灯火の星 〜The One Story of Ours〜 作:蘭沙
これは今日二話目の方なので、まだ読んでないという方は前話から御精読くださいませ。
「ここは…」
『多分そういうことだな。守りは厳重なのに何もないなんてことはないと思ったが… こちらの方に何かあったのか。』
フォックスの後からついて来た他ファイターも周りの様子を見渡している。遥か上空に浮かぶ大地に神殿の残骸のような建物が建っている。
「うん、また分担して探索を…」
「ギャー!? 落ちるー!」
「えっ? いつの間に!?」
既に冒険を始めていて、勝手に落ちかけるインクリング。まるで止まると死ぬマグロのようだ。そのマグロはフォックスが引き揚げた。
「ったく… 気を付けろよ?」
「ゴメンゴメン。タチウオパーキングよりずっと高いや。足元注意だね。」
まともな足場となる広さの大地は三つほどで、その間には飛び石のように地殻が浮いているだけだ。倒れた柱が橋替わりになっている場所もあり、足元をよく見ていないと落ちてしまいそうだ。
「見たところ… 門の先に一人ファイターがいる。後は… あの光っている宝石が怪しいかな。」
「むらびとがいたら飛びついていきそうだな。」
「ここじゃないけどいるぞ?」
「そうなのか?」
「一緒じゃなくてよかったねー」
「ホント絶対許さない…」
「あはは…」
嘘に気づいていないとはいえ、あんな仕打ちを受けるだなんて。インクリングに同情したマルス。最近苦笑いが多くなったかもしれない、と現実逃避した。
「よっと…」
橋替わりの柱の上に陣取っていたスピリットを倒し、ロックマンは謎の光を踏んだ。内側に門が開いていく。
「開いた! 次次!」
「ぽよっ!」
早速中に入っていくインクリングとカービィ。先程戦えなかった故にやる気満々だ。何も考えず突入していく。ここにストッパーはいない。
「おっとっと、あっちゃー… これだとあたしは通れないね…」
倒れた柱が通行の邪魔をしている。通れなくはないが、それはスピリットに勝ってからの話になる。
「カービィ、先に奥の子お願いしていい?」
「ぽーかい!」
「りょうかい、だよー。お願いね!」
「ぽよ!」
その軽い体で柱を飛び越え、奥へ進む。そして、ファイターを見つけると、
「ぷりゅ!」
ノンストップでファイターに触れる。
最早慣れてしまった感覚に身を委ねた。
先程までの大地とは違う場所で、それでも周りの風景は殆ど同じの、雲の高さを超えた大空。遮るものがない日光が、容赦なく降り注ぐ。
冥府界からエンジェランドへ進む道中の世界である『天空界』。それが『終点』の形となった場所が戦場となる。
「あ… ぴっとー!」
『…』
パルテナ軍親衛隊隊長ピット。飛べない天使だが、パルテナ軍の最大戦力だ。今は違う存在のために腕を振るうことになってしまうのだが。その瞳は彼のコピーを彷彿とさせる程に赤く染まっていた。
「ぽよっ!」
『…!』
気合を入れ直し、接近して駆け出す。二対の短剣に分離した神弓が振るわれ、カービィはその柔らかい体を上手く使ってかわす。そしてそのままに『バーニングアタック』を繰り出した。
『……』
これはあまり効いていない。ピットからの攻撃をかわす為に助走の勢いが切れてしまったからだ。とはいえ、攻撃をかわせなかったとしても勢いは切れていただろう。これに関してはカービィに落ち度はない。
ぴょんぴょんと星を生み出しながら、後ろへ下がる。相手はここで『パルテナの神弓』から、青い光の矢を射った。
「ぽゆっ! たあっ!」
『…っ』
足元を狙う軌道の矢をジャンプでかわし、宙返りしての『エアカッター』。オーバーヘッドキックのように蹴った。柄になる部分でカービィのキックを防ぐピット。そのまま神弓を振り下ろそうとすると、体を後ろに逸らして回避した。
「ぽよ…」
届かぬだろう声の真実にわかっているとはいえ、カービィは少し寂しそうだ。だからこそ早く倒して、早く助けなければならない。
「ぱあああああああ!」
『…!』
突然勢いをつけて突進してくるカービィ相手に、咄嗟にピットは守りを固める。カービィの手には、少し大きめの木槌。
カービィの『ハンマー』と『衛星ガーディアンズ』が生成する障壁が正面からぶつかった。神々の力で作られた盾がひび割れ、勢いが殺されながらもまたもや攻撃がヒットした。
「りゅ…」
しかし、ピットも黙ってやられはしない。攻撃が当たった殆ど同じタイミングで、すれ違いざまに一つ蹴りを入れていた。
『…!』
「ぽっ…!」
後ろへ距離をとりながら矢を放つ。三本の矢が一斉にカービィへ襲いかかる。
一本目は左へ、二本目は右へ跳んでかわし、最後の一発は『ファイナルカッター』で無理矢理弾いた。
「ぽよ!」
『…っ!』
ピットの分離した短剣とカービィのカッターがぶつかり、カンッ、という綺麗な音を立てる。ピットはフリーになっているもう一つの剣をぶつけようとするも、その前にカービィに押し返された。身を翻し、砂埃が舞うほどに力強くサンダルでブレーキをかけた。
『…っ!』
そこをカービィは逃さない。遠距離戦では相手に利があるため、インファイトに持ち込もうと考えたのだ。ピットはそれを感じ取り、神弓の下半分の刃を内側に向けた。
「はあっ!」
超高速のパンチ、『バルカンジャブ』を繰り出すも、神弓を回して防御されてしまう。ジャブは防がれたが、カービィの攻撃はまだ続く。
『…っ!?』
「ぽよっ」
『いっ…!?』
ピットが反撃のため、回転している神弓をカービィ本人にぶつけようとする。だが、タイミングが偶然合い、カービィは次の攻撃に移ろうと、しゃがんでいて当たらず。逆に足払いを受けた。
「ぽっ、ぷりゃあ!」
後ろに足を回したキックを当て、足を戻し、『サマーソルトキック』のスマッシュ攻撃をぶつけた。
『…っ!』
浮き上がったピットは弓の向きを正位置に戻すと、地上のカービィ目掛けて弓矢を連射する。
「ぷゆっ、ほぁ、…! ああ!」
あっちこっち跳び回って逃げていたものの、すぐ目の前に着弾し、砂煙が巻き上がる。顔の砂を払い、正常になった視界に飛び込んで来たのは『豪腕ダッシュアッパー』を装着したピットの姿だった。
『…!』
「ぱあー!」
打ち上げられてしまうカービィ。
空中でなんとか姿勢を整えたものの、追撃は迫りきっていた。再び短剣に分離させ、天の力が叩き込まれる─
「ぷ! すううう!」
『…っ!?』
空中で『すいこみ』始めたのだ。突然の行動にびっくりするもここは足の踏ん張りが効かない空中。抵抗もできずにカービィに吸い込まれ、少しの間星型弾となってしまう。
『…っ!』
変化が解除されると、ステージの外だった。しかし、彼の復帰力は強い。吐き出しただけでは簡単に復帰されてしまうだろう。
だからこそ、カービィ本人も自信のある崖下の空中戦に持ち込んだのだ。
「ぽたぁ!」
ドリルのようなキックで相手を突き落とす。星は天より高い場所にあるのだ。
意識が覚醒する。周りは自分が普段見ている景色のようで、けれども細部が違っていた。
「んっ… あれ? ここどこ?」
「はあい!」
上体を起こすと、カービィが片手を上げているのが見えた。いつもやっている挨拶だ。
「…っ?」
「ぴっとー?」
ピシッという音がして、自分の背面を見る。水色の宝石がヒビが入って割れていった。日光を反射して飛び散った水色がとても綺麗だった。
「おいっす、ピット!」
「あ、大丈夫?」
「インクリング、ロックマン! えっと …あ!」
克明に思い出してしまった。自分の主人が、己達を逃すために単身でキーラに立ち向かい、そして児戯の如く負けてしまったこと。
「パ、パルテナ様は!? パルテナ様はどこにいるんだ!?」
「わ!? びっくりした!」
戦士としての身体能力が遺憾なく発揮され、神速と見間違うかの様に素早く立ち上がる。
「まだ見つかってないけど… きっとどこかにいるよ!」
「ど、どこか…?」
「うん、ちょっと別行動とってるけど… そもそも逃げ延びたの最初はカービィだけだったし…」
反射的に近くのピンク玉の方を見る。MVPレベルの行為をしたというのに彼自身はどこ吹く風だ。
「でも、多分もうここには誰もいないと思うから、いるなら外だと思うよ。」
「そうなんだ…」
右手をぎゅっと握る。あの時、例え結果が同じだったとしても彼女の側にいたかった。手を引いて共に逃げたかった。彼女を守りたかった。でも今となっては叶わぬ願望。
「(待っててください、パルテナ様。必ずお助けします。)」
空に、天に誓った。
「よし! 他にもいるんだっけ? 合流して次行こう!」
「おー!」
「こっちの方は探索終わったかな… って、ピット!」
「お、イケメン王子!」
近寄って合流する。太陽はいつも通り天使を照らしていた。
ピット「おおー、結構いる!」
CF「来てしまった! サイレンを鳴らすんだ!」
ピット「えっ!?」
フォックス「迎撃態勢を取るんだ! 第二級危険人物が来たぞ!」
ピット「それボクのこと!?」
マルス「くっ… ついにこの漫才次元にパルテナ軍が攻めてきてしまったか…!」
ピット「風評被害もいいところだよ! というか第一級は誰なんだよ!」
ルカリオ『当然、パルテナだ。』
ピット「パルテナ様は危険じゃないやい!」
ピット「次回!『そうはさせないよ』!」
CF「次回からの次回予告は爆笑間違いなしだな!」
ピット「変なハードル上げるのやめてよ!」