劇場版 -ハイスクールD×D- 補講授業のイミテーション   作:ユウナ

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木場「どうやらイッセー君たちも大変なことになってるようだね」
ゼノヴィア「何っ!? イッセーたちがピンチなのか! なら助けにいかなくては!」
木場「ん? 僕らのほうにもお客さんらしいよ、ゼノヴィア」
ゼノヴィア「仕方ない、すぐにかたずけるぞ!」


いよいよ戦闘開始ですっ!

イッセー君たちが戦っている間、僕らもピンチに陥っていたんだよ。

 

 

イッセー君たちがデートに出かけたあと、僕らはグレモリーの地下練習場で修行していたんだ。

ゼノヴィアは聖剣の鍛錬に、僕はグラムの訓練に。

 

ただ、グラムは修行で使うことにも命懸けで挑まなくてはいけないからね。

だからあまり修行の進みはよくないんだ。前任者の苦労が窺えるよ、ほんとに。

それでもやらなくては。邪龍に効果てきめんなのは間違いないんだからね。

 

でも、グラムを生身で扱うには今の僕では限界がある。それが最近分かってきた。なにか特別な使用方法を模索したほうがいいのかもしれない。

それが分かってきただけでも、初代との修行や今までの鍛錬は無駄ではなかったな。

 

さて、そろそろゼノヴィアの鍛錬の様子も見に行こうかな?

そう思って魔方陣を起動しようとした時だった――

「木場、修行の調子はどうだ?」

ゼノヴィアが魔方陣から現れた。どうやら彼女も僕と会おうとしていたようだ。

「ぼちぼちだよ。そっちはどうだい?」

「まぁまぁだな。ま、そう簡単にうまくはいかんな」

やはり彼女のほうも苦戦しているらしい。

「そうだね、ゼノヴィア。もう今日は終わりにする?」

てっきり彼女も終わりにするだろうと思ってたのに、今日の彼女はこんなことを言ってきたんだ。

「その前にすこし、試したいことがあるんだが」

「うん、なんだい?」

この時点で疑うべきだったんだろうね、少なくとも不自然だとは思うべきだった。

「木場のグラムを私に使わせてもらえないか?」 

 

 

ん? 僕のグラムをゼノヴィアが?

「うん、いいけど……」

まぁ一時的になら僕が許可すれば、持てるようには……なるかな?

 

 

「試してみてくれ」

グラムに僕の意思を伝えると……ブゥンと刀身が震えた。その様はまるで僕の言うことをきいたように見えた。

「はい、一応使えると思うから」

「ああ、ありがとう」

この時の僕はゼノヴィアに使わせてみることで、グラムの新たな使用方法を模索できるかも、なんて考えていた。

 

僕はゼノヴィアにグラムを……渡した。

「ほう……これが……本物のグラムか」

ゼノヴィアがグラムを握る手に力を込める。

――ブウゥゥン。

グラムがゼノヴィアに呼応して、妖しげな輝きを増す。毒々しいその輝きに僕も思わず目を覆いたくなった。

なにか……おかしい。そう思っていても、その違和感を説明できるほど理解できてもいなかったんだ……。

 

 

「ゼノヴィア?」

魔剣を抱えたまま顔を俯けているゼノヴィアに声をかける。

グラムの呪いの波動が強まって、ゼノヴィアの体を紫のオーラで覆う。

まさか、グラムの呪いの力を高めているのか!?

「やめろ、ゼノヴィア!」

それ以上力を強めたら君の体が保たないッ!

「ふふふ、これが本物の力か……持つ者も本物の木場がふさわしいな」

なに訳の分からないことをッ!

ゼノヴィアからグラムを手放させようと無理やり奪おうとするも……

「ふんっ」

グラムを一振りして僕の接近を許さないゼノヴィア。

僕はその一振りを身をよじって避けた。

僕に当たらなかったその一撃は、余波を生み出して地面を切り裂いていった。

 

 

まずい、グラムの力を引き出しすぎてる。このままだとゼノヴィアの体は……っ。

「仕方ない、戻れ! グラムよ!」

主である僕の命に従い、ゼノヴィアの手から戻ってくるグラム。

飛んできたグラムを掴み、ゼノヴィアに向けて構える。

 

 

「きみは……誰だい? ゼノヴィア、ではないね?」

こんなことを彼女がするわけがない。普段なにも考えていないような彼女だけど、彼女だって分別はついてる。

「おやおや、ずいぶんな言い様だな。私はゼノヴィアだぞ? 本物のな」

彼女の言葉を訝しみながらも警戒は解かず、剣を構えたままで対する僕。

 

 

そんなときだった。ゼノヴィアの背後から魔方陣が出現して、そこから誰かが出てきたんだ。……そして、その人物は……。

 

 

「そ、その顔は……!?」

「初めまして、偽物の木場佑斗」

僕と同じ顔をした誰かだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呆けていたのは数瞬で、すぐ我に返った。

「偽物は君のほうだろう? 誰だ、君は!」

グラムを突き付けて問いただす。

「本物の木場優斗だよ。偽物にはそんな区別もつかないのかな?」

安い挑発だ。そんなものにはかまわず、僕は敵の正体について考える。

相手は最近町の噂になっていたというそっくりさんなんだろう。

「木場か、こっちは奪取に失敗した。そっちは?」

「こっちも失敗したよ。まさか、聖剣がひとりでに動き出すなんて……もしかしたら、あの聖剣にも聖十字架のように独自の意思でもあるのかな?」

「……らしいな。まったく二人ともが揃って失敗するとは……あとでイリナたちになんと言われるか……」

「問題ないよ。ここで僕があいつを倒せばいいだけの話なんだから。ゼノヴィアは先に帰っておいて」

「ああ、分かった」

そんな会話を繰り広げたあと、ゼノヴィアのそっくりさんは転送魔方陣を使って何処かへと飛んだ。

 

 

僕は改めて、目の前の偽物を見る。

実物を見るまではにわかには信じられなかったが、ほんとうに姿形はそっくりだ。端から見ただけでは両者に区別はつきまい。

だが、問題は外見だけでなく――、

「ふふ、僕の能力について気になるのかい? じゃあ、試してみようか。偽物と本物、どちらが本物に足りえるほどの力をもっているのかを!」

どうやらかなり自信があるようだ。それは相手の内にある力を感じ取ることからも理解できる。

……相手は僕と同じぐらいの――いや、もしかしたら――。

そのことを予感して、僕は冷や汗をかく。

「ふふ、正しく現状を理解できているようだね。グラムはしまったほうがいいんじゃないかな? ここが保たないだろう」

確かにここは強固なバトルフィールドというわけではない。グラムを実戦レベルの出力で振り回せば、あっという間に辺り一面の全てが切り刻まれて、細切れになってしまうだろう。

それに修行でグラムを使って消耗しているというのもある。向こうの僕はグラムを盗ろうとしたことからも、持ってはいないと考えられるので……得物はもちろん――。

 

 

「「禁手化(バランス・ブレイク)」」

 

 

両者ともに聖魔剣を出す。向こうの聖魔剣もその聖と魔の入り混じった波動から察するに本物だ……。

「さぁ、戦闘開始だ!!」

今、二人の騎士の戦闘が幕を開ける――。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、朱乃さん……どうして……」

混乱して言葉が出てこない……、どうして俺とまったく同じ姿をしたやつと朱乃さんが……。

「イ、 イッセー君!? では、こちらのイッセー君は……それにアーシアちゃんも……」

向こうの朱乃さんもかなり混乱しているようだ。

それは隣にいるアーシアも同じ。

していないのは――目の前にいるニヤニヤと口元を歪ませている俺だけだ。

「簡単だよ、朱乃さん。俺が本物で、あいつが偽物だ」

な、なんだと! お前がにせもんだろうが!

 

 

「ふざけんな! そっちが偽物だろ!」

いがみ合う俺たち。朱乃さんとアーシアは狼狽えている様子で、どちらが本物の俺か分からないようだった。

そりゃ見た目はほぼ一緒だもんな……、自分を外から見るって結構気持ち悪いぜ。それぐらい似ていやがる!

 

 

「おいおい、気持ち悪いはないだろう……。ま、俺もおんなじ気分だけどな」

なっ……こいつ俺の心を読んだのか!?

「ちがうちがう、お前の考えそうなことなんて分かるってことだ。俺はお前の……いや、それはいいか」

「言いかけてやめるなよ、気になるだろ」

軽口をかわしつつ、俺は相手を注意深く観察する。

アーシアが隣にいるんだ。絶対にアーシアを危険な目にあわせるわけにはいかない。

ここにはアーシアを守れるのは俺しかいない。だからしっかりしなくちゃな!

 

 

目の前にいるこいつ……松田や元浜が言ってた町の噂ってやつは本物だったってことか。

そっくりさん……確かに目の前にいるこいつは姿形は俺にそっくりだ。

――いや、外見だけじゃない。中身もだ。

感じる。あいつの内側から俺と同じ龍のオーラを。

……まさかあいつも赤龍帝だってのか!? 

 

 

「そうだよ、俺が赤龍帝だ。本物のな」

ガシャン!

そういってあいつは神器を出す。俺と同じ、それは紛れもない赤龍帝の籠手だ。

「だから本物は俺だっての!」

また俺の考えてたことを……おれそっくりなのは頭の中もってことなのか?……それとも……。

俺も赤龍帝の籠手を出す。

二人ともが神器を出したことでアーシアと朱乃さんがどちらが本物かますます区別がつかなくなったようだ。

だがそんな中俺のなかのドライグが確信をもって皆に告げた。

 

 

『本物はこっちの相棒だ』

 

 

「ドライグ!?」

ドライグが皆にその根拠を告げる。

『簡単なことだ。相棒のニセモノは作れても、赤龍帝の籠手の複製を作れても、俺の魂のコピーは誰にも作れはしないのさ。それは聖書の神ですらできなかったことだ』

そうか……聖杯を使ってあいつらが俺の神器のレプリカを作った。けど、そのなかにドライグはいなかった。それは誰にも不可能なことだったからだ。

つまり、目の前のこいつの中にも――たとえ、龍のオーラを纏っているからといって……。

 

 

向こうのあいつが偽物だと分かったからか、朱乃さんがあいつから離れて、こっちへ駆け寄ってくる。

「バレちゃ仕方ないな。確かに俺は今はまだ偽物さ、今はまだ……な」

「どういうことだ?」

「簡単なことだよ……ここでお前を倒せば、俺が本物だッ!!」

そういって相手が俺に向かって突貫してきた!

「――ッ!!」

 

 

壁にぶつかった衝撃で息を吐く。

「――かはっ!!」

そのまま駅のホームをぶち破って俺は上空へ投げ出された。

 

 

なんとか馴れない悪魔の翼を使って、空中で態勢を立て直したものの――。

「あ、やべ!? ここは――ッ」

そう、ここは人間界だ。こんな派手なことして注目を集めるのはまずい。それになにより俺たちの戦いに一般人を巻き込んでは……。

しかし、俺はすぐに周囲の異変に気付いた。

「あれ……人がいない……?」

そう、さっきまで駅を賑わせていた人たちがごっそりいなくなっている。

それに空の色も紫がかっていて――まるで冥界の空のようだ。

「どうなってるんだ!?」

混乱する俺。

あいつはそんな俺の様子を見て、にやりと嫌な笑みを浮かべながら教えてくれた。

「ここは結界の中だよ、俺たちの戦いに犠牲者を出すわけにはいかないからな、連れ込ませてもらったぜ」

そういうことかよ。どうやらあいつにも人間を心配する優しさってものがあるみたいだな、ちょっと安心したぜ。

 

 

『いや、奴の言葉を額面通りに受け取るのはまずいぞ、相棒』

ドライグが今度は俺にだけ聞こえる声で話しかけてきた。

どういうことだよ? ドライグ。

『ここは結界の中ということだろう。奴が事前に準備していたものなら罠の一つでもあるのかも知れんし、助けも呼べんぞ』

そうか、奴にとって有利な戦場に連れ込まれたのかもってことだな。

それに俺は警戒し、禁手化へとなる。

禁手化(バランス・ブレイク)か? ならこっちも」

 

 

俺とあいつ。二人の神器から同じ音声が流れる。

『『Welsh Dragon (ウェルシュ ドラゴン)Balance Breaker(バランス ブレイカー)!!!!!!!!』』

 

 

龍の波動をまき散らし、赤き鎧をお互い身に纏う。

俺と同じ……禁手化……。

ごくっ……と生唾を飲む。

罠があるかも? 助けなんて来ないって?

……そんなの。そんなの、それでも俺があいつに勝てばいいだけの話だ!

偽物相手に二回も苦戦するわけにはいかないぜ、ドライグ!!

『よく言った、相棒!! それでこそ赤龍帝だ』

俺と同じく偽物に思うところあるドライグは、俺と一緒に闘志を燃やしてくれた。

 

 

「はっ」

「だぁ!」

お互い接近して打撃戦。

まずは相手の出方を覗う。紅の鎧を使うのは相手の実力を確かめてからだ。

そう思っていたが、戦い始めてすぐ、そんな必要はなかったと俺は感じていた。

「はっ、ぐぅ、おらっ!!」

「よっ、せいっ、ふっ」

こちらの攻撃はあまり当たらない。しかし相手の打撃はなぜかガードできずにモロに食らってしまう。

なんでだ? なんでこっちの攻撃が当たらない!? まるで事前に俺の攻撃する箇所が分かっているみたいにひょいひょい避けやがる!!

そしてなんで俺はあいつの攻撃に殆ど当たっちまうんだ? ……サイラオーグさんと戦ったときだってここまで一方的に殴られるなんてことなかったのに。

『相棒、上だ!』

「うおっと」

ドライグに呼び掛けられ、なんとかすんでのところで避ける。

 

 

「はぁはぁはぁ……ぜぇぜぃ」

少し殴りあっただけで、こっちの息はもうあがっていた。

「どうした? 全然歯ごたえがないな。ドライグがついていながら、その程度なのか?」

でもあいつは全然余裕そうだ……。そりゃそうだな、俺ばっかり殴られてこっちの攻撃はほとんど当たらなかったんだから。

今のこれだけの手合せで分かった。あいつは俺より強い。

スピードもパワーも俺より上だ。

 

 

パァアアア!

緑の癒しのオーラが届き、俺の痛みが消えていく……。

「イッセーさん!」

アーシアだ。どちらが本物なのか、戦闘の中でも見失わないようにしていたんだろう。

「ありがとう、アーシア。でも下がっててくれ!」

アーシアの回復はありがたいが、こいつに対してアーシアを守りながら戦えるとは到底思えなかった。

「心配しなくてもアーシアは狙わないさ、嘘だと思うならもう少し離れて戦うか?」

信用できないが、戦闘にアーシアを巻き込む危険性は少しでも避けたかった。

「ああ、そうしよう」

お互いに頷き、ここから離れようと……

「イッセーくん、私も戦いますわ」

朱乃さんが俺の隣に並ぶ。

「朱乃さん……ここは俺一人で戦います」

「でも……」

押されっぱなしの俺が言っても説得力ないよな……でも――、

「あいつは強いです。……あなたを守りながら戦う余裕がないほどに」

「――っ!」

そうなのだ。俺とあいつが本気を出して戦うなら紅の鎧の戦いになる。

あの形態の高速戦闘に朱乃さんはついてこれないだろう……。

そのとき、彼女は俺にとって足手まといになってしまう。

「ごめんなさい、朱乃さん」

「イッセーくん……」

 

 

俺の言葉に納得してくれたのか、朱乃さんが俺から離れる。

「さ、今度こそ行こうか」

「ああ」

俺たちは誰も巻き込まない戦場へ向かって飛んで行った……。

 




今回の話の続きが「開幕」で行われていた戦闘となっております。
イッセーたちの前に現れたそっくりさんの正体とはなんなのか?
相手の力がこちらを上回っている理由とは?
その辺も次回(もしくは次々回)で分かると思います。

最新刊で桐生さんが……(ネタバレ回避)……っなことになってますが
時期的には今書いてるこの話のあとのことなので、問題ないです。

作者ももっと書く時間が取れるかと思いきや、そんなことはなく、忙しい日々を送っております。
一月末までは忙しいので、そこからはちゃんと書けるようになるので、なにとぞご容赦ください。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
感想をいただけると作者はとても喜びます!
それでは、皆さまよいお年を!

追記:アニメもすっかり終盤に入ってますね……そろそろ投稿します!
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