劇場版 -ハイスクールD×D- 補講授業のイミテーション   作:ユウナ

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一誠「よーし、今回の話も俺が主役……じゃない!?」

木場「うん、今回は僕が主役なんだ……ごめんね、イッセーくん」

一誠「くっそぉお! イケメンが主役張っちまったら、俺の出番がなくなるだろッ! そしたらファンが減って……ハーレム王への夢はさらに遠のくじゃねぇか!?」

木場「(イッセーくんの周りにはもう十分なほどハーレムが形成されていると思うけれど……)まぁ鈍い僕の親友は放っておいて————。本編、スタートです」

一誠「にこやかにスルーして、進めるなぁ!」


トレーニング、始めるよっ!

二天龍が初代孫悟空に修行をつけてもらった後、僕とゼノヴィアも初代にトレーニングをつけてもらうようお願いしたんだ。

僕らも強くならないとね。

魔帝剣グラムを扱いこなせるようにして、邪龍(じゃりゅう)たちとの戦いに備えないといけない。

 

なにせグラムには龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の力が宿っている。一撃ではグレンデルに効果は望めなかったものの、幾度も攻撃を当てるうちに、その効力を発揮した。龍殺しのダメージは邪龍に蓄積していくんだ。蓄積させれば、相手の龍殺し耐性を突破してダメージを与えることが可能だ。

つまり、僕はそれだけ長く魔帝剣グラムを振るえなければならない。

 

僕もイッセーくんのことを言えないね。グラムを振るうたびに体力を猛烈に消耗させてしまっている。そのため昨日の戦闘では数分間の使用で反動がきてしまい、ろくに動けなくなってしまった。

騎士(ナイト)』の僕が動けなくなるなんて、あってはならない事態だ。

僕には防御力がない。だから敵の攻撃は防ぐのではなく、躱さなくてはならない。

 

————僕は邪龍クロウ・クルワッハとの戦いのときに、またイッセーくんの役に立てなかった。

あれから修行して鍛えたつもりでも……このザマだ。

イッセーくんは力を呼び込む赤龍帝だ。今回の騒動を切り抜けられたとしても、今後もこういった事態に巻き込まれる可能性は十分にある!

だからこそ、僕には力が必要なんだ……イッセーくんとともに戦えるだけの力が!

そのための修行だ。————ゼノヴィアも自身の力不足を感じているからこそ、この修行に参加してくれたんだと思う。

 

「ああ、その通りだ。木場祐斗。私だって、もっとこの聖剣を自由自在に扱えなければならないことくらい、解っているさ」

そう、ゼノヴィアの聖剣『エクス・デュランダル』はその名の通り、エクスカリバーとデュランダルを合体させた特別な聖剣だ。その潜在能力はすさまじいものがある。

しかし、ゼノヴィア自身その能力のほとんどを引き出し切れていないことを自覚しているのだろう。だからこそ、あれだけ拒否していたテクニックタイプの修行にも付き合ってくれるようになった。

 

「失礼だぞ。私だって日々考えているんだ!」

今の時点では、その言葉に説得力が感じられないけども。これからの修行の成果で僕に示してみせてよ、ゼノヴィア。

「分かった。今に見ていろ、このエクス・デュランダルの能力のすべてを使いこなしてみせる!」

「気合十分だね。初代、トレーニングよろしくお願いします」

「お願いします」

二人で初代に頼み込む。

「あぁ、かた苦しい挨拶はいいさね。聖魔剣の。ま、その魔剣に慣れるのも、二天龍と同じく実戦方式がいいじゃろうて。かかってきなさい」

そういって、初代は構えを取る。

僕とゼノヴィアは距離を取って、初代を見た。

 

————静かだ。闘気は感じられるものの、殺意ほどでない。その身に力をためているのは解るが、どうくるかは予想もつかない。

これが仙術を極めた者の戦闘スタイルなのか……恐ろしい。僕が相対して恐ろしいと感じたのは初代だけではない。例えば、サイラオーグ・バアル。彼は自身の非常識なまでに鍛え上げられた闘気や気迫を、相手に向けて放出することで委縮させ、自身の攻撃につなげていた。

彼と正面きって向かい合うのは恐ろしい。その力の波動を肌で感じられ、本能が危険だと叫ぶ。相対していて、あれほど緊張感につつまれた敵もそうはいなかった。

しかし、初代はそれとはまったく正反対の怖さだ。

 

静かすぎる。その実力はサイラオーグ・バアルを遥かにしのぐものだというのに、何も感じ取ることができない。感じとらせてくれないのだ。

これでは相手の力に対して、備えることができない。

 

————僕のようなテクニックタイプには天敵だね。

しかし、初代は動かない。あくまで僕らの出方を待つつもりらしい。

————なら、

 

「ゼノヴィア、前に出てくれ」

「分かった」

いまだパワー重視の戦い方を得意とするゼノヴィアを前へ出す。初代がそれに対してカウンターをしてこようとしたり、躱そうとしたときは、僕がゼノヴィアをフォローして攻撃を当てる算段だ。

まずは一撃、話はそこからだ。

 

「はあぁ!」

ゼノヴィアが剣を振りかぶる。しかし初代はそれを避けようとせずに、受けてみせる構えを見せた。

————カウンター狙いかっ。なら、これでどうだ!

魔剣創造(ソード・バース)っ!」

僕は地面に手をつき、初代の足元に大量の魔剣を創造した。

これなら、体勢が崩れてカウンターなど出来ないはず!

————しかし、

 

「ぐあぁ!」

「ゼノヴィアっ!」

初代は僕の創造した魔剣を最小の動きで回避し、ゼノヴィアに棒の突きを入れた!

不規則に創造させた魔剣の発生を見切った!?

にわかには信じがたいことだが、初代程の実力ならばあり得るのかっ!

ならば、これでどうだっ————。

「騎士団よ!」

僕の周囲に現れる竜騎士たち。これは僕の禁手の一つ、聖覇の龍騎士団(グローリィ・ドラグ・トルーパー)だ。

これでゼノヴィアを後方へ移動させ、そして同時に初代へと攻撃もさせるっ!

 

「すまない、助かった。木場」

「どういたしまして。ダメージは?」

初代の攻撃を食らって、タダで済むわけがないからね。ゼノヴィアの戦闘続行は難しいとも思ったんだけど……。

「どうやら、手加減してくれたらしいな。まだ体は十分に動くッ!」

僕の取り越し苦労だったようだね。初代は僕らに修行をつけさせることに重きを置いているのか、その絶大な攻撃力を発揮しないようだ。

なら、そこにこそ僕らが付け入る隙がある!

「ふむ。龍騎士たちの速さは良いが、技術はまったく反映できておらんようじゃのぉ……。これでは奇襲に使えても、正面切っての戦いではまるで役に立たんぞぃ。精々足止めできればいいとこさね」

 

厳しいお言葉だね。……でも、仰られる通りだ。

今の僕の騎士団には、速さは反映できていても、技術はほとんど反映できていない。

それでは、初代ほどの実力をもつ相手に対して、傷を負わせることは難しいだろう。

「敵をかく乱するには十分かもしれんが、仙術を極めた者や、気配察知の上手い者にはとても使えたもんではありゃせんぞぃ。もっと精進せい」

「はいっ!」

 

しかし、この方のお言葉は本当にタメになるね。イッセーくん、君もこのように叱咤されたのかい?……なら僕も負けてはいられないな。

「ゼノヴィア、作戦を話すよ」

「よし、聴こう」

 

僕はゼノヴィアに作戦を伝える。さっきの騎士団での攻撃でダメだったということは、生半可なかく乱では、初代はものともしないということだ。だからこそ、ゼノヴィアの協力が必要になる! エクス・デュランダルの力が!

僕の作戦を聴いたゼノヴィアは不満げな顔を浮かべた。

「また、私に突っ込ませる気だな」

「じゃあ、ゼノヴィアは僕の動きをフォローできる? できるなら僕が前に出てもいい」

その答えを聴いたゼノヴィアは「分かったよ、やればいいんだろうやれば」と己を納得させていた。これもテクニックタイプの練習だと思って、頑張ってよ!

 

「話し合いは済んだかのぉ……。次はこちらからいかせてもらうぞぃ」

そう言うと初代は地面を棒で、トン、と叩いて強烈な閃光を発した!

「目くらましかっ」

「ゼノヴィア下がって! 僕がフォローするっ」

僕らと初代の間に、魔剣創造で剣山を発生させ、来るであろう初代の攻撃を躱そうとした。

それが功を奏したのか、初代が目の前に来る頃には閃光は収まっていた。

 

「騎士団よ!」

僕は再び騎士団を初代の足止めに使い、ゼノヴィアから例のモノを受け取る。

よし……これでっ!

「この騎士団では、儂を倒せんぞぃ。もっと攻めてこんか」

半数の騎士団を蹴散らした初代がこちらに迫る。

「これならばどうだ!」

ゼノヴィアが剣を鞘から抜き、溜めていた聖なる波動を一気に初代へ向けて放出した。

彼女お得意のデュランダル砲だ。初代は悪魔ではないから、抜群の効き目とはいえないものの、まともに食らえば彼とてダメージは免れない!

 

しかし、初代はそれを棒の一薙で振り払った! 馬鹿なっ、あれだけの動作で!? あの何気ない一振りに、一体どれだけの力が込められていたというんだ。

強敵だ。間違いなく、僕らが戦ってきたなかで一番の。勝てるはずもない。しかし……一太刀でも入れたいと思うのが、剣士の性だ!

ゼノヴィアと残りの騎士団が果敢に初代へと挑むも、それを初代はなんなく撃退していく。だが……。

 

「じゃから無駄じゃと……ぬぅ!」

初代の背後から、突然現れた龍騎士が魔帝剣グラムで彼を切り裂いたのだ。

「聖魔剣の。お主か」

兜のマスクを外し、僕が答える。

「ええ、そうですよ。さきほどの騎士団発生のときに紛れ込ませてもらいました」

「しかし……姿が消えておったようじゃが……それは————」

「————ゼノヴィアの聖剣は特別で、一時的にならエクスカリバーの一部を取り外して使うこともできるんです」

 

そういって僕が懐から取り出したのは、透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)だ。

「その聖剣の力か……面白いことをするねぃ」

「さすがのあなたでも姿の見えない敵に不意をつかれては、どうしようもなかったみたいですね」

ゼノヴィアのデュランダル砲ですら、僕の姿がないことを気づかせないための布石。相手が仙術を極めた孫悟空となると、僕の拙い幻術程度では容易に見抜かれてしまう。

だからこそ僕は自身の幻影をつくらなかった。一瞬で隙をつくり、一気に攻めることで初代に一太刀を浴びせられた!

これなら————

 

「油断は禁物じゃのぅ。聖魔剣の」

背後から声がした瞬間、

ドンッ!

なにか棒のようなもので殴られた衝撃が僕とゼノヴィアを襲った。

「ぐぅう!」

「ぐぁあ!」

あまりの衝撃に吹き飛ぶ僕とゼノヴィア。

 

そんな……どうして……。初代は僕が確かに今切り裂いたはずなのに……。

「お主のしたことと同様じゃわぃ。それは儂の分身さね」

そう言って、初代は自身の分身をかき消した。つまり、さっき僕が切り裂いたのは分身だったのか……。本体のほうは健在みたいだ。

いつ入れ替わったのか……と一瞬考え、答えに行き着く。

「あの閃光のときですね」

答えながらも驚愕していた。本物の気配など、まるで感じなかったからだ。

「正解さね。いいこと教えてやろうぞぃ。一瞬も気を緩めてはならん、相手を打倒したと確信したとしてもじゃ。その一瞬の隙が敗北を呼び込むぞぃ……今のお主らのようにな」

「はい……精進します」

「私には難しそうだ……」

 

さっきまでのが分身だったということは、初代孫悟空は分身ですら、あのデュランダル砲を弾き飛ばすほどの実力を持っているということなのか……信じ難いことだね。

さっきの突きで僕とゼノヴィアはもう立てずにいた。……仙術特有の攻撃だろうか。体の芯にまでダメージが通っている。力が入らない……。

 

「お主らは、今日はここまでじゃて。次も控えておることだしのぅ。お主ら、テクニックタイプを目指しておるんじゃろう? なら、自分がどう攻めるかではなく、相手がどう攻めてくるかを考えるべきじゃぞぃ。相手の一撃にカウンターを入れてこそ、テクニックタイプじゃ」

そうだ……僕は初代にどう攻めるかを考えるばかりで、彼がどう攻めてくるかなんて考えもしなかった。……まぁ彼が自身の攻撃をこちらに察知させなかったというのもあるけどね。

 

ゼノヴィアには普段から色々言っているけど、僕だってテクニックタイプとしてはまだまだだったんだ……。敵の攻撃に翻弄されるばかりで、相手に隙をつくることがまったくできていなかった。それを再認識させてくれた意味でも、この修行は本当に価値あるものだった。

 

「もっと精進せぃ。二人とも」

「「はい!」」

僕とゼノヴィアは異口同音に返事をした。

 

 

イッセーくん、君の背中はまだ遠いよ……。

 




どうでしたでしょうか?
ハイスクールD×Dのもう一人の主人公、木場君修行回です。

本編では、木場のテクニックタイプとして優秀さが随所にあらわされていますが、
彼にも未熟な部分があるんだよーということで、今回のような話をいれてみました。

劇場版仕様なので、もう少し展開が早くてもいいような気がしますが、
やはり小説としてある程度細かくここら辺のことも描写しないといけないなーとは思っています。
ですので、若干話のテンポとしては遅くなりがちかもしれません。

それと、年末年始は忙しく、更新が滞ってしまいそうです。
なにとぞご容赦ください。
感想、評価やご意見等を送ってくださると、作者は喜びます!

では、ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました!
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