「──そん、な」
それはまさに──地獄の様な光景だった。
怪人協会とヒーロー協会の全面戦争。ヒーロー狩りガロウ。そして“カミ”なる存在。
災害レベル竜の怪人が暴れ続ける中、彼女は己の無力さを思い知っていた。
彼女もまたこの世界では上位の実力を持つとはいえ、
ヒーロー狩りのガロウの噂を聞けば、キングに辿り着く前に始末しようと金属バットと共に迎撃し、
怪人協会との戦争では、キングの近くに待機しながら時折災害レベル竜の怪人と死闘を繰り広げ、
そして怪人王オロチとサイコスの融合体を、他の S級ヒーローと協力して打ち倒し、
それでも怪人は強く──彼女は一度気を失ってしまった。
そして次に目を覚ましたその時──彼女の目の前で、キングは死んでいた。
フブキとタツマキを守ろうとして、しかし変異したガロウが発生させた放射線により……鼻血を流し、白目を剥いて生き絶える。
その光景を見た彼女の心は──折れてしまった。
故に──カミの介入を許してしまった。
黒いキューブに触れてから常に纏わりついていたイヤな感触が、彼女の精神を犯したその時──“それ”は現れる。
「……お前は」
「──ガロウ。私は、お前を許さない……!」
「……そーいえば、お前とも決着付けるとか言っていたっけ」
ガロウにとって、金色の闇と再会するのは金属バットとの戦いに横入りされて以来だった。
S級ヒーローと遜色無い彼女の実力には興味を抱いていたが、彼女はヒーローでは無かった為、己の敵では無いと判断していた。
……実は、この地での戦いの最中、彼女の存在はしっかりと感じ取っていた。
どんどん力を増していく彼女に対して、ガロウは何処か共感を抱いていた。強い願いの為に強さを求める彼女の在り方に。
だからこそ──自分と同じ場所に
「消えな、金色の闇。もうお前はオレ様の敵じゃあ──」
「黙れ」
次の瞬間、ガロウは殴り飛ばされる。
意識外からのその攻撃を瞬時に分析し──彼女もまた、己やブラストと同じ様にワープゲートの作成、使用できる実力者だと理解した。
「ちっ。後悔するなよ金色の闇!」
──核分裂
通常の生物なら、使用された時点で死んでしまう拳を使うガロウ。
しかし金色の闇はこれを受け流す力を既に手に入れていた。
「【
「──!?」
一瞬、ガロウの目には師であるシルバーファングが見えたが、金色の闇は変身していない。ダークネス使用時の破廉恥な姿だ。
しかし、彼女がゆらりと動き──己の放った拳を受け流す姿はまさしく──。
「【流水岩砕拳】」
「なんだと!?」
ガロウの核分裂は、そのまま上空へと……大気圏外へと誘導されていく。まるで、地球上にいる生物を守る為に。
ガロウは、金色の闇の動きに心揺さぶられ──その隙を突かれる。
「【
再び、ガロウの目にヒーローの幻影が映っては消える。
「【タンクトップ・タックル】」
「ぐおっ!?」
金色の闇の放ったぶちかましにガロウは吹き飛び──あり得ないと混乱の極地に至る。
今のガロウは覚醒している。カミの力によって。そんな彼にとって今更 S級ヒーローの技程度、ダメージを受ける筈が無いのだ。
しかし現に S級ヒーローの技でガロウは血を吐いている。
覚醒した筈のガロウに、ヒーローの力が及んでいる。
それはつまり──金色の闇の力がガロウと同じという事だ。
──覚醒金色の闇。
それは、
王を失った金色の輝きは闇に堕ち、正義の力に宿る意志を無視し、ただただ力だけを求める悲しき力。
「【
「ちぃ! しかも力の同時使用も可能かよ!」
彼女の金色の髪がバットへと変化し、それを握った金色の闇は超能力で力を増しながら──全てを潰す竜巻を作り出す。
「【野蛮竜巻トルネード】」
「──【
金色の闇が繰り出すヒーローの技は、オリジナルの技以上に強力で洗練されていた。
故にガロウは──そのヒーローの力を、超越するヒーローの力で打ち消す選択を取る。
「──連続普通のパンチ」
気合いの力も、超能力も、彼の前では等しくワンパンで倒される。
最強を模擬した拳の前に、金色の闇の正義の力は簡単に打ちのめされた。
「【
故に。
「【サイタマ】」
彼女もまた、彼の力を使うのは必然であった。
「──なっ!?」
自分が模擬した必殺の拳の力に、変身した金色の闇を見て絶句するガロウ。
使っているからこそ彼は明確に感じ取っていた。彼女は今──サイタマに変身している、と。
「【必殺マジシリーズ】」
「っ、【必殺マジシリーズ】」
二人は拳を握り締めて、振りかぶり、
「「【マジ殴り】」」
星を容易く絶滅させる力同士が──衝突した。
◆
「──という夢を見ました」
「え? 俺死んでるじゃん」
新年早々、自分が死んでいる夢を聞かされたキングは微妙な表情を浮かべるのであった。
新年明けましておめでとうございます
初夢じゃ無いけど、思いついたネタを投稿しました