「ヘリオス……」
で、誰?
と、そういう反応しかしようがない
「
そういえば、フィトリアの記憶の中で見た彼、ゼウスを名乗る神も似たような名乗りをしていたのだったか。ゼウス・
「何か、ドラゴンみたいな名前だなそれ」
実際はドラゴン全く関係ない言葉なんだけどさバシレウスって。意味としては君主とか皇帝とかそういったものなギリシャ語だったはずだ。ギリシャの神の名を名乗っているからギリシャ語なのは違和感はないか
何でそんなの知ってるかって?昔の……御門讃の話だ。サッカー部の皆で渾名付けようぜ!企画でカッコつけて聞き齧ったそんな言葉を渾名に使ったんだ。フィールドの
「ドラゴン、やー!」
「別に名前の響きが似てるなってだけだよフィトリア
まあ良いや、リファナ、頭は大丈夫か?」
「ちょっと酷くない?」
「いや、俺の名前が出てくるってことは、そこそこ思い出したかってこと」
……すまんリファナ、頭大丈夫か?って酷い言い方だわな
「う、うん」
「よし、試してみようか」
どんな質問が……って最初は決まってるな
「リファナ、お前の親友は?」
「えーっと」
と、小首を傾げる幼馴染。本当にすぐには出てこないんだな、ぶっ殺すぞタクト。いや、違うな。一回ぶっ殺したがもう一度だ
「ラフタリアちゃん」
「正解。じゃあ、婚約者の俺のことは?覚えてるか?」
因みにこれは嘘。当たり前だけどな
「えっ!?そ、そうなの?
ご、ごめん」
少女は、耳をぺたっとして申し訳無さげに謝……ろうとして、不意にじとっとした目になる
「覚えてな……ってマルスくん
それ、嘘だよね?」
「ああ嘘だよ。そもそも無かったことになったし、第一事実だったとして、相手は多分ラフタリアだ」
一人ぼっちの俺に、いっそお前女の子の友達居るし、婚約という形でいっそ実質家族にでもなるか?と
「あはは」
「あれが嘘だって分かるってことはそれなりに調子取り戻してきたなリファナ」
「……マルスくん
わたしがその言葉に騙されてたらどうしたの?」
「真っ赤な嘘だよ。記憶まだ混乱してるなゆっくり休めよリファナ、って返してた」
「ホントに?わたしが混乱してるのを良いことに勝手に恋人だったことにしたりしない?」
……それはそれで……ってダメだろ。一瞬考えてんじゃねぇよ俺アホか
「やらないさ」
「だよね
でも、わたしの記憶の中でタクト様ならやるかもっていうのがあって……」
「よくそんなのに惚れるな」
相手の記憶が曖昧なのを理由にあることないこと吹き込む……とくにそれが一生に関わる約束だとか割とガチめのクズだと思う
タクトならやりそう。ってか今正にリファナが苦しんでるのがそれだが。この場合は記憶を混乱させてる原因もタクトなのでタチが悪すぎる
「あはは、だよね。普通のわたしなら、きっとそう思う」
「違うのか?」
「えっと……そうやって強引にでもわたしを欲しがってくれるなんて嬉しい、ってヘンなわたしがちょっと居るかな」
「……影響は消えきってない、か」
まあ、特別な存在であるタクトにそれだけ求められてる……って思考になるのか?分からなくもないようなアホかと切り捨てたくなるような
「後で絶対に悲しむと思うんだがなそれ……」
「まあ、タクトさ……じゃなくて、タクトなら兎も角マルスくんならそう言うよね」
何か納得されたんだが。どうしたんだリファナ
「それで、フィトリア
いい加減降りるか」
ぐはぁ!した時にリファナは離していて
その言葉に従ってはーいとフィトリアは小さくなる。まあ、下手なフィロリアルと違って全裸とかそんなことはないので安心だが
「……って、ちょっと端が焦げて解れてるけど大丈夫か?」
「気にしなくてだいじょーぶ!」
……良いのか。折角の可愛らしい服なのに
と、地面に着いて辺りを見回す
……あ、ここフィロリアル厩舎だな。今はフィロリアル居ないけど
「そだよー
フィトリアみたらね、みんなでてっちゃったの」
……気の毒に。突然女王が押し掛けてきてすやすやと眠りだしたらそりゃその場には居たくないわな……
ってだから心を横流しするなフィトリア
……バレるだろ、俺が何者か
「んで、フィトリア
話を戻そう。バシレウスなる謎の存在に、俺達は助けられた……で、良いのか?」
「うん」
素直に頷くリファナ
「覚えてるのかリファナ」
「あの後、そこのフィトリアさん?に、なおふみ様も弓の勇者さまも吹き飛ばされて気を失っちゃって」
「よく戻ってきたな武器達」
まあ、クソナイフはこれ幸いと逃げたようだが
「フィトリアさん自体も倒れたマルスくん達を守ってて動けないって状態で」
そりゃそうか
「そしたら、フィトリアの為にきてくれたんだよー」
?
「あそこのネズミは絶望の果てに殺してやるって、まずは槍の勇者……様は」
「アレに様付けとかもう良いだろリファナ」
「それでも、四聖の勇者様だよ?
怖いし変な人だし迷惑だけど」
「それでね、わたしが逃げられないって思ったとき、突然あの人が来てくれたんだ
輝いて見えた」
「惚れた?」
「ううん。物理的に髪がキラキラしてた」
「ぴっかぴかだったよー」
物理発光すんなよ。髪はそういう物体じゃないだろ
いや、俺も復讐の雷霆で似たような事出来るけどさ
「外見は……剣の勇者様くらい?もうちょっとだけ大人かな?」
高校生くらいか
「キラキラした金色の髪で、偉い人みたいな黒い服を着てた。腰に三本の棒みたいなものを下げてたのが印象に残ったかな」
「へぇ……」
そのヘリオスを語るリファナの目はちょっと興奮ぎみで。何となく面白くない
「その人が、左手で槍を止めて……
わたしが覚えてるのは、その髪が金色から真っ赤に染まっていくところまで」
「そうなのか」
「安心したら、ふらっときちゃって
お休み、リファナって……聞き覚えがあるような無いような声で言われて、そのまま倒れちゃったんだ」
……とりあえず、良かった。バシレウスなる謎の男、リファナを助けてくれて有り難う。いや本気で
「フィトリアは?後の事見てないのか?」
「フィトリアね、ばちばちと盾とって守るのに忙しかったから」
しゃーないな!あと、当然だが俺じゃないという言質は取った。いや、左手の時点で別人なのは当然なのだが、ほんの少しだけ輝く髪ってことは俺の無意識がやったのかとか思ったのだ。違ったけど。ってか俺にはそもそもアヴェンジブーストが万一あそこで使えてても赤い髪になる術がない。どうしろと
「ってかフィトリア、お前あれが誰だか知ってるのか?
遺産とか言ってたが」
その言葉に、銀の少女は軽く頷いた
マジかよ
「うん。あれはねー、フィトリアの為に来てくれた神様の残したものー」
「もう少し分かりやすく」
「ばちばち、こーどけらうのすって知ってる?」
「ああ」
「むかーしフィトリアを助けてくれたかみさまなんだけど
そのかみさまが残しておいてくれた力なのー」
……そういえば、記憶ではまた来ると言いながら飛んでったなあいつ
って
「そんなものあるなら波と戦って貰え!」
記憶をみるに今回この世界を狙ってるのより数段上雑魚らしいが波の果てに出てくる神を一方的にぼっこぼこにしてたぞあの
「それがねー
勇者がたっくさん居なくなってないとだめなんだってー」
……おい使えねぇな!
「だから、なおふみ様を?」
「そだよー
盾も弓もいないってー、だからおねがい、したんだ」
……そうか、大体わかった
なにひとつ分からん!って事がな
(今後多分出てくる)キャラ紹介(反転ネタバレ)
ヘリオス・
ネズ公がフィトリアのリボンの記憶から垣間見た神ゼウス・
その正体は名前からして意味がサン・ミカドな事から分かるが当然ネズ公。正確には、女神メディアに気付かれずにいるために魂の奥底に封じ込められた『雷霆』の勇者としての御門讃である。ヘリオス・バシレウスとはそれっぽい神名を名乗ってみただけのもの
朱き竜陽とは、記憶のゼウスがやっていたのと同じ"勇者を失った聖武器2以上を含む5つ以上の勇者武器の精霊が志を同じくする異次元から来た勇者武器に力を注ぎ込む事で一時的に覚醒する本来の神々に認められたこの世界の神"としての姿。あえて言うならば超勇者人ゴッド。本来は世界の中に居る限り勇者武器の精霊により問答無用で制限されるはずの神としての力を世界の狭間に居るときのように全力で振るえるように世界がバックアップしてくれる神と化した勇者特有の特殊変身形態である。リファナを……引いてはリファナの生きるこの世界を守るため、聖武器や別次元の眷属器の正規勇者の資格すら剥奪しようという女神チート込みの槍に対し、魂の奥底から引き剥がされた彼が同じく引き剥がされた5つの勇者武器(投擲具、爪、馬車、弓、盾)の力を借りて魂だけの姿で一時的に降臨した……というのがネズ公が寝てる間に起きたことの真相である