パトカーが走り去っていくのを見送る俺と間宮さん。
あれから誘拐犯たちを引き渡し調書を作るのに20分ほど時間を費やし遅刻ギリギリに開放された。
これが事件の二次被害と言っても過言ではないだろう。特に俺の名前を言っていた時の警察の顔が気にいらねー。
「まっ、何はともあれ事件としては解決だから学校行かねーとな」
「もう行っちゃうんですか?」
「それはまぁ、こんなとこにずっと居る訳には行かないしな」
「そうですか・・・」
「ただその前に・・・」
俺は回収しておいた自分の鞄から手帳を取り出し自分の電話番号とメールアドレスを書き写し、そのページを切り取る。
そしてその切り取ったページを折ると間宮さんに渡す。
「これ俺の携帯の番号とアドレス。また何か事件や厄介事に巻き込まれたら何時でも掛けて来な! オジサン何所にでもすっ飛んで行くから! 勿論事件とかじゃ無くてもドンと来いだけど!」
「えっ、でも良いんですか?」
「良いの良いの! オジサンはアフターケアも受付けてるから何時如何なる時でもありとあらゆる無茶振りにも対応するからさ!」
「オジサンってまだ高校生じゃないですか!」
おお! こんな事で笑ってくれるとは・・・良い子じゃ
「高校生の男子となりゃ大人ぶって格好付けたくなるんですよー、っとそろそろ行かないとな、間宮さんも早く学校行くんだよ!」
「はい! ありがとうございました!」
俺ははそこで間宮さんと分かれ学校に急いだ。
「だああぁぁー!!!!」
俺は登校ルートを爆走する。
「あの馬鹿共!! 次ぎ会ったらぶん殴ってやる!!」
先程の誘拐犯達に対して恨み言を撒き散らす。
なぜに俺が走らにゃならん!!
俺がそんな事を考えてると、俺を追い越そうとする様に自転車が走ってきた。
乗っているのは・・・
「キンジ!!」
俺はここで親友に会えた事に感謝しつつ、自転車の後ろに飛び乗る。
「バカ!! 何やってんだ遙!!」
「怒んなよキンジ! 困った時はお互い様だろ?」
「それは俺が言う事だろ!! それにこの自転車には爆弾が仕掛けられてるんだ!!」
What?
自転車のサドル下を確認すると確かに爆弾のような物がある。
マジかよ・・・
後ろを見るとセグウェイとか言う大昔に流行ってた2輪車に小型の短機関銃のUZIをドッキングした謎の物体が追い掛けていた。
「キンジ!! お前朝っぱらから何やってんだよ!! 過激すぎるダイエットは体に良くねーぞ!!」
「こんなダイエットあるか!!」
キンジは自転車を加速させながら経緯を説明する。
バスに遅れ自転車にした事、しばらくしたらボカロ音声で脅迫して来た事、減速したり助けを呼べば爆発する事。
「わざわざ乗って来たんだからどうにかしろ!!」
「無理! セグウェイを破壊するには俺の銃じゃ連射性がないから反撃される! 爆弾は対処法は思いついたが人通りがあるとこじゃできない!」
「因みに対処法は!?」
「サドル引っこ抜いて投げる!! 今ならあのセグウェイにぶっけてやる!!」
「今できないだろそれ!!」
キンジが叫びながら自転車を漕ぐも速度が落ちてきている。
一体どれくらい前から漕いでいるのだろうか、もうばてている様だ。
俺はキンジの漕いでるペダルの余った部分に足を掛け、全力で漕ぐのを手伝う。
「遙!?」
「良いから前見てハンドル切れ!! 今なら第2グラウンド誰も居ないだろ!!」
そうしてしばらく漕いで学校の第2グラウンドに入る直前に廻りを確認する。
金網と体育倉庫、近くに女子寮と校舎それ位だ。そして俺達は第2グラウンドに入る直前に気付いた。
7階建ての女子寮の屋上の縁に女の子が立っていた。
遠目からでも分かるピンクのツインテールの彼女は万人をひきつけるように綺麗に、ためらう事無く
マジかよ・・・
ツインテールを靡かせながら空中で体を躍らせる彼女は、屋上に広げて置いておいたのだろう、パラグライダーを広げこちらに舞い降りて来る。
「バッ、バカ! 来るな! この自転車には爆弾が――」
キンジが叫ぶが彼女がが降りて来る方が早く、間に合わない。
彼女が体を揺らし方向転換すると太もものホルスターから、銀と黒の大型拳銃を抜いた。
そして――
「ほらそこのバカ2人! さっさと頭下げなさいよ!」
と言いつつ俺達が下げる前に問答無用でセグウェイを銃撃した。
14メートル以上の距離をパラグライダーから、2丁券銃の水平撃ちで。
「うっそーん・・・」
悪循環のオンパレードなのに全段当てるってどゆこと?
セグウェイはそれはもうバラバラに破壊され反撃さえできなかった。
そして彼女は銃をホルスターに納めこちらの方に飛んでくる。
だがこちらには爆弾が在るんだから合流出来ない。
第2グランドに入るとキンジが叫ぶ。
「く、来るなって行ってんだろ! この自転車には爆薬が仕掛けられてる! 減速すると爆発するんだ! お、お前も巻き込まれるぞ!」
「――バカっ!」
とキンジの頭を白いスニーカーで踏みつけた。
そして彼女はそのままフワッと上昇する。
「武帝憲章1条にあるでしょ! 『仲間を信じ、仲間を助けよ』――いくわよ!」
俺達は何をする気だと思うと、彼女はあろうことかグランドに対角線上に急降下し、こちらに向けて鋭くUターンし、頭が下に向いた。
いや、良く見たら手で引いていたブレークコードのハンドルに爪先を突っ込んで、逆さ吊りになっていた。
「――マジかよ・・・!」
キンジは彼女が何をしたいのか察したようで思わずと言ったように呟く。
彼女もキンジが気付いた事に気付いたらしく、彼女は・・・
「ほらバカっ! 全力で漕ぐ!」
「俺は自力でどうにか成るからコイツだけ頼む!!」
「了解よ!」
彼女の強い返事を聞くと俺は左のホルスターからフックショットを取り出し、近くのフェンスにフックを放ち引っ掛け、ワイヤーを巻き取り移動する。
そして、フェンスに着地しフックを収め地面に降りると同時に爆発が起こる。
「おー! 派手ですなー!」
逆さまにぶら下った彼女に正面から突っ込んだキンジ達は、爆発に巻き込まれ防弾性の体育倉庫に吹っ飛んで行った。
「ほっとけねーよなー。かったるい・・・」
俺は歩いて体育倉庫に移動しようとすると門の外から例のセグウェイが7台ほど入ってき、体育倉庫を銃撃し始めた。
まぁ、先程の彼女なら対処できるだろう。
そう思っていた矢先に、なんとキンジが1人で歩いて出てきた。
「おいおい! あいつ何考えてんだ!!」
俺は咄嗟に左胸のホルスターからS&W M19を引き抜こうとした時に気付いた。
何時もと雰囲気が変わっている。
もっと正確に言うなら歩き方が何時もより落ち着きがあり、顔は大胆不敵な笑みを浮べている。
何であいつヒステリアモードになってんだ?
遠山家に遺伝的に受け継がれる能力で性的興奮によりβエンドルフィンが一定以上分泌されると、神経伝達物質を媒介し大脳・小脳・精髄といった中枢神経系の活動を劇的に亢進され、思考力・判断力・反射神経・視力・聴力などが通常の30倍にまで向上する遠山家の人間が持つ特異体質。
欠点が子孫繁栄を目的とした能力なので、女性のことを最優先で考えることで物事の優先順位付けが正しくできなくなったり、女性にキザな言動や対応を取ってしまうなどの反作用がある。
様は女性に好まれようとする様になる。
因みにヒステリアモードはキンジが命名した物である。
「キンジの1人勝ちだな・・・」
俺はこの状態のキンジに勝った奴を知らない。
だから俺はキンジがセグウェイのUZIから一斉に撃たれた銃弾を上体を後ろに反らして避ける事も、その状態からマットシルバーのベレッタ・M92Fを横凪にフルオートで応射し7発全てがUZIの銃口に吸い込まれて行き全てのUZIを吹っ飛ばしたとしても俺は不思議には思わない。
だがこれだけは聞かせてくれ。
「アレはなんてチートですか?」
英語で言うならWhat a cheat?
キンジは近づいてくる俺に気付いたのかこちらに軽く手を振ってる。
「どうしたんだキンジ? さっきの子と何があった?」
「色々とね」
よく分からないが取り合えず体育倉庫に入るとさっきの彼女が跳び箱の中に入っていた。
『一体何が起きた?』と言った顔をして・・・。
そりゃそんな顔になるわな・・・
そしてキンジと眼が会うともぐら叩きの様に跳び箱の中に引っ込み、キンジの事を、ぎろ! っと睨む。
何やったんだよ我が親友・・・
「――お、恩になんか着ないわよ。あんなオモチャぐらい、あたし1人でも何とかできた。これは本当よ。本当の本当」
と強がりを言いながら跳び箱の中でゴソゴソしている。
何してるんだ?
「そ、それに、今のでさっきの件をうやむやにしようったって、そうはいかないから! あれは強制猥褻! レッキとした犯罪よ!」
と彼女はキンジを睨む。
ホントに何したお前!?
「・・・アリア。それは悲しい誤解だ」
といいつつズボンのベルトを外し、跳び箱に投げ入れるキンジ。
何してんだお前!!?
「アレは不可抗力ってやつだよ。理解してほしい」
「あ、あれが不可抗力ですって!?」
彼女が跳び箱の中からスカートを押さえながら出てきた。
そこで俺は気付いた。彼女のスカートがキンジのベルトで止められている。
先程の爆破でホックが壊れたのか?
それに小さい。
彼女の身長は145cmも無いだろう。
「ハ、ハッキリと・・・アンタ・・・!」
彼女はキンジを睨みつけながら拳を握り、がいん! と床を踏みつける。
なんか怒ってるけど俺しーらね!
キンジに任せた。
「あ、あたしが気絶している隙に、ふ、服を、ぬ、ぬぬ、脱がそうとしたじゃないっ!」
お前そんな事してたのか・・・
「そ、そそ、それに、む、むむむ」
がいん!
更に床への攻撃! 床は20のダメージを受けた。
床に何の恨みがあるんだ!!
「胸、見てたぁあああっ! これは事実! 強猥の現行犯!」
おお! 赤くなった!
コイツ面白いな!
「あんたいったい! 何する! つもりだったのよ! せ、せ、責任取んなさいよ!」
がいん! がん! ががん!
彼女は床に攻撃! 床は60のダメージを受けた。
それなんて地団駄ですか?
「こう言ってんぞキンジ、どうにかしてやれ!」
「と言われてもだな・・・、よしアリア、冷静に考えよう。いいか。俺は高校生、それも今日から2年だ。中学生を脱がしたりするわけ無いだろう? 歳が離れすぎだ。だから――安心していい」
ああ・・・地雷踏んだな・・・
キンジが優しく言ったが彼女は両手を振り上げ絶句し涙眼に成ってキンジを睨みつける。
そして――
「あたしは中学生じゃない!!」
がすんっっ!
彼女は床に攻撃! 床は40のダメージを受けとうとう弾けて木片が散った。
やめて! 床のライフはもう0よ!
このままでは床が抜けるかもな・・・
「・・・悪かったよ。インターンで入ってきた小学生だったんだな。助けられたときから、そうかもなとは思っていたんだ。しかし凄いよ、アリアちゃんは――」
やりやがったこのバカ・・・
彼女は、がばっと顔伏せる。
顔の上半分が影で見えなくなり、ばし、と両太ももに手を突く。
そして――
「こんなヤツ・・・こんなヤツ・・・助けるんじゃ、なかった!!」
ばぎゅぎゅん!
「うおっ!」「のわっ!」
足元に撃ち込まれた銃弾に俺達は青くなる。
コイツ、撃ったぞ! しかも二丁拳銃で!
と言うか俺は完全なとばっちりだ。
「
「ま、待てッ!」
もう本気で知らん! 気配消して乗り越えてやる!
俺は静かに後ろに下がり呼吸を小さく静かにする。
それとは逆にキンジは、至近距離から銃を向ける彼女に飛びかかりその細腕を両脇に抱え込み後ろに突き出させた。
俺の方に向いてんだけど!!
ばりばりばりっ! がきんがきんっ!
彼女は反射的に引き金を引き、俺はその撃たれた銃弾を左に避け、今までいた場所の近くから着弾した音が聞こえた。
危ねッ! 髪引っ張られるような感覚あったぞ!!
けど、今ので2丁とも弾切れだ、音でもわかるし実際引き金を引いてるのに弾が出ないのだからまちがいない。
キンジ達はそのまま取っ組み合うような姿勢になる。
「――んっ――やぁっ!」
彼女は柔術まで使えるのか体格差を物ともせずキンジを投げ飛ばした。
あの動き何所かで・・・
「うっ――!?」
キンジは辛うじて受身を取りながら体育倉庫から転がり出る。
「逃げられないわよ! あたしは逃走する犯人を逃がした事は! 1度も! ない! ――あ、あれ? あれれ、あれ?」
「ごめんよ」
彼女は弾切れになった拳銃に再装填するために
あの投げられる一瞬でスリ取ったのか・・・
キンジはその
「――あ!」
遠くの茂みに落ちていく
子供だ・・・
「もう! 許さない! ひざまずいて泣いて謝っても、許さない!」
彼女は拳銃をホルスターにぶち込むとセーター服の背中に手を突っ込み小太刀を取り出す。
二刀流か・・・中々に多彩な戦闘スタイルだな・・・
唖然としたようなキンジに彼女は、圧倒的な速度で飛びかかった。
そしてその寸詰りの小太刀を、キンジの両肩めがけて突き出す。
ザザッ!
キンジはそれを背後に転がって避ける。
「強猥男は神妙に――っわぉきゃっ!?」
キンジの方に踏み出した彼女はいきなり、尻尾を踏まれた珍獣みたいな声を上げ――見えない相手に
彼女の足元を見ると、そこには銃弾がばら撒かれた。
おそらくキンジが先程の
「こ、このッ・・・みゃおきゃっ!」
立ち上がろうとする彼女はそれは漫画のように、両足が真上に向くくらい勢い良くコケる。
そこでキンジを見ると地味にマバタキ信号を送ってきている。
取り合えず解読すると――
『俺は先に逃げる』
俺はそれに対して――
『後で昼飯奢れよ』
と返すと、むかつくウィンクを飛ばし逃げる。
ヒステリアモードのキンジならたとえ100人のFBIからでも逃げれるだろう。
「この卑怯者! でっかい風穴――あけてやるんだからぁ!」
彼女の捨て台詞が印象的だった。
これがオレの親友、遠山キンジと