現場は変わって秋葉原ラジオ会館の屋上。
今宵始まるのは2人の武偵による、知と武の両方が試される一騎打ち!
向って左側! 東京武偵高校1年生にして武偵ランクBの猛者! 1年の間では男女共に彼女に勝てる者はいないとまで噂されその評判は他学年まで聞こえているぞ!
向って右側! 東京武偵高校中等部3年にして武偵ランクC!! ランクでは負けているがそれだけに留まらないのは
尚、今回の実況及び視界進行は吉野遙がお送りさせて頂きます。
今回の審判は
「じゃあ――時間無制限、武偵柔術ルールで。投極打、全部アリ。銃・ナイフ以外の道具使用は許可。ギブアップするか、背中が地面についた方が負けだよ」
審判による今回の試合のルールが発表される!!
だがこの場には使えそうな物は無い!! つまり何も持っていないなら実質的に
「アタシが勝ったら、二度と近づくな」
火野!! 左手の平に右拳をぶつける!! その目には並々ならぬ闘志が宿っているっ!!
「今日戦う事は予定済みでしたのよ」
両者共に睨みあう!! この圧だけで見ているこちらが潰されてしまいそうだ!!
そして! 先に構えたのは島だァァァーー!! 足を前後に開き体勢を落とてし左手の平を突き出し、右脇にキリンのヌイグルミを湧きに抱え構える!! この構えはァァァー!?
「――
島が頷き認めた!! 火野! 構えだけで島の武術を見抜いた!! やはり武術においては火野の方が上手かァァー!?
「前の
島!! 構えは立派だが対格差がありすぎる!! やはりこと体術、近接戦闘において火野の方が勝っているという事なのだろうかッ!?
この圧倒的不利な状況!! 島にこの状況を乗り越える策があるのだろうかッ!?
「・・・いいんだぜ、銃とナイフ以外なら何使ってもよォ!」
火野の挑発!! それと同時に先に動いたのは火野だッ!!
一気に距離を詰め、肉体の捻りを最大限生かした強烈な右足による中段蹴りだァァァーー!!
それを島は左足の膝を持ち上げ火野の鋭い蹴りを受けきるッ!!
(・・・うっ!)
どうした火野!? 蹴りを繰り出した後火野が固まってしまったァァァーー!? 一体何があったんだ火野ォォォーー!?
何かに動揺したように見えるが一体何に動揺しているんだァァー!?
「これ、私なりに備えをしてきましたの」
おっと島!! スカートの端を摘み軽く持ち上げる!! これは駄目だ!! 男子高校生の目には毒だァァァーー!!
火野はファンシーな物を好んでいる!! 火野はこのスカートのチラリズムにやられたのかァァァーー!?
「お好きなんでしょう? こういうの」
島!! その顔には妖艶と言って良いのだろうその表情が浮かんでいる!! そしてその表情にだろうか火野!! 僅かにだがたじろいでいるッ!!
そして私の隣では審判の間宮がその大胆な行動に赤面し顔を背けてしまっているッ!! これで成り立つのだろうか審判ッ!!
やはりこれは同性である火野にも恥ずかしい物があのだろうかッ!? 正直私はもう少し成長してからして欲しい思ってしまっているッ!!
「す、すきっ、すきっ・・・」
これはッ!? でるのかッ!? 誰も聞いた事無い火野の本音が出てしまうのかッ!?
「・・・隙だらけだお前はァ!」
堪えたァァァーー!! 火野堪えきったァァァーー!!
そしてそれを誤魔化すかのように火野は島の右腕を掴み背負い投げる!! 一本背負いだァァァーー!!
だが
そして完全に投げられる前に島が動いた!!
「いきなさい! ジョナサン3号!」
島!! 右脇に挟んでいたヌイグルミを投げる!! おっと、四足で直立するように落ちたヌイグルミから鈍い音が聞こえた!! 鉛でも仕込まれていたのかァァァーー!!
さらに、火野に掴まれた腕を支点に回転ッ!! 普通なら自分の腕を折るような自殺行為だが、火野は今回の勝負に相手の腕を折るような覚悟はしていなかったのか自分から島の腕を離していしまうゥゥゥーー!!
そして島!! 今まさにヌイグルミの上に着地しましたッ!!
「キリンは背高のっぽですの、お姉さま」
ヌイグルミの上に立った島の身長は火野身長とほぼ埋ったァァァーー!! これで体格的有利は無いとでも言うのだろうかッ!? それとも別にこの状況でできる事でもあるのでしょうかッ!?
振り返る島!! その顔はなんと笑顔だァァァーー!! これでもかと言うような笑顔!! 落ち込んでるときに見せられたら確実に惚れてしまうだろう可憐な笑顔だァァァーー!!
そんな笑顔に目線まで同じになった火野は、固まってしまうゥゥゥーー!! これは仕方ない!! 反則級の笑顔に身も心も釘付けェェェー!! 誰も勝てないこの笑顔ッ!!
「・・・!」
完全にフリーズして締まった火野に島の追い討ちの・・・
・・・ちゅっ・・・♡
キスだァァァーー!! 頬にキスだァァァーー!! 子供の頃からの憧れの頬キスだァァァーー!!
これは刺激が強すぎる!! 審判のツインテールが逆立つほどに刺激が強いッ!! 私にヒステリアモードが無くてよかったと思えるほどに刺激が強いッ!!
そしてこれを好機と見た島!! 右足を火野の左足内側から引っかけ刈る!! そしてそのまま押し倒される!!
どうした火野!? この投げ技を返すのが得意だったはず!! あっと駄目だ!! 火野は表情はもうすでに緩みきっている!! これでは得意の投げ技返しどころではない!! そのまま地面に・・・
「――え?」
落ちたァァァーー!! 火野の背中が地面についている!! これは言い逃れはできない!! 後は審判しだいッ!! どのようなジャッジになる審判ッ!!
「・・・はっ!?」
火野正気に戻ったァァァーー!! だがもう遅い!! ここから先は何もできない!! そして今、公平なジャッジが行われるゥゥゥーー!!
「えっ・・・えっと、一本・・・!」
ついに勝者が決まったッ!! 勝者は島麒麟だァァァーー!! 勝者である島麒麟には優勝賞品である
あの後俺達はラジオ会館を出て近くのファミレスに入った。
4人掛けのボックスに俺の正面ライカにひっつく島麒麟、そして俺の隣にはあかりちゃんが座っている。
(や、やっちゃたよ・・・)
ライカはいまだに負けた事を受け止めきれて無い様だ。
俺も2人の決闘の時に変なテンションになった実況を付けた事実を受け止め切れてない。
なんであんなにテンション上がったんだ・・・
「
島麒麟改め麒麟ちゃんもかなりご機嫌なようで、その表情が嫌でもライカに巻けた事を再確認させるようで微妙な表情をしている。
麒麟ちゃんは幸せの絶頂といった表情で、運ばれてきたパフェも気にせずライカの腕に頬ずりしている。
その様子をあかりちゃんはホッとした表情で2人を眺めていた
「それにしても、初めて見ちゃったよ。ライカが
あかりちゃんのトロピカルアイスティーを飲みつつ放つ言葉にライカは・・・
「・・・」
視線を逸らし、何も応えずアイスティーを飲む。
だが、あかりちゃんによるライカへの精神攻撃は終らない。
「でも、倒された時、
確かに、ライカの投げ技返しは基本的に防御主体で攻撃技よりも反復練習が必要な技だ。
つまり反射的に出てしまうほ使い込んでこそ特技と呼べる物であり、その反射は意識的かどうかは関係なく特定の条件が揃うと勝手に出てしまう物であり、それほどに
なのにライカは返し技を出さなかった。
「・・・よく気づいたな、あかり・・・」
赤くなってソッポを向くライカ。
やっぱり可愛いなコイツ・・・
「へへへっ、まあねー、友だちだもん」
「ど、どういうことですの?」
あかりちゃんには伝わったのだろう、ライカ敗北の真意――
勝利に浮かれて麒麟ちゃんは気付けていないかったのか、困惑した顔になっている。ライカの心情が理解できないのは麒麟ちゃんにとってガマンできないらしい。
「最後の麒麟ちゃんの足技。あれを空かして投げに入るのがライカの得意技なの。でもライカはそれをやらなかったの。
そこまで説明する必要ないだろあかりちゃんよ・・・
ライカもそこを紐解かれると思ってなかったのか恥ずかしさで赤くなっている。
凄い可哀想だなライカ・・・
「じゃあ、お姉様はわざと負けた・・・? 私、実力で勝ったと思ってましたのに・・・どうして・・・?」
確かに一本背負いの時に1度麒麟ちゃんの色香に惑わされてはいたが、それでも2回目の麒麟ちゃんの投げ技の時には対処できたはずだ。
つまり、ライカは麒麟ちゃんにわざと負けて勝ちを譲ったのだ。
明確にではなかったのかもしれないが、譲ろうと言う意思があったのだろう。そしてその意思が勝敗結果として明確に現れてしまった。
だが、それがなぜだか分からないのか麒麟ちゃんは涙ぐんでいる。
あかりちゃんはライカにアイコンタクトで『ほら、言ってあげなよ』と言っている。
この子、稀にドSに成る時があるな・・・
「い・・・『いい』と思ったんだよ! あの時」
ライカはソッポを向きつつ、それでも麒麟ちゃんにそう教えてやる。
「お前を
ライカのその言葉は横目だったけど、ちゃんと麒麟ちゃんの目を見て言った。
それで良いライカ・・・俺はお前みたいな人間の先輩でいられる事を誇りに思うぜ・・・
ライカはどうすればいいのか分からなくなったのか、赤くなりつつもキョトンとする麒麟ちゃんの頭を撫でてやる。
そこで、あかりちゃんはライカに助け舟をだす。
「ライカにそう思わせたのは、麒麟ちゃんだよ。すごく頑張り屋さんだし、かわいいし」
「間宮さま・・・!」
その言葉に、麒麟ちゃんの目はキラキラと輝いている
ナイスフォローあかりちゃん!
「麒麟ちゃん。ライカをよろしくね」
「はいですの!」
最近の
今はもう結婚みたいな感じに成ってるんだな・・・
「――バ! バカ! 余計な事言うなよ!」
ちょっと怒ったようにライカが言い返すも、たいして気にした様子もなく続けられる。
俺はその微笑ましい光景を眺めながらコーラを一口飲む。
「もう少し切り替えをハッキリさせないとなライカ、
「はい・・・」
やっぱり少し落ち込んでいるようで強く注意するのは躊躇われる。
少しため息をつくと少し頭を掻く。
「また今度その特訓をするから覚悟しとけよ、とりあえず戦闘と趣味の切り替えぐらいはできるようするからな」
「はい」
とりあえず言いたい事を言い終えるとコーラをもう一口飲む。
「ところでお姉様? こちらの殿方はいったい・・・」
「ああ、そういえば自己紹介忘れてたっけ・・・」
少し咳払いをすると少し姿勢を正す。
「
「
「ちょ、お前何言ってんだよ!?」
この事は無しとアリアとは違った方向に話しが飛んでいくな・・・
「俺は今のところ恋人を作る気は無いから安心しなよ」
俺の発言の後何故か空気が微妙に重くなる。
アレ? なんか間違えた?
「そういえば吉野先輩はなんであんなところにいたんですか?」
「ん、ちょっと知り合いに会いに行ってその帰りに、ライカとライカを尾行する君達を見つけたから面白そうだったから俺も尾行してみた! 前も思ったけど尾行の練習した方がいいぞ! 気付かないライカもライカだけど・・・」
「・・・」
「まぁ、今無い技術は今後手に入れればいいさ。普通じゃ許されないけど好都合な事に俺達は学生だ。学生は学ぶの本分、学んでる間は敵も何もしてこないさね」
言い終えると少し体制を崩して頬杖をつく。
ライカも少しやる気に満ちた目に成っており、麒麟ちゃんもそのライカに感激したような表情だ。
平和だ・・・
「吉野先輩・・・」
「ん?」
あかりちゃんに小声で声を掛けられそっちを向く。
少し話しにくそうな表情もしているが、話すまで待ってみると・・・
「この間ラクーングランドホテルで助けてくれたのって吉野先輩ですよね・・・?」
と、あかりちゃんから意外な話題が出てくる。
もしかして見られてたのか・・・?
「さてはて、あかりちゃん達がラクーン台場に言った日の事を言っているのなら、俺はあの日俺の用事についてきたクラスメートとデートしてただけだぜ? まぁその用事の先で銃を撃つような事あったかもしれないけどな・・・」
「でも・・・」
「まっ、助けられたってことは実力不足ってことだし、ライカのと含めて鍛えて上げるからあかりちゃんも覚悟しておきな!」
「えっ・・・」
「あかりちゃんには教えて上げるけど、俺って意外と意地悪なんだぜ!」
二ヒヒと笑いながらあかりちゃんの頭を撫でたり痛くない程度で頬を摘んだりしてみる。
おぉ!? モチ肌って言うのかこういうの!? ずっとこうしていたい・・・
「ひょ、なにふるんでふか~!」
「ハハハッ! あかりちゃんはモチ肌だな~、癖に成りそうだ・・・」
「お姉様! あのようなスケコマシに恋慕するなど辞めてくださいですの!」
「バッ、バカそんなんじゃねーよっ!!」
そんなやり取りをしながらも俺はそんな平和な日常を楽しむのだった。
みんな1番高いパフェを頼むとは・・・