灯火の星 〜The One Story of Ours〜 作:蘭沙
ヒーロー・リターンズ。
リメイクの流れに従ってアドベントチルドレンがリマスターされるそうですね。ぶっちゃけFF7系列はシリーズ多くて把握できない。
「う〜ん…?」
「ど、どうしたの?」
「さっきここら辺にインクリングがいた気がしたんだけど見間違いだったのかな?」
辺りを見回すネスにリュカが聞いた。
枯れ果てた大木を道代わりに進み、別の道への境界にいたのは一人のスピリット。ネスはそれをインクリングが見ていた筈と語る。
「後でいいだろ、どうせすぐに合流してくる」
その呟きを偶然拾ったブラックピットは興味なさげにそう言った。態々気にするほども仲良くないからだ。
近くに一人いたファイターは既に取り掛かっていると聞いた。他に道はなかったので、このスピリットの先が目的地の筈だ。そう思い、手を伸ばした時だった。
「ちょっと待ったぁ!」
「っ! 誰だ!」
遠くから引き止める声が聞こえて、反射的に手を引いた。後ろへ振り返ると、黄色のゲソに目立つベストの種族インクリングがいた。
「私は怪しい者ではない。だが、問われたのならば答えよう!」
くるりと一回転し、決めポーズを決める。
「私は3号。ナワバリバトルの裏に潜む闇を討ち、人知れず平和を守るNew!カラストンビ隊が一角!」
「またあなたは…」
「人知れずなのに名乗っていいのか?」
どこかで聞いたフレーズに呆れるのは、二度目の登場を見たWii Fit トレーナーだ。そしてガンナが空気を読まずにつっこむ。この状況、ふざけている場合なのか。
「ヒーロー… でもインクリングさんじゃ」
「3号!」
「インクリングだよね?」
「3号!」
「もうわかってますから…」
「3号!」
どうしてヒーローのお約束がわっかんないの、と小声でぼやくのが聞こえる。そう、ヒーロー3号とはインクリングのことだ。ほとんどはそれを知っている。所で何か忘れてはないだろうか?
「インクリングがヒーロー3号…? 友人って言ってたじゃん… だからふっかけたのに…」
むらびとだ。3号のヒーロースーツを買い取る際、三倍で返してもらうように言ったのだ。インクリングの友人へ、とのことだったのだが、同一人物だなんて聞いていない。
隅でブツブツと考えた結果、ヒーローのお約束とはいえ、黙っていたのが悪いという結論を出した。お金が絡むとリアリストだ。所で何か忘れてはないだろうか?
「はあ? なんだこいつ…?」
「ブラピブラピ、わあ!とも、フーとも、しないから耳貸してみて」
「何罠に嵌めようとしてんだ… たく、なんだよ」
3号の正体を知らない存在のことを。
何故かピットはわからない。悩まないとは言われているが、頭が足りないとは言っていない筈なのに。
ブラックピットに内緒話をする。すると彼の目がまん丸になるかの如く、驚きの表情を見せた。
「ヒーロー…ね。まあ、手を貸してくれるなら遠慮なく貸してもらう」
「えっ」
ブラックピットが言い放った言葉に、むらびとが思わず驚きの声を上げてしまった。まさかわからない人がもう一人いたとは。ピットのようにベタな憧れはないものの、同一人物だと認識していない。
古典的なヒーロー系コミックでは、正体を知ってる人と知らない人の比率が逆ではないのか。
「当然だ! 何しろ君の目の前に居るのは我が同胞、New!カラストンビ隊の一人、8号だ! 私が決めた!」
「無許可かよ」
「だから私に任せろ!」
無慈悲なツッコミはNGだ。勢いのあるツッコミなら許可しよう。
『スーパージャンプ』でブラックピットの前まで跳び出し、そのまま大乱闘への権利を獲得したのだった。
戦いの場となる『ミッドガル』は、どことなく彼女と初めて会った場所、深海メトロを思い出す。とはいえそこでは話す時間もなく、いつの間にか気絶していて、しっかり会話できたのは地上へ戻った後だったのだが。
「まったく、こんな暗いところ嫌だよね〜」
『…』
返事はない。自分の同族と同じ姿をしている彼女は例外なくダーズの支配下だったのだ。
「ハチまで巻き込んでさ、ほんとに…
───調子に乗らないでよ」
『─ッ!?』
『スプラシューター』から放たれたピンクのインクを回り込んでかわし、鳩尾に足を叩き込んだ。
「ハチには悪いけど、私は全部本気なんだよね。まったくもって負ける気しないんだよ… 聞いてる? ダーズ?」
『…ッ!』
本能が危険を知らせている。あの攻防でインクの滴一つも当たってないなんてあり得ない。でも目の前のファイターはそれを実現している。
別の人がいたら、本当にあのインクリングと同一人物なのかと思うだろう。
8号とは別の誰かは寒気を感じた。少し気を逸らしてしまう。その瞬間に3号は消えていた。
『…!?』
どこにいる、と辺りを見回すがあの黄色はどこにもいない。後見ていないのは上だけだ。
「遅い」
『…ッ!?』
視界が真っ暗だ。『バケットスロッシャー』の口を目に押しつけているのか。すぐに取り払おうとするも、それより先に何かぶつけられる。『パブロ』か。
『…!』
視界が安定しない。それでも何か動かなければ勝てない。そうだ、上から攻撃していても、顔に押しつけているのだから目の前に居る筈。ならばと『スプラローラー』を取り出した。
『─ッ』
押しつぶすように叩くが、既に3号はいなかった。重力に従い、落ちた筈のバケットスロッシャーもない。全ての動きが速すぎる。捉えたと思ったらもういない。
既に3号は背後へと回り込んでいた。何かが背中に強打する。吹き飛ばされた先に、『スプラッシュボム』が落ちて爆発する。黄色のインクまみれになりながらも思考だけは止めない。
「……」
『スプラローラー』を握る3号。これが本当の使い方だと言わんばかりのタイミングは意趣返しか何かか。
相手は一人だというのに、コンビネーションプレイを相手にしているかのようだ。実際には、上の足場を活かしてボムの爆発タイミングを遅らせたに過ぎない。
口で言うのは簡単だが、一人でできるようなものではない。速すぎる。
『…っ』
ならば爆風で擦り傷一つ加えるくらいは。『ホットブラスター』ならば捉えさえすれば範囲攻撃が当てられるだろう。死角を敢えてつくるのだ。そこに誘導して─
「だから、遅い」
両眼にとびかかる黄色のインク。死角だらけになってしまった。誘導なんて隙はない。
黄色と暗闇以外見えない筈の目には、何故か『ホットブラスター』を構えた憧れの人の姿があった。
─そうだ、ただ最高のバトルを繰り広げたからあの人に憧れたんじゃない。
─イカした少女の面と強さを併せ持つからこそ、彼女に憧れたんだ─
─ぬんにゃら ほうべらにょろめら にぃめらに…
「彼女は私に任せてくれ、今は先に進むんだ」
「へいへーい、ゲソ女に言われるまでもないって」
「だから3号!」
この声は、あの人。
「コホン、驚かせたか? 8号。」
『…3号サン、デスカ?』
辿々しくイカの言葉で話す。聞くのは兎も角、話すのはまだまだだ。イイダのようにはまだできない。
「ああ、君は… 問題ないね?」
『ハイ、助ケテクレテアリガトウゴザイマス。』
素顔が出始めた3号にお礼を言うと、八重歯が見える程の笑顔を浮かべた。
「まったく問題なし! そもそもハチと初めて会った時なんか攻撃しちゃってたし、デンワの時なんて覚えてないけど大変だったらしいじゃん!」
『攻撃シタノハオ互イ様デス。私ハソノ時ヲ忘レチャイマシタガ… デモ、ネリモノニサレカケタ時ハ助ケテクレタジャナイデスカ。』
「………」
『………』
しばし沈黙。目を合わせ続けていた。
「…ぷっ」
『フフフフ…』
「そういやそうじゃん! お互い様か! そうか!」
『…! デモ、今回ノコトハドウシマショウ!?』
慌てる8号に3号、インクリングはこう返したのだった。
「よし! それじゃ全部終わったらみんなでナワバトしよ! そういえば私に後輩出来たんだよ!」
『3号サンノ後輩…!』
未来への約束。
無力で何も出来なくても、それでもそれがあればいつまでも待てる気がした。
ミュウツー『タイミングが悪かったか。これはあまり期待しない方がいいか』
クルール「オイコラ待て! 期待しない方がいいとはどういう意味だ!」
ミュウツー『ここから聖地編に移行する以上、我々の出番は当然少なくなる。だが、私は公式からの供給が多いから痛くも痒くもないが』
クルール「んだとゴラァ!?」
クルール「次回だ! 『何一つだってないんだぞ』!」
ミュウツー『ヴィランズミーティングでもしたらどうだ』
クルール「ほう? 成る程な… クッハッハッハーッ!!」