灯火の星 〜The One Story of Ours〜   作:蘭沙

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先週投稿遅れたのでお昼の投稿です。
18分ってwww遅れてる内に入らないwww みたいなこと思われるかもしれないけどですが、こっちの気分が落ち着かないのでご了承ください。


祝、ちかつうろ生存確認!!
本編そっちのけでめちゃくちゃやってました。ポケモンの巣なんてものがありますしブリリアントダイヤモンド、楽しみです。連れ歩きもあるぅ! アルセウスの方も楽しみです! ヒスイのすがた…! ワンチャン剣盾に連れて行けない…!?

あと今話、いつもにもまして原作寄りです。
主にノリが。



百十六話 前しか見えない全力少年

 

「はあ、はあ、はあ、はあ」

 

 

全力など、とっくに出し切っている。それでも走る速度を緩めたりしない。アクセルペダルを踏み切った車のように、彼の心が限界以上の彼の肉体を駆り立てている。

止まらない、終わらせない。一度、不甲斐なく混沌の使いに封じられた自分を、三年も信じて戦い続けていてくれたのだ。今回だって絶対待っている。それは確信などではなく、翼を持たない人間は飛べないといった決定的な理に等しかった。

 

 

パルテナ軍の最強戦力にして親衛隊長の天使ピット。彼はキーラ側の陣営に現れた新たな陣地を走っていた。マスターハンドの偶像を倒したことで現れたそこはまだスマッシュブラザーズの攻略が進んでいない。だから道を阻むスピリットも多かったのだが…

 

 

「…! やあっ!!」

 

 

彼は想いの強さだけでスピリットの大群を潜り抜けていた。戦うことすらせず飛び越えたりかわしたり。時たま落下しかけて、側から見ていた者をヒヤヒヤさせる様子であった。でもそんな細かいことどうでもよかった。

 

 

上空ではキーラとダーズがこちらのことなどお構いなしに戦いあっている中、彼はようやくたどり着いた。最愛の人がいる場所。決して恋愛的な意味ではないが、その深さは長年愛し合った老夫婦にだって負けやしない。膝に手をつけて荒れた息を整える。

 

 

「先についてたのか」

 

「そっちこそ!」

 

 

別方向からきたのはブラックピット。先の混沌の使いの件でも共闘していたピットの鏡。

ピットは知らない。自身のコピーだということは彼もまたパルテナを敬愛しているということを。当然自分の手で助けたいと思うわけだ。

 

 

「足、引っ張るなよな!」

 

「そっちこそ!」

 

 

あまりにも自然でピットは気づかない。協力を断って一人で挑むという選択肢もあったはずだったのに、二人が揃った時点でその考えはなくなってしまった。

不本意ながらも対峙してしまった時とは違い、世界のルールに縛られているとはいえ、彼女に消耗はない。だが、難易度が高いからという理由ではなく、まるで当たり前のように同時に戦うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬、手が震える。それを本人達は認識できただろうか。それは天に使える者としての本能か。主たる神に刃を向けるのは許されぬことか。

 

 

「「(それでも… 救う。)」」

 

 

たとえそれが拭いきれぬ罪咎だったとしても、看過できぬ背徳だったとしても、そんなの知ったことか。

 

 

『………』

 

「…っ、ピット、参ります…!」

 

「……」

 

 

悲壮と覚悟を決めた声とは対照的にブラックピットは無言でシルバーリップを構える。

以前のとは違い、『エンジェランド』は綺麗ではあるが、『終点』化の影響もあって無機質な美しさだ。まるで人工的に作られた球型のようだ。

 

 

「…っ!」

 

 

駆け出して肉薄する。分離して二対の双刃になった神弓を振るう。だが、杖で弾かれる。いまいち精度が悪い。ピットには自分が感じる怒りを上手く処理できないのだ。一番簡単な対戦相手にぶつけるといったこともできない。相手が相手だから。

 

 

「チッ、足手まといが」

 

 

舌打ちをしたブラックピットは外れるように『神弓シルバーリップ』を撃つ。普通に狙ったところで対処されるかピットに当たるかが見えているからだ。ならば、誘導させるか誘導するかして攻撃した方がいい。

 

『爆炎』の予備動作を見て、狙われていると感じたブラックピットは飛び上がってその場から離れる。先程までいた場所から焼きつく爆風が流れてきた。

 

 

「(何してやがる…!)」

 

 

高く飛び上がったことで二人の姿がよく見える。双刃を真逆に取り付けることで先程までとタイミングをズラすものの、そもそも問題はピットの方にあるため、大した変化にはならなかった。手を抜いているつもりはないが、本気を出しきれずほとんどダメージが入っていない。

 

 

「ううっ…!」

 

 

以前、真に狙うべき相手がいたことが自分にとってどれほど幸運だったのか今になって知ってしまった。激情にかられているというのに体が動かない。

 

 

『…!!』

 

「ぐう…!」

 

 

後光を翼に変えて放つ一撃でピットは背後へ吹き飛ばされる。本人とて上手く動かない自分の体に戸惑っている。

 

 

「戦えねぇならはじめっから言い出してんじゃねえ!」

 

 

マイナスな考えに凝り固まっていたピットは目の前に着地したブラックピットに驚いた。

 

 

「ブラピ!?」

 

「だからブラピってなんだよ! マトモに戦えねえなら引っ込んでろ! 遊びじゃねえから手を抜けないんだろ!」

 

 

いつもの見世物の大乱闘ではないのだから。負けちゃいましたで終われない。そんなこと知ってる。割り切れないから困っているのだ。

 

 

「パルテナ様を助けられるのは俺たちファイターだけだ! お前の意思に、そいつらは任したんだ! みっともない姿をオレに見せるな!」

 

「………」

 

 

思い出すのは、キーラに大敗を喫したあの時。守るはずだった自分は守られる立場にいた。神の奇跡がなす術もなく負ける姿を見ることしか出来なかった。

 

 

『…!』

 

「っ!? しまっ…」

 

 

よそ見していたブラックピットへ、『オート標準』で飛んできた弾がぶつかろうとする。味方の事ばかり気にして相手のことを気にしていなかったのだ。

 

 

「(シールド! 間に合え…!)」

 

「守れェ!」

 

 

すぐに守りの体勢に入ったブラックピットの前に躍り出たのは、護りに特化した神器『衛星ガーディアンズ』だった。溜めた射撃が天使を守る盾となる。

ピットは今、衛星だけではなくパルテナの神弓、豪腕ダッシュアッパーと現在持っている神器をフル装備しているのだ。

 

 

「なっ…!? お前別の意味でみっともないぞ!」

 

「知らない! 遊びとか意思とかどうでもいいし! 今のボクは前しか見えない全力少年!」

 

「ひ、開き直りやがった…」

 

 

確かに悩みのない奴だが、この吹っ切れ方は想定外だった。だが、実際効果はあった。豪腕でぶん殴り、神弓の刃を振り回す。動きが雑な衛星はピットの周りをブンブン回っている。その動きが逆に相手の計算を狂わしている。先程までは当てても大したダメージにならなかったのでマシだろうか。

 

 

「(ただ、防御は二の次になったか… まあいい)」

 

 

2対1だから、守り重視よりは攻撃に特化した方がいい。しかし、接近戦をすると真面目に暴走しているピットに巻き込まれる可能性があるので、遠距離から矢を浴びせる。この間もピットは神弓を乱雑に振り回し、衛星をぶつける。杖で殴打されてもカウンターくらっても微塵も気にしないで豪腕でぶん殴った。神器の特性により、真上にぶっ飛ばされる。

 

 

『…!』

 

「ぐぅ…!」

 

 

上空へ飛ぶパルテナに狙いを定めた紫色の矢は『反射板』によって跳ね返される。跳ね返った矢は辺りの地面をブラックピットごと荒らした。

 

 

「まだだ!」

 

『………』

 

 

それでもピットは引かぬ、媚びぬ、省みぬ。ひたすら前進し続ける。豪腕の攻撃が防がれたなら、左の神弓には対応できないはず… カキン、と音がして相手の得物に防がれた。杖の先を動かして反対からの攻撃にも対応されたのだ。ならば… 衛星。頭上から下へ、覆い被さるように動いた打撃はパルテナの体勢を崩した。

 

 

「(よしっ…)パルテナ様ぁ!」

 

『………』

 

 

自身の志に連動するように喉から張り出た声が辺りに響く。だから気づかなかった。

 

 

『─ッ!』

 

「わぁ…!? うっ…」

 

 

終点の真ん中に『光の柱』が立ち上る。体勢が崩れたんじゃなくてこの攻撃を狙っていたんだ。光に焼かれて、ピットは吹き飛ばされ地面に背をつく。コツコツとヒールの音が聞こえ、杖が振り下ろされる。

 

 

「させるかっ!!」

 

 

銀色の刃が間に挟まり、杖の進行を妨げた。ブラックピットが間に割って入って庇ったのだ。しかし、左手に持っていた盾で鳩尾を強打される。

 

 

「ぐぶっ…!」

 

「…ッ!」

 

 

強制的に酸素を吐き出し、神弓がカランカランと音を立てる。心配で呼んだ名前をピットは口に出せなかった。ただ、体が動いていた。

 

豪腕と衛星を放り出し、少しは身軽になったところで拾い上げたのは神弓シルバーリップ。盾のない方へ回り込んだ。

 

 

「う、おおおおー!!」

 

『!?』

 

 

ワンステップ、素早い動きで二つの神弓を構えたピットに反応が遅れる。金と銀の軌跡が場違いなほどに綺麗で、クロス字に通った傷の痛みは遅れてやってきた。ふわっと浮き始めた体。斬り刻む姿を相手の目に映しながら、この戦いは終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パルテナさまっ!」

 

「はいはい、ここにいますよピット」

 

「ぱ゛る゛て゛な゛さ゛ま゛っ゛!゛」

 

「何を言ってるのかわかりませんよ?」

 

 

この状況でよくもまあ、滝のように泣きじゃくれるものだ。ブラックピットは少し離れたところにいた。同類だと思われたくない。

座っているパルテナに抱きついてピットは号泣中だ。下心はないと思う。絶対。きっと。多分。

 

 

「あなたにも助けられましたね。ありがとう、ブラックピット。」

 

「ッ!? お前…!?」

 

 

まさかパルテナからフルネームで呼ばれるとは思わなかった。随分と久しぶりな気がする。彼女も彼女なりに今回のことを気にしているのかもしれない、

 

 

「あ、ごめんなさい、ブラピ、でしたね♪」

 

「っておい!」

 

「助かったよブラピ!」

 

「〜ッ!! ふざけんなぁ! おまえら一回地獄に落ちろぉ!!」

 

「神と天使を相手にまあ惨い♪」

 

「大丈夫です! 地獄でもボクがパルテナ様を守ります!」

 

 

いつも通りのズレた会話。しかし、負けるなブラックピット! お前も当然同類だ!

 





パルテナ「ふふふのふ、このパルテナが来たからにはもう安心です。パルテナグランドスーパーレーザーがあればキーラやダーズの1体や10体など恐るるに足らず! 一人で十体なんて楽勝です!」

ピット「パルテナ様そんな必殺技ありましたっけ?」

パルテナ「いえ? 無いですけど?」

ピット・ブラピ「んがっ!」

マリオ「おお… 遂に揃った… あれは…」

ルイージ「あれは?」

マリオ「原作において数々のプレイヤーをゲームに集中させないというゲームキャラクターあるまじき行為を涼しい顔で行ってた漫才師が遂に」

ルイージ「漫才師じゃないよ兄さん!」


パルテナ「次回!」

ピット「『孤高の強者』!」

ブラピ「別々にやるなよ」


ピット「でもパルテナ様の出る幕はありませんよ! ボクがキーラもダーズもやっつけます!」

パルテナ「いえいえ、ピットは下がっててください、遅れた分は挽回しなければ!」

ブラピ「…じゃあオレが」

パルテナ・ピット「どうぞどうぞ」

ブラピ「だから漫才師じゃねえんだよ!」

マリオ「ブラピも乗っちゃうあたりね?」

ルイージ「あはは…」
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