とりあえず何か食える物持ってくると言い訳をしてその場を離れる
「難問でち、……難しそうでちね」
「……そうか?」
なんて、首を捻る
「盾の勇者なんてあんなものだろう」
「そんな気はしないでちよ」
なんてことを、横をとてとてと付いてくる悪魔と話しながら
「それにしても疑問でち。あの炎熱くないんでちか?」
なんてことを、悪魔がほざいた
「熱いよ、当たり前だろ」
「火傷一つ無いのにでちか?」
「そりゃ俺だからな。まあ焼きネズミにはなりにくいよ」
「そんなものでち?それで耐えられるものには見えなかったでちが
転生者って凄いでちね」
無表情に、悪魔は告げる
「いやいや、転生者補正はぶっちゃけるとカースバーニング弱点だぞ。受けるダメージ増えるだけだ」
「何ででち?」
「当たり前だろ、あれはカースの力。即ち勇者の激情の力だ。転生者にとっては毒そのもの、天敵だよ」
ってつつくなクソナイフ
「俺が耐えられるのは俺個人の資質だよ
異能って奴」
あっけらかんと、そう言う
「異能、でち?」
「女神に俺が特別と言われるのならば、その理由はきっとそれしかない。俺の異能、アヴェンジブースト」
「……異能なんて持ってるでちか?」
「そこからかよ!」
首を捻る悪魔にずっこける
「そもそもだ、この世界には無いんだろうけど、俺の世界……ああ、リファナの生きてる今じゃなくて、あくまでも転生前の方な
その世界において人は基本的に異能を持ってる。その異能は……まあ持ってることすらロクに分からない程度のものから日常生活にちょっと役立つ便利能力から……魔法見たいなものまで色々と、な
それは基本的に産まれながらのものなんだ」
と、基本事項を告げる
ふむふむでちと頷く悪魔を見て、続ける
「俺が持っていた異能はアヴェンジブースト。ブースト系異能の頂点にして底辺」
「矛盾の極みでちね」
『称号解放、矛盾鼠』
煽るなクソナイフ
「はは、だろ?矛盾しまくっているようで別に矛盾の無い最強最弱のブースト異能、それがアヴェンジブーストだ
女神に目を付けられても……いやそれはどうなんだろうな、たまたまかもしれないけど。ってかそもそもアヴェンジブースト自体は恐らく珍しい異能じゃない」
「突然転生の特異性消えたでちね」
あきれたように、悪魔は言う
「異能として認識される域に非ず、とされている人間って割と居てさ。中学までの俺みたいに異能:無しって証明書に書く人種。その中にもかなりの割合で居たんだよ、ブースト異能持ち。力が弱くてブーストされることに本人が気が付いていなかった、発動の条件を満たしたことが無くて知らなかった、或いは実は異能の正体を知ってるけど何らかの理由で異能を隠したかったって感じで
その気が付かれていなかった異能持ちの中に、きっとアヴェンジブースト持ちはそれなりの数居たんだろう」
「そうでちか。それより異能の説明でち」
「弓の勇者の異能は命中。とりあえず妨害は効くけれども捕捉されている限り常に避けなければ必ず当たる
恐らくだが盾の勇者の異能は対酔。何があろうが酔わない」
「そこは興味無いでち
聞きたいのはブーストでちよ」
「いや命中って必中ほどの意味不明性能してないけどなかなかに脅威だぞアレ。避けようとしなければ避けられないんだから
っと、ブースト異能だったな
ブースト系の異能はその名の通り、特定の条件でブーストがかかる。条件やブーストが何にかかるかによって異能の種類が細分化されてるって感じだな。そんな幅広い異能だけあってブースト系で一大系統築いてたし、企業にもブースト系異能派閥ってのもあったらしい。ブースト系持ちが就職しやすい企業とか
……って興味無いか。まあそんなだだっ広い範囲を指すブースト異能には当然使えるブースト、使えないブースト色々ある訳だ
アヴェンジブーストは……使えないブースト系の頂点だな」
「どんどんとマスターがショボくなっていくでち」
ぼんやりと呟く悪魔
いや、何期待してたんだ俺の異能アヴェンジブーストだぞ所詮
「いや、現代社会では単なる災害だけどマジで強いんだぞアヴェンジブースト
発動さえすれば、な」
「発動しないんでち?」
「『カウンターのブーストは幾つもある。陰キャ専用リベンジブースト、ドM専用ダメージブースト、そして手遅れ限定アヴェンジブーストだ』
ってのが定説。少なくとも覚えてる限り俺も一度しか発現したことがないくらいには発動条件が厳しい」
受け売りな言葉を呟く
ネットでは有名だった。アヴェンジブースト持ちとしては貶されてるし何とも言えない感覚だったけど
「そうなんでち?」
「軽薄な笑みを浮かべてる男に目の前で母親が轢き殺された時には発現しなかった」
「……」
……おい黙るなクソナイフ。茶化せよクソナイフ
「母親の轢死体を見て車がトラウマになった引きこもりの妹が俺への謝罪だけをひたすら書きなぐった遺書を残して自殺した時にも発現しなかった」
「予想外の答えでちね」
「妹の葬儀の終わった夜に水に睡眠薬入れられてクソ親父に首括らされた時にも発現しなかった」
「つ、使えねーでち……」
「首を吊られて薄れ行く意識の中、母親を轢いたクソ野郎と親しげに家の遺産の分け方を相談してるのを見た時」
「遂に発動したでちか」
「縄が雑に結びすぎてたのか切れた。発現は特にしてない」
「発動してないんでちか!?」
「発現したのはその後、死にかけの俺を足蹴にしながら母さんの葬儀の後にのこのこ単身赴任から戻ってきたクソ親父が妹を強姦しててそれで妹が自殺したと知った時だな
『ヤッてる最中ずっとお前の名前を呼んでてキモくてならなかったんで黙るまで殴ってやった。顔だけは可愛く育って何時かヤりたかったのによ、ガッカリだ
良かったなぁ、そんなブラコンには寂しくないようにお兄ちゃんも今そっちに送ってやるよ』
……そう妹をバカにするように言われた時、何かが切れた
後にも先にも、アヴェンジブーストが発現したのはその時だけだ」
「……確かに使えねー異能でち
それで?強さはどんなものでち?」
「意識半分無くて良く覚えてないんだが、とりあえず家は親父と共犯者ごと塵一つ残さず消し飛んだよ
ジャンルが現実ではなくバトル漫画と言われる程度には強い
って、流石に良く強さの指標として存在する軍隊に匹敵する、レベルかは知らないけどさ」
ははっ、と軽く笑う
「他のブーストを比較に出すと、リベンジブーストは相手に自分が傷つけられていればいるほど身体能力が上がり続ける。別に頭の回転は変わらない
実は精神的なダメージでも良いから、一番使いこなせるのはちょっとした事でテメーマウント取りやがってふざけんな!する卑屈で根暗でロクな生活してない奴という簡単で強いんだけどそれを持ってる事を誇るだけでアレな人認定される悲しい異能
ダメージブーストはその名前の通り体にガタが来てるほどに肉体のリミッターが外れていく異能。徹夜なんかでボロボロになっても発動するから社畜用とかネットではバカにされてた
ダメージブースト野郎は24時間働かせれば48時間働けますとか」
「ひでー異能ばっかでち」
「そりゃ、ダメな異能ばっかりあげてるからな
カウンター異能なんて基本そんなものだよ
使えるブーストだと、有名なのはライドブーストかな。ハンドル握ればとりあえず何であっても操縦出来る異能
あれは持ってるだけでパイロットなり電車の運転手なりドライバーなりに特待で訓練して貰えるって就職有利で便利な異能だ」
「操縦、でち?」
「この世界的に言えば、乗れば飛竜だろうが馬だろうがフィロリアルだろうがフォーブレイで開発されたらしい戦闘機だろうが飛行船だろうが初めてでも確実に本業の人の下位くらいには乗りこなせる異能」
「っと、そろそろ切り上げるぞ、尚文が疑う」
「了解でち」
イキリネズ公「ブロリー(ドラゴンボール超)かなーやっぱりww
自分は思わないんだけど周りにブロリー(ドラゴンボール超)に似てるってよく言われるwww (訳:危険なパワー系池沼)
こないだペドフィリア親父に遺産目当てに一家全員殺されかけた時も気が付いたら意識無くて家が消し飛んでたしなwww
ちなみにペットもバアに似てる(聞いてないw)」