「……なあリファナ
何なんだコイツ」
「私とラフタリアちゃんの幼馴染のマルスくんだよなおふみ様」
「キュア!」
背後でなんか失礼な会話が聞こえる
時は夕方にさしかかろうという頃。ブラン、つまりはワイバーンの餌確保兼レベル上げとして適当に近くに出て狩りをする最中である
……といっても、やってるのは俺だけで、尚文等は後ろで見てるだけである
理由?そりゃ簡単だ。こんな場所の魔物なんぞ俺一人で片がつく。かなりの雑魚扱いできた次元ノ~より数段弱い奴等だぞ?蹴り飛ばすだけでワンパン出来るわという話である。つまり、俺一人で殲滅出来るのだから別に良いやである
危険も何もない
なんてやってると、突然視界の端にリファナやラフタリアのステータスが浮かび……
「おい!」
カースの炎が飛んでくる
あ、ついうっかり蹴り返してしまった。まあ、尚文等に当たる軌道じゃないから良いか
って良くないわこんな所で火事とか起こしたくない
「どうした尚文、俺は今消火に忙しいんだが」
あ、消せた
「パーティは4人までって、大嘘だろ!」
あ、バレたか
卵を買うときにパーティは4人までと言った。それはまあ、2パーティ組もうとするとメンバー足りないだろ?に持っていくためで、実際には4人制限なんて無い。6人までが普通で、それを越えると経験値にペナルティーがかかるというのが本当だ
「ああ嘘だよ
本当は6人までならペナルティー無しで組める」
「何で言わなかった」
なんて、尚文の奴憤怒の盾構えたままラフタリアに凄んでいる。怖がられるぞ未来の嫁に、もっと抑えろ
「リファナちゃん以外とパーティ組んだの、ナオフミ様とが初めてで」
あ、毒気抜かれたのか盾がキメラヴァイパーシールドに戻った
「で?」
「同一パーティ組めるぞと言ったら多分卵ガチャしようとか思わなかっただろ盾の勇者サマ?」
「ああ」
「だから嘘ついたんだよ。買いたかったからな」
「自分で買えよ」
最もである。だがそれではフィーロを尚文の魔物に出来なかったからこうしたのだ
リファナの大健闘によりフィーロじゃなくてワイバーンになってしまったが
「ちっ、まあいい」
ブランの喉を指先で撫でながら尚文
何だかんだドラゴンだものな、尚文も割と気に入ったから強く出れないのか
「これからは全員1パーティで行くぞ、経験値的に非効率だ」
「はいよ、っと」
さっくり二枚に下ろしたGウサピル(Gはゴールドでグレートでガッツの意味……らしい。黄金のウサピルである、訳が分からないがそれが魔物だ)の死骸を尚文の髪で遊ぶ小さな大飯食らいに投げる
おお、良い食べっぷり
ここまでの狩りで、レベルはそこそこ上がった。因みに現在の表示レベルは
尚文 Lv30
リファナ Lv34
ラフタリア Lv32
ブラン Lv11
俺 Lv53
ゼファー Lv41
という感じ。実際にはクラスアップは出来ていないので俺のレベルはこれより低いが魔法で誤魔化している。ゼファーの奴は実際はこれより高いが羽根出せてないからこんなものでちらしい。羽根の有無で別レベル扱いなのかお前。第一形態と第二形態みたいな扱いされてるのか?外見あんまり変わらないけど
とりあえず、レベル上昇によってブランはそこそこ大きくなった。元は翼を広げても掌サイズだったのが、今やリファナの頭に乗ったら翼が思いきりはみ出すくらいの大きさである。まあドラゴンだし、そのうち逆にリファナを乗せられるくらいには大きくなるはずだからな、そんなものだろう。外見は順当に大きくなってる感じ。フィロリアルみたいに一旦饅頭型になるとかは無い。動く度に鱗が数枚パラパラと落ちて生え変わっていたりはするが真っ白い鱗と羽毛に綺麗なオレンジの瞳のままだ
尚文に鱗投げるついでにクソナイフにも吸わせておく
ドラゴンシリーズだな文句なしに。ついでに魔物使いのフリスビーⅢや魔物使いの投骨Ⅱも。完全に犬の玩具じゃねぇか真面目にやれクソナイフ
因みにかなり強いものなのか尚文の奴も竜鱗の盾に変えていた。ドラゴンシリーズの盾を使う尚文……原作だと有り得ないな。フィトリアの馬鹿のせいで。何で野生最強魔物由来の盾シリーズなんて馬鹿みたいに強い武器シリーズをロックしてたんだろうなあの鳥頭(物理)
「キュア!」
「おい、まだ食うのか?」
「成長期なんですなおふみ様」
「お前らはそんなに食わなかっただろ」
「ナオフミ様に迷惑がかかると思って……」
「私達はあんまり成長しなかったからです。女の子として良く食べるというのも……だしね、ラフタリアちゃん」
背後でわいわいやってるな。もっと尚文ポイント稼げラフタリア。お前が尚文の剣になるんだぞラフタリア
なんてのは聞き流しながら、さくさくと魔物を狩っては尚文に投げる。ブランの奴がそれを貪り食う。新規魔物の場合は尚文が盾に吸わせる。その繰り返しだ。持ってきた餌である煮豆はとうに尽きている。育ちきればマシだろうがそれまでの食費(俺持ち)が大変だな
なんてやっている中、感じる異様な気配
「尚文、盾を構えろ!」
瞬間、逆手持ちしたクソナイフ(姿はシステムエクスペリエンスの宝物庫で見つけた偽・フレイの剣)でもって背後から飛び掛かろうとする何者かを貫く。そのまま手首の回転でくるっとソレを前に持ってきて……
「そらぁっ!」
一瞬手放して順手に持ち変え、ソレー白い蛇の魔物を真っ二つ
「エアストシールド!セカンドシールド!」
って、尚文やリファナが白蛇2匹ほどに襲われている。とりあえず盾を突破する程ではないようだがこの辺りでは見かけない魔物、何があるか分かったものじゃない
……ん?クソナイフでぶった斬った際に変なもの吸ったな、確認してる暇は……
無い!
軽くバックステップ、着地時に二匹目の白蛇の腹(どこから腹かは知らないが全長の半分程の場所ならば腹で良いだろ)を踏みつけ、衝撃で浮かび上がった頭を跳ねる
「まだっ!」
そのままジャンプ、そんな俺を狙ってきたボケ蛇の頭を、ネズミ秘技空中回し蹴りで割り砕く
「シャァァァッ!」
四匹目!空中では制御が効かないだろうと背後から来るか!だが、そんなもの人間の理屈!
「ていっ!」
残念ながらネズ公には尻尾って空中でも割と自在に動かせる三本目の足があるんだ。しかも足より自由に動く、な
ってことでその喉を尻尾で打ち上げ、着地と同時にまだ空中に居るそいつを両断
『力の根源たるネズミが命ずる以下省略!』
「ファスト・ボルテクス!」
空中から唱えておいた雷撃魔法で尚文側に攻撃対象を変更しようというのかな五匹目を撃ち抜く。さすがにファスト級の魔法じゃ死なないので追撃……しようと思ったがその前にゼファーの奴がどっかから持ち出した弓でヘッドショット、そのまま蛇の奴動かなくなったので放置
尚文の方を見ると、まだ二匹に集られていた。リファナもラフタリアも蛇結構苦手だからなー。俺も苦手だから速攻で殲滅した訳だが。一応二人がかりで尚文が止めている間に一匹は倒したらしいが……
上出来だリファナ。後は任せろ
白蛇どもは尚文の盾に食い付いているので隙だらけ、背後からその脳をぶち抜いて終わらせる
「知らない魔物だな。弱かったが」
なんて言いつつ、その蛇からクソナイフが吸った謎のものを……
「「ホムンクルスシリーズ?」」
盾に食い付いていた死骸を吸わせた尚文とハモる
人工生命体?ってことは……
「グルッシャァァァッ!」
見ると、ぶちのめした蛇のうち6匹が合体して6つの頭を持つ大蛇が誕生していた!
6又かよ!と言いたいが、多分尚文と俺がコア一つづつ勇者武器に吸わせた影響だなこれ。不完全合体復活。本来は八匹全部倒されたらヤマタノオロチとして復活する算段で作られた魔物だったのだろう。今回ロクマタオロチだけど
「「「「「「ジャァァァァッ!」」」」」」
六個の首が吠える
うるせぇぇぇっ!不協和音過ぎるネズミの耳には毒だリファナの声で浄化しないと
なんてやっている間に、まずは俺だとしたのか六つの首をもたげて蛇は襲いかかり……
なんで俺なんて狙うかなー
「ツヴァイト・プラズマフィスト」
予め唱えておいたプラズマ鎧に俺の腕と首筋に食らい付こうとしたロクマタオロチが固まる。生体に流れる電流を狂わせた麻痺である
「はいはい、ファスト・レビテート」
そのまま空中に打ち上げ
『力の根源たるネズミが命ずる!天地満ちる雷鳴を束ね、聖光となりて鼠が敵を魂まで灰と化せ!』
「死に晒せ!ドライファ・プラズマバーストⅡ!」
最大火力の魔法で灰にする
……あ、割と原型止めてる。火力不足か。所詮は俺の魔法だしな。でも止めは刺せたようだ
「ふう、雑魚だったな
無事だな、リファナ?」
「あ、うん……」
「ボク等は無視でちか!?」
「一匹でも大変だったんだけどマルスくん!?」
「うるせぇ盾の勇者サマのところに居てあの程度の雑魚相手に怪我するわけないだろゼファー!
あとリファナもラフタリアは未クラスアップの中良く頑張ったな。クラスアップしてなきゃそこそこの敵か」
うん、だが多分錬辺りならバラバラにして終わりって程度だろうしそう強くなかったぞこいつ。だから尚文狙ったのか、火力無さそうだし
因みに、ロクマタオロチの死骸はブランの奴と尚文の盾が美味しく?戴きましたとさ。ヴェルダン越えた肉でも美味しく食うんだなドラゴンって