「雨の思い出」のアンサー小説
朝ノ光目線になります。

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私の宝物

 

ザー…ザー…

小雨でもなく土砂降りでもない心地良い雨音で目を覚ます。

 

ポチャン…ポチャン…

 

雨戸いから雨が滑り降ちる。

雨の日は憂鬱になる。雨が周りの音を吸収してまるで自分が一人ぼっちかのような錯覚に陥るからだ。

朝ノ光はそんな雨の降る朝、目が覚めた。

 

(………………)

 

考える事を止める。こんな日は考えちゃダメ。だってあの日々のことを思い出してしまうから、思い出してしまったら止まらない。逢いたくなってしまう。

 

(…、少し早いけどもう任務の準備しちゃおう)

 

頭より先に体を動かす、そうじゃないと足を止めたくなってしまう。振り返って、あの世界に全速力で帰りたくなっちゃう。それはダメ。私自身が望んで此処に来たのに私の我儘でそれを止めることなんてできない…。

その想いを振り払うように頭を左右に振る。そして両手でほっぺを軽く叩いて

 

「セロトニンにん!」

 

誰もいない。自分に向けての挨拶。太陽の出てない空。空元気なのはわかってる、でもそうでもしなければ前に進める気がしなかった。

 

(大丈夫、大丈夫。私は大丈夫。)

 

頭の中で復唱する、それを掻き消す様に、嘲笑うかのように雨は振り続ける。

 

ザー…ザー…

 

支度はできた。あとは外に出るだけ。なのに足が動かない。まるで金縛りにあったように、

 

(姉さん… 茜ちゃん… みんな… )

 

考え出したら止まらない、想いはとめどなく溢れてくる。

1人で頑張っていたあの頃。

 

姉さんが、茜ちゃんが来てくれて嬉しかった。

 

茜ちゃんは長期任務になっちゃったけど、また帰ってくるって約束をして姉さんと2人で頑張るって決めたこと。

 

姉さんと無我夢中で頑張った…。あの世界で生き残るために必死だったから。

 

みんなと仲良くなって、「姉さんは渡さない」なんて言ってたけど本当は楽しかった、嬉しかった…。

 

姉さんの110曲チャレンジの時、バックコーラスも頑張った、ロキも一緒に歌った。イヤイヤちゃんの歌も駄菓子屋でみんなとお話ししたことだって、ARAYAもピカブイも完走してないけど…、お正月の紅白の思い出も全部全部大切な私の宝物。本当に楽しくって嬉しくってキラキラした思い出しかない、大好きなみんなと姉さんとの思い出は本当に私の一生の宝物なんだ…。

振り返っちゃダメなのに、思い出したら止まらない。

 

(逢いたいよ…姉さんに…茜ちゃんに…みんなに…3人で一緒に…)

 

帰りたい、今まで我慢していた想いが爆発しそうになる。そんなとき

 

ドサッ…バサ

 

何かが落ちる音、その瞬間に金縛りは解けて物音のした方へ向かう。そこにはみんなから貰った大切な手紙や色紙、お屋敷を出る時にもらった姉さんからのお手紙があった。

 

(…!あぁ…!)

 

光は倒れ込むように、急いで拾う。大切な宝物を抱えて大事に、本当に大事に抱き締める。

その中から瑠璃から貰った手紙がスルリと落ちる。

 

(この手紙は…)

 

お屋敷を出る時に姉さんから

 

瑠璃「もし、ひーちゃんが困った事になったら読んでみてね、きっとひーちゃんを助けてくれるから。…お姉ちゃんとの約束!」

 

そう言われて渡された手紙、自然と手が伸びて中身を読んでみる。

 

「 ひーちゃんへ、

この手紙を読んでるってことは何かに悩んでいるのかな?大丈夫、ひーちゃんは1人じゃないよ、私がいる。あーちゃんがいる、朝ノ衆のみんなが傍にいる。ひーちゃんを1人になんてさせない、私の大切な妹なんだから。だから、もし耐えきれなくなって挫けそうな時はいつでもお屋敷に帰ってらっしゃい、お姉ちゃんの自慢の料理を食べればすぐに元気になれるんだから!あんまり遠くに行ったらお姉ちゃんも寂しいよ?ひーちゃんは私達の”光”なんだからいつまでも明るく照らしてね

いつでも待ってるからね!

お姉ちゃんより、」

 

(姉さん…!)

 

手紙を読んだ光はさっきとは違い体に力がみなぎってくる。自然と笑顔になっていた、幸せな気持ちが溢れていた。

 

(私には姉さんや茜ちゃん、みんなが傍にいる…!)

 

立ち上がり、みんなから貰った宝物を大事にしまって玄関で靴を履く。扉を開くと雨は上がっていて大きな太陽が顔を出していた。そして空に向かって

 

「セロトニ〜ンにん!」

 

みんなに聞こえるように朝の挨拶。私は大丈夫!だって姉さんが、茜ちゃんが、みんなが傍にいるから!

 

何処かのお屋敷で朝顔が花を咲かせる、元気に太陽に向かって綺麗な花を。

 

 


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