劇場版 -ハイスクールD×D- 補講授業のイミテーション 作:ユウナ
イッセー「先生、遅いっすよ! 色々考察してくれる人がいなかったから、大変だったんすからね!?」
アザゼル「心配するな、ここからは俺がきっちり活躍するからな。とりあえず、敵の正体について語りたいところだが……」
???「その必要はありませんよ」
イッセー「なっ! てめぇは!」
アザゼル「あんたのほうから話してくれるかい?」
???「いいでしょう、そのためにきたのですからね」
「はぁ……はっ、はぁ……」
同じ騎士、
同じ聖魔剣、
しかし息を切らしているのは……。
「そらっ、どうしたんだい? 木場佑斗ッ!」
本物の僕の方だ。
「くっ」
なんとか相手の剣を捌いて、追撃を躱す。
「まだまだいくよっ」
ヒュ、ヒュ、ヒュン、
敵の剣戟が奏でる風切り音が遅れて届く。
それだけ敵の攻撃が速い。
僕はほとんど反射だけで、もはや躱している。疲弊した体でここまで動けているのは奇跡だった。
「はあぁっ」
追撃をかわすために敵の足元に聖魔剣群を生やす。
これが当たるとは思っていないが、敵も回避するために後ろに飛び退くはず――っ!?
「はっ」
事前に予測していたかのようにタイミングよく飛んでこちらの後ろに回り込んだっ!?
――不味い背中から斬られるッ!
「ぐうっ」
なんとか身をよじって相手を正面に見据え、その攻撃を防ぐ。
体勢を崩されることを恐れて、剣を受けた勢いを利用してそのまま後ろに跳ぶ。
飛ばされたといっても過言ではないが、おかげで距離はかせげた。
体力の回復をしたいところだがそんな僕の考えを見透かすかのように、相手は追撃してくる。
しかし、それはさせない。このままこの距離を維持する!
僕は氷の聖魔剣を出すと、地面に突き刺して眼前に氷の壁を造り出す。
相手は壁を越えてくるために飛び越えるか、左右どちらかに避けるか。
どちらにしても相手はその動作のために一瞬隙が出来る。
だから僕ならその隙を作らないように……、
「炎の聖魔剣よ!」
偽物は炎の聖魔剣で氷壁を壊したようだ。
……そう、炎の聖魔剣で氷を溶かす。僕ならそうしてくれると思っていた!
あたりは氷が熱で溶かされたことによって蒸気がたちこめ視界が悪くなっている。
この状況は僕も相手も姿が見えない。でも周りの蒸気を吹き飛ばしつつ敵を攻撃する方法がある!
「風の聖魔剣よ!」
僕は風の聖魔剣を造り出し、振り下ろした。
「おおおぉぉおおおお!」
ブゥウン!
霧を晴らしていくと同時に、この聖魔剣はかまいたちを生み出す。
相手は剣で受けるからダメージはないだろうが、風圧で吹き飛ばされて今以上に距離は稼げるはず!
僕の放ったかまいたちが霧を斬り進み、いよいよ相手に当たるかというところで……、
「
偽物はかまいたちを周囲の霧もろとも吸い込んで消し去った。
あれはフェニックス戦で僕が使った聖魔剣か!
しまった、と思った時にはもう遅く、僕は再び距離を詰められていた。
(なぜだ……僕が何の聖魔剣を出したのか相手は分からなかったはず……それなのになぜ一瞬で
そう考える間もなく再び僕たちは斬戟を繰り広げる。
相手の剣を受け、躱し、受け流す。
もはや攻撃する隙も余力もない。
なぜ僕がここまで窮地に陥っているか。
それは聖魔剣の特性による。
聖魔剣とはその名の通り、聖と魔の二つが組み合わさっている剣だ。
ただの魔剣とは違い、聖なる力も込められているため悪魔に対して効果的なのが特徴だ。
そのため聖魔剣に傷つけられると、悪魔は内側から徐々に聖なる力に焦がされていくのだ。
僕の偽物は悔しいことに僕よりも速い。
だから攻防を続けるうちに防ぎきれず、躱しきれない小さな傷が僕に出来ていった。
本来はそれらの小さな傷ではダメージを受けることはない。
しかし相手の得物が聖魔剣である以上、必然的に聖なるダメージを受ける。
それがいくつも積み重なり蓄積していくことで、僕の体は徐々にキレを失っていった。
そうなると、ただでさえギリギリのところで致命傷を避けてきたのに、聖なるダメージにより疲弊していった体では、敵の攻撃を防ぎきることは当然難しくなる。
小さな、だが決定的な差。
それが両者に大きな隔たりをもたらしていた――。
こんな風に諦めたような思考になっているのも、聖なるダメージによって精神も徐々に弱らさているからだろうね……。
聖魔剣……敵に回すとこれほど厄介な代物だったとはッ……。
「理解出来たようだね? 僕と君の力の差を」
僕が相手に勝てないと思い出してることに感づいたのか、そんな挑発的なことを奴は口にする。
「随分と余裕だね。僕にはまだ……」
――グラムが、と言いかけて相手に先に言われる。
「グラムがあるって? でもここでは使うわけにはいかないと言ったはずだよ。それに今更使ったところで、僕にはもう勝てない。それも分かってるんだろう?」
――それも分かっていた。
ここまで疲弊した体ではもうグラムの真の力を引き出せない。
なにより、グラムを使ったところで相手に当てなければ意味はない……。
……もう僕にはあいつを斬りつけることが出来るほど速く動けない。
……ここまでか。
そう思ったとき、意外な人物が僕の目の前に現れた。
「君はッ……」
「っ……」
『だが、奴のほうが実力が上だ。このままではやられてしまうぞ』
そんなことは分かってるよ、ドライグ。さ~て、この状況どうしたもんかね?
自分と同じ能力のやつと戦うっていうのはある意味やりづらいな。
こちらが何をやるか相手が何をやるかが分かってるから、戦闘は攻防の読み合いになる。
要は向こうのほうが賢いからやりづらいってことなんですけどね!
……はいはい、いじけずに頑張りますよ。
でもお互いまだ本当の力を出してない。
俺の偽物で
俺がそうしたことを頭の中で考えていると、
「お互いそろそろ本気を出そうじゃないか。成れ、紅の鎧にッ!」
あ、やっぱりお前もなれるのね! 考えて損した。んじゃ遠慮なく――、
「————我、目覚めるは王の真理を天に掲げし、赤龍帝なり!」
真『女王』になるための呪文を唱えていく。
「無限の希望と不滅の夢を抱いて、王道を往く! 我、紅き龍の帝王と成りて————」
「「「「「汝を真紅に光り輝く天道へ導こう————ッ」」」」」
『
ドンッッ!
俺は周囲にドラゴンのオーラを迸らせ、紅の鎧となる。
あー、また無駄なパワーを周囲に放出してるな……初代のじいさんに怒られる。
紅の鎧になるとパワーの上限が上がるから、その分普段の禁手状態よりも力を放出しちゃうんだよな……気を付けないと。
「へぇ、それが本物の真『女王』か……」
あれ、俺はなったのにあいつは紅の鎧にならないのか?
それを言おうとしたその時――、
「おーーいイッセーーー」
懐かしい堕天使の総督の声が聞こえてきた。
「ってアザゼル先生……あれ?」
向こうのほうからもアザゼル先生が飛んでくるような……。
「っと」
こっちに向かってきたアザゼル先生が俺の傍へ降り立つ。
「で本物のイッセーはどっちだ?」
『こちらが本物の相棒だ』
ドライグが宝玉部分から先生にも聞こえるように音声を発した。
「よしよし、んじゃ目の前のあいつらが俺とイッセーの偽物か」
向こうを見ると、もう一人のアザゼル先生と偽物の俺が二人で並んで立っていた。
「俺も自分の偽物に会うのは初めてだ」
「そうかい? まぁ面白くていいじゃないか」
向こうの先生は笑って肩をすくめていた。
「決着をつけるかい? 今ここで」
先生が光の槍を出して構える。
「いや見逃しといてやるよ。そっちにも戦う準備ってものが必要だろう?」
両者がにらみ合う時間が続く……。
先に目をそらしたのは本物の先生だった。
「ふぅ、んじゃ逃げるぞイッセー」
「え、逃げるんですか?」
「このままここで戦っても仕方ないだろう。それに他の連中の様子も気になるしな」
「ってことは俺だけじゃなくて皆の偽物も……」
「そういうこった。んじゃあっちと合流するぞ」
そう言って先生は俺を連れて飛び立っていく。
ぐんぐんと偽物たちと距離が遠ざかる。
次は必ず――、
再戦を胸に抱いて俺たちは離脱していった。
「どーだった? 本物の
「やっぱり本物のほうが凄味があったな。あれが真なる天龍の鎧か」
「データは採れたんだな?」
「ばっちりだ。真『女王』も見せてもらったしな」
「んじゃこっちも一旦戻るぞ」
「はいはい」
「先生、皆のところに行く前に朱乃さんとアーシアを」
「わーってるよ、そっちはもう二人とも回収済みだ。お、いたいた」
先生が見つめていた先には……お、木場とアーサーじゃないか! アーサーは戻ってきていたんだな。
でもなんで二人であんなところに……。
「木場はイッセーの家にいたのか」
そう、先生と向かっていたのは俺の家だ。でもここからはいるはずの皆の気配を感じられない……。
「せ、先生! リアスや皆はどこに!?」
「ここは結界の中だよ。この家もお前の家そっくりではあるが本物じゃない。おそらく敵が造り出した偽物だろうな」
そうか、ここは結界の中なんだった。
「結界の中!? ここはいったい……どうしてイッセーくんやアザゼル先生が……」
木場はまだ状況をよく分かってないみたいだ。
俺たちが揃ったからかアーサーが口を開く。
「それでは、ここから離脱しますよ」
アーサーの持つ聖王剣コールブランドで空間を切り裂いた。この裂け目から元の世界に戻れるのか?
「木場にもあとで事情を説明してやる。んじゃ行くぞ」
俺たちは先生に促されるまま元の世界に帰って行った。
元の世界に戻ってみると、そこは見慣れたオカルト研究部の部室だった。
リアスや朱乃さん、ソーナ会長やサイラオーグさん、更にヴァーリまでいるじゃないか。
「ほかの皆は?」
「アーシアは別室で襲撃を受けた者たちの治療をしているわ。他の皆も同様に襲撃を受けたみたい」
やっぱりなのか。あいつら一体何者なんだ……。
「そうだ、そっくりさんのことは先生に訊いてみたいと思ってたんですよ。あいつら一体何なんですか?」
「推測でしかないがおそらくあいつらは……」
「それは私から説明しましょう。堕天使の総督」
ブゥウンと不気味な音をさせながら転移してきたのは――、
「てめぇは!?」
「お久しぶりですね、兵藤一誠。宣戦布告に参りました」
ユーグリット・ルキフグスだった。
まず始めに皆様お待たせして申し訳ありません。
一度書くことから離れてしまうと、そのままズルズルと離れて行ってしまうものですね……。
あともう何話かは出来るだけ早く投稿したいと思いますのでよろしくお願いします。
さてさて、今回の話で敵の実力がよく分かったのではないでしょうか。
木場くんがほぼ対等の条件で戦っているのに完全に押されています。
無論こちらは敵の正体についてほとんど何も知らないので、情報戦という意味においては圧倒的に負けているのですが……。
(ちなみに木場くんがあの場でアーサーといたのは、あの後アーサーから助けられたからです。偽物の木場は退却していきました)
今回の敵の正体はもちろんクリフォト絡みです。
(確認のために、ユーグリットがまだ暗躍しているのはこの作品が時系列的には16巻から17巻の間に起こった出来事だからです)
これ以上のことは次の敵の宣戦布告やらアザゼル先生やらの考察で判明していくと思いますのでお楽しみに。
アニメが4月から放送されまして、今までずっと見ていたのですが……
最新話を見ているとなんと……イッセーの偽物が登場しているっ!?
まさかアニメのほうと被るとは……あちらはロキの呪いのようなものらしいですが、
こちらのイッセーくんの偽物騒動とは何の関係もないのであしからず。
原作と被るよりましだと考えるべきですね。
原作では次はリアスとアーシアを活躍させるとのこと。
ならばこちらは朱乃さん推しでいきましょう。是非に!
朱乃ファンの皆様には是非とも読んでほしい作品に仕上げていきたいと思いますので
今後ともどうかお付き合いください。
それではここまでお読みいただきありがとうございました。
感想をいただけると作者はとても喜びます!
追記:次の更新は早めにしたかったのですが、八月にならないと厳しそうです……。
ご容赦ください。
それと最新刊発売ということで今後のネタバレになるかもしれない設定を一部作者活動報告のところに載せたいと思います。そこまで凄いネタバレは書きません。原作と被ってしまうかなーと思われるものだけ書きます。そして3話に載せてるネタバレは消しておこうかと思います。
追記:新年あけましておめでとうございます。投稿は遅れに遅れております……。おそらく二月にまでずれ込んでしまいますが、ご容赦ください。