パチモノ勇者の成り上がり   作:雨在新人

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なーんか途中で口調が変になっていきますが、仕様です
本当にこれ同一人物かとなるかもしれませんが、だんだんとですぞ化していくのでこうなりましたお許しください


目覚める真の愛

腹に大穴が空き、俺は地面に倒れ伏していました

 どうしてこうなったのだろう、何処で間違えたのだろう

 俺は全ての女の子を幸せにしたくて、涙なんか見たくなくて、戦ってきたのに

 

 ああ、死ぬんだなと自分でも分かる。これは、一度だけ感じたことがある感覚だった。あの時……ちょっとだけ違うエメラルドオンラインの世界に来る前に、あの子達に刺されたときに

 

 だから今度こそと思っていたのに!幸いにも俺が選ばれた槍の勇者という特別な職業は本当にチートで、ゲームであれば選んで極一部だけしか覚えられないはずのスキルを片っ端から覚えることが出来たし、本来は失敗するとロストしてしまうので貴重な武器でやる場合は課金アイテムでのロスト対策が欲しかった精錬も失敗時のリスクが精錬度ロストだけで済むので気が済むまで試せた

 この力さえあれば世界を救える、女の子達の涙を見なくて済む。そう、思っていたのに

 こうして俺は今、地面に転がされていた

 勇者の槍も何故か奪われ、何一つなせずに

 

 どうしてなのです?何故、こんなことに……

 何がいけなかったのです、マルティ?と、閃光を放ったらしき者を呼んだ少女に問い掛けるも、言葉が口から出ません

 何故……ですか?正直な話、尚文がマルティを強姦したという言葉を信じていた訳ではありません。最初から、恐らくはその言葉は嘘だと分かっておりました。これでも、本当に強姦された女の子に何故だか好かれた事もある身、その言葉や涙に嘘が混じっているかどうかくらいの事はわかりますとも。ですが、それを俺は受け入れたはずです。きっとマルティにも何か考えがあるのでしょう、と。そして、あの波の後のパーティーでその理由は明らかとなりました

 マルティは人知れず自分が強姦されたという汚名をわざわざ被ってでも、あの盾の悪魔岩谷尚文をこれ以上の悪行を重ねる前に排除しようと思ったのでしょう。強姦されたとなれば、王女としてはかなりの汚名です。普通に考えて、傷物にされたと噂が広まるリスクが高すぎて嘘などついても王女である自分の名前の方が余程傷が付いてしまうはずです。だからこそ、皆はあの嘘を信じたのです。そんな捨て身の嘘までわざわざつく筈がない、だから本当にされたのだろう、と

 

 そう。そこまでしてでも、マルティはあの盾の悪魔を排除しなければ世界が大変なことになると気が付いたのでしょう。だから、ああしたのだとあの時理解しました。俺に近づいてきたのも、きっと俺が一番勇者の中で頼れると思ってくれたからなのだと。その想いに応えなければと

 

 ……なのに、何故なのです?何故俺はこうしてマルティにすら裏切られているのですかな?一度刺され、俺は死にました

 だからこそ、皆を本気で愛するべきなのだと、放置してしまったからああもあの子を追い詰めてしまったと反省したのに!

 女の子は等しく、信じてあげなきゃ……そうだ。二人が思う、俺への愛を信じてあげられなかったからなんだ。だからちゃんと言ってあげればよかったんだ。みんな俺を信じてくれるし、信じてる。だから君達も信じて楽しく生きて行こうって

 もしも、もしも次があるのだったら、信じよう。女の子は等しく天使なんだから、俺が信頼を得なかったのが悪いんだ

 そう、信じて動いていたのに!

 

 どす黒い感情に心が染まっていく。何故、誰も助けてくれない?何故、こうしてマルティの呼んだ男に撃たれ、こうして一人死んでいく?あのイタチの女の子には、突然現れて助けてくれるネズミが居たし、盾の悪魔にすら、洗脳されているけれども守ろうとしてくれる女の子が居たのに!

 

 ……見るな!そんな目で……興味の欠片もない目で俺を見るな!

 

 心が真っ黒に染まる。それは怒りからなのか、それとも何一つ考えられなくなっているだけなのか。それすらも分からなくなり始めて。もしもこの手に槍があれば、盾の悪魔(岩谷尚文)みたいにあの禍々しい姿の武器が出せた気がする。けれども、俺の手に槍はなく。何一つ、出来ることはなく

 

 そんな俺に、何かが覆い被さった

 ……マルティ?

 「俺以外に尻尾を振るビッチが!穢らわしいんだよ!」

 「そうじゃ!そこの元槍と懇ろにしておれ!」

 響いてくるそんな声

 

 ……ふっと、真っ暗闇であった意識に、光が差した気がしました

 マルティは、きっと裏切ってなんかいなかったのですぞ。奴が……タクトと呼ばれたあいつが、勝手にマルティの信頼を裏切ったのです

 マルティは、俺の為に増援として彼を呼び、そして裏切られた。そうでなければ説明が付きません

 

 馬鹿ですかな俺は。あの時、女の子は天使だから信じると言ったその心をしっかりと持っていれば裏切られたなんて疑心暗鬼から変なことを考える必要も無かったはずなのに

 そうだ。信じるんだ……彼女の言葉を。全てを

 

 「どうしてよ」

 どうしてなんだ

 「私は特別な存在のはずなの!」

 息も絶え絶えに、マルティは呟きます

 そうです。すべての女の子は特別な存在

 「そんなものの、何処が特別よ」

 ……駄目出しされてしまいました

 というか、俺の声が届くのですかマルティ

 俺は全ての女の子を特別に

 「全員が特別だなんて……誰一人特別じゃないのと同じ

 バカじゃないの」

 ですが……

 「全員に特別なものをあげていたらそんなの特別なものではなく当然のもの」

 ……確かに、そういう子はおりました。ですが、俺は皆と仲良くしたくて

 

 ……いえ。間違っていたのかもしれませんな。そもそもが。第一、女の子はみんな天使だからと言っても、まず前提として昔の俺だって女の子達の事は信じていたはずです。流石に全て信じきってはいませんでしたが、みんなの事が好きで信じていたことは間違いありません。ならば俺があんな覚悟を決めたところで、同じ失敗をしない程に変わるものでは無かった、と言っても間違いではない。かもしれないのです

 

 ……ならば、あの時本当に俺が誓うべきであった事は……

 血と共に涙を流すマルティを、霞んだ目で見ます

 ……そう、ですな

 あの時の俺に本当に必要であった事は、前の続きをやる事ではなくて。みんなと仲良くしたいという思いを捨ててでも、誰かの為にあることを決める事だったのでしょう。一度死んだ事で、心機一転して

 で、あれば。あの時の思いは……俺が、本当に信じるべきであったのは……

 

 ……ですが、全てはもう遅いのです。俺も、マルティも。もう死を待つばかり

 あの時もこう思い……そして、それは叶えられました。ならばもう一度、思ったところでバチは当たらないはず

 もしも、もしも次があるのだったら……今度こそ

 俺は、君の涙を止められる特別な……

 そんな俺に、何者が語りかけてきた、そんな気がして

 

 気が付くと俺の目の前には、光輝く槍が浮かんでいたのですぞ

 これは、また何処かに呼ばれたのですかな?

 いえ、違いました。俺に語りかけてきた優しい声のこの世界の女神の言うように、此処はさっきの場所のようですぞ

 ですがもう間違えません。俺は北村元康。マルティ・メルロマルクの騎士なのですぞ!

 だから……俺と共に在れ、槍!

その瞬間、倒れたままの俺の手には煌めく光と共に槍がしっかりと握られていて

 

 神の加護によりカースシリーズ。ラーススピア、ブレッシング!

 真愛の槍"レオンハート"が強制解放されました!

 『ブレスシリーズ』

 ブレスシリーズはカースを乗り越えし者にのみ授けられる強力な武器のシリーズです。デフォルトの槍として存在し、変化する武器の力を付与させます。装備ボーナスは変化させた槍に依存します

 

 真愛の槍"レオンハート"

 能力解放……装備ボーナス、スキル「ハートブレイズ」「王の槍」「チェンジブレス」

 専用効果 獅子の纏い エンチャント 祝福 オールレジスト スペルサポート、受け継がれし力:獅子

 かつての勇者の魂と共に……誓いが受け継ぐ、愛の槍のひとつの形




君を守るため そのために生まれてきたんだ
あきれるほどに そうさ そばにいてあげる

ですぞーっ!
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