うーんこのクソネズミ、リーシアの良さがかなり消えてますねコレ
二時間ほど各種用意があるといって離れ
そうして、二時間の後にしっかりと戻る。待ち合わせ場所である街の外壁に備えられた門の前に
その際に逃げられなくはないのだが、パーティ組んでしまったし何よりリファナの頼みだからな。最悪どうしようもなくなればポータルジャベリンで逃げられるしまあ良いか
因にだが、パーティ編成はこうなった
尚文、俺、ゼファー、卵
リファナ、ラフタリア
色々と突っ込みたいが仕方の無い話だ。ゼファーの野郎、契約でちから同じパーティに居るでちとパーティ組み直しの段になって突如言い出しやがったからな。結果俺、ゼファー、リファナの言葉に合わせて尚文が同一パーティ確定してしまいこうなったという訳だ
というわけで。最低限ボロが出ないような装備を整えるために二時間貰ったのである
場所?当然ながらシステムエクスペリエンスの所である。元々波越えたら向かう気だったしな。そこで幾らかブツをパチり、宝物庫から武器をコピーしてきたという訳だ。勇者の力がどんなものか見る名目で持ち出してフード被って仕掛け、弾かれたフリして悪魔に収集された伝説武器取り落としコピーさせて戦力増強する当初の展望は尚文同行により潰えたがそれならそれで尚文育成計画するだけだ
……にしてもあの宝物庫投擲具としても使える盾少ないな
なんてのは置いておいて。とりあえず当面武器を変えなくても違和感無いレベルの武器をクソナイフにコピーさせた。まあこれでずっと同じ武器を使ってようが咎められないだろう。クソナイフ封印してた時に使っていたものは安物だしずっと戦うならば流石に警告出して吐き気に襲われながらという訳にもいくまい
何て考えながら戻ってきたら、尚文が緑髪の少女と何やら話していた
お、ナンパか?なんて有り得ない事でも言いながら戻ってやろうか
ってあれリーシアじゃないか。もう居たのか
リーシア。リーシア=アイヴィレッド。盾の勇者の成り上がりにおけるそこそこのメインキャラクターであり、恐らく無自覚な転生者であり、俺と似てはいるが決定的に違う異能持ちであり、弓の勇者に首ったけな後の投擲具の勇者である。通称はヤンデレ豚
因にだが転生者であり異能持ちというのは俺の勝手な推測である。といっても、俺やタクトみたいにアレな性格してないんだよな。その辺りはどうなっているのか。異能はヒロイックブースト……だと思われる。ヒーロー気質だ何だと言われ卑劣な相手には潜在能力が解放され別人のように強くなると原作では言われていたが、それはそのまま異能ヒロイックブーストに当てはまるのだ
いや待てヒロイックブーストって犯罪者とか相手ならば基本発動する条件割と緩く効果が高く便利で扱いやすい異能の一つな訳で俺にくれ。全てが手遅れになった後にしか発現しない人智を超越した力よりよほど使えるんだが
「邪悪な事考えてるでち?」
「唐突な批判かゼファー?」
「そうじゃないでちが、悪い顔してるでちよ」
「お前はずっと無表情だけどな」
「しょうがないでちよ。ボクにはこの顔と笑顔と……後は快楽にトロけた顔しかインプットされてないでちから」
「最後は今すぐ忘れてもっとマシな表情覚えろ容量の無駄極まる」
なんて、ずっと憑いてくる悪魔と軽口を交わしながら眺めていると
あ、尚文の横のリファナが此方に気が付いたな。尻尾を軽く回して合図してる
……見てて、か。まあ見てよう
とりあえず、尚文との会話を要約するとこうだ
緑髪のふぇぇはやはりリーシア。潜在能力はクソ高いがヒロイックブーストで使えてしまうせいか普段から発現する形での開花が遅くそこそこのスペックでしかない為なんかポンコツ扱いされている
結論として、波が終わる度に勇者に与えられると言われていた金は無し。請求しないだけ有り難いと思えだそうだ。後は二度と近付くなとか何とか。その辺りは手切れ金代わりに今回の分が貰えなくなった以外は原作通りだな。で、その辺りの決定を告げつつ流石にそれはどうなんだという事で自分達の褒賞金から幾らか剣の勇者と弓の勇者が金を用意してくれたから彼等の代表としてリーシアが渡しに来たということらしい。パシリーシアである
にしてもクソナイフ。俺の読んでた物語によるとお前あいつに使われるようになるわけだが
『称号解放、読者ネズミ』
……ん?確かに読んでたが称号にするほどか?
お前リファナの為って言うとぼったくりがちょっとぼったくりになる辺りそれなりにリファナ気に入ってるよな?勇者の投擲具として勇者認定優先度どうなんだ?
あ、アイコン出た。リファナの胸元辺りに金色の丸、リーシアの胸元に銀色の丸
メダルだろうかこれ。つまり、どちらも勇者足り得るスペックにまでなったならばリファナ優先だけど二番目くらいにリーシアも考えてると。お前が選ぶの女ばっかじゃねぇかスケベクソナイフ!
……いや俺が殺してしまった勇者ユータは男だったな。で、俺は?
なんて半ば答えは知っていて聞く
『称号解放、表彰台立ち
圏外、知ってた、さすがは転生者
なんて茶番ってる間にも話は進んでいく
槍の勇者は現在尚文のカースバーニングで火傷して治療中、何か怨み言吐いてるらしいから早く逃げた方が良いですぅとはリーシア談だ
剣の勇者はメルロマルクに疑問を持ってゼルトブル辺りに波が来るまで居るそうだ。尚文も国外に行くべきだろうが狩場が重なると問題が起きるから出来ればゼルトブルは止めて欲しいだとか
弓は……イツキ様は隠れて世直ししてるんです!とリーシアが息巻いていた。尚文が興味ないとばっさりしたから良いもののほっといたら数時間イツキ様は~と話してても可笑しくなかったなあの目。俺もリファナについてならばそれくらい語れるが良くもまああのイツキについてそんなに熱心に語れるなこいつ。それはともあれとりあえず色んな場所を転々とするからという事らしい
「……準備終わったぞ尚文」
リーシアが去ったのを見計らって、俺は尚文の前に顔を出した