灯火の星 〜The One Story of Ours〜   作:蘭沙

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先週投稿が遅れたので早めに投稿します。
いい加減に懲りろよ…



百四話 誇りを持って

「Hey、princess! とっ捕まえてきたぜ!」

 

「まあ、ありがとう!」

 

「この世話焼き野郎…!」

 

 

ソニックに抱えられたこどもリンクはあるがままにゼルダに差し出されるしかなかった。

ソニックが追っ手に加わっていると知ったこどもリンクは早々に隠れることを決めたのだが、その前にソニックに捕まったのだ。

 

 

「手荒な真似をしてごめんなさい。」

 

「謝るぐらいなら最初からやるな」

 

 

ぶっちゃけ事情を聞いたソニックが勝手に捕まえてきたのでゼルダは悪くないのだが、それでも謝るゼルダにこどもリンクの対応は冷淡だ。

 

 

「何かしようと言うわけではないの、友達になりたいの」

 

「ぼくはなりたくない。」

 

「そんなこと言わないで」

 

「あんたには友達が少なそうだから教えてあげる。世の中にはどうしてもわかり合えない人が存在するんだ。あんたの場合はぼくでぼくの場合はあんただ。」

 

「そんなの… わからないじゃない」

 

「うん、あんたはぼくのことをわからない。少しも知らない。わざわざ教える気もない。だからわかり合えない。」

 

「………」

 

 

突っぱねた対応に段々とゼルダは俯いていく。少し涙が浮かんでいる。ちなみにシークは友達が少なそう発言から既に血管が浮きでている。

 

 

「オイオイ、それは流石に…」

 

「もういいでしょ? ぼくいくよ」

 

「Oh!?」

 

 

腕を捻って拘束を外すと瞬時に姿を消した。誰も追えなかった。

 

 

「まったく… へそ曲がりにもほどがあるぜ」

 

「難儀だな…」

 

「ピカチュ…」

 

 

黙って聞いていたサムス、ピカチュウもこどもリンクの対応に渋い顔をしている。

 

 

「本当に彼と友達になりたいの? 相手は選んだ方がいいと思うよ」

 

「だって…」

 

 

シークが諭すようにゼルダに言うと彼女はぽつりと呟いた。

 

 

「だって… あんなに苦しそうなんですもの…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

崖のような山を登った頂上にあったのはリンクには見覚えのあり過ぎる剣とそれを番人のように守るファイターだった。

 

 

「ひえー、最後の試練… みたいな?」

 

「じゃ、任せたリンク!」

 

「また抜かなきゃダメなの…?」

 

 

あれ疲れるんだよ、と語るが、抜いて疲れたものはリンクの背中にある。

 

 

「もう仕方ないな…」

 

「ねえ、君たちちょっとオハナシがあるんだけど…」

 

「「ヒョエエエ!?」」

 

「じゃ! 期待に沿えるように頑張りまーす!?」

 

「リンクが! リンクがエスケープ!?」

 

 

背後からおどろおどろしく話しかけてきたこどもリンクへの恐怖に慌てて乱闘へとチケットをもぎ取った。任したのはソードだもの。仕方ないね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

完全に逃げるようにして移動したこのステージは『ミッドガル』を見下ろす『終点』の世界。

そこにいたのはクラウド・ストライフだった。誰よりも大きく、厚い大剣を軽々と使いこなす剛腕の持ち主だ。見た目はリンクとさほど変わらないというのに、人は見た目によらないものだと平然と崖を登る自分を棚に上げて思った。

 

 

『…!』

 

「おっつぉ!」

 

 

初動を飾ったのはクラウドの『破晄撃』だった。緑に光る斬撃を跳び上がって回避する。クラウドの得物は剣一本だというのに攻撃はえらく多彩だ。

 

 

「らぁ!」

 

 

跳び上がって振り下ろしたマスターソードと横に構えたバスターソードがぶつかり合う。

カキンと金属音が鳴り響く。力比べはギリギリと拮抗し火花が飛び散る。

 

 

「こんのッ!」

 

『…!』

 

 

地面に降り立ったリンクは全身を捻って回り、刃を振り切る。後ろへ飛ばれて剣先が僅かに掠れただけだった。

 

 

「はあ、はあ、簡単にはいかないか…」

 

 

クラウドはソルジャークラス1st相応の実力を持っている。セフィロスを止めた実力もあり、リンクが定められた伝説の勇者であろうと遅れは取らない。

ましてや、リンクは戦闘開始時点で全快ではないのだ。すばしっこいこどもリンクを追いかけていたからだ。先の戦いでも彼にいいようにやられていたプライドは完全に戻ってはいない。

時代が違えど、知恵の存在とともに戦い、自らとともに屠るしか勝つ手段がなかったのだから。

 

 

なんの工夫もなく射った『弓矢』は全て弾かれる。飛び道具で上回ろうとしてもそう簡単にはいかない。だって銃より遅いから。

 

 

「(いや… やっぱりダメだ… 剣で勝とう。そうじゃなきゃダメだ。次もこんな戦いを続けるつもりか?)」

 

 

楽な方法へ逃げようとした自分を恥じる。次の相手が遠距離攻撃の面で上回れるとは限らない。剣術を極めたクラウドに剣で勝てないと頭の中の霧は払えない。

 

 

『…ッ!』

 

「つーわけなんで! 剣で勝つからよろしくな!」

 

 

大剣の振り下ろしを受け流し、地面へと激突させる。横一閃に剣が動き、クラウドへ切り傷をつける。今までの自分とは違うのだという意味で改めて挨拶をした。更に突き攻撃で相手へと先が迫る。

 

 

「チッ!」

 

 

左手の腕でマスターソードが退かされ、進行方向がズレる。気を取り直して腹部へ膝を入れようとするも、復帰した大剣がリンクの横っ面をはたいた。

 

 

「ぶべっ!?」

 

 

口はよく動くも、戦闘体勢は解かない。立膝から即座に立ち上がり、剣を構える。お互いが走り、刃を眼前で交わし合う。

 

 

「このッ…!」

 

『…ッ…!』

 

 

拮抗する刃。どちらが諦めたのか、双方が距離を取って引き分けにする。

 

 

「(…そうだ! クラウドは両手剣だから防御は不向きだ! 防ぎにくい攻撃を!)」

 

 

そう。盾と剣を持つリンクに比べて、両手で大剣を使うクラウドは少々防御へ回りにくい。

横へステップして回り込み、背中を回りながら刻む。こどもリンクが先程の戦いで使っていた奥義。この土壇場で模倣したのだ。

彼は天才だが、リンクも間違いなく天才だ。

 

 

「うらああ!」

 

 

死角からの攻撃に体勢を崩したクラウドの背中に『二段スマッシュ斬り』を叩き込んだ。真正面に剣先を向ける構え方は背後の敵の対処が遅い。

 

 

『…ェッ…!!』

 

 

それでも一方的にとはいかない。剣を向けて滑り込むクラウド。マスターソードを横になんとか防ぎ切るが、足元の地面がズザッとえぐれるほどの威力だった。崖間際まで追い詰められる。

 

 

「嫌な、位置だな!」

 

 

と言いつつも足を狙った剣。斬りはしたものの、振り終わるところで進行方向に置かれたバスターソードが帰還を防ぐ。すぐに引こうとしたところ、腹から蹴っ飛ばされた。しかし、斬られたばかりだからかそれ程の威力はない。

 

 

「はあ、ああああ!」

 

『…!!』

 

 

再び剣が交わされる。気合いと想いを込めた一撃が風圧を生み出す。ガキンという音が聞こえた直後。双方共剣を持っていなかった。

 

空高くに弾かれ、打ち上がった二つの刃。力を込めたからか、マスターソードはクラウドを飛び越え遠くへ飛んでいく。リンクに近いのはバスターソードの方だった。

 

 

「(仕方ない!)」

 

 

幸い、リンクは槍や斧でも相応に戦える。これほど大きな剣も扱えるだろう。跳び上がってバスターソードを手に持った。その時、何か聞こえた。

 

 

『…む…! ……ウドを………戻………れ!』

 

「!」

 

 

聞き覚えのない声が聞こえる。幻聴だろうか?

そもそも誰の声なのか? そんな考えは瞬時に消えた。不明瞭なはずの声でも、何故かその全容が理解できた。

 

 

「うらあああ!」

 

『…ッ!?』

 

 

まっすぐに、大胆に、誇りを持って。

巨大な刃は振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白熱していた戦闘で忘れていた呼吸を思い出す。厚かった剣は主の元に帰り、手には退魔の剣が戻っていた。

 

 

「はあ… はあ… はあ…」

 

「あ、終わった。」

 

 

用済みだと言わんばかりにソードの胸ぐらを手放した。こどもリンクが近づいてくる、と思いきやクラウドもリンクも放って先に進んでいく。

 

それを不思議に思うが、それは後にしてクラウドを元に戻すことにする。

 

 

「…!」

 

「だいじょぶ? 名前言える? 歳は? 出身は?」

 

「言える… 言えるから少し離れろ…」

 

 

顔を急接近させてアレやこれやと聞いてくるクラウドは居た堪れなくて目を逸らした。完全な意識はなかったものの、何があったのかは大体わかる。

 

 

「すまん、苦労をかけた」

 

「悪いと思ってるならさ、ダーズ倒した後にまた勝負しようぜ! 今度は変な力抜きでさ!」

 

「興味ないね」

 

「持ってよ!」

 

 

ぶー垂れたリンクを呆れた目で見つめるクラウド。そんな目線に知らん顔するリンク。突然はっと思い出した口を開いた。

 

 

「そういやさ、いろいろあってクラウドの剣握った時に知らない声したんだよな。」

 

「知らない声?」

 

「正気に戻してくれ、って声。あれなんだったんだろ?」

 

「声…」

 

 

ふと背中に背負った剣を見る。これは元は自分のものではない。大切な友のもの。

 

 

「(…ありがとう。)」

 

 

その時、クラウドが薄く口角を上げたのを誰も知らない。

 




こどもリンク「ねえ何やってるの? ぼくは何もわからず付き纏われてものすごぉ〜く疲れたんだけど?」

ソード「シークが捕まえてこいって…」

こどもリンク「君聞く必要無くない? 何? 弱みでも握られてんの?」

ソード「ウー…」

こどもリンク「よしんば握られてたとしてもぼく関係ないよね? 自分だけでなんとかすべきだよね? ぼくはあのお姫サマと関わりたくないんだけど」


ソード「ネクスト、『易々と超えられてはならないのだ』…」


トゥーン「どうしたの?」

こどもリンク「んー? 別になんでもないよ。ちょっとオハナシしてただけ」

ソード「キャット被ってる…」
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