灯火の星 〜The One Story of Ours〜 作:蘭沙
FF9、アニメ化ってガセだと思ったらマジだった…
FFで一番好きなシリーズです。ただ、懸念点は低年齢向けってところですね。FFって結構設定が難解ですし思い切って深夜アニメでも面白かったとは思うのですが。
クラウドとかスコールだと子供達が感情移入しにくいのかな?
FF9は世界観が王道なファンタジーなので、子供向けって考えると選択肢がなかったのかもしれません。
「私が戦うって…」
「ええ! いいでしょう? リンク達はここにいないのよ? ならば私が戦うことになっても問題ないはず!」
理屈はもちろんわかるのだが、女性の二人にガノンドロフと戦わせてしまって大丈夫だろうか。
『問題ないよ、女性だけじゃなければ大丈夫なんだろう?』
「まさか…! キサマらも横取りか! ジュニアに父親としての威厳を見せてやろうと思っていたのに!」
「クッパ、ないものは見せられないだろ」
「なんだとガンナー!!」
「なんでお前はわざわざ口を出すんだよ!」
クッパの怒りの矛先がガンナに向いたところで二人が通り過ぎて進もうとする。
「待って二人とも、僕も行こうか? 強敵なのは間違いないし…」
「いいえ、これは私たち二人でなくてはならないこと! 我儘であるのは知っているわ。それでもどうしても私達が戦いたいの!」
『一回だけいいかい? 一度負けたら諦めるから』
返答すら待たずに二人は通り過ぎていく。少々不安そうに見えるマルスの視界隅に映るのは喧嘩を止めようとしているブロウ。彼が気づいた。
「ん? シークってこんなやつだったか…?」
一方、森での乱闘が終わり再会を果たしたクロム達三人とリンク三人衆は他の仲間との合流に動いていた。こどもリンクの足が重い。
「はあ…」
「そ、そんなに会いたくないの?」
「当たり前でしょ、さっきのこと聞いてたでしょ? 視界に入れたくもない。」
「さっきのこと…? なんの話だ?」
「クロム気にしないで、こっちの話だから」
雑に話を切ったこどもリンクはそれでもとぼとぼと最後尾を歩いていた。少しでも合流を遅くしたい。
「そういえば… そろそろガノンドロフと誰かが戦ってるかな?」
「ガノンがいるのか?」
「はい、おそらく。隅っこにゼルダとこどもリンクがいたので。リンク達がここにいるならお相手になるのはゼルダかシークでしょうか」
ガンッ!
大きく崩れ落ちる音がして五人は咄嗟に後ろを向く。こどもリンクが木に寄りかかって膝をついていた。突然の異変に五人は慌てて駆け寄る。
「ちょ!? どうしたん!?」
「こどもリンク!」
「うううゥゥ…ッ! ハア…ハア…!」
顔も視界も真っ赤になり頭に血が昇る。体温を低くしようと無意識に荒い息を吐くが気休めにもならない。
「おい! 大丈夫か!? こどもリンク!」
「関わってくるな…! 穢すな…! ぼくの記憶を否定するなああああああああああ!!!」
「こどもリンク!」
「(ヤバイって…! ゼルダ姫本気でどうにかするつもりなのか…!?)」
絶叫の傍ら、リンクは別の意味で焦っていた。仲良くなるのは悪いことではないが、肝心のこどもリンクがこれではこっちが先に壊れてしまう。やめさせるべきなのかもしれない。その思考を現実に戻したのは一つの野太い声であった。
「いい加減にしろっ! お前の事情など俺はこれっぽっちも知らん! だからこそ言える! 今お前はここにいるんだ! それだけでお前の存在は肯定されているんだ! 同じようにゼルダがいようとお前の存在の否定にはならん!」
叱咤するのはクロムだった。普段はここまで歳の離れた子供にきつい言葉は浴びせない。だが、こどもリンクが名前とは裏腹に長く生きてきたような感じを覚えてつい、対等に言葉を浴びせたのだった。
それでもこどもリンクの止まった時は動かない。錆び切った目でクロムを見つめる。他人に言われただけで考えを変えたならこれほど頑固にはならない。
「あんたらはifの世界線を自分じゃないって否定できていいね。そういえばあんたの娘さん未来を変えるために来たんだっけ? 自分で自分の娘が生まれた未来を否定した… どういう神経してんだよ…」
「なっ…!!」
それに憤ったのはクロムよりもルキナだった。どんな気持ちで仲間達が戦って…!!
「あいつはぼくが負けた世界線の人間だ! 時の勇者もなかったことになってハイラルごと海に沈んだ! ぼくは何も残せなかった!! じゃあぼくはなんだったんだ!? 世界を救うためだけの人間だったのか!? 唯一残った自分の記憶を守って何が悪いんだよッ!!!」
何も言えなかった。
ルキナが自分自身を否定しても、まだ仲間がいる。世界は守ったし歴史にも残るだろう。
それなら彼は? 自身すらも騙せるのが人間なのだ。そんな不安定な記憶で証明するしか方法はない。
「もうぼくは勇者じゃない… 敢えて言うなら時の迷い子だよ。」
一人どこかへ去っていく背中はずっと小さく見えて。思わずルフレは「こどもリンク!」と呼びかけた。
「人が残すのは記憶じゃない! 歴史でも世界でもないんだ!」
ちゃんと聞いたか無視したか。
それはルフレ達にはわからなかった。
そこにいたのは万人の予想通りガノンドロフであった。ゼルダは自身の世界で封じられていたガノンドロフしか知らない。はじめて会った時は話が通じるものなのかと驚いたぐらいだ。
『終点』化した『オルディン大橋』はまるで一部分を切り取られたかのような形だった。そこで足を踏みしめ立つ。強靭な魔力を持つ力の持ち主、七賢者に並び立つ知恵の持ち主。そして━
『少し騙すみたいで嫌だったな…』
「うーん… でも詳しく説明している暇もなかったし… とにかくお願いね。━━━リンク。」
『期待はしないでよ?』
そう。シークの体を借りることでリンクはゼルダの隣で戦うことが可能になったのだ。聞いた時は度肝を抜かれたものだ。
『念のためもう一回言っておくけど、同等の戦闘力はないからね?』
だが、それをすることでの利点はほとんどない。ダーズの支配から逃れたリンクは他人の体をうまくコントロールできない。通常のリンクやシークと同じようには戦えない。
「ええ、わかっているわ。共に頑張りましょう!」
だからそこからはゼルダの頑張りが左右する。どれだけリンクをカバーできるか。その開戦の音はやる気満々のゼルダが放った『ファントムアタック』が告げた。
ガキンと大きな音を立てて剣が止まる。ガノンドロフもまた大剣の持ち主だった。
『いけ!』
リンクが放ったのは『仕込針』。隙は狩るべきだが、いきなり近距離で戦いたくはないリンクが選んだ技だ。放たれた一矢は狙いの顔面から逸れて首へ向かう。やはり慣れない。
『……ッ!』
ファントムを斬り捨てたガノンドロフはそのままリンクへと剣を振るった。背後へ飛んで回避したものの、まだ止まぬ振動に冷や汗をかく。
『(強い。僕が知ってる魔王より…)』
長く封じられた結果大きく力が落ちていたのか。それでも信じて託してくれたシークに応えねば。
『雷打』をわざと喰らい、次のタックルを繰り出したのを確認すると、想像よりも速いスピードで背中側へ回り、容赦ない踵落としをくらわせた。
『…!?』
そして前方に落ちているのは『炸裂丸』。背へと移動する前に置いていたのだ。爆発し前が見えなくなっているだろうタイミングで『フロルの風』を起こしたゼルダが爆炎ともども吹き飛ばそうとした。
「ぃあっ!」
『…ッ!!』
でも吹き飛ばない。当たったはずなのに吹き飛ばない。タフな相手だ。首元を掴まれ宙へ浮かんだゼルダはニヤリと笑う魔王の顔を見たような気がした。
『姫さん!』
即座にリンクが気づき、巨腕に手刀を振り下ろした。ピクリともしない。力が足りないのだ。
「ひゃあぁ!?」
『ぐうぅぅ…!』
手刀の体勢で止まったリンクに向かってゼルダが放られた。受け止める姿勢にはなれなかったリンクはゼルダ共々倒れ込む。
慌てたゼルダは見えずとも、下敷きになったリンクははっきりわかった。先程使っていた剣で叩き斬ろうとしているのだ。
『ダメだ!』
咄嗟に投げた『仕込針』はこの状況に応えてくれたのか、ガノンドロフの双眼に突き刺さった。
『━━━ッ!!!』
『まずっ!』
ゼルダごと転がって難を逃れたリンクをガノンドロフは視界に捉えることはできない。剣はまっすぐ、二人がいた大地に刺さっていた。
「ご、ごめんなさい!」
『気にしないで、僕の方が役に立ってない。力の使い方が違うんだ。格闘技ができてない』
格闘技など経験もないリンクが手刀や蹴りを入れてもあまりダメージを与えられない。直前に軽く習った投擲武器の方が役に立っていた。だがそれは決定打にならない。勝負を決めるにはどうしてもゼルダの力が必要だった。
「そうね… 私が頑張らないと…」
時の勇者が、こどもリンクがこの魔王とどんな戦いを繰り広げたのかゼルダには知らない。だからゼルダとリンクの二人で戦っているのだ。
彼はそうやって戦ったのだろうと思うから。リンクには無理を言った自覚がある。シークもわざわざ付き合ってくれた。だから自分がやらなくては。
「くらいなさい!」
放たれるは『ディンの炎』。ハイラルの血と共に受け継がれた膨大な魔力は強き決意に応じ、三つの火球を生み出した。
『…ッ!!』
威力のこもった魔法はガノンドロフの張ったシールドを削り続ける。全てを受けきればシールドが破壊されてしまうだろうと思うほどに。だからシールドを消してその身で受けるしかなかった。着弾した肉体から黒煙が上がる。
「これで決めるわ!」
『…!!』
片足に宿る稲妻。華奢な足だと侮れない。魔力の込められたキックは普通の蹴りなど非でもないぐらいに手痛いのだ。それを知ってかガノンドロフは剣を構えて振りかざす。
『━このッ!!』
そこに割って入ったのはリンクだった。シールドがギリギリと削れていく。
「リンク!」
『構わない! 跳んで!』
小さくなったシールドを足場に上へ跳び上がる。完全に割れたシールドは最早目に入らなかった。
「やああ!」
ただ標的に向けて右足を突き出すだけ。
足はしっかりとガノンドロフの眉間を貫いた。
ガンナ「ちっ… あの守銭奴やろうたんまり持ってる癖して拾い物ひとつまけねーのかよ…」
ソード「ヘイ! ガンナ、何してるんだ?」
ガンナ「むらびとのやろー、いいガラクタ拾っておいて高値提示してくんだよ。」
ブロウ「まあ、売るかどうかは本人次第だろ。嫌なら買わなきゃいいし。」
ガンナ「やっぱここは『私はガンナだからタダにはならんのか?』ぐらい言うべきか。」
ブロウ「お前の名前に一体何の箔があるんだよ、その自信はなんなんだ!」
ブロウ「はあ… 次回、『永遠に消え去る物語』…」
ガンナ「しゃーねー。銃口突きつけて…」
ブロウ「脅迫やめろ!」
ガンナ「撃つかどうかはあいつの態度次第。ようは撃たせたむらびとが悪い。」
ブロウ「ンな訳ねーだろ!」