緋弾のアリア 黒の武偵   作:エイト☆5

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第12弾 後輩をストーキングしながらデートするなんて俺は何て変態だよ?

 俺は尾行してた女の子を桜の木から見下ろして語りかける。

 ただその女の子は、1年にしても低身長だ。

 おそらくアリアより一回り小さく、八重歯、ツインテール、アホ毛と、萌キャラの3大神器を見に付けている。

 なにこれ可愛い・・・

 しかもアリアより大きいな、どこがとは言わないが・・・

 

 俺は木から飛び降り彼女と視線を合わせる。

 視線を合わせて改めて見てみるとある事に気付く。

 アリアだ・・・小さいアリアだ・・・

 

「で、まずは自己紹介かな? 俺は吉野遙だ、君は?」

「ま、間宮あかりです・・・」

 

 間宮? 

 俺の頭に真っ先に出てきたのはもちろん彼女だ。

 間宮ののか

 この間助けた中学生の女の子だ。

 この子はあの間宮さんの親族か? 

 

「それで? そのあかりちゃんはなんで俺を尾けてたの? 最初はキンジかアリアだと思ってたんだけど・・・」

 

 俺はできるだけ優しく聞くと、プルプルと震えだす。

 あれ? 俺なんか地雷踏んだ? 

 

「だって・・・だって、ズルイです!」

 

 ズ、ズルイ・・・? 俺何かしたっけ? 

 心当たり多いな・・・

 

 

「あたしは戦ってようやくお近づきになれたのに、アリア先輩が自分から追っかけるなんて! どういう関係なんですか!」

 

 アリアとの関係か・・・

 何なんでしょう? 

 

「友だちかな? 今はそうでもないが始めて会ったときは嫌い合っていたしな・・・」

 

 正直アリアとは対等宣言しただけだしな・・・

 

(アリア先輩と友だちなんて・・・何者・・・!?)

 

 俺は思い出した。

 確か、アリアには戦姉妹(アミカ)がいたはずだ。

 それが彼女ならこの状況の説明がつくか・・・

 

「もしかしてあかりちゃんがアリアの戦姉妹(アミカ)なのか?」

「はい。後なんで名前呼びなんですか?」

 

 少し怪訝そうな表情で聞いてくる。

 初対面で名前呼びはまずかったか? 

 

「あぁゴメン。この間仕事で助けた子が同じ苗字だったからさ」

 

 差別化図ろうとするのがまずかったか? 

 

「遠山先輩とアリア先輩の関係って何なんですか?」

「あいつ等の関係?」

 

 俺は少し考えて見るがパッと出てくるのが1つしかない。

 と言うか説明のために印象かえよう考えたのに、何一つとして印象が変わらなかった。

 

「勧誘者とそれを渋る男だ」

 

 簡潔に説明するならこれが1番妥当だろう。

 正直これ以外に思いつかない。

 

「は?」

「あぁ、キンジと俺がアリアの前で実力を1回見せたらパーティに入れって勧誘に来たんだよ。俺は戦闘スタイルがあれだから断ったが・・・」

 

 あかりちゃんは落ち込んだような表情に成っている。

 まいったな・・・この手の状況は俺苦手なんだよな・・・

 多分、この子は俺とキンジがアリアと自分を差し置いて仲良くしてたのが気に入らないのだろう。

 なら、対処法としては・・・

 

「もし良かったら俺の訓練や遊びに行くときに、アリアとあかりちゃん呼んであげようか?」

「へ?」

「いや。訓練だから同じレベルの相手がいたほうが俺は良いし、そこはアリアも一緒だろうし、戦姉妹(アミカ)の指導もできるから一石二鳥だろ? それであかりちゃんはアリアと一緒にいる時間が増えるし、指導と言う点においてはアリアの指示には従うが俺とアリアの2人のSランクの指導を受けられる。悪くないんじゃないか?」

 

 あかりちゃんは迷い出す。

 話し的にはあかりちゃんには悪い部分は無い、だからこそ迷うのだろう。

 30秒ほど考えるとあかりちゃんは答えを出した。

 

「良いんですか?」

「良いんです、次のSランクを育てるのも俺達の役目ですから!」

「吉野先輩、Sランクの事を言われて怒っていませんでした!?」

「Sランクを馬鹿にする奴は許さないけど、純粋にSランクを目指す子の目標になったり、強くなりたいと思ってる子の手助けをするのも俺達の仕事だからな!」

 

 俺は笑って答える。

 て言うか見られてたかー、なんか恥ずかしいぞ・・・

 もう時間もかなり経ってるしそろそろ移動した方が良いか・・・

 

「あたし・・・吉野先輩のこと少し勘違いしてました。あの、もし良かったらこれからあたしを指導してくれませんか?」

「いいよ、ただし俺のちっとばかしハードだから覚悟しときなよ!」

 

 と言う訳で俺は、あかりちゃんと少しの間話し、夕飯の買出しに付き合ってもらったのだった。

 

 

 


 

 

 あれから数日が過ぎ、平賀さんに頼んでいたS&Wが届いたので受け取りに行き、暇に成った俺は特にあても無く校舎の外をふらついていた。

 

 今日晩飯外食にしようかな・・・

 なんて事を考えてながら。

 

 学校特有の喧騒と、ぽかぽかとした陽気が心地良い。

 学校特有の銃声が、キンキンと来る怒鳴り声が耳ざわりだ。

 

「あっ、吉野先輩!」

 

 背中越しに話し掛けられ振り返る。

 そこにはもう幸せそうな表情を浮かべた、遠足直前の幼稚園児のような表情を浮かべたあかりちゃんがいた。

 

「あかりちゃんよっす! ずいぶんご機嫌見たいだけどうしたの?」

「これからみんなで『ラクーン台場』に行くんです!」

 

『ラクーン台場』とは、台場に楽天資本で造られたホテルつきのアミューズメントパークだ。

 俺も1年の時に理子に誘われてキンジと理子と美咲の4人で行った事がある。

 

「それでか・・・あかりちゃん浮かれるのも良いけど気を抜かない様にね、最近ちょっと気に成る連中もいるし・・・」

「さっきアリア先輩にも似たような事言われました」

「あぁ、アリアが言ってる事もそうだけど、最近アメリカの組織が掴まった仲間を釈放させるために人質を取ろうとする動きもあったから、もし事件が有って自分達だけじゃ手に追えないと思ったら他の武偵に応援を求めるんだぞ? 手柄は確かに業界では重要な物だけど、それでもあくまで人命が優先だぞ」

「はい! 待ち合わせしてるんで失礼します!」

 

 と元気に走り去って行くあかりちゃん。

 多分わかってないよな・・・

 丁度財布は潤ってるし、予定も入ってない。

 大丈夫だと思うが念のためだ。

 

「行ってみるか・・・」

 

 と言う事で急遽予定が決まったのだった。

 

 

 


 

 

 俺は適当な店で買った俺好みの黒い綿パンと、同色の黒い薄手のフード付きパーカー、白いシャツに近くのトイレで着替えラクーン台場に来ていた。

 もちろん最低限の装備を持って、武偵校の制服はコインロッカーに預けてだが。

 そして一人で羽を伸ばそうと思っていたのだが・・・

 

「ねえねえハルハル! アレ乗ろう! アレ!」

「お前を誘った覚えは無いんだがなー理子・・・」

 

 何故か付いてきた理子に俺は振り回される事に成った。

 今日の理子は白いワイシャツに黒いベスト、ピンク色のフリル付ミニスカートと言う格好だ。

 普段の制服姿を見てるから意外感が凄いな・・・

 俺はため息を付いてフードをかぶる。

 パーカーの中に解いた髪の毛を入れてるので楽にかぶれる。

 

「とりあえず、なにも起きなければ遊びに来ただけだしな・・・」

「そうそう! 遊ぼハルハル!」

 

 俺は理子に引きずられる様に連れ回される。

 

 

 

 

 

 理子に1時間ほど連れ回されてやっと開放され、フードコートの椅子に付く。

 

「やれやれ結構広いなここ、去年は気にならなかったけど・・・」

 

 俺はフードコートに売られていたコーラを飲みながら呟く。

 心がけ一つで感じ方も変わるのだから本当に不思議だ。

 

「ハルハルってばちょっとは気を抜けばいいのに、そんなにあの子達がお気に入りなの? もしかしてハーレム狙い!?」

「アホか! 俺はキンジみたいにモテねーしモテたとしてそんな事やる気ねーよ、1口貰うぞ」

 

 俺はフードを脱ぎ、机に身を乗り出すと理子のジュースのストローに口を付ける。

 おお! メロンソーダだ・・・

 

「あー! ハルハルってばズルイ! 理子にも頂戴!」

「ほれ、そこまで飲んで無いんだからそんなに飲むなよ」

 

 俺は理子に自分のコーラを差し出す。

 理子はそれに嬉しそうにストローを咥え飲みだす

 キンジならヒステリアモード待ったなしだな・・・

 

 俺は少しため息を付く。

 すると――

 

「ねぇねぇ君達今暇してない?」

「良かったら俺達と遊びに行かない?」

 

 まただよ・・・

 今年に入って何回目だよ本当に・・・

 俺達は柄の悪そうな連中に声を掛けられる。

 

 そう『ナンパ』と言う奴だ。

 理子は俯いて震えている。これは怖いからではない。

 テメー理子! 笑ってんじゃねーぞコラ!! 

 

「悪いけど俺男なんだよ、ナンパなら俺の女以外にしてくれ」

 

 とりあえずカップルの振りしてやり過ごす

 

「またまた~、いいじゃんいいじゃん! 遊びに行こうよ~!」

「かったるい・・・」

 

 俺は1人の男の手を取って俺の胸に当ててやった。

 

「!?」

「分かったろ、デート中なんだから邪魔しないでくれ」

「何だよだましやがって・・・行こうぜ・・・」

 

 ナンパ男達はぶつぶつと愚痴りながら去っていく。

 本当にかったるい・・・

 

「で、いい加減笑うの止めろよロリ巨乳」

 

 そこで理子は顔を上げる。

 その顔は引き攣っており口角が微妙に上がっている。

 うん、やっぱり笑ってたなこの女。

 俺は少し文句でも言ってやろうと思ったが、携帯の着信音が成りだす。

 それも俺だけじゃなく理子の携帯も同時に。

 俺は首を傾げ携帯を見てみる。

 

『Area江東区2丁目6Case Code:F3B-02-EAW特殊捜査研究科(CVR)インターン(中3)の(しま)麒麟(きりん)より発信あり(13:55)』

 

 これは武偵が良く使う暗号だ。

『ケースF3B』は誘拐・監禁されたと言う意味で、『02』は原則2年生以上と言う意味だ。

『EAW』は犯人は防弾装備であり、特殊捜査研究科(CVR)はいわゆる色仕掛けの罠ハニートラップの専門技術を磨く学科であり、美少女しか入科できない。

 つまり誘拐・監禁された島麒麟は武装はしていても自衛能力はないと言う事だ。

 

「デートは終わりだな・・・行くぞ理子」

「うー! らじゃー!」

 

 ビシッと敬礼をする理子を尻目にコーラを飲みほし移動を始めた。

 

 

 


 

 

 俺達は少し考えた結果監禁できそうな場所をかなり絞り込んだ。

 隔離できる場所と言えば個室、そして怪しまれずにそれができ、なおかつラクーンの近辺と考えると・・・

 トイレやアトラクションの控え室、そしてラクーン・グランドホテルくらいだ。

 

「やっぱり大穴を狙うなら島麒麟はラクーン・グランドホテルか・・・」

「けどりんりんなら何かアクションを起すはずだけど・・・」

「りんりん? お前島麒麟と知り合いなのか?」

「去年の理子の戦姉妹(アミカ)なんだー、理子に教えられる事は全部教えたつもりだけど」

 

 なら、確実に何かアクションを起す筈だ。

 その時俺はある事に気付いた。

 

 紙飛行機だ・・・

 何十と言う数の紙飛行機が宙を待っている。

 俺はその1つを捕まえ、広げて中身を見る。

 

『703 NF ターザン 戻りでダイブ』

 

 なるほど、面白い事を思いつく! 

 さすがは理子の元戦姉妹(アミカ)と言ったところか。

 703はそのまま703号室で、NFは応援要請(Need Friendly)、ターザンは屋上から窓側でスイングしろと言う要望、戻りでダイブはそのままスイングして戻ってきたタイミングで飛び降りるから捕まえろと言う事だ。

 

「お前に似た性格の子だって事が良く分かるよ理子」

「さっすがりんりん! 普通じゃ思いつかない事を思いつく! そこにシビれるあこがれるゥ!」

「やれやれだぜ、とりあえず居場所が分かったんだ救出事態はあの子達がしてくれるだろう。俺達はバックアップに徹するぞ」

「うー! らじゃー!」

 

 と言う事で俺達はもう1つの棟の703号室の向かい側にある部屋を取った。

 俺達はそのまま部屋に向かい、部屋に入ると俺は窓を開け、右胸のホルスターからS&Wを抜く。

 窓から向いの部屋を見ると、茶髪の140cmも無いだろう小柄の少女と男が3人。

 おそらく少女が島麒麟であり、男達が犯人だろう。

 俺はポケットから2発の弾丸を取り出す。

 通常、拳銃の有効射程距離は25m、最大射程距離は50mほど、それ以上は命中するのは個人の技術が反映される。

 そして、現在この部屋から向いの部屋は80mほど離れている。

 

「この距離じゃ届かないよハルハル?」

「分かってるっての!」

 

 俺はS&Wのシリンダーに先ほどの2発の弾丸を込める。

 それと同時にあかりちゃんと黒髪の1年生の女の子が突入する。

 そして、あかりちゃんが盛大に転ぶ。

 更に、それに対して黒髪の1年生が気を取られそっちを優先させ、銃を向けられ無力化されてしまう。

 

「えぇ~・・・」「うわぁ~・・・」

 

 俺と理子は同時に口から特に意味のない言葉が漏れる。

 普通そこで転ぶかね・・・

 

 あかりちゃん達の武器は奪われ、部屋の床に座らされている。

 島麒麟も銀髪の男に首を絞められるように掴まっている。

 

 けど、まだ終ったわけじゃない。

 あかりちゃんは学校でラクーン台場に()()()で行くと言っていた。

()()()()()()()()()()とは言わないだろう。

 つまり()()()()()()()()と言う事だ。

 

 そのとき、俺の予想通り金髪長身の彼女は向いの棟の窓の外に現れたのだった。

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