劇場版 -ハイスクールD×D- 補講授業のイミテーション 作:ユウナ
「儂が稽古をつけてやろうかねぃ」
そのように仰ってくれたのは、「D×D」のサブリーダーである初代孫悟空だ。
「D×D」の仮本部である、駆王学園でたむろしていたところに、そんな風に初代に声をかけていただいた。
あの伝説の妖怪である孫悟空に稽古をつけてもらえるなら、これほど嬉しいことはないっ!
テロリストたちの暗躍を何度も防いできた実力者って話だもんな。京都でもジークフリートをふっとばしたり、曹操とも余裕で渡り合えていたし、そりゃそうか。
なんでもサマエルの毒にやられたヴァーリを治療したのも、初代だって話だ。
いや~、さすが孫悟空の名は伊達じゃないってことだなっ!
そんな人に稽古をつけてもらえれば、俺はもっと強くなれる。
俺はあいつに……あの偽物の赤龍帝に負けた……。
あのまま勝負が続いていたら、ギャスパーが割り込んでくれなかったら……やられていたのは俺のほうだ。
1対1でも俺はあいつに勝てるようになりたい!
そのためには、この前初代が指摘してくれたように、スタミナの消費を抑えて真『
よ~し、がんばるぞ~と気合を入れていたところ……。
「初代殿。私にも稽古をつけてもらえないだろうか」
「ヴァーリっ!」
話を横で聞いていたヴァーリが、初代に頭を下げて頼んでいた。
「いいぜぃ。お前さんと赤龍帝の坊やは同じ課題を抱えておるからのぅ。まとめてやるほうが効率的じゃわい」
そう、ヴァーリも俺と同じ問題を抱えている。スタミナの過剰消費だ。
それさえ解決できたら、こいつが倒せない奴なんてほとんどいなくなると思うんだ!
それだけ、あの『極覇龍』状態というものは凄いと思う。
クソ、まだまだ俺のライバルは遠いぜ……。
だが、俺だって負けてられねぇ!
俺の新しい力、以前に白龍皇から奪った力が変化したもの。あの小型のドラゴンだ。
あの力を使いこなせるようになって、スタミナの消費を抑えることができれば、俺はもっと強くなれる!
「よろしく頼む」
「よろしくお願いします!」
俺とヴァーリ、二人がそろって頭を下げてお願いする。
二人同時の頭を下げる日が来るなんてな……世の中は分からないもんだぜ。
「では、修行場へ行こうかの。どこかいい場所を知らんか?」
そういうことなら……。
「ウチの家の地下が修行場になってるんですけど……そこでどうですか?」
あそこなら俺たちが本気で暴れても、大丈夫だと思うんだ。修理はグレモリー家がしてくれるし。
「ふむ、それならばよさそうじゃの。ではそこへ行くか」
そう言って————。
トン、と初代が地面を棒で叩くと。
「おおっ!」
魔法陣が出現していて、俺たちを一瞬で地下の修行場へと運んでいた。
「仙術を応用した移動術式だ」
分からなかった俺に、ヴァーリが説明してくれる。
へー、そんなのもあるんだな。
そういえば、美猴も前に似たようなのを使っていたっけ。
「さて、お主ら。儂に全力でかかってこい」
「ほぅ」
初代の挑戦的な言葉を聞き、面白そうに口を歪ませるヴァーリ。
「えっ。二人がかりでですか? それはちょっと……」
「心配せんでも良いわぃ。全盛期の二天龍ならいざ知らず。今のお前さんたちなら、二人がかりでも負けゃせんよ」
そういうことなら、お構いなくっ!
まずは『女王』にプロモーションして、力を底上げする。
そして————。
『
よしっ!
「————我、目覚めるは王の真理を天に掲げし、赤龍帝なり!」
真『女王』になるための呪文を唱えていく。
「無限の希望と不滅の夢を抱いて、王道を往く! 我、紅き龍の帝王と成りて————」
「「「「「汝を真紅に光り輝く天道へ導こう————ッ」」」」」
『
俺の体の鎧が紅へと変化し、今までとは段違いのオーラをその身にまとわせる。
これが今の俺の全力っ!
ヴァーリも、既に
「俺も最強の形態になろうか」
そう言って奴は、呪文を唱え始める。
「我、目覚めるは————律の絶対を闇に堕とす白龍皇なり————」
光翼が白く輝きだし、ヴァーリの魔力が更に高まっていく!
宝玉から歴代白龍皇たちの声も流れ込む。
『極めるは、天龍の高み!』
『往くは、白龍の覇道なりッ!』
『我らは、無限を制して夢幻をも喰らう!』
相変わらず、闘争心に満ち溢れた意識たちだ。
あいつは歴代白龍皇と戦いを通じて、分かりあった。俺は必死こいて説得していったていうのに……。まったく、凄いやつだぜ!
「無限の破滅と黎明の夢を穿ちて覇道を往く————我、無垢なる龍の皇帝と成りて————」
ヴァーリの鎧から発せられる神々しい白き眩きが次第に強くなっていく。それに伴い形状も変化していく。
「「「「「汝を白銀の幻想と魔道の極致へと従えよう」」」」」
『
眩い光が収まり、白銀の鎧を身にまとったヴァーリが姿を現す。
通常の鎧よりも色合いが白銀に近づき、各宝玉の色もより深い菫色へと変化している。
へー。ヴァーリの白銀の鎧ってこうなってたのか。前回見たときは一瞬で、よく分からなかったからなぁ……。それだけ最上級死神プルートと極覇龍状態のヴァーリは実力がかけ離れていた。
今も横にいるだけで、そのあまりのオーラに俺も吹き飛ばされそうな程の重圧を感じるっ!
「兵藤一誠、俺が前に出る。——お前は後ろから援護射撃をしろ。俺に近づきすぎれば、お前の力も半減しそうだからな」
「応っ!」
そうだな、お前に近づくだけで俺の力も減少しそうだ。そのへんのコントロールがこれからのヴァーリの課題か? あいつは周囲にあるものをその場に立っているだけで、無差別に半分にしてしまう。今のままじゃ、あいつの戦闘範囲に味方が入ることが出来なさそうだからな。
「はぁっ!」
気合いの入った一言とともに、ヴァーリが前に飛び出していく。
すげぇっっ! 一瞬で初代との距離を詰めたぞ! 俺にもかすかにしか見えなかった!
おっと、感心してる場合じゃないっ! 俺もエネルギーをチャージしないと。
『
力を増大させて、ドラゴンの両翼のキャノンにエネルギーをチャージ! ブゥゥゥン、と静かな音を立て始めながら、エネルギーを圧縮させていく。
その間にもヴァーリは初代との猛烈な格闘戦を行っていた。
ヴァーリは初代の力を半減しようと、相手に触れようとするものの、それを初代は棒をうまく使って防いでいた。
二人とも凄い速さと力だ。あの周囲に踏み込むだけでも相当の実力が必要だな。
てか、さすが初代孫悟空! あの最上級死神プルートを一瞬で倒したあのヴァーリを相手に、互角に渡り合っているっ!
エネルギーがチャージし終わった。これなら——。
「どけぇぇぇっ、ヴァーリっ! いくぞぉおっ!」
俺の叫び声を聞いたヴァーリが瞬時に横にずれる。よしっ! その位置なら当たらない。
「クリムゾンブラスタァァァァァァアア!」
『
紅色の極大のオーラを発射し、初代を狙う。初代は避けようとせず、棒を前に構えて迎え撃つ姿勢を見せた。
俺の真『女王』の砲撃を喰らえば、いくら初代とはいえタダでは済まないはずだっ!
当たれぇぇぇっ!
紅色のキャノン波動は見事に初代を捉え、大爆発を起こす。煙が立ち込める中、下がってきたヴァーリと会話を交わす。
「これでどれくらいダメージを与えられたと思う?」
「さぁな。だが、いくら初代殿でも無傷とはいかないはずだ」
だよな。あの獅子の衣をまとったサイラオーグさんにもダメージを与えられたんだ。あれから更に鍛え上げた俺の砲撃でダメージを喰らわないわけないっ!
……と思っていたのだが。
「っ!」
「ウソだろっ!」
煙が晴れ、中から姿を現した初代は……衣服こそ多少破けているものの、健在だった!
馬鹿なっ! あの砲撃を真正面から食らって無傷っ!? そんなことが……。
驚く俺たちに初代は告げる。
「いい攻撃だったぜぃ。久々にわしも全力防御を強いられたわぃ。じゃが、実力者には隙を作って撃たねば、この通り無傷で済ませられてしまう。攻撃は当てなければ意味はないが、ただ当てればよいというものでもないぞぃ」
厳しいお言葉だ。確かにユーグリット・ルキフグスにもキャノンを撃ったが、ドラゴンショットで相殺されてしまったしな。あの小型ドラゴンを使ったような感じで、敵の不意をついて攻撃を当てなければならないってことか。
でも、あの飛龍は今ほどの攻撃は跳ね返すことは出来ない。パワーが大きすぎるからだ。
なら、もう一度っ——。
「ヴァーリ、もう一度前に出て攪乱してく——」
ガシュウゥゥン。
ヴァーリの鎧が通常状態に戻ってしまった!?
『極覇龍』ってのはそれだけスタミナ消費がハンパないってことか!
「そちらの攻撃はもう終わりかぃ? なら、次はこちらが攻める番じゃぜ」
そう呟いて、初代はこちらに突っ込んでくる。
二人で左右に分かれて迎え撃とうとするも——
「ぐはぁ!」
「ヴァーリっ!」
俺よりも消耗しているだろうヴァーリが先に狙われたかっ!?
ヴァーリは棒の突きによって遥か後方に吹っ飛ばされていった。
「序盤から極覇龍の状態になるのは良い判断ではなかったな。その後の戦闘継続が難しくなる。今の状態で使うならば、ここぞという一撃で使わんとな。格上の存在相手では、そのように戻って消耗している瞬間を狙われるぞ?」
なるほど、と納得し……ている場合じゃない。次は俺の番だ。
『
右腕だけトリアイナ版『
「伸びよ、棒よ」
初代のその一言で、棒が高速で俺に向かって伸びて——。
バガァァアンッ!
「ぐはぁっ!?」
ぶ厚い俺の『戦車』の籠手を貫いてきた!
くそぉ……。真『女王』状態なら籠手の防御力も上がっているはずなのに……。
吹っ飛ばされるものの、なんとか空中で体勢を立て直し、初代を見据える。
「ほぅ、今の攻撃を食らって空中で体勢を立て直せるか。その籠手の防御力は凄まじいようじゃの」
お褒めの言葉をどうもありがとうございますっ! でもあんたの攻撃力は桁違いすぎだ!? 俺の籠手を突き破ってくるなんて!
「そりゃ、儂じゃからな。じゃが、お前たちが敵にしておるのは、そのような強者たちばかりじゃ。この程度で驚いてはいかんぞ」
くそぅ、俺とヴァーリの二人がかりで歯が立たないなんて……。どれだけ強いんだ、あのじいさん!?
『そりゃ、今のお前よりは遥かに強いだろうさ。初代孫悟空はもう何百年もその力を練磨している。成長途中の今のお前ではまだまだ敵わんだろうさ』
そうか……。俺が生まれる遥か前からずっと修行を続けているんだもんな。そりゃ実力に開きがあって当然だ。
だけど…………。
「兵藤一誠。無事か」
「ヴァーリ、お前こそ大丈夫なのか!?」
戻ってきたヴァーリに尋ねる。
「ああ、攻撃を食らう直前に防御したからな……。それほどダメージは受けていないさ」
そうか。どうやら吹っ飛んでいったのも、後方に飛んで攻撃の衝撃を減らすためだったらしい。
「兵藤一誠っ!」
「ああ、いくぜ!」
なんとかあのじいさんにダメージを負わせたい! たとえ一撃でも。二天龍がそろってこれじゃあ、赤龍帝の名が廃るってもんだ
いくぜぇ、ドライグっ!
『応っ! いくぞ相棒っ!』
その後、二人で初代にかかっていったものの、これといったダメージは与えられず、そのまま修業は終了した。
俺たち、もっと頑張りますっ!
どうでしたでしょうか?
この物語は16巻のほぼ直後から始まっている設定です。
駆王学園が「D×D」の仮本部となっていますが、原作ではどこが「D×D」の本部になるのでしょうかね? 発足直後ということで学園を仮本部としてみました。
初代孫悟空は相変わらずの化け物ぶりです。
少々強くしすぎたような気もしますが、これでいいように思えます。
(初代様は実力が高すぎて、イッセーの活躍を奪ってしまうので、あまり大活躍はさせない予定です)
どしどし、感想や評価をしていただけると嬉しいです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。