「ネズミネズミ!とりっくおあとりーとだぞ!」
「甘いなキール!両親居ない俺ならお菓子が無いとでも思ったか!しっかり昨日のうちに狸の親父から確保しておいたっての!」
「うん、マルスくん。でもそのお菓子ってお家の……リビングの上だよね?今居るのってマルスくんの部屋だよ」
「はっ!用意したお菓子より甘いぞリファナ。どうせ朝一に窓からキール辺りがドンドン叩いて来るだろと枕元に一部置いておいたのさ!」
「あ、じゃあ私もトリックオアトリート」
「ら、ラフタリア!?お前遠くから見てるだけじゃ」
「リファナちゃんに呼ばれて」
「多分わたしとキールくんとで二人計算だよね?じゃあマルスくん、トリックオアトリック」
「せめて選択肢を出せリファナぁっ!
いや、その通り、二個しか用意してないけどさお菓子」
しまったぁ!と大袈裟に寝ていた(実はキールを待っていたので起きてたんだがそれは良いや)ベッドから転げ落ちる。事前に掛け布団は床に落としておいたので痛くはない。でもこんな日の明け方に何時キールが来るかと布団を下に落として待ってるのはちょっと寒かったぞ
「マルスくん、大丈夫?」
「知っての通り」
「じゃ、さっきのがわたしへのトリッ……」
「ごめんリファナ普通にお菓子くれtrick or treat!」
言いつつ、ひょいと立ち上がって家の窓から三人の居る外へと飛び降り
「はい、お菓子」
見た瞬間、リファナから貰ったお菓子が爆発した。いや、正確には袋縛っていた紐の端をリファナが握っていて、俺が持ったのを見て離したので中身が吹き出したんだが
「うぎゃっ!」
避けよう、と思えば避けることだって出来たろう。いや、ある程度悪戯の種類は予測してたぞ?去年のパターンだし。去年はキールだけくる想定で一個お菓子を置いておいたらリファナも来て悪戯をくらい、今年は多分誰か連れて三人で来るだろうなって思ったから、リファナからの悪戯を受けるために2個だけお菓子を用意しておいたのだ
今日はハロウィン。かつての勇者が広めた仮装パーティ……というには亜人だし端から見れば仮装だって事で普通のパーティだが、お菓子をくれなきゃ悪戯するぞってのはしっかり文化としてあるのだ。trick or treatって言葉の意味は……多分半分くらい分かってないけど
皆で楽しむ日として、それは此処メルロマルクのルロロナ村にもある。ならば、全員にはいお菓子、と返して悪戯を回避するとか最低の所業。しっかり1~2発悪戯を食らうのがハロウィンの礼儀と言うものである。いや。今年10歳のハツカ種な俺が礼儀なんぞ語って何になるのかは置いておいて
避けずに食らったのは……黒インク?
「白黒ネズミだ白黒ネズミ!」
キールが何が楽しいのか大はしゃぎ
いや、見てる分には楽しいのかもしれないが、残念ながら食らった当人はそのパンダのように白黒まだらの自分の姿を見れないのだ
「あはは、拭く?」
「いや、折角だから今日はこれで行く」
「乾きすぎると髪にへばりついちゃうから気を付けてねマルスくん」
「分かったリファナ
で、本物のお菓子は?」
なんてやっている横で、俺が出したお菓子を既に空けてるキール。良いのか朝ごはん前だろ?良いのかハロウィンだしそこら辺はキールの親も分かってる
ということで、仕掛けさせてもらおう遠慮なく
「美味しいかキール?」
「美味しい!」
「横のは別の味だな」
言われ、手にした持ってきた袋を空けるキール。うん、しっかりひっかかってくれるのがキールだ。リファナだとひっかからない
「こっちも美味しい!」
「んじゃあキール、trick or treat」
「そっちも甘いぞ!ここにネズミ用のお菓子が……」
あれ?と首を傾げるキール。眼前の犬娘からしてみれば、持ってきたはずのお菓子が忽然と消えた……と一瞬思ったのだろう。いや、しっかりととある場所にあるぞキール
「今お前の口の中だキール
ということで、悪戯確定な」
「うわぁぁぁぁぁぁっ!しまった!またネズミにだまされたぞ!」
なんて、ここ3年で細部こそ違えどそこそこ確立したやりとりを、ラフタリアはちょっと遠くで苦笑しながら見ていた
……これは、前年の記憶。今年も続くとその時はまだ思っていた、二度と来ない日の……俺の思い出
ハッピーハロウィン!trick or treat!
……10:31に投稿すべきだった(反省)
読んだ人は分かるように、本当に一切本編とは関係ないルロロナ村時代のネズ公補完です
次のボス戦の難易度。イージー以下、ノーマル、ハードで以降の展開及び一部キャラの生死が多少変わります。締め切り11/1(金)の15:00頃。では、次のボス戦のシーンタイトルは…
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舞い降りる神鳥(難易度:強制勝利)
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3/12の偽神(難易度:ベリーイージー)
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1周目のラスボス(難易度:イージー)
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4/7の最強勇者(難易度:ノーマル)
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皇女に捧ぐは真なる愛(難易度:ハード)