パチモノ勇者の成り上がり   作:雨在新人

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ネズ公、イキるの図

いや、これくらいですぞ元康なら出来ますがこの時期に撃つなネズぅ

そしてすいませんガエリオン解説は次回以降です


イキリネズミ

「あ、俺はユータ。ユータ・レールヴァッツ。投擲具の勇者だ」

 「ボクはその仲間のベルゼで……す」

 でちりかけて強引にですに言い直したなこの悪魔。まあ有難いんだけどさよくやったゼファー。そしてベルゼだと短縮しただけだぞゼファー

 

 「投擲具の……勇者」

 ころころと姿を変えるクソナイフ。竜鱗の投剣やら魔物使いの投骨やら果ては鉄の投槍でジャベリン形状にまで。偽・フレイの剣にも変えかけたけど自重。あれは死んだはずのネズミさんこと俺が使ってた剣だし仮にもあれ珍しいってか神話に出てくるような武器だしな。俺はああ遺跡で拾ったして使ってたけどそう何本もあるはずがない

 「そしてこいつらはムゥとリヴァイだ」

 「バハ」

 「言わんで良い」

 バハムートとリヴァイアサン。言ったら引かれるぞ俺のせいじゃないが

 ってレン、ぴくりと反応しないでくれ

 「バハ、ムゥ……」

 「無関係だ」

 大いに関係があるがそう言い張る

 

 「……さて、こんなところでも何だな、帰るか」

 と、パーティ申請を飛ばす。さっくり受け入れられる

 ちょっとステータス見せてもら……

 

 ……ん?

 可笑しいな、見間違いか?ってそんな筈はない。流石にこのネズミの眼はまだ狂ってない

 レベル56。ステータスもかなり高め。ってかリファナ越えてるな普通に。クラスアップ結局してないからリファナのレベルは最終40。とはいえオーバーカスタムの資質向上はこっそり掛けていっての40だ。尚文の盾には奴隷の成長に補正をかけるものもあるし、それらを合わせた結果リファナのステータスってクラスアップしてない人物としてはかなりのハイスペックに仕上がっている。まあ、素で越えてくフォウルとか居るけどあれは例外だ例外。ハクコなんて基準にしてたら勇者以外総ポンコツになっちまう。それにしても訳わからんスペックしてるなこいつ。クラスアップしてることといい、ステータス高いことといい

 でもまあ、勇者じゃないな。それは確認できる

 

 って危ない危ない。死骸が原因なのに放置してったら何のために来たんだよ俺

 ってことで、さあてと、やるか

 

 ……全て吹き飛ばす。そのためのスキル、魔法、異能……

 行けなくもないな

 「『我、勇者ユータが天に請い、地に祈り、理を切除し、世界を繋ぎとめよう。猛る激情の雷よ、龍脈の力と世界の意志と共に形を成せ

 力の根源たる投擲具の勇者が命ずる!総てを浄化せよ、雷帝の咆哮!』」

 リベレイション……のパチモノを詠唱。勇者の力で魔法と龍脈法を合わせるのが本来のリベレイションだとしたら、異能の雷と魔法を勇者の力で組み合わせるのがこのパチモノリベレイション

 その力をクソナイフに纏わせる

 バチバチして近付くだけで感電しそうになるので、異能でジャンプ。魔法でやってる方が楽なのだが今はパチモノリベレイションの制御で手一杯、スカイウォークの要領で無理に空に登っていく

 

 さて、打ち込んでおいたビーコンが遠すぎ……ってこれはタクト観察用のメイドに打ち込んだ方だ。違う違う、近くの方、さくっと去る前に竜の死骸に入れといた方だ目標は

 よし、こっちか。届くな

 そうして放つ一撃、それは……

 「解放の一撃、アルゲスの矢」

 矢状になったクソナイフを投げ落とす

 閃光の尾を引いて、その弾ける矢は突き進み

 「あ、レン。耳と目塞いどけよ。酷いから

 ゼファー、リヴァイのは任せた」

 言い忘れかけた事を言っておいて、自分も降りてフィロリアルの耳……は良く分からないがここだろ多分ってのを抑え、ネズ耳をぱたり。まあ、眼は閉じなくても良い。閃光耐性はたっかいからな俺。その気になれば太陽眺めてても平気だ。まあ、太陽明るすぎて他が見えないってのは確かなんだがじっと見てても目がイカれたりはしない。音は微妙だけどさ。にしてもあの研究所こと人類史発展未来異能解明……何だっけ、今度樹に聞こう、の奴等は本当にアヴェンジブーストに閃光耐性あるのかっていきなり寝起きにフラッシュグレネード炸裂させたりとか食事中にスタングレネードとかやらかしやがって俺はモルモットかっての。いや、マウスだったわ

 

 炸裂。爆風が頬を撫でる

 流石に大気がプラズマ化したとはいえその影響はここまではほぼ無い。あくまでもその余波の爆風が届くって程度だな

 ……あ、村に警告忘れてた。いやまあ良いだろ、見上げるほどの元気ある奴多分居ないし

 アルゲスの矢。俺のアヴェンジブーストと魔法とスキルの合わせ技……って言っても覚醒段階で撃てるものの再現みたいなものなんだけどな。一応分類としてはスキルまたはリベレイション魔法……って事になるんだろうか

 要は、着弾点の周囲をプラズマ化して吹き飛ばすだけの単純明快な魔法。それで病の元凶であるドラゴンの体をプラズマに変えて処理したのだ

 欠点としては、物質がプラズマ化するので周囲が吹き飛ぶ。疫病の原因は浄化されたが、周囲は蒸発した訳だな。まあ、それで病系のモンスター共や淀んだ大気も一掃しようという魂胆だったのだが

 

 「せ、世界が終わったでちか……」

 「終わってないぞゼファー」

 ふらふらと立ち上がり、かつて竜の死骸があった辺りの更地を見る

 「……蒸発はやり過ぎでち

 何したんでちか……」

 ……ごもっとも

 「ちょっと処理すべきものを光に変えてきた。爆風で淀んだ空気も吹き飛ぶだろ。プラズマ混じってるから毒素分解もある程度されるしな」

 「普通物質は光にならないでちよ!?」

 「いや、俺実の父親を光にした事あるから。実はキレてて良く覚えてないけどさ」

 「お、親不孝でち……」

 ちなみに、レンとフィロリアルズは気絶してた。炸裂した閃光キツかったか

 

 「まあいいや、ポータルジャベリン」

 俺達は更地となった竜の住処を後にした


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