「たるんでいるんじゃないかしら、指揮官」
手にしていた書類をそっと机に戻しつつ、わざとらしく視線を掛け時計に移すと嘆息混じりに彼女、ビスマルクは言った。
そんな彼女に頭を下げつつ俺は相槌を打つことしか出来ない。
隣りにいるローンやティルピッツは申し訳無さそうにしながらも表情のみで援護の言葉はない。最も、時間を忘れていた俺が悪いのだが。
「指揮官、人の上に立つ以上約束は大事。特に部下との約束は。
上司として、些細な事から部下との信用を失ってしまう。一度綻びが生まれたら直すのは大変なの」
「はい」
「私だから大事にはしないけど、他の子たちにそんな事をしたら大変よ?」
「はい、気をつけます」
「指揮官、貴方を信頼してるからこそ言っているの。しっかりしなさい」
「はい、頑張ります」
傍から見たら何方が上に立っているのかわからないその光景に少し情けなさを感じる。
言い訳ではないが、人の上に立つという経験の長さは彼女の方が遥かに長い。だからこそ、まだまだひよっ子の俺を見ていると色々と言いたくなるのだろう。
ビスマルク
鉄血艦隊の指導者であり、鉄血代表ともいえる艦船。
仲間を守るという信念は、誰よりも固く強い彼女。
シリアスを除くと誰よりも俺を支えてくれた彼女。
だからこそ、人の上に立つ指導者としての振る舞いを忘れない彼女。
そんな彼女を見ているだけで、教科書なんかでは学べない沢山の事を学べる。
最も、それらを全く活かせていない現状に頭を抱えていそうで申し訳ない限りなのだが。
「指揮官、聞いていて?」
「聞いてます」
「そう、ならいいわ」
思考に囚われ相槌を忘れていた所にすかさずメスを入れる彼女。頼りになると同時に怒らせると怖いという事を改めて認識させられてしまう。
「姉さん、悪いのは指揮官じゃなく私。これ以上は私を怒ってくれ」
一旦一方通行の会話が止まったのを見計らったようにティルピッツが一歩前へ出る。
「ティルピッツ、貴方は休みのはずでしょ?」
俺の時とは違う優しさや気遣いが前に出た声で矛先を変える。
立派な指導者とはいえ、妹であるティルピッツを前にすると姉としての側面が前に出る。
「まぁいいわ、貴方から何故遅れたのか話を聞かせてくれるかしら」
「わかった」
彼女が前に出て来てくれたおかげでようやく顔を上げる事ができた。
そのまま、ティルピッツはここに来る前の様子を事細かに話してくれる。
本当に、細かく。
「……なるほどね。艦船達と遊んでいたら遅れたという事」
「ごめんなさい」
再び軽い頭を必至に下げて上から聞こえる溜め息にビクビクと震えていく。
何を言っても言い訳になるどころか、言い訳にすらならない言葉達しか思いつかない。
そんな俺の内面すらお見通しなのだろう。「指揮官」と呟くと再度重々しい息が聞こえてくる。さっきはまだちょくちょくと顔色を見れたが、今回ばかりは怖くて顔を見ることすら出来ない。
どんな言葉が来るか不安に怯えつつ床に垂れていく冷や汗が弾けるのを見て気を紛らす。
「…………まぁ、貴方に会いたがっている子達が大勢居るのは知ってるわ。
鉄血だけでも、貴方と話したいと言ってる子達が大勢いる。
そんな子達の相手をしていたから遅れたとは思ってたけど、甘えて遊んでいたら遅れたなんて」
「すみませんでした」
さっきまでいた何処か暖かさを感じるリビングとは打って変わって冷たく重々しい空気に満ち溢れた部屋でその恐ろしいプレッシャーを肌で感じるとヒリヒリと痛み始める気がした。
嘘をつけない生真面目な性分のティルピッツは、こんな空気にした事に責任を感じてかより申し訳無さそうに。ローンはさっきまでのことを思い返しているのか「あらあら」と言いながらのほほんとした笑みを浮かべていた。こんな空気でもマイペースでいられるのは彼女の柔らかい雰囲気とマイペースな性格だからだろうか。少しでもあやかろうと気付かれないようにローンに近づこうとした時。
パンパン
と、部屋に張り詰められていた空気を一気に爆発させるよう手を叩くビスマルク。自分の浅はかな思考が読まれたと思うと更に汗が垂れていく。
「指揮官、頭を上げて」
「はい、すいません。……えっ?」
「頭を」
「え? あ、はい」
言われるがままに顔を上げる。彼女にしては珍しい悪戯な笑みが口元に薄っすらと浮かべているのが印象的で良く見えた。
「ほら、シャキっとする。胸はしゃんと、目ははっきり!!」
「は、はい!」
よく分からないまま言われた通りにしていく。
これはもう傍から見なくても何方が上なのかわからなくなってきた気がする。
「よし!」
細かな指摘を受けつつも彼女の言葉を借りるにシャキっとしたのだろう。確認を終えて満足気にすると咳払いを1つして。
「指揮官、貴方はこの肩書の通り艦隊のトップ。
誰よりも偉く、誰よりも冷静にならなければいけない。
そんな貴方が周りの子達に甘やかされいるのはいけないわ。
そう、それはいけないこと」
「はい」
頭を垂れかけたが鋭くなった視線に気付いて慌てて言われた通りの姿勢に戻す。
「それでも貴方は優しい人。
私も昔から傍で見ている身。その優しさに触れていた身。
いけないと言う事は出来るけど、辞めろとは言えない」
「はい」
「だから、いえ、だからこそ」
パンパン
と再び軽く叩く音が聞こえる。
手ではない。眼の前にいる彼女はわざとらしく自らのふとももを叩く。
「ほら」
「……ほら、とは?」
思わず上司を相手にするように返してしまった。突然の奇行に走る上司を相手するように。
少なくともさっきまで味わっていた経験を思い返すと、三度目の大量の冷や汗をかいていく。
「私だって女なのよ。
貴方を甘やかす事ぐらいなら問題なく出来るわ」
「ビスマルク、冗談はやめてくれ。
俺は甘えたいわけじゃないんだ」
「ほら」
「ビスマルク、頼むから話を」
不穏になりつつある雰囲気から逃げるように一歩下がろうとしたが柔らかい感触が後頭部に当たり止められる。「あらあら」と柔らかい声が頭上から聞こえると、その主はそっと両肩に手を乗せて楽しげにしていた。
「ほら、今度はビスマルクお姉さんに甘えましょうね〜」
そんな言葉と共に俺を生贄に捧げるように無理やり前へと送るローン。
「姉さんは言い出したら中々折れない。諦めて指揮官」
助け舟を出す気を微塵も感じさせないティルピッツは手を出すことはないが俺を見送るように視線を向けた。
「ほら、指揮官」
そんな風に膝を叩く彼女に向かって。
私を見たというのに自沈しないだけでなく沈めるのに私の手まで煩わせるなんて……許せないっ!!
そんな怒りに満ち溢れた声がテーブルに置かれたレコーダーから聞こえる。先日の海域の見回り時に彼女が発した言葉。それをたまたまデータとして偵察機が撮っていたものがまさしくこの言葉だ。
他にも出したらきりがないような物騒な言葉達を眼の前に柔らかい笑みを困らせているローンが言うというのだから信じられない。
「すいません、戦闘になると興奮してしまって」
言い逃れ等出来ないと思ったのかあっさりと頭を下げる彼女。
「指揮官、何も相手に向かって言ってるんだ。味方に対してではない。大目に見てくれないかしら」
ビスマルクはローンを援護するように下に向かって口を開く。もっとも、そんな俺は
[見ないで、頼むから、見ないで]
彼女の膝の上に座させられ、回された手で体を密着させられていた。まっかな顔を両手で隠しつつ独りでに呟きながらその必至さをアピールする。
少しでも逃げようなら女の力とは思えないような手が思いっきり俺を引っ張り全身で彼女に包まれるようになってしまう。既に3回やった。泣きそうな思いで胸が一杯になる。
だからこそ、今はこうして泣き言で縋るようにお願いしているのだが
「指揮官、話を聞いてないのかしら?」
「いけませんね、ビスマルクさん。もう少し近くで話してあげたらどうでしょうか?」
「そうね、そうするわ」
「聞いてる! 聞いてるから!!」
泣き言を聞いてくれない彼女達。隣に座るティルピッツは羨ましそうに此方を見てるのと目があった。相変わらず助ける気はなさそうだ。
「私の女性らしい体付きは戦場では不向きと思ってたけど、こういう時はこの身体でよかったと感じるわね」
「姉さん、余りイジメないで。私だって指揮官を癒やしてあげられる」
「ふふふっ、ティルピッツさんの次は私もいいでしょうか〜」
「ほら、話が反れてるから!」
ついに手を離してボイスレコーダーを指差す。
観念して本題に入る俺を見て皆も綻びた顔を戻していく。
「相手は敵なんだから、キツい言葉を言う事に問題があるのかしら」
「姉さんの言うとおり。相手は敵。沈めるのだから慈悲はいらない」
「そうだけど、うーん」
鉄血はやけに好戦的な艦船が多い。故に、戦闘になると物騒な物言いをするのが多いからこそ余りこの問題に気を向けないのだろう。
そんな艦船達のデータを元に作られた彼女は、特にその傾向が強いのだろうか。
特別計画艦
ティルピッツやビスマルク、シリアスやベルファストのような艦船達は謎の多いキューブの力を使って建造している。セイレーンの力であるキューブを使って。
でも、ローンは違う。
キューブを使ってはいるが、それだけじゃなく艦隊で取れたデータを元に建造された彼女は、他の艦船達とは違う。
俺の母港ではローンを、他の艦隊ではまた他の特別計画艦のためのデータ収集、建造をして配置されている。
初めて人類が作り出した艦船だと技術者達は言うらしい。その辺りは疎いため余りピンと来ないのだが。
とりあえず、好戦的な鉄血のデータを取り纏め作られた彼女が好戦的になってしまうのは致し方ない事なのかもしれない。
それでも
「駆逐艦の子達はローンの事を優しいお姉さんと思ってるから余計に怖いんじゃないかな?
そのうち皆慣れるかもだけど、怖がる子がいる間は気をつけてね」
これぐらいは言っておく。
彼女が浮かべるほんわかとした笑みから敵を糾弾するような言葉が出るのを想像すると確かに怖い。駆逐艦の子達の気持ちもわかる。
少し肩が震えると俺を抱える手が締まるため余計に震えそうになるがグッと堪えた。
「ローンは優しいから、言葉遣いさえ気をつければ皆こんな事すぐに言わなくなるから大丈夫だよ」
「……はい、気をつけます」
反省してるのかしてないのかはわからないが、眉一つ動かさず応える彼女の返事を聞いて少しだけ満足した。
艦船によっては注意してもすぐに反発するモノもいる。
最近会った艦船達だと赤城、加賀、大鳳だろうか。彼女達は歯に衣着せぬ物言いで語る。俺の為と話している以上中々言う事も言えない。最も、それだけ信頼されてるという風に捉えているけど。
そう思うと、反省してるかしてないかは別として大人しく引き下がってくれるローンは大人なお姉さんという風に感じれて好感を持てた。
「今度のメンテナンスの時に相談してみますね」
「メンテナンス?」
急な単語にそのまま返してしまう。
「はい、今度本部に行きメンテナンスを行うんです。
特別計画艦自身のデータも集まってきたので、次の対象の為のデータ提供と不具合がないかを見るらしいですよ」
「そんなのあるんだ」
「この間伝えたわ。指揮官」
「えっ! 嘘!?」
脳内スケジュールと共にポケットに仕舞っていた手帳を取り出して確認する。一通り見ても思い返しても何処にもそんな記述はない。
「いつやるの!」
「まだ未定ですが、近い内と聞いてます」
「マジか……」
頭から抜け落ちていた。本部が関わる大切なイベントを忘れるなんて。
また行くことになると思うと溜息が無意識で漏れてしまう。
「指揮官、しっかりして。貴方がここの代表なのだから」
「……ごめん」
頭上の言葉に謝りつつ反省する。気が抜けていたのだろうか。忙しさにかまけていたのだろうか。
今までこんな事なかったのに。
「当日は指揮官も同行ですよ〜」
「俺も? なんで??」
「なんでも、私の普段の様子を話すためにですよ」
「……そっか」
普段も何も仕事場に籠もりっきりだ。会ってすらいないのに語る事なんて出来ない。
頭を抱えると空いた所を埋めるように手を添えられ優しく左右に揺さぶられる。
「資料は私が用意しておくから問題ないわ。貴方はそれを頭に入れて挑んで頂戴」
「……いつも助かります」
「問題ないわ。いつもの事よ」
優しく吐かれた息がくすぐったく頭にかかる。そんな息に伝染して俺も息を吐いた。情けない自分自身を咎めるように。
「ありがとう。気をつけるよ」
「そうね、気をつけて」
そんな返しに対して。
「ローン、ティルピッツ。
後は指揮官と2人で話すことがあるから席を外してくれるかしら」
自己嫌悪に沈む俺を庇うように2人に言うビスマルク。その言葉にこの話は終わりを意味し、ローンは「わかりました」とティルピッツも「そうね」と呟き席を立つ。
「ティルピッツ、貴方は休みなのだからゆっくりしなさい」
「今日は指揮官の暖かさに触れられた。
寒さの中で忘れた温もりを思い返せたのだから、後は休まさせて貰おうかしら」
「ローン、今日の話は忘れないように」
「はい、まだここに着任して日が浅いですから。
皆さんと、指揮官と仲良くなれるように気をつけますね〜」
退室する2人にそれぞれ声をかけ、その背を見送る。
本当にいい上司だ。部下思いの、家族思いの。
自分との余りにもある違いに本当に嫌になる。
「さぁ、久々の2人っきりね指揮官」
凛とした彼女らしからぬ甘い声で囁くと、何もしてないのに回された手でまた力強く引き寄せられた。
「ビスマルク、恥ずかしい」
「いいじゃない。ここは私と貴方しかいない」
嫌がっても外してくれる様子はない。妹の言うとおり、彼女は言い出したらそう簡単には折れない。そう思うと抵抗するのも無駄だと感じてその身を預ける。
「相変わらずのダメダメっぷりね。見てて恥ずかしいわ」
「……ごめんなさい」
また頭を撫でられ始めた。
「指揮官。よく聞いて。
上に立つ者として嬉しい事と悲しい事は同じ事。
下に居た者が巣立つこと。
力ある者が巣立つ時は自分の事のように喜ばしく、力ない者は自分が守れなくなる事に悲しく。
貴方は力がない」
厳しい言葉とは裏腹に優しく力を込める彼女に身体を預ける。
「もちろん、貴方は始めから私の部下ではなかった。
それでも、ここにはじめて正式に着任したのは私。
何もわからない貴方を助け続けたのは私。
だからこそ、貴方が何も出来ないというのは誰よりも知っているつもり」
彼女の柔らかさに包まれると、ほのかに感じる甘い匂いが鼻をくすぐる。
「私は私でやる事はあるわ。
でも、何時だって私を頼って。
力なくしてひとの上に立つことを強いられる貴方を助けてあげられるのは私だけ。
だって、他の艦船に貴方の無能さを広めたら示しがつかない。
きっとなめられてしまうわ。
だから、貴方を助けられるのは私だけ」
「私だけなの」そう耳元で呟く。
愚弄されているなんて事は俺にだってわかる。
それでも、それでも。
それでも、彼女の言葉に奇妙な安心感を覚えてしまう。
いつも、いつも。
周りの艦船達とは違う。しっかりと俺を見て、過大評価せずに無能と認め口に出す。
自分を見てくれている、そんな風に思えてしまう。
誇らしきご主人様
そう語る彼女が常に傍に居るからこそ、彼女の等身大の評価が心地よく感じるのだろうか。
「指揮官、貴方が辛くなったら何時だって逃げていい。
その時は私の元に来て。
何時だって助けてあげる。
私が着任した時からそうだったでしょ?
軍務は何時も私任せだった。
情けない姿で戸惑う姿は今でも思い出せる。
だから、何時だってあの時みたいに私に泣きついていいの。
私だけが貴方の味方。
私の部下達が貴方の味方。
貴方を苦しませない、本当の味方」
そんな甘い言葉を繰り返すビスマルク。
肩の力が抜けていく。部下に言われてはいけないことを延々と言われているのに。
それでも、心地よく感じてしまうのは、人は上に行くよりも下に下るほうが楽だからなのだろうか。
彼女の甘言に包まれながら、俺は力なく頷いていくことしが出来なかった。
秘書官の席をかけた演習が始まると、明石さんが騒いでいました。
なんで明石さんが言いふらすのでしょうか?
薄暗い自室のベッドに座りそっと指を添えて考える。
それでも、ここまで噂になっても指揮官が否定をしないという事は、きっと無言の証明。皆さん何時も以上に訓練に身を打っています。
さぁ、私はどうしましょうか。
明石さんが騒ぐのがとても気になる。指揮官が直々に言うのではなく何故明石さんが?
購買部という立場上色んな艦船と接せる機会が多い彼女だから?
それでも、彼女は重桜の艦船。策士の女狐がいる重桜の。
……あらあら、本当に難しい。
もしも、もしも世界の盤面が目に見えていたら簡単なのに。誰がこの一手を打ったのか見れたら、どうにでも出来るのに。
それが出来ないから、生き残るのは大変ですね。
誰が打ったのかわからない盤面。誰の思い通りに行くかわからない盤面。
ならば、いっそのこと…………
特別な私は、指揮官には言えない特別な権限がある。
不都合や不具合があれば指揮官を飛ばして本部に直接連絡出来るような権限が、他の艦船達とは違い、本部で建造されたからこそ出来た権限が。
ここにきて直ぐに思った。
皆に愛される彼を奪ったら、壊したらどうなるのだろう。
皆の顔はどうなるのだろう。彼の顔はどうなるのだろう。
幼さを感じ取れる可愛らしい顔に、軍服が似合わない背丈の彼。そんな彼の壊れる顔を想像するだけで──ー
本部の方に日付を言う。
彼が久々に表に出るという皆が楽しみにしている日付を思い出すとつい口にしてしまった。
あらあら、私ったらはしたない。でも、口に出した以上はしょうがないですよね。
後はビスマルクさんに口裏を合わせてもらいましょう。丁度今度指揮官が来ると言っていた。
きっと彼女も……いえ、鉄血の皆さんは協力してくれる。
私の中にある皆のデータがそう証明してくれる。だからこそ、自信を持って言える。
もしも、もしも誰かがこの盤面を作ったのなら
壊してしまいましょう
盤面なんて見えないのだから。誰かが駒を動かすのなら私は私の愛する駒のみ大切に仕舞って残りを全て壊せばいい。簡単な事。
自分でも不思議に思う。
会って間もない人をこんなにも思うなんて。
それでも、そう思ってしまうのは私を作るデータ達が同じ思いなのだから。
みんなみんな同じ思いなのだから。
だから、私の思いは皆の思い。
人一倍強い感情も、嫉妬も、憎悪も。
湧き上がる醜い感情に歓喜し、感情が昂ぶってしまうはしたない私は思わず声に出してしまう。
私の大切なモノを奪うなんて……許せない!!
私達の間を邪魔するものは全部、全部壊してやる!!