漸くメイン○○○○の登場ですからね
「槍
全くなっさけないわね本当」
嘲るような声
片腕をボロ雑巾にした教皇の背後。神官達に安全のために囲まれていた一人の赤毛のビッチが、とりあえず動けないように全身の筋を切って転がした元康を
「ま、マルティ!?」
驚くような元康の声。いや、そいつビッチだから当たり前だろ。勝ち馬に乗る。その為なら何でもする。何たってあのクソみたいな女神メディア以下略の端末だぞそいつ。本人に自覚はないだろう。だが、女神の勝利のために、男をたぶらかし取っ替え引っ替えして事態をかき回したり勇者を妨害したり転生者をサポートしたり、女神の降臨の際に器となる。それが役目の存在だ
つまり今回は、勝ち目が無いなと思って実は槍に洗脳されてたとか三勇教に脅されてたとかそんな感じ此方に取り入る気なのだろう。調子の良い女神だな
ま、知らなかったということで処理するか。えっ?女神様の端末とは露知らず、トテモモウシワケナイコトヲシタナーという奴だ
だが、俺の予想は外れ
「貴方がやっぱりそんな程度だから、あの人を呼んでおいて助かったわ」
……あの人?
瞬時、フィトリアが何かを感じて駆け出す……前に、地面に転がした元康の腹に閃光が突き刺さった
「マル……ぐはぁっ!」
同時、その体から飛び出す光
……殺された?いや、違う。何処かへ飛び去るのではなく……ビッチの背後へと直線的に移動する。この、挙動は!
「へぇ、これが勇者の槍か」
と、三勇教の神官達の壁が開き、一人の男が姿を現す
「げ、タクト……」
軽薄そうな笑みを浮かべる金髪の偉っそうな男の名はタクト。タクト・アルサホルン・フォブレイ。ご存知この世界最強の転生者である
「……タクト?」
と、リファナが首を傾げ
「知り合いかよネズミ」
と、尚文は刺々しく
「……タクト?」
フォウルが少しだけ悩む素振りを見せ
ヤバいか、あまり使いたくはないが奴隷紋を発揮する時が来たようだ
「タクト……タクト・フォブレイ……
お前が!お前がアト……」
言い切る前に、奴隷紋を発動。フォウルの動きを封じる
「ちょ!何してるのよ!」
メルティらしき青髪は無視。ってか拾ってたんだな原作通り。てっきりフィーロが居ないからニアミスでもしてるものかと思ってたのだが
「敵はあっちよ!それとも、まさかアンタも向こうの仲間なの!?」
「いや、自殺を止めただけだ」
「自殺?」
「フォウル落ち着け
確かに俺が言った妹のアトラを買っていったクソこと鞭の勇者だあいつが」
「ならば!」
奴隷紋を解除した瞬間に此方に食って掛かる少年。食い殺す域だな
「今のお前じゃ勝てない。一人で向かっていっても死ぬだけだ」
「だとしても!」
「お前は愛する妹に無謀なことして冷たくなった死骸の自分を見せたいのか?」
少なくとも俺は瑠奈にそれをされてたら自殺してた自信がある。リファナにされたら……自爆で敵討ちだな
「……ぐっ」
止まってくれたようだ。アトラの名前出せばチョロいなこいつ
「……誰ですかその人は!」
と、そんなバカを他所にラフタリアが真面目に向こうと会話を進めている
「誰、だ……よ」
あ、元康も生きてるっぽいな。立ち上がれないようだが
「よくぞおいでくださいました神よ」
と、教皇の奴が足を折って礼を取る
神……。なんだ、三勇教はタクト教にでも鞍替えしたのか。ドクソ宗教から超ド級クソ宗教へ。何一つ変わらねぇな!
「ネズミ、知ってるなら答えろ
あいつは何なんだ!」
「そういきり立つものではありません、無礼ですよ悪魔共
彼こそはこの世界に降り立った現人神。全ての勇者武器を束ねる神の化身
総ての勇者タクト・アルサホルン・フォブレイ様であらせられます」
総ての勇者かよ!大きく出たなオイ。持ってるの鞭と槌と爪と……後は槍だけだろうに
「目障りだ!タイラントアックス!」
斧スキル!?斧まで回収されてたか!原作から俺が持ってる投擲具が消えて代わりに元康が槍をパクられた形か!
「食らうかよ!バーストゲイザーⅢ!」
下手に剣を会わせると盗られる。それを分かっているから直接受け止めることはせず、炸裂するグレネードに姿を変えさせ吹き上がる爆風で落ちてくるオーラの斧を逸らす
いや、俺も転生者だから盗られるかというと引き合って戻せるけどな。それをやると怪しいのだ。折角正規のフリしてるんだ、正規っぽいものを通そう
……Ⅲくらいあれば斧スキルなら逸らせるな。弱体化したからどうかと思ったが、戦えなくはない。寧ろフィトリアが居ると思えば楽勝……と、言えれば良いのだが
「そして皆様も」
「タクト!」
「タクト様!」
「たくとー!」
更に背後からぞろぞろと。よーく見るとちょっと遠くに降り立っていたドラゴンから女共が降りてきては此方へ向かってくる。勘弁してくれって数。数十人居るぞオイハーレムメンバーをこんな連れてくるとかバカかよこいつ。トゥリナとかいう危険な狐女が居ないっぽいのが救いか。幻貼られたらヤバすぎる。同士討ちとかさせられかねない
まあ、巨大なドラゴンって時点でタクト側の仲間の最大戦力であるレールディアとかいう名前の竜帝の欠片は此処に来てるんだけどな
「ばちばち、いやなのがいるー!」
「あのドラゴンか。殺ってくれるかフィトリア」
「うん!がんばる!」
やる気十分である。呼んできておいてよかった。いや、クソ竜帝居るんだけど倒して?と今からコールしても間に合ったか?
「そういえばブランは?」
と、竜帝で思い出したが尚文のところにワイバーン置いてったはずだ。どうしたんだあいつは
「偵察に行って貰っている隙を狙われた」
「つまり別行動中か」
レールディア辺りに見つかってさくっとされてないと良いが
「生きてるはずだ」
まあ、魔物紋で状態分かるしな。特に問題はないのか。俺はやべぇなと思ったからフィトリアのポータルで近くまで飛んで(尚文に会いに行ったことがないフィトリアは流石に直接尚文のところ、でポータルを発揮できないので近くの森に運んでもらって)そこから全速力。幾らパチモノ劣化していようと、勇者の本気の足についてこれる生物はそうは居ないので仲間は置き去りだ。まあ、あのドラゴンの居る方向とは逆なので鉢合わせはしてないだろうが。にしても危なかったな、カッコつけの為にアストラルシフトぶっぱしたせいでSPがあまり回復していない。あれ全消費なの忘れてた
「……尚文、教皇は任せた
リファナ達を頼む」
元康は無視。死にかけだしな
レールディア達タクトの取り巻きはフィトリアに頼むしかない。俺なら恐らく戦える。だがそれではタクトを止める役目がフィトリアになってしまう。それは危険な気がして。やはり転生者の相手は転生者がやるべきだろう。ってか、タクト一人よりも取り巻き複数の方が強いからな。最大戦力はそちらに当てるべきだ。尚文等?あのハーレムの最低レベルは200あったはずだ、リファナを殺す気かその選択
「全く、遅いわよタクト!」
なんて、そんなヤバいものを呼んだらしいビッチは調子に乗っていて
「ってちょっと待ちなさい、私はタクトの味方よ、敵はあっ……きぃやぁぁぁぁぁぁっ!」
あ、何かタクトハーレムメンバー共から銃で撃たれてる
「タクト様ではなく他に走った裏切り者!」
「タクト様は総ての勇者!国教たる三勇教すらそれを認め神とした以上、今更王女なんて居なくてもメルロマルクはタクト様のものなのよ!」
「正直ウザかったし、消えてくれる?」
「タクトさま以外に愛を囁く人が何でこの世界に生きてるのよ」
……ボロックソに言われてんなあいつ!いや、まあ、タクトハーレムメンバーってタクト好き好きだらけだし、理由ありとはいえタクト以外に靡いたように見えるビッチは嫌いか
「た、タク……ト」
「俺以外に尻尾を振るビッチが!穢らわしいんだよ!」
「そうじゃ!そこの元槍と懇ろにしておれ!」
タクトに拒絶され、全身の服を大量の銃弾でズタズタにされたビッチは、穢らわしい雑巾でもゴミ箱に投げ入れるような顔で、ネリシェン……だったか、アオタツの女によって転がる元康の横に放り出された
「タクト様の素晴らしさを知らないからそうなるんです」
と、仲間がズタズタにされたのを当たり前と冷ややかに呟くタクトハーレムの一人
……ちょっと目に光が足りてないちょっと幼げな女の子。生ける屍とまでは言わないが、見てるだけで不安になる虎耳の……
ってこの娘はまさか……
「ア、アトラァァァァァァッ!」
やっぱりかよぉぉっ!ふざけてんなこの世界!
おまけのようなスキル解説
フィトリアルストライク
フィロリアルストライクの上位スキル。フィロリアル型のエネルギーを放つという点は同じなのだが、違いとしてはオーラの色が人によらず青みがかった銀に固定されること、そしてバカデカい事。火力そのものは下位スキルとそこまで大きな差は無いのだが、オーラが普通のフィロリアルサイズ(2mちょい)ではなくクイーン形態フィトリアサイズ(18m)かつ翼を全開にした形状で飛ばす関係上横幅数十m近くを凪ぎ払う為に避けにくく多くの敵を巻き込めるという利点がある。乱戦で放つと大量に仲間を巻き込むクソスキルな事は言うまでもない
解放する為の武器は神鳥シリーズの一つ、神鳥の投輪。解放素材は神鳥の冠羽。要はフィトリアの頭のアホ毛取り込めば発現する武器に附属するスキルなので、同シリーズのスキルは他の勇者武器にもある。例えば盾の場合はフィトリアルウォールで、弓の場合はフィトリアルシュート