灯火の星 〜The One Story of Ours〜 作:蘭沙
スマブラの小説書いててあれですが、私はアライズ買いました。ノーマルなのに恐ろしい難易度でヒーヒー言ってます。
「まったく、いけない子ね。私たちより先に捕まっちゃって」
ふう、と妖艶な息を銃口にかける。両手に構えた銃を向けるのは、創造の化身でありこの世界の支配人であるマスターハンドの対となる存在。破壊の化身、狂気の支配者クレイジーハンド。どこかで戦っていたマスターハンドと同じく、『終点』を戦場にする神との一戦。狂気をしめすように、その手癖は落ち着きがない。
「貴方みたいな子を私に守らせてたなんてダーズもいい趣味してるじゃない。貴方ごとぶっ飛ばしてあげるわ!」
その姿を蝙蝠の群れへ変化させると、クレイジーハンドの近くで煽るように飛ぶ。反射的にその群れを掴もうとしても、蝙蝠は指と指の間をすり抜ける。それらが集まった先はクレイジーハンドの上だ。姿を戻したベヨネッタは蝶が舞うように華麗に踵落としを決めた。
一回転しながら飛び退いたベヨネッタは両手のバレットアーツを連射する。だが、この程度のダメージはクレイジーハンドには効かない。
「ま、神サマなんだしまだ元気よね、私はありんこみたいな子でも構わなかったけど」
ぺろりと艶やかな唇を舐めてうるおす。退屈はしなさそうだ、と。
親指以外の指先から青白いビームを撃ってくる。それにもベヨネッタは動じず、艶めかしい動きでビームをかわす。そこに速さはなく、なめらかに美しく。ポールダンスをしているかのような芸術性があった。
だが、彼女本人も言った通り、クレイジーハンドは神のような存在だ。避け続けて勝てる、というほど簡単ではない。
「…! これはっ…!」
クレイジーハンドが二つ、ブラックホールのような小さな球をうみだす。本物ではないだろうが、人一人を吸い込むには充分である。抵抗が間に合わなかったベヨネッタは球の中に吸い込まれ、数秒の後フィールドに叩きつけられる。
「…っ!」
それはまさにはたき落とされるような勢いで、受け身をとる暇もない。肺の中の酸素をなくしてしまった。即座に呼吸を整え、蝶の羽で羽ばたいて立ち上がる。みっともない立ち方はしない。
はたくように動かした体。大きくしなって飛んできたクレイジーハンドに対してベヨネッタは片手を握って突き出す。
「ふきとべっ!」
荒々しくなった口調で、魔人マダム・バタフライの腕を召喚する。魔法陣から殴りかかる形で登場した拳はクレイジーハンドを逆に弾き飛ばした。
「まだまだね」
髪の魔力を解きながら、本心からそれを言う。距離の離れたクレイジーハンドに追い討ちで連射する。慈悲は当然ない。
油断ならぬ相手だと感じたのか、テレポートを繰り返す。何回かあちらへこちらへと瞬間移動を繰り返し、ベヨネッタを惑わせる。
「(瞬間移動… でも、私の意表をつくのが狙いなら…)」
視界の右上で消えた後、出てこなくなる。いや、出ていないのではない。本命で叩くつもりなのだ。ならば─
上体を斜めに逸らし、体を回転させてダイナミックに方向転換。そのままノールックで銃を撃った。手応えはある。なんせクレイジーハンドはたしかに真後ろにいたからだ。
いたはいいが、不意をうつことが目的である以上攻撃はしてくる。5本の指から飛ばされてきたのは五つの青い炎。ベヨネッタの銃撃は確かにクレイジーハンドに傷をつけたが、炎もベヨネッタを傷つけた。
「…っ」
ほんの少し顔を歪ませながら、両腕を前にしてダメージを最小限に抑える。クレイジーハンドがすぐに動いたのを確認すると、ヒールだというのに軽やかに飛び上がる。背筋を逸らし優雅にジャンプ。その掠れるギリギリのところを相手はクモを模した指遣いで通っていった。
「ふふっ… それが全力?」
今現在真下に位置するクレイジーハンドに、バレットアーツを発射しながら二発三発と蹴りつける。たまらずテレポートで姿が消え、回転蹴りがからぶった。
「またそれかしら、同じ味ばかりだと飽きちゃうわよ?」
何回か先程のようにテレポートを繰り返す。今度はフェイントの中に背後への移動も含んでいるが、それだけではベヨネッタは動じたりはしない。むしろ単純だと笑ってやりたい。
「さて… お楽しみはこれからよ!」
ヒラヒラとした服の飾りを揺らし、足踏みをしてヒールの音を響かせる。
一点に向けて、銃撃を放つ。今までの戦いでダメージを受けていたクレイジーハンドはそんな銃撃だけでわずかに隙をつくった。本当に僅かだったが、ベヨネッタはそれを見逃さない。フェイントだといっても実際に現れているのだから攻撃は当てられる。向こうの流れを一気に崩した。
背中の蝶の羽根で高さを稼ぎ、目にも止まらぬ蓮撃をくらわせる。それだけではない。拳が動くと同時に銃弾も共に撃たれているのだ。単純に威力も上がっている。そして、反撃されるのも彼女の中では折り込み済み。
「させてあげないわよ!」
小指と薬指以外の指で丸をつくろうとする動作をベヨネッタは見逃さなかった。その中心に現れるのは眼球型のライトだ。そこになんの躊躇いもなく鋭く足を突っ込んだ。
「当たれッ!!」
確かな一撃により、ふらついたクレイジーハンドに、女性のものではない、魔人の拳が天に向かって突き出された。
白と黒、光と闇がぶつかり合う世界。そこに二柱の神が降臨する。
片方はこの世界の創造者。支配者であり創造欲の化身、マスターハンド。
片方は狂気の破壊者。マスターハンドの対となる存在、クレイジーハンド。
『ようやく自由を手に入れた… 私たちを手駒に随分と好き勝手やられたようだ。』
『へっ、こういう殺伐とした世界は嫌いじゃないが、それは自分でやってこそだな。それにオレを操っていたのも腹が立つ。』
マスターハンドは静かに怒りに燃え、クレイジーハンドは苛立ちを隠そうとしない。
「ご無事でなによりです」
「世話が焼けるわね、操られてた分はきっちり働いてもらうわよ」
『ああ、世話をかけたな、パルテナ』
『ケッ、オレはオレがぶっ壊したいものをぶっ壊すだけだ。』
解放された場所それぞれで短く会話をする。長く井戸端会議している暇はない。こうしてる間にも状況は変化している。未だ化身達の模造品は上空で争い続け、スピリットは残っている。
『まずは魂達か…』
マスターハンドが手首のスナップを効かせて指を鳴らすと、白黒のオーブから虹色の魂が飛び出てくる。それに続いて戦っていたファイターも現れ、オーブが消え去った。
「うわああ!?」
「敵が消えたぞ!?」
戦っていたファイター達にとっては突然相手が消滅したように見えたらしい。そこら辺の配慮ができないのが、上位の者たる所以というわけか。
『私が選んだスマッシュブラザーズよ、まずは私たちが囚われている間も、この世界のために戦ってくれたことを感謝する。』
「…上から目線かよ」
「ファルコ、しー」
フォックスがファルコを咎める。ファルコはマスターハンドに対していい印象を持っていないようだ。
『奴ら… キーラとダーズを倒すためにもうしばらく力を貸して欲しい… クレイジーハンド。』
『んー、リョーカイ。任せときなぁ!!』
クレイジーハンドが空へ飛んでいき、宙に爪をたてる。すると空にヒビが入っていき、脆くなった部分が生まれた。そこへ拳でぶつかる。
「うわっ…!?」
「これは…!」
キーラとダーズの勢力図を表すかのように光と闇が拮抗していた空は破壊され、黄金色の輝きを放つ、あえて言うなら黄昏のような空が広がった。
『こんなもんで終わらせられねえな、もっと暴れさせろ!!』
『まだ待て、ここからは私の番だ』
再び、指を鳴らすとキーラとダーズが戦う場所へ続く足場が生まれる。創造の化身たる存在がこのようなものを作るのは造作もないことだ。
『私の最高傑作を好き勝手に荒らした罪は償ってもらわなければな。キーラとダーズをここで仕留める。皆、この足場から登っていってくれ。』
「待って、少し聞きたいことがある。僕らはキーラのこともダーズのこともほとんど知らない。知らないまま戦ってきた。マスターハンドは知っているのか?」
『さすがにマルスは聡いな。ああ、私も多少は知っている。移動しながら、戦いながら聞いてくれ。』
スピリットが使い物にならなくなったからか、キーラとダーズは戦闘でも使用していたファイターの偽物を生み出してきた。至るところに現れ、スマッシュブラザーズの足止めをし、あわよくば討ってしまおうということだ。
『なんせ、奴らの登場は君達スマッシュブラザーズも無関係ではない。全てあの時から始まっていたのだ…』
「あの時…?」
次に続く言葉を誰もが待っている。偽物達と戦っているはずなのに心臓が静止してしまったのように頭が働かない。
『亜空軍が襲来し、この世界は闇に堕ちかけた… その事件の黒幕、タブーが討たれた時だ。それら全てが繋がっていたのだ。』
「「「「「!?!?」」」」」
スマッシュブラザーズに驚愕が広がる。過去の過ぎ去りし戦い。それらがほじくり返されることに衝撃を覚えない者はいなかった。
マルス「タブーとの戦い… それがどう繋がっているんだ…」
ロイ「僕がいない時のことですよね。なので人伝にしか知りませんが… 残党がいたんでしょうか?」
マルス「もしかして僕たち百十九話にしてはじめて真面目に次回予告してる?」
ロイ「ありそうで困る…」
Dr.マリオ「やあ! 百十九話、つまり119だから流れをぶった斬ってやってきたよ!」
マルス「さようなら」
Dr.マリオ「え、ちょ、そんなー」
Dr.マリオ「次回… 『両方同時に倒してしまえばいい』…」
ロイ「結局いつものおふざけ予告だよ…」