緋弾のアリア 黒の武偵   作:エイト☆5

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第2弾 自己紹介に銃をぶっ放す奴にろくな奴はいない

 キンジが逃げて行くのを俺は後ほど昼食を奢らせる事で見送ったが、そのあと俺はある事に気づいた。

 あっ・・・逃げ遅れた・・・

 その事に気付いたのか、彼女は俺の方に向かってくる。

 ああ・・・やめろ・・・こっち来るな・・・

 俺の願いとは裏腹にこっちに止まらず来る彼女。

 チクショー! 神様嫌いだ! 

 

「アンタ! さっきの奴の事いろいろ教えなさい!」

「いやいや! 俺無関係! コレホント!」

「だったら一緒に自転車なんか乗ってるわけないでしょ!」

「いやほんとに寮が同じで、元同じクラスで元相棒で、現在進行形で親友ってだけの赤の他人だ!」

「十分過ぎるわよ! いいから教えなさい!!」

 

 そこで俺は考える。

 キンジの事を話さねーと開放してくれねーよな・・・

 

「アイツは遠山キンジ。探偵科で今年17歳、性別男。現在一般校に転校思案中」

 

 ギリギリ話せる範囲と言えばこの辺りだろう。

 だがやはり彼女は納得はしていないようだ。

 

「何よ、もっと話しなさいよ」

「悪いけどこっから先は自分で知らべてくれ、信用しきれない相手に仲間の情報を明かすのはこの辺が限界だ」

「そう・・・いいわ、ここからはあたしが・・・」

 

 彼女がそう言いかけた瞬間、俺は視界の端にある物を捕らえた。

 アレは・・・セグウェイ!? 

 もちろんUZI付の先ほどの物が、しかも先程より量が増えている。

 セグウェイ達は俺達に向って予告もなくUZIを乱射する。

 

「ッラ・・・!」

 

 俺は咄嗟に彼女を防弾仕様の体育倉庫の奥に、倒立回転跳び1/4ひねり(ロンダード)と言うアクロバット技の応用で押し倒し、体を出口の方に向けて床に着地する。

 出口から外を見るとセグウェイが14機ほどいた。

 

「さっきの倍かよ・・・何? 俺達が厄日なの? それともアンタが呪われてんの?」

「軽口叩く暇があったら応戦する!!」

 

 彼女は両太もものホルスターからガバメントを引き抜くも・・・

 

「あっ・・・」

 

 キンジに弾倉を捨てられたのを思い出したようだ。

 しょうがないよな・・・

 俺は制服の上着の内側の平独鈷型手裏剣を左右から3本ずつ取り出し、親指以外の全ての指で1本ずつ挟む。

 

「ショウタイムだ!!」

 

 UZIの弾幕が止んだと同時に出口に飛び出し、腕をクロスに構えた状態から手裏剣を投げる。

 バツバツバツンッ!! 

 投げられた手裏剣は圧倒的回転数と速度で、6台のセグウェイとUZIを切り離した。

 コレは普通の人間では再現不能だ。

 なぜなら、タイミングと角度がかなりシビアな技術だからだ。

 俺がコレをできるのは()()()()()()()()()だ。

 投げた後は体育倉庫に戻り出口付近張り付く。

 

「6キルってとこか? 残り8台!」

 

 左の腰裏からソードブレイカーをベースにしたサバイバルナイフを取り出し、右手に持ち変える。

 そしてS&W M19を右胸のホルスターから引き抜き撃鉄を起す。

 

「特攻精神万歳だこのヤロー!」

 

 体育倉庫の中から、外のセグウェイを見ると、ここからの距離は10mほど離れて居るようだ。

 俺は一息付くと、真正面のセグウェイに飛び出した。

 走りながら真正面のUZIから()()()()()出てきた銃弾の、1発目と2発目を右手のナイフで軌道を反らし残りのUZIの弾を無視する。当然、走りながらなので正面以外の弾が当たる事はない。

 そのままS&W M19を片手で構え、まず正面のUZIの引き金部分に固定された金具を掠らせる様に撃ち、金具を外す。

 そして反動で跳ね上がったS&W M19を右手の手首で打ち付けるように撃鉄を起こし、更に打ち付けの威力を利用して照準を合わせ引き金を引く。

 シングルアクションの手ブレ軽減による精密射撃を2連続で行う射撃技。

 

 キンジ命名『二連精密射撃(ダブルタップ)

 2射目でセグウェイとUZIの連結部を破壊し切り離すと、サバイバルナイフを捨て切り離したUZIに向って転回気味に飛び込む。

 そして落ちたUZIを拾い着地すると、左側から水平に構え――。

 ズガガガガガガンッ!! 

 UZIをセグウェイに水平のまま乱射する。

 そのUZIの弾の大半が外れるが、その内の数発が確実に8台全てのセグウェイを破壊した。

 

Is the end(終わりだ)・・・」

 

 俺は使い切ったUZIをその場に捨てながら呟く。

 改めて見てもひでぇ状況だ。

 清掃係の方には頑張って貰おう。

 

「あー、もうこんな時間だー、急がないと遅刻だー」

 

 棒読みでこんな台詞を吐くのは始めてだ・・・

 

「えっ、ちょ・・・」

Let's meet again! (また会おう!)hahaha!!」

 

 俺はキメ台詞を吐きながらその場から逃げ出した。

 コレが俺、吉野遥と神崎・H・アリアの互いの名前も知らないファーストコンタクトだった。

 

 

 


 

 

 タキサイキア(Tachypsychia)サヴァン(Savant)シンドローム(Syndrome)

 それが俺の病名だ。

 コレは俺の任意のタイミングで発現させられる現象で、自身の脳の処理速度を一時的に常人の10~15倍ほどに引き上げ、自分の知覚する時間を何倍まで引き上げる事ができる。

 ヒステリアモードと違い精神に変化が現れる訳ではなく、ただ意識が加速し時間止まった様に見えるだけで、実際にはちゃんと動く。

 この状態でも動く事ができるが精神が加速しているだけで自分以外の時間が止まった訳では無いので自分の動きも遅く見え、その状態で早く動こうとすれば肉体のリミッターが外れだし、最悪筋繊維がズタボロになり一生その部位は使い物になら無くなるだろう。

 デメリットとしては、普段使う事が無いほどの処理速度を使うため使用後に頭痛に悩まされ、突発的な出来事があれば意思に関係なく発動してしまい、処理速度を上げすぎると脳が負荷に耐え切れず、脳にダメージが行き最悪脳が破壊され死に至るだろう。

 そしてコレは申し訳程度にだが聴力も僅かに上がりフローリングを裸足で忍び足で歩く音も聞き取れるようになる。

 更に、痛覚が鈍くなり肉体を貫通する程の攻撃を受けても怯まずにいられるようになるが、意識の倍率を戻せばその分の痛覚の2~3倍の痛覚に襲われる。

 ようは命の危機の状態に時間が止まって見える現象を自力で起せる能力。

 ただし倍率的にはキンジのヒステリアモードの半分程度なので癖がある割りに、使い勝手はそこまで良くはない。

 つまり何時でも自由に使えるヒステリアモードの下位互換能力だ。

 そしてそんな能力を使ったのだから・・・

 

「うにゅううぅぅぅぅん~~~・・・、頭痛い・・・」

 

 頭を押さえながら呻く俺。

 当然こうなる訳だ・・・

 俺はカバンの中から飴を取り出し口中に放り込む。

 ウム、甘い・・・

 イチゴミルクの風味が口に広がり、頭痛が少し引いていく・・・気がする。

 多少痛みが引くと俺は校舎の雨樋を伝って教室に向う。

 先ほど親友その2から今年のクラスと場所をメールで送って貰っていたので迷う事もない。

 とある教室の窓まで移動すると外から窓を叩く。

 

「おーい誰か入れてくれー」

 

 音に気付いたのか長い金髪をツーサイドアップにしたロリ巨乳娘が窓の鍵を開けてくれた。

 

「サンキュー理子! 遅刻するとこだったぜ」

「ハルハルってば変なとこから入ってきたね、何かあったのかな?」

「武偵好きの追っかけと格闘してた」

 

 彼女は峰理子(みねりこ)

 武偵校の制服をフリルだらけのロリータファッションに魔改造しているのが特徴で、俺の親友その2。

 探偵科(インケスタ)のAランクで、我が校の探偵科1のバカ。

 オタク友達でもあり、キンジと理子と俺の3人が基本的にチームを組む事が多かった。

 実際にはもう2人居るけどそれはまたの機会にしよう。

 ちなみにハルハルとは理子が付けた俺のあだ名だ。

 

 取り合えず自分の席に付いて見る。

 俺の後ろにキンジ、左後ろには理子、右後ろには親友その3と俺の回りの席は親友で固められているらしい。

 今年もそれなりに楽しい一年になりそうなクラスだ。

 

 

 

 

 

 しばらくして我が親友、担任の順番で2人が来た。

 そして担任の先生が教卓に立って言う。

 

「うふふ。じゃあまずは去年の3学期に転入して来たカーワイイ子から自己紹介してもらっちゃいますよー」

 

 はいフラグですね、ありがとうございます。

 って言うか同じクラスだったんかい!! 

 俺は気配を消して机に突っ伏して姿勢を低くする。

 

「先生、あたしはアイツの隣に座りたい」

 

 はいフラグ回収完了ですね、お疲れ様です。

 彼女こと神崎・H・アリアはキンジを思いっきり指差して言うのですよ。

 唯一の救いと言えば俺の隣ではなくキンジの隣だと言う事だろう。

 つまり1年間大人しくしてれば絡まれないわけだ。

 無理ですねコンチクショウ

 

 キンジなんて驚きすぎてイスから転げ落ちて絶句してる。

 回りは対照的に無茶苦茶盛り上がってるし。

 

「よ・・・良かったなキンジ! なんか知らんがお前にも春が来たみたいだぞ! 先生! オレ、転校生さんと席代わりますよ!」

 

 テメー武藤!! ふざけんなよ後でぶっ殺すからな!! 

 俺の親友その3、武藤剛気(むとうごうき)がキンジの手を握ってブンブン振りながら満面の笑みで席を立つ。

 身長が190cm近い大男でツンツン頭が特徴。

 専門科目は車輌科(ロッジ)でランクはAで、乗り物と名のつくモノならなんでも乗りこなすことができる特技を持っている。

 ようは高性能な変態だ。

 

「あらあら。最近の女子高生の積極的ねぇー。じゃあ武藤君、席を代わってあげて」

 

 先生はなんかキンジと神崎を交互に見て嬉しそうに武藤の提案をOK出す。

 かったるい・・・

 回りの奴らは、ワーワー。ぱちぱちと拍手喝采を始める始末。

 コイツら自由すぎる・・・

 

「キンジ、コレ。さっきのベルト」」

 

 とキンジに向ってベルトを放り投げるわけですよ。

 良く見れば上下共に新品になってるみたいだし。

 ただそんな事をして黙っていられる筈が無いんですよこの愛すべき馬鹿共は・・・

 

「理子分かった! 分かっちゃた! ――これ、フラグばっきばきに立ってるよ!」

 

 左後ろに座ってた理子が、ガタン! と席を立つ。

 

「キーくん、ベルトしてない! そしてそのベルトをツインテールさんが持ってた! コレ、謎でしょ謎でしょ!? でも理子には推理できた! できちゃった!」

 

 どうやら今日は探偵科(インケスタ)1のお馬鹿美少女峰理子の迷推理が聞ける様だ。

 ちなみにキーくんとは理子が命名したキンジのあだ名だ。

 

「キーくんは彼女の前でベルトを取るような()()()()()()をした! そして彼女の部屋にベルトを忘れてきた! つまり2人は――熱い熱い、恋愛の真っ最中なんだよ!」

 

 ツーサイドアップに結った天然パーマの髪をピョンピョンさせながら迷推理を披露した。

 そしてここはバカの吹き溜まり、武偵高。

 こんな話をすると盛り上がるわけで・・・。

 

「キ、キンジがこんなにカワイイ子といつの間に!?」「影の薄いヤツだと思ってたのに!」「女子どころか他人に興味なさそうなくせに、影でそんな事を!?」「絶対にキンジ×遥のカップッリングだと思ってたのに!?」「フケツ!」

 

 などと大いに盛り上がる訳ですよ。

 それと最後から2番目のヤツ、後でアックスボンバーぶち込んでやる。

 

 武偵校の生徒は一般科目のクラス分けと別にそろぞれの専門科目で部活のように暮らす学年を越えて学ぶので、生徒同士の顔見知りは多いにのだが・・・。

 お前ら息合い過ぎだろ・・・。

 

「お、お前らなぁ・・・」

 

 キンジが何か言おうとした時・・・。

 

 ずぎゅぎゅん! 

 

 鳴り響く2発の銃声が、クラスを一気に凍りつかせ。

 真っ赤になった神崎が、例の2丁拳銃を撃ったのだ。

 

「れ、恋愛だなんて・・・くっだらない!」

 

 翼のように広げた両腕の先には1発ずつ穴が開いていた。

 チンチンチーン・・・。

 薬莢が俺の後頭部にぶつかって落ちる。

 床に落ちたから薬莢がの音が、更に教室の静けさを加速させる。

 理子のヤツは前衛舞踏のような体制で体をよじらせたまま、ず、ずず、と着席。

 武偵校では、基本的に射的場以外での発砲は『必用以上しないこと』と明記されている。

 つまり必要だと思えば撃って良いと言う事だ。

 まぁ、銃を日常的に取り扱うには、軍人並に麻痺させておく必要があるからだろうが・・・。

 自己紹介で発砲するとは・・・、イカレタ女だ・・・

 

「全員覚えておきなさい! そういうバカなこと言うヤツは・・・」

 

 それが神崎・H・アリアが武偵校のみんなに発した――最初の台詞だった。

 

「――風穴あけるわよ!」

 

 何所にあける気だ!! 

 そして、神崎の下ろした腕を下ろし・・・

 

 ゴンッ! 

 

 と、俺は神崎に銃のグリップの底で後頭部を殴られ――。

 

「あっ・・・」

 

 俺は神崎に向けて右手で中指を立てて見せるのだった。

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