フォウルの奴と合流し、リユート村を立つ
そろそろクズの野郎、つまりは杖の勇者のこんちくしょうが襲ってきても可笑しくなかったからな。その対応も兼ねてだ。後は単純に尚文一行の金が尽きたし行商でもするかという話もある
フォウルと一波乱あるかと思ったのだが、そんなことはなく。ってかフォウルの奴何でか妙に尚文相手には素直だった。何でだろうな、やっぱり亜人ってものは盾の勇者を本能的に好むものなのか?
と、聞いてみたところ、アトラが幼い頃から盾の勇者様のお話が好きだったとか何とか。特に昔家にあったふっるい資料によると昔の盾の勇者にナオフミサマなる人物が居てアトラはその話が大好きだったらしい。著は良く分からない文字だったから読めなかったらしいが……多分昔の勇者が書いたんだな。名前だけはうっかり漢字で書いてたんだろう。だから尚文という名前の盾の勇者だとアトラの事を思い出して素直になるんだと。良くそれで尚文相手に素直な態度取れるものだ。俺なら逆に敵がい心剥き出しにしそうだ
「ってかやってるよねマルスくん?」
と、リファナに言われる気がしてならない。リファナの為にそんなままじゃ駄目だというのは分かってる、分かってるんだがどうにも上手くいかない。ってかラフタリアもっと頑張れよナオフミ様の為にって毎夜毎夜半徹夜で本を読む暇があったらリファナの代わりに尚文の横でレシピ解読してやれ。そっちの方が尚文受け良かったぞ。何で親友に任せてるんだラフーずっとそうだとお前のナオフミ様が親友に取られちゃうぞラフー。お前が尚文の剣だろしっかりしろ
そんなリユート村を後にした道中、遭いたくない奴と遭遇してしまった。
「ぶはっ! なんだアレ! はは、やべ、ツボにはまった。ぶわははははははっはは!」
俺とフォウルを見て笑い転げるアレな生き物(槍の勇者)。いや、何が可笑しいんだよお前。ビッチ含む女共も笑って……ないな。ってか
「逃げられてホモに、ホモに、走ってやがる!ぶはっ!」
……ああ、そういう?と続く言葉に納得
アレか。元康から見れば結局奴隷の女の子に逃げて男に走ったように見えるのか。確かにリファナラフタリアは今居ないからな。ちょっとブランと空飛んでる
「いきなり何だ元康」
包帯の取れてない奴に、不機嫌そうに尚文が言う
「だ、だってよ
結局リファナちゃん達に逃げられて男二匹買ったんだろ?」
……ん?俺はあの時のネズ公な訳だが、ひょっとして俺、顔覚えられてない?
「女が怖いホモじゃん!しかも逃げられるってことはやっぱり酷いことしてたんだな!」
我が意を得たりとばかりに突っ掛かってくるバカ
……いや、俺の横に居たでち公も居ないし、別行動とか疑わないのか?
「ナオフミ。なんなんだこいつ?」
フォウルの奴も困惑している
「言っただろ
槍の勇者だ」
「こいつが!?ナオフミの言っていたあの?」
尚文の事情聞いてから盾の勇者も……と言ってたからなフォウル。アトラをタクトに連れていかれたように、女好きの勇者に被害にあったという点で何となく共感でもあるのだろう
うわぁ、フォウルの目が感情死んでる
「ナオフミ。ぶっとばして良いか?」
「やってしまえ」
ってオイ!一応奴隷紋の制御は俺持ちなんだが、尚文に許可取るのかフォウル
……まあ良いや
「待てフォウル」
止める。一応こいつでも勇者、それも四聖だぞ
「何だよ」
明らかに不機嫌そうだ。って尚文、お前まで睨むな
「……お前がわざわざ手を下すまでもない」
空を見上げて、俺はそう言った
「なおふみ様を馬鹿にしないで下さい!」
「そうです!ナオフミ様はそんなんじゃありません!」
「キュアァァッ!」
空から降り注ぐ言葉の矢、とついでに炎の矢。元康が居ないと笑った二人の帰還である。まあ、この方向で良いのか空から先を見てただけだもの、すぐに戻ってくる
「なっ、うわぁぁぁっ!」
包帯巻いてる辺りまだまだ火傷が残っているのだろう、辺りを転げ回る元康
「……誰が、ホモだって?」
その元康の股間を、悪い笑みを浮かべた尚文が思いきり蹴飛ばした
「キャァァァッ!モトヤス様ー!」
……坂道だからかゴロゴロと転がっていく。良い気味だなオイ
「ナオフミ様!こんな人の所離れましょう!すぐに!」
降下してきたブランの奴の上からラフタリアが叫ぶ。なんか過激化してきたなラフー。でも尚文愛ならもっとやれラフー
そのまま白い竜は尻尾でくるっと尚文の腹に一周巻き付けて宙に浮かし、その背に乗せるとそのまま地を蹴って空に浮かび上がった!
……おい、流石に三人乗ったらすぐにバテるだろうしそもそも俺(とフォウル。ゼファーは優雅に馬なんて借りてるので宿取り兼ねて別行動だ。他に馬乗れる奴居ないからな)乗ってないんだが!?
「って置いてくなよラフタリア!ファスト・スカイウォーク!」
お前もだろ!と叫ぶフォウルの首根っこを掴んで魔法で俺も空へと飛んだ。まあ、ボール遊びでキールを確実にかわすために開発した時折空中に足裏を固定するってだけのリズム良く跳ね続けないと落ちるぽんこつ魔法なんだが。でも一瞬でも空を行ければボールに食らい付くキールを翻弄できたし反則じゃないので助かってた
リズムを崩すと空中で突然足が固定されてがくっと転ける。或いはここで空中蹴ろうというところでスカって落ちる。魔力消費を考えての魔法だからその分安定感は無いのだ
尚、フォウルが暴れて見事に5分持たずに空から落ちたのは言うまでもない。ブランの奴も疲れてもう地上に降りようという時だったから助かったが
……ドラゴンって凄いと思ってたが、こういう移動はフィロリアルの方が便利だな。ブランは馬車引かないからな、歩きになる
「なので、こうして魔法で空をひょいと」
「私達がそれ使えないから却下だよマルスくん」
ブラァァン!全員乗せられるくらいに大きくなれ、なんて無茶ぶりが通る道理は流石になかった
なんて数日やっている間にやって来たのは、かつて飢餓があったという村辺り つまりは、元康の奴がバイオプラントを解放して飢餓を終わらせたという其処だな
何で来たのか?理由は簡単だ
封印されているものには封印されるだけの理由がある。例えば今俺がクソナイフにコピーさせて振るっている偽・フレイの剣ならば破壊不可の伝説の武器であり正規勇者がコピーしたら波の尖兵としては困るから封印されていた。だが、バイオプラントは別に世界の敵による封印ではない。単純に失敗作だから封印されてただけだ
そう、失敗作。どんな土地でも健康に育ちすぐに実をつける飢餓救済作物。そんなものを作ろうとしたら植物じゃ上手くいくわけがない。なので植物魔物を組み込んだ結果、どうしようもない増殖性を得てしまったのだ。って製作者バカかよ最初に気がつけよそれという話である
だが勿体なかったのか、実力をつけてから更に改良したかったのか、滅ぼされずに封印されていたものを槍のバカが解放してそのまま植えた
うん。そりゃ増殖するわな?制御効かないほどに。その地域付近に近付いただけでも全域緑。元々1月ちょっと前は飢餓に苦しんでたとか言われても此処森でしょ?となるくらいに緑。時折火が上がったり何だりで多分植物の侵略に人間が抵抗してる感はある。だが、だから何だの域。このままでは普通に侵略は広がってくだけだろう。いずれは国一つ、いや世界全土を……って流石にその前にはタクトが見かねてレベルの暴力で何とかするだろう。女の子関わらないから自分達に被害出るまでは放置だろうが
ってことで、その前に何とかしなければという話。大丈夫だ此方には除草剤を最近リファナと薬レシピ解読の結果作れるようになった岩谷尚文って切り札がいる。存分に駆逐してやろう
「な、何だこれは……」
フォウルの奴が呆然としている
「除草剤ってコレかネズ公」
「ああ、急速に緑化が進んでる噂を聞いてな。進行が早すぎるだろと思った」
言いつつ、ひょいと空から見たときに外周で火を放っていた奴等を探す
近くに難民キャンプらしきものがあり、そこだな
近付く際、延びてきた植物の蔓を叩ききる
……ん?経験値入らないな、倒せなかったか?
「ったく、ファスト・セントエルモス」
発火させて焼き払……燃えにくいな、水分多い
……だが一個は焼ききり……やっぱり経験値入らない。あれ?魔物扱いだから入るはずなんだが……
なんてやってるうちに、難民キャンプで未だに植物に抵抗する人間が見えてくる。先頭の変な覆面男が弓から炎の鳥なんかをぶっぱなして、それだけ火力が数段違うな。奴がリーダーか
って炎の鳥?弓?
……そりゃ経験値入らないわ。樹じゃんあの覆面
ジャスティスハイドマン一号「危機に陥る人々の前に現れる正義の覆面、その正体は……次の話で教えてあげます」
ネズ公「いや樹だろお前」