き刺す。
そのまま後ろに下がり、右手で後ろの男子に肘打ちを入れ、前のめりに成った後ろの男子の後ろに回りこみ、襟を掴んで引き寄せると同時に背中に左手で肘打ちを入れる。
襟を掴む手を右から左に持ち変え、拳銃を奪い前に掴んでいる男子を蹴り出す。
そしてその蹴り出した男子の後ろから奪った拳銃を、他の男子達に15発全てを1人ずつ撃ち込む。
鎖骨や太腿、脛を撃たれた男子達は蹲り戦闘不能になっていく。
残り6人。
最初に俺を馬鹿にしてた6人だけが残った。
「覚悟は良いか? 馬鹿共が・・・」
俺は拳銃を投げ捨て、軽い笑みを浮かべる。
男子達が怯んだと同時に真正面から突撃する。
1人目の男子の鳩尾に右手で肘打ちを打ち込み、そのまま右拳を右隣の男子の顎先に裏拳気味にぶつける。
そのまま右足で回し蹴りを左の男子顎に打ち込み、右の殴った男子の右腕を右手掴み、引き寄せ男子の体に背中を向け、腕を脇で挟み男子が握っている銃を撃つ。
1番俺を馬鹿にしてた男子を残して、両つま先、両脛、両太腿を撃った。
これで残り1人。
「これがSランクだ。お前みたいに人を下に見て笑ってる奴がなれる様なもんじゃねーだよ!!」
俺は1人に成ってすっかり怯えきった男子に語りかけ、その男子の顔面を右フックからの頭部にブラジリアンキックをぶち込んだ。
そうして男子は意識を刈り取られた。
残り0人。
これで俺の勝ちだ。
「ハッ、まだアリアとかキンジとのタイマンの方が面白かったぜ」
俺は軽く欠伸をしていると蘭豹がこちらにくる。
冷静に見るとここ何所の戦場だよ・・・
「流石やなぁ吉野!」
「ちょっとやりすぎましたかね?」
「こんなもんや! 1年共もこれに懲りたら慢心せんように成るやろ!」
教師がこう言うのなら俺は良いが・・・
「しかし強いのぉ吉野は! ウチもそのうち相手してもらおか?」
「ハハッ、先生みたいな綺麗な女性には弱いんで遠慮したいですね。では失礼します」
俺は軽く礼をすると、
俺は校門前で待っていたキンジとアリアに合流した。
やっぱり若干不機嫌だなキンジ・・・
そんな訳で俺達は歩き始めた。
「・・・あんた人気者なんだね。ちょっとビックリしたよ」
「こんな奴らに好かれたくない」
「ヒデーこと言うなキンジ。親友だと思ってた奴にそんな風に思われてたなんて傷付くぜ・・・」
「遙に言った訳じゃねーよ」
とそんな茶々を挟みつつ移動する。
なにげにキンジとこう言うのんびりした時間を過ごすのは久し振りな気がする・・・
「あんたって人付き合い悪いし、ちょっとネクラ? って感じもするんだけどさ。ここのみんなは、あんたには・・・なんていうのかな、一目置いてる感じがするんだよね」
まぁ、入試の時のヒステリアモード見られてるからなキンジは・・・
キンジはそこで受験者の半分ほどを早業で倒し、あるいは罠に掛けて捕縛した。
抜き打ちで紛れ込んだ教官3人も含めて・・・
ちなみに俺も同じ試験を受け、受験者の半分ほどと教官2人を倒し、キンジと格闘戦を演じた。
俺はキンジと違い対応力は有っても罠に掛ける能力は皆無だからいつもどおりの脳筋スタイルでだが。
韋駄天を使ってた俺をあそこまで追い詰めたのはキンジだけだからヒステリアモードはチートだ・・・
「あのさキンジ、遙」
「なんだよ」「あん?」
「ありがとね」
「何を今さら」
小声ながらもアリアは心底嬉しそうにそう言う。
それに対してキンジは苛立った返事をする。
余裕ないなキンジも・・・
「勘違いするなよ。俺は『仕方なく』
「分かってるよ。でもさ・・・」
「なんだよ」
「
「・・・・・・」
おお! アリアが珍しくデレた!
キンジも急にこんな事言われたからか言葉が詰まっている。
「あたしになんか、
「『アリア』?」
普段とは違うイントネーションで自分名を呼ぶアリアにキンジは首を傾げる。
「『アリア』ってのは確かオペラの『独奏曲』って意味だ。1人で歌うパート、ようは1人って意味だろ?」
「良く知ってたわね遙、正解よ」
「うちの婆ちゃんの趣味でな、オペラとかクラシックを良く聞かされてたぜ・・・」
「あたしは何所の武偵校でもそう。ロンドンでも、ローマでもそうだった」
「で、ここで俺をパーティに引き入れ『
「そこに俺も含めて『
アリアはクスクスと笑っている。
どうやら見事にアリアのツボに嵌ったらしい。
「あんた達面白い事言えるんじゃない」
「そいつはどうも、俺はこう言う立ち位置の方が気楽で好きなんだよ」
「・・・面白いかこれ?」
「面白いよ?」「面白いだろ?」
「お前等のツボは分からん」
「やっぱりキンジ、強襲科アサルトに戻ったとたんにちょっと活き活きし出した。昨日までのあんたはなんか自分にウソついてるみたいで、どっか苦しそうだった。今の方が魅力的よ」
「そんなこと・・・ないっ」
キンジは何所か悲しげに視線を逸らす。
やっぱり自分の居るべき所を認めたくないか・・・
あんな事が遭ったらそうだよな・・・
「俺と遙はゲーセンに寄っていく。 お前は1人で帰れ! ていうかそもそも今日から女子寮だろ。一緒に帰る意味がない」
なんか俺も行く事になってるんですけど!?
まぁ、やるからには何時ものゾンビゲームで無双するつもりだが!!
「バス停までは一緒ですよーだ」
アリアはべーとベロを出して笑う。
ほんとに楽しそうだなコイツは。まぁ、今まで1人だった反動だろうけど。
「ねえ、げーせんって何?」
「ゲームセンターの略だ。そんなことも分からないのか」
「帰国子女なんだからしょうがないじゃない。じゃあ、あたしもいく。今日は特別に一緒に遊んであげるわ。ご褒美よ」
「いらねえよ。そんなのご褒美じゃなくて罰ゲームだろ」
キンジは少し早足にあるいて、アリアを引き離しに掛かった。てくてくてく。
するとアリアはニヤーと笑って、同じ速度で歩いて行く。てくてくてく。
それに腹を立てたのか、キンジは更に大股になって加速する。ざっざっざっ。
それにアリアもスカートをひらめかせてついて行く。ざっざっざざざっ。
「ついてくんな! 今、お前の顔なんか見たくもない!」
「あたしもあんたのバカ面なんか見たくない!」
「じゃあなおさらついてくんな!」
「やだ!」
だっだっだだだだだだ・・・
と競争しながらあっという間に2人は俺の視界から消えて行った。
なにやってんだあのバカ共は・・・
まぁ、今日絡んできた馬鹿共よりはマシだが・・・
「かったるいな・・・どこもかしこも・・・」
俺は学校を出た辺りから付いて来てる気配に意識を向ける。
敵意や害意はなさそうだから危険性はないだろうが・・・
(誰だ? キンジやアリアの追っかけか?
今どうこう動く気が無いなら、もう少し泳がせてもいいだろう。
そう結論付けると俺は何時もよりペースを落としてゲームセンターへ走ったのだった。
ゲームセンターに付いた俺は、まずスイートランドと言うグルグル回っているお菓子を掬い、台座に乗せて落とすゲームにチャレンジする。
お菓子タワーがあるので、崩せたらミルクチョコレートが20枚以上手に入るだろう。
取り合えず1回プレイする。
ボタンを押してアームを動かし動く速度を計算し、量と大きさが1番良さそうな所を見繕い――
韋駄天!!
ゆっくりと動くお菓子たちにタイミングを合わせもう一度ボタンを押し、アームでお菓子を掬い上げ台に乗せる。
すると、前の人達が頑張ってくれたのであろうお菓子たちが押され、お菓子タワーが崩れ、少しのお菓子と共に落ちる。
能力の無駄遣いである。
それも徒歩3分圏内のコンビニに高級スポーツカーで行くくらいの・・・
「なに大人気ない事やってんだ」
と後頭部にチョップを食らう。
当然その主は――
「大人気ない競争して俺を置いて行ったのはどこの誰だっけキンジ?」
「ぐっ・・・」
俺は別の台に移動して同じ事を繰り返し着々と景品を稼ぐ。
ものの5分で俺の背中には大量にお菓子の入った袋がぶら下がっていた。
「どこの髭の爺さんだよ・・・」
「フィンランドかな?」
取り合えず袋を担いでゲームセンター内をうろついてアリアを探す。
適当に探していると、意外な場面に出くわした。
ネコ科なのは間違いないであろう何かのストラップが、うじゃうじゃと入ったUFOキャッチャーにへばり付いて口を逆三角形にしている。
小学生だ。紛うことなき小学校低学年の幼女だ。
「かわいー・・・」
「やってみるか?」
キンジが言うとアリアの顔がぱっと輝く。
「できるの?」
「やり方を教えてやろうか?」
コクコクコクと頷くアリア。
ネコ○ルク・・・
俺は頭の中に出てきたどこかの謎生物を、頭を振って振り払う。
その間にもアリアが挑戦するも失敗しキンジ変わったようだ。
キンジは狙いを定めるとボタンを操作し、アーム操作しネコ科の謎生物を掴む。
「おっ!」
そのまま引っ張りあげると、アームはネコ科生物を3匹掴んでいた。
ま、マジか・・・
「キンジ放したらただじゃおかないわよ」
「もう、俺にどうこうできねえよ」
「あ、あ! 入る! 行け行け!」
お、お、おおー!!
そのままネコ科動物達は穴に吸い込まれて行った。
「やった!」「っしゃ!」「おお!」
こうして俺達は謎のネコ科動物こと『レオポン』をゲットしたのだった。