「盾の勇者の仲間でちか?」
「そのうちなる、ってだけだけどな
竜帝の欠片とか持ってるし、確保しておきたかったんだけどな……」
「竜帝……ああ、応竜でちか」
ふむふむと頷く少女
「ゼファー、お前竜帝の正体知ってるのか」
少し驚いて聞く
「当然でちよ。そりゃ知ってるでち
ボクは悪魔、そのデータベースには過去の波に関しての記録はしっかり残ってるでちよ
というかマスター、マスターも応竜……というか四霊について知ってるなら分かるはずでち。誰が天才達を唆して四霊についての伝承やらを歯抜けにしたり嘘混ぜたりさせたと思ってたんでちか?
四霊結界を貼られてむかーし昔にかつての波が失敗した後のボクじゃない悪魔達でちよ。当然その時の仇敵のデータが無いなんて有り得ないでち」
「負けてんじゃねぇか」
半眼で突っ込む。いや転生者ってか女神を名乗る側がこの世界に負けてないと今はないんだけどさ
「当時の転生者は不甲斐なかったでちから……
でもその時に世界の2/3の魂を捧げることで四霊結界を貼られる事は理解したでちよ。次は面倒だから勇者と四霊で同士討ち的に勇者に倒させて2/3行かせないと転生者達は意気込んでたでち。四霊は応竜以外基本喋らないし勇者にへりくだらないから同士討ちが可能でち。さらには素材が優秀だか何だかで煽れば勝手に倒しに行ってくれるでち
まあ、応竜に最初に復活されると奴だけ喋るからバレるでちが、その対策の為に何とか悪魔竜に重要な記憶部分の欠片を取ってきて埋め込んで復活を遅くしてるでち
プラド城に居るあいつでちが、マスターも会ったことあるでち?」
「素通りしたな。欠片入りなのは知ってたが刺激して倒す自信が無かった」
「欠片が欲しかったなら貰ってくるでちよ?」
「それをくれとか怪しすぎる……」
「そりゃそうでち。くれと此処で言ってたら裏切り者でちよ」
「だよな」
偉いでちと頭を撫でようとするでちは無視
予め言っておいてくれるから罠は分かりやすいし引っ掛ける気も多分無いが、それでもたまーにこうして会話に即死トラップがあるのが心臓に……いや分かりやすすぎて悪くないな
「ってかなら絶対に集めきれないように欠片を集めたら?」
「うっかり集めすぎたら本拠地で復活されるでちよ。許容量知らないから危険は犯すべきでないというのが統括者の結論でち」
「…………それもそうだな」
確かにと頷く
竜帝の欠片。そもそも、純粋なドラゴンというのはこの世界には1体しかいない。それ以外、つまりはブランとかの一般的なドラゴンは全て亜種だ。その純粋種こそが竜帝。或いは……応竜。勇者とは別の形で、世界を守る存在である四霊の一体である。因みに、残りは霊亀、鳳凰、麒麟だ。かつての勇者等によって普段は各地に封印されており、波が進行していくと霊亀から順に封印が解けていく。まあ、応竜だけは竜帝の欠片って名前で亜種の竜の中にそれはもうばらっばらに封印されてるのである程度欠片を一ヶ所に集めないと復活しないんだけどさ。逆に言えば、他の四霊とは違い欠片さえ集めれば何時でも復活するのが応竜だ。本来は最後の四霊なのだが麒麟より前にどころか、その気になって欠片さえ収集出来れば霊亀すら解放されてない今すぐにでも復活させられる。まあ、そんな量の欠片持ってないけど
そして、彼等四霊の役目は波を防ぐ結界を貼ること。その結界の材料は人間や亜人の魂であり、目覚めた四霊は世界を守るために住民に牙を剥く。大体全人類の2/3の魂が波を……つまりは女神を名乗る者達の影響を防ぎきるのには必要であり、1/3だけでいいから生かすために2/3を捨てる多大な犠牲を強いるわけだな。まあ、犠牲は多いが勇者達が転生者の妨害を受けつつも最後の波まで防ぎきるとか、融合したとしても降り立った神を名乗るあんちくしょうをぶちのめすとかよりはまだ確実な波の終結方法だ。そちらの道を選ぶというのも、自分が生き残る1/3だと確信できるならば支持したいかもしれない
まあ、そのやり方も確実じゃないんだけどな!そもそも結界でも永遠に守れる訳じゃないし(一度結界貼ったこの世界にまた波が起きてることから推して知るべし)、第一転生者どもは全力で四霊を倒しに行く。なので2/3の魂を集める前に四霊が全滅させられれば、四霊のやったことは世界の人類を大虐殺しただけという酷いオチになる。世界を守ると意気込んで世界の敵やっただけじゃねぇかそれだと。更に原作では……麒麟辺りは転生者のタクトにさっくり負けてるんだよなあいつ……マジで使えねぇ!
なので、いっそ最初から四霊解放して2/3生け贄パターンで波を終わらせようぜというネズミ式最低最悪手段は却下した。復活した四霊は取り込んだ魂をシェアする為かリンクが発生するし、封印場所も知ってるから封印場所に予めポータル取って解放した瞬間に次の封印へ飛ぶ感じで霊亀鳳凰麒麟のほぼ同時解放をすればって話はあるが、タクトとかに万一全滅させられた瞬間に意味がなくなるし、応竜復活も無理だからな現状は。応竜さえとっとと解放できるなら全四霊同時解放で一考の余地はあったろうが
まあいいや。復活しない応竜の事を考えても仕方ない。ってか死んでた竜ことガエリオンは竜帝の欠片持ちの竜だ。その欠片が無くなってたってことはタクトが回収したって事だけどあいつ何やってんだろうな応竜復活でもさせたいのかよ。いや、竜帝の欠片持ちの自分のハーレムメンバー(確かレールディアだっけ)強化しか考えてなさそうだけどさ、本来その果てに復活するのお前らの天敵だぞ。愛のパワーで応竜化して全てを知っても尚本来仇敵な尚タクトの味方で居続けるとかいうミラクルが無い限り応竜に戻った瞬間に転生者のタクトを殺しにかかっても可笑しくない
「マスターマスター、あの死んでた犬耳から何か見てたでちが、あれは何でち?」
「タクトのハーレム入りを毅然と拒否した女の子の成れの果て?」
「惚れなきゃ殺されるんでちか……」
「どうだろうな
少なくとも、あいつは怨み言ぶつけたから殺されたっぽいが」
「怨み言でち?」
「あの犬耳、ウィンディアって言うんだけどさ。あいつも本来は盾の勇者の仲間にそのうちなる
で、ドラゴンに育てられたからかドラゴン大好きで、盾の勇者と良く激突するって感じ。なんだけど、あの死んでたドラゴン育ての親で
……育ての親の死骸を凌辱されて竜帝の欠片奪われて、その上でその主犯のハーレム入りしろとか言われたらそりゃ噛み付くわなって感じ」
「殺したのは違うんでち?」
「ゼファー、思い出せ
そもそも俺が此方を目指したのは、樹から錬が倒したドラゴンの死骸がという話を聞いたからだぞ?殺したのは錬だ」
「仇は剣の勇者でちか」
「なんで、タクトが介入しなかったらそのうち親殺しの剣の勇者を恨んでた訳だな。もっと恨めしいのが来ただけで」
「酷い話でち」
と、そこで近くに寝かせておいた(此処はポータルで飛んだ先の近くの村で貸してもらった宿の一室ことフィロリアル小屋である)黒髪の少女が身動ぎした
ねずこうよしっているか
槍直しで登場する応竜は基本タクトの為に勇者に牙剥いてるから普通に愛の力は偉大だ