パチモノ勇者の成り上がり   作:雨在新人

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盾の勇者とネズミたち

「改めて聞く、お前は何が出来る?」

 奴隷商のもとを離れた所で、尚文がそんなことを聞いてきた。卵を背負っているのでちょっと滑稽な姿である

 

 大丈夫だとは思うが、剣と弓の二勇者がどうなったのか気になるしな、出来ればさっと離れたくはあるんだがそうもいかない

 クソナイフが何もしないことを考えるにそんなに問題はないのだろうが、それでもだ

 実際問題弓の眷族であるのが投擲具だ。原作において、俺よりも恐らく力は上である転生者タクトの支配下から半分強引に抜け出してでも弓の勇者を救いにいった程には弓への忠誠は高い。弓の勇者に対して大きな危機が迫っている、それこそ杖の勇者である王に殺されかけるような事があれば即座に俺の制止を振りきってでも弓の勇者の仲間の誰かの所へ行くだろう。つまり無視で良いのは……確かではある

 「一度共に戦っただろう?それを見てて分からなかったのか盾の勇者様?」

 「リファナ、こいつは何時もそうなのか?」

 「マルスくん、なおふみ様じゃなくて伝説にある盾の勇者様の事嫌いだから」

 「全く……」

 不機嫌そうに息を吐く尚文に、流石に言わないというのもなと思い、口を開く

 

 どこまで語るか、何を隠すかを考えながら

 「見てて分かったとは思うが俺はほぼ前衛だ。武器としては」

 と、ずっと隠していたからか不満げにぼんやりと光りつつ熱を持っているクソナイフを引き抜いて見せる

 「こういった短剣、片手剣、後は槍なんかも多少の心得はあるな」

 熱いんだがクソナイフ?赤熱って程じゃないが割と効く。流石にバレるほどではないのが救いだ

 そしてクソナイフは戻して背負った剣を抜く。相変わらずの専用武器以外の所持がどうこうのポップアップだがやはり無視

 ……あ、ポップアップが無駄に歯がデカイ妙に凶悪な面構えのネズミっぽいデフォルメした生き物がカタナっぽいものを持ったイラストの上に赤い大きなバツが付いたアイコンに変わった。剣を離すと消え、持つと出てくる

 あれか、ポップアップ邪魔だって抗議が受け入れられたか。だからってオリジナルアイコンを出すなアイコンを

 

 「後は魔法も使えるよねマルスくん」

 「リファナ、あんまり得意じゃないぞ魔法についてはな

 火力は高いが周囲の環境に左右はれやすい等の欠点も多い」

 と、笑う。幻影なんかは語らず、あくまでも火力系に限って話す。何時どうなるかわからないからな、その際に誤魔化しの効く幻については隠しておいた方が得策だ

 「どういう事だ」

 「プラズマ主体なんだよ俺の魔法。水魔法で濡れ鼠になっていると自分も感電したりだとか金属武器持ってる仲間が避雷針になって味方だけが黒焦げるとかロクでもないオチが付く

 小手先のものならば兎も角、火力としてはソロじゃない限り取り回しが悪い。まあ、盾の勇者の防御ならば無傷で耐えられるとは思うが、だとしても不快だろ?

 

 後は回復面は壊滅してるからな、ヒールには期待するなよ?」

 「多芸だな」

 「ほぼ一人で半年冒険者なんてやってたら、な」

 まあ、転生者特有の万能感に任せて突き進んだという点、転生者故のレベルの上がりやすさ、最近のクソナイフブーストが全部合わさった結果ではあるのだが

 

 「因みにボクは料理や荷物持ち等担当でち。後ろから魔法や弓も多少は出来るから足手まといって程では無いと思うでちが……マスターに比べれば弱いでちね」

 お、そうなのかゼファー

 

 って何で俺がそんな反応になるんだ、とはなるが、このでち悪魔と会ったのは今日なのだから仕方ない

 

 「それで?リファナは盾の勇者の元でどれくらい強くなったんだ?」

 知ってる。毎日見てた

 だが、それを言ってはお仕舞いなのであくまでも聞いておく

 「えっと、多少剣は使えるかな

 マルスくんと違って、魔法はあんまり。ラフタリアちゃんも同じ感じ」

 「……バランスがゴミだな」

 「ゴミだな」

 「ゴミでち」

 皆してぼやく。前衛で剣な俺、リファナ、ラフタリア、前衛で盾な尚文。誰が見てもロクなパーティバランスじゃあない。本気の俺は中衛というか投擲具使いなのだがパチモノ勇者だし。というか取り回しには優れるがそう火力の高くない剣使いが複数並ぶとかふざけてるのかという。ゼファーについては見てないので良く分からないがどうだろうが今の時点でロクでもない事だけは間違いない。防御特化の勇者、戦士戦士戦士のパーティとかゲームだったらギャグの領域だろこれ

 

 「その辺りも兼ねてパーティを」

 「後ろから攻撃出来るその子達で組んで貰う?」

 「……そうだな」

 バランス悪いパーティ2つよりもバランスを調節した二つにすべきでは?と思うがリファナが言うならば仕方ない。そもそもパーティ機能ってある程度相手の能力を知れたり経験値を分配できたりするくらいであって、別パーティな事の弊害って少ないしな

 

 ここまでは、実は割と分かりきっていた事

 今から考えるべきは、この先

 これだけとりあえずの自身のスペックを語ったんだ、お前にも語って貰うぞ尚文。という話である

 ではその何を考えるのか。当たり前だが、どこまで伝えるかだ。何ならば信じて貰えると思うのか、どこまで伝えて尚文というか盾を強化させておくのか。どこまでならば裏切り者として転生者即死トラップが発生しないのか。手探りでやっていくには俺への尚文の信頼度は低すぎる

 「それで?盾の勇者サマは何が出来るんだ?魔法とか使えるのか?」

 まあ良いや。リファナを、そしてラフタリアを守って貰わなきゃいけない。ついでにカルミラ島くらいの時期にとっとと残りの四聖勇者の強化を学んで貰えるように、多少勇者の強化方法とか話しておこう。あくまでも冒険者の頃に少しだけ会ってーと断片的にするのが難しそうだな、その辺りはアドリブか

 出会ってても違和感無さそうなのはーツメか?杖はメルロマルク王だし籠手は居ないから論外、鞭はタクトだから死ね、斧や槌はそもそもどんな人間が元の勇者だったのかとか知らないし、投擲具はネズミだ。馬車はフィロリアルが持ってて歴史から抹消されてるから言えないし、やっぱり無理がないのは獣人が勇者やってる爪か。投擲具はリファナも勇者を見たことあるから俺が知ってることの裏付け兼彼に他の勇者のやってたことを聞かれたとか実践してたとかで強化方法って共有できるんじゃないか?という疑問をさりげなく投げるのにだけ使うとして

 さあ、尚文育成計画を始めよう

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