灯火の星 〜The One Story of Ours〜 作:蘭沙
最近忙しいのでなかなか書き進められません… 気づいたら一週間経っている…
というわけなのでもし、更新が滞っていたら「こいつ、執筆サボってるでヤンス」って言ってやってください。
「邪魔邪魔じゃーま! どいてどいてぇ!」
それぞれスピリットを倒すために散って行ったファイター達。マルスの前を走っているのは、どこに隠し持っていたのか黒いマントをつけたインクリング… 3号だった。破竹のスピードで敵を倒していく姿はまさにヒーローといっていいだろう。
「…? これは…」
マルスは上空で戦っている光の闇の均衡が崩れていっているのに気づく。闇が押され始めているのだ。
「もしかして… キーラ側のスピリットばかりが減っているから? 3号!」
「ん? 何?」
「バランスだ。多分キーラとダーズの軍勢をバランスよく倒すのが最適解なんだ。しばらくダーズ軍の相手をして欲しい。」
「んー… そうなんだ、わかった。あたしあっちまわるよ… じゃない、私はダーズ側の戦力を相手にしよう。」
「「それじゃあ代わりにボク達がマルスのサポートするー!」」
「うん、ありがとう」
離脱する3号に代わってアイスクライマーの二人がカバーにまわる。道を塞ぐスピリットがいたら、彼らが戦うことになるのだ。しかし、3号や他のみんなが倒していたからか、もう道を塞ぐスピリットはいなかった。
「着いた、ロイ…」
「これ、守ってるってことかなー?」
「そういうこと、だよねー」
マスターハンドの分身の前に、そのキーラの配下は立ち塞がっていた。心拍数がはやまるような気分に見舞われ、本能的にそれを彼だと理解する。配置的にロイを創造の化身の護衛に置いているのは明らかだった。
つまり、ロイ相手に勝った後でマスターハンドと戦わなければならない。
「マスターハンドのことは任せてー」
「マルスはロイのことお願いー」
「え、いいのかい?」
「「ロイはマルスが助けるって決めたでしょー!」」
何を当たり前のことを言っているんだとばかりに膨れっ面になる二人。そのそっくりな顔に思わず笑ってしまった。
「「なんで笑うのー!」」
「ごめんごめん、僕は本当にいい仲間がいるんだなって」
「ボク達にもいい仲間いるよー!」
「だからマルスもいい仲間ー!」
その言葉に、優しく柔らかく笑って、ありがとう、と返した。代わって戦いで起きる風圧でマントがはためき、マルスにしては珍しく、戦いが始まる前から剣を引き抜いた。
剣と剣がぶつかり合う音。早くに剣を抜いたマルスと競うかのように、始まりは一瞬だった。どっちがどっちの剣を受け流したのか、それもわからないほどの早さだった。
先が下を向いていたファルシオンを即座に持ち上げ、先はロイの方へ。アリティアの刺突は逆手に持ち替えた封印の剣が防いだ。
「やっぱり… 強いね、君は」
『………』
たった数手で理解した。彼はまだ発展途上だ。その若さゆえにまだまだ成長の余地がある。ロイはその上で大陸全土の存亡をかけた戦いの将軍を任されていたのだ。マルスが同じ歳の頃といえば、匿われて何もできない時だった。
彼と同じような力があれば、もっと仲間を助けられたはずなのに。自分より若いロイが自分以上の能力を持っていたことに少しだけ、醜い感情を持っていたことも事実ではあった。
「(最初は… 君のこと、あんまり好きじゃなかったと思う)」
全面的にマルスが悪い。ただの僻みだった。同じぐらいの力があれば犠牲なんていらなかったなんて。まるでロイが何も犠牲にせずに勝ったみたいじゃないか。そんな甘い世界じゃない。
戦争はどこまでも残酷で、飛ぶ鳩は簡単に焼き落とされる。『攻城戦』が繰り広げられ、この光景が本物ならば、多くの命が散っていただろう。戦場から隔絶された『終点』での戦いのみが本物だった。
「お互いあまり得意じゃないと思うけど… 今の僕は本当に負けず嫌いなんだ」
『………』
最善策がどうなんて、後から考えるそれは反省以上の意味を持たない。
まず先にファルシオンが煌めき、剣先がロイの体を掠める。上体を動かして、反撃を回避する。同時に振われた剣が弾かれ、再び振り下ろした攻撃は鍔迫り合いになる。
「……ッ!」
『……!』
ほぼ互角。いや、ロイの方が僅かに押している。足ごと後ろに押され、手遅れになる前に次の行動へ移った。
刃を滑らせ、封印の剣を地面へ向けて誘導すると、隙とみなして斬りかかる。しかし、相手も対応が早く、不完全な体勢のままに得物を動かした。咄嗟の動きは防御にはならなかったものの、攻撃にはなった。
『「……ッ」』
互いの刃が互いの体に傷をつける。流れ出るはずの血は出てこない。ここでは死なないのだ。誰も犠牲にならない。だからこそ、誰も犠牲にはしない。
一度後ろへ跳んで体勢を整える。柄を身に寄せたまま駆け出し、数多の剣撃を繰り出した。『マーベラスコンビネーション』で目にも止まらぬ突き攻撃だ。ロイの張ったシールドをガリガリ削っていく。それを見て、即座に『シールドブレイカー』に移ったが、溜めの少ない技ではシールドを削り切ることは出来なかった。
「しまっ…!」
『─ッ!!』
両手で握って繰り出した『パワースマッシュ』が避けられないマルスに繰り出された。剣の根本、マルスの剣とは対極の強さを持つ封印の剣がマルスに斬り裂いた。持ち主の意思に応える剣は持ち手に近い根本の方が強いのだ。
「くう…」
吹き飛ばされる中、剣を地面に突き刺すことで踏みとどまる。石床でもその切れ味は変わらない。神竜の牙でできた神剣ファルシオンは反対に、剣先での攻撃に長けている。細かなリーチはマルスに軍配が上がるのだ。
「……っ」
向かい合う二人。マルスは様子見を行った。先程くらわせた一撃は、少しは効いてる様子がある。でも流石にマルスほどのダメージではない。もっと頻繁に攻めなければ。ロイに勝る機動力がダメージの蓄積で衰えてしまえば、それこそ勝ち目がなくなる。
構えたマルスに合わせるように、ロイもまた剣を構える。その戦意に呼応するように封印の剣から炎が吹き出した。
「はあッ!」
『─ッ』
すれ違い様の攻撃は、身軽なマルスに軍配が上がった。封印の剣は空を斬る。
互いに振り返った勢いで振った剣はぶつかり合って弾かれる。更に二回、三回と続けて振るわれる剣はダメージにならない。はじきあって相殺される。
「こ、のっ!」
『…!!』
打ち上げる技の『ドルフィンスラッシュ』と『ブレイザー』が同時に放たれた。競り勝ったのはロイ。僅かなパワーの違いが勝因だった。
「─ッ! 諦めない!」
『…ッ!?』
技をくらったことにより、元の体勢に戻れたマルスは着地隙のあるロイに対して、『ドラゴンキラー』を放った。防ぐ手段のないロイは崖側まで追い込まれる。
追い討ちの為に、ダッシュしながらの突き攻撃。それをマルスごと飛び越えてかわしたロイは、頭上から全力で剣を振り下ろす。逆に追い込まれたマルスは剣ではなくシールドで防いだ。
「(…! 一撃でこんなにシールドが!)」
そのパワーに内心ヒヤヒヤしながらも、動くことはやめない。二度目の正直、『ドルフィンスラッシュ』で相手を弾き飛ばす。思った以上に飛んだ相手は相当のダメージを追っているようだ。
片膝をついたロイに向けて、横一閃に放った攻撃は、ギリギリの防御が間に合う。そのまま目眩しに『エクスプロージョン』で噴火のような火柱を起こした。マルスがバックステップでかわしたことにより、ロイは立ち上がる。
「(ここがチャンスだ!)」
足払いのように振った剣は、ジャンプでかわされる。突き出された剣は上体を反らすことで皮を掠めた。
「ここだぁ!」
『……!?』
マルスの指先から伝わる力、それはファルシオンの剣先まで届き、封印の剣がマルスへ届く前に、ロイの体を突き刺していた。
必殺の一撃に等しき攻撃が相手を襲い、その体をぶっ飛ばした。気持ちの交わらない戦いはやはり清々しくはなかった。
まるで底知れぬ暗闇の中に、沈んでいた意識は浮上する。逆に長い間囚われていたからか、前提の知識や記憶は残っていたからか、それとも本人の知性が成せる技か… 不思議そうに辺りを見回しても混乱はしなかったロイは自分を覗く人に気がついた。
「…! マルス…!」
「大丈夫、ロイ?」
「…はい!」
差し出された手を握る。
そうだ、止めなければ、無意味な戦いを。
たとえ、自分よりも強大な存在でも。
守り、守られる仲間が、いるから。
ロイ「あ、クラウド」
クラウド「オニオンナイト?」
ロイ「えっ…と誰?」
マルス「クラウド、今後の進軍についてだけど…」
クラウド「フリオニール?」
マルス「誰…?」
クラウド「…次回、『同じことがどうしてできないんだ』。」
クラウド「ロイ、マルス、先程はすまない、声が似てる知り合いがいたんだ。」
ロイ「父上?」
クラウド「…え?」