灯火の星 〜The One Story of Ours〜   作:蘭沙

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今話で2019年の投稿は最後となります。
皆さま、ありがとうございます。予約投稿の忘れなどありましたが、なんとか初投稿から今まで基本週一投稿を続けることができました。
皆さまのご都合が合うならば、来年もここにお邪魔いただくと作者冥利に尽きます。

それでは良いお年を。




三十五話 思いもつかない

フィギュアが地面に落ちる。それと同時にリュカとロックマンも戻ってきた。

ロックマンは着地の時にガチャっと鉄甲が動く音がしたが、リュカは超能力で勢いを殺しながら音もなく着地した。

 

 

「おかえり〜」

 

「おかえり、 …やっぱり勝てば開くのか。どうやって連動しているんだろう。」

 

 

彼らが戻ってくると同時に、バリケードが開いた。クッパの手形足形に凹んでいたせいで、何かおかしな挙動があったものの、問題なく開くことができた。その元凶は不満気だ。大方力比べに負けたような気分なのだろう。

 

 

「みんな、先に探索を進めておいてくれ。僕達はしずえさんを元に戻して現状の説明だ。」

 

「了解! 任せとーき! ボク達でやっておくでー!」

 

「何で微妙に関西弁なんだよ…」

 

 

そうやって他のファイターが向かっていくのを確認すると、リュカがしずえの台座に触れる。

黄金色の光を発し、視界全てを埋め尽くす。最早慣れた光景だった。

 

 

「う〜ん…」

 

「しずえさん、大丈夫?」

 

「ん〜… はっ! ここはどこですかー?」

 

「ちょっと、説明が大変なんですけど…」

 

「あっ! わかりました! 皆さんが助けてくれたんですね! ありがとうございます!」

 

 

驚いた顔をしたり、花が咲いたような笑顔を見せたり、二転三転表情を変える。

 

 

「いや、僕は見守っていただけさ。お礼は二人に言ってくれ。」

 

「そうなんですか? ロックマンさん、リュカさん、ありがとうございますー!」

 

「ど、どういたしまして。えへへ… 照れるなぁ。」

 

「お互い様だよ。今は手分けしてるけどむらびともいるよ。」

 

「むらびとさん、いるんですか!? よかったです〜」

 

 

再び花が咲く笑顔を見せる。仕事の時は村長と呼ぶが、いつもは他の人と同じく、さん付けで呼んでいる。

 

 

「ただ… まだ捕まっている人たちがいる筈だ。当面は彼らを救いながらキーラの結界を破壊するために動く。」

 

「そ、それは大変ですね! わかりました、次いきましょう!」

 

「わわっ! しずえさん行動が早い!」

 

「彼女も優しい人だからね。」

 

「ぼくたちも、続きましょう!」

 

「うん!」「ああ!」

 

 

大股で、腕を大きく振って歩き始める。先程のコミカルな反応からは深刻そうに感じられないが、彼女はいつもこんな感じだ。

 

 

 

 

「終了、だ!」

 

『だが、今のは2分39秒。宣言したタイムに1分39秒も及ばなかったな。』

 

「なにっ!? くっ… 不覚だった…」

 

「というか、るかりん、その時間ホントウなのー?」

 

『る、るかりっ? …ゴホン。日頃の鍛錬の結果だ。正確な時間を計るぐらい問題ない。』

 

「へー。そうなんだ。」

 

『ああ、そして奥にいるのが…』

 

 

キャプテン・ファルコンが打ち破ったスピリットの奥には、一人ファイターがいた。行き止まりの一番奥。どう見ても隠す気満々だった。

 

 

「ここのファイターは彼だけかい?」

 

『ざっと見て回ったが、ファイターは見なかった。さっくり見ただけなので、隠れていなければここにいる者が最後だ。』

 

「わかりました! では行ってきますね!」

 

「うん、わかったー! 頑張ってね!」

 

「へっへーん、任せてください!」

 

『さて、では他のファイターの援護を…むっ?』

 

「んー、次はもうちょっとスピーディーに戦うべきか…むむっ?」

 

「また後で様子見に行こうか…むむむっ?」

 

 

三人がゆっくりと首を動かし、一人のファイターの方へ向ける。黄色い毛に包まれた小さな手が、それに触れ、黒い何かに覆われていく─

 

 

「わあー!? いっつの間に!?」

 

「何というか、自由だな!」

 

『流れで入ってきていたのか… 気づこうとも思わなかった…』

 

 

残していった三人に声をかけられ、返事をする。先程のありのままを説明すると、彼らも驚いていた。でも、仕事をテキパキとこなす、しずえらしいといえばしずえらしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃあ、び、びっくりしましたー!」

 

 

いつもと違うワープに驚いた。光の化身と謳っているというのに、そのワープは少し禍々しかった。

その禍々しいワープとはまた真逆に、暖かな日光が降り注ぐ。人間ととてもよく似ている生き物、Mii達の住まう島のマンション。そのマンションは『トモダチコレクション』と呼ばれた。『終点』化された影響で、マンションどころか、Miiの姿も見えないが。

 

 

「あっ、ソードさん、見つけましたー!」

 

『…』

 

 

剣を中心とした様々な武器を扱う武器の天才。彼もまたMiiだった。一見戦えるように見えないしずえに対しても敵意は消えず、カチャ、と剣を構える。

 

 

「あわあわ、こっちに来ますー!」

 

 

剣を片手に、距離を一気に詰めてくる。刺突の攻撃を間一髪で避け、傘を闇雲に振り回して反撃した。

めちゃくちゃな軌道とはいえ、一度引かせることには成功した。

 

 

『…』

 

 

卓越した剣技は風を生む。それは一つの竜巻となってしずえに襲いかかる。

 

 

「わ、えい!」

 

 

驚いたのも一瞬。『トルネードショット』を懐に『しまう』。実体も無ければ、触れると肌を裂くような風をどうやってそのまましまえているのか全くの不明だが、安易に飛び道具を使えないのは事実だ。

 

 

『…!』

 

「あっ… キャッ!」

 

 

低空で前転しながら突撃し斬りつける『変則急襲切り』。その名の通り、剣技の枠から大幅に外れた派手な技だが、威力は高い。

短く悲鳴を響かせ、尻餅をついた。

乱闘では流石に長く戦ってきたソードに武がある。やみの王を討伐した者の一人だ。

しずえの戦法は慌てながらも勢いで次の手を決める直感派だ。元の世界では戦いと無縁のため、時々戦略関係でしくじってしまうこともあるのだが、逆に戦いに慣れた彼らには思いもつかない戦法を駆使してくることもある。

 

 

『…っ』

 

「キャ!」

 

 

思いきりしゃがんで、左へ横方向に振るわれた剣を避ける。しかし、こんな避け方をしたら次の行動が遅くなってしまう。

 

だが、そんな動きが逆にやりにくさを感じさせているらしい。ソード自身も彼女とは戦ったことがある筈だが、今しずえと戦っているのは実質キーラだと言っていいだろう。

 

困惑しているようで、ソードも次の行動が遅くなった。振った剣をそのまま上に上げて振り下ろした。その前にしずえは間一髪で離れることができた。

 

 

「よし、ここから反撃行きますよ!」

 

 

ぐっ、と拳を握りしめ、気合を入れる。パチンコを引き絞り、ソードを狙い澄ます。とはいえ、露骨に狙ってしまえば、隙が生まれるし動かれ続けると中々当たらない。

それでも、しずえはソードに向けてパチンコを撃った。

 

 

『…』

 

 

弾はまっすぐ飛んでいったが、それが攻撃に繋がるかは別の話だ。簡単に回避される。

 

 

「これ、お返ししますねー♪」

 

 

しまっていた竜巻を『とりだす』。自分を生み出した主人の下へ進んでいく。パチンコの弾より、ずっと大きいその竜巻はソードを巻き込み吹き荒んだ。

 

 

『…っ!?』

 

「まだ行きますよー!」

 

 

浮きのついた釣り糸を相手目がけて放り投げる。風に巻き込まれた針は的確にソードを引っ掛けた。

 

 

「えーい!」

 

『ぅ…』

 

 

反対側に相手を放り投げ、おまけにパチンコを加えて攻撃した。

 

 

「よし、いい感じに戦えています! この調子ですね!」

 

 

最初はうまくいかなかったが、なんとなく慣れてきたように感じる。

だが、勢いに乗っている時にこそ冷静に行かなければ。この勢いを奪われる訳にはいかない。あまり乱闘が得意ではない彼女にとって、重要事項なのだ。

 

 

『…っ!』

 

「わわっ!」

 

 

逆に相手は優位を取るために仕掛けてくる。走る勢いのままに剣を振り下ろし、しずえを斬り刻まんとするが、展開したシールドが彼女の身を守る。

 

 

「えいっ!」『…!』

 

 

剣の刃とほうきの棒部分が交差する。斬れない不思議なほうきでも、加わる力は誤魔化せない。しずえの力では鍔迫り合いに勝てず、逆に押し返された。

 

 

「あわわっ」

 

 

ぐらつくしずえに更なる一撃を加えようと、ソードが踏み込む。瞬間、地面の何かが上昇する。

 

 

『…!?』

 

 

先程しずえがこっそり埋めておいたはにわくん型のミサイルだった。ソードごと打ち上がっていく。

 

 

「やりましたー! …はっ! これはチャンスですね!」

 

 

落下地点に向かうしずえ。落ちてきた時を見計らい、どこからか取り出した水入りのバケツを構えた。

 

 

「えーいっ!」

 

 

落下したソードに向けて『バケツ』の水をぶち撒ける。大地と平行に近いベクトルで飛ばされたソードはステージ上への復帰を試みるも、

 

 

『…っ』

 

 

ジャンプも届かず奈落へ落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソードは目を覚ますと、視界いっぱいにしずえの顔を見た。

 

 

「え、えーと… ワッツしてるの?」

 

「えっと、心配してました! 何ともなくて何よりです!」

 

「ふむむ… ドントウォーリー。それでここはウェアー?」

 

 

いつも通り英語の単語を盛り込んで話してくる。文法やらもめちゃくちゃなので理解するのに時間がかかり、会話のテンポが悪いのもいつものことだ。

行き止まりの場所から抜け出しながら、会話を続ける。

 

 

「…あら? 他の皆さんは別のところに行ってしまったのでしょうか?」

 

「へー、他のエブリワンもいるのか。」

 

「はい! マルスさんとロックマンさんとリュカさんと…」

 

「おっ! バスじゃん! ライド、ライド〜♪」

 

「あれ? ソードさん?」

 

 

見回すが、近くにはいない。

しずえの近くには。

 

 

「ソードさん!?」

 

「しずえさん、ちょっとドライブしてみるだけさ! アクセルこれかな…?」

 

 

既に乗り込んだソードがバスの窓から見える。

彼は運転をしたことがない。ただ興味本意のために乗り込んだだけなのだ。そんな彼が運転できるわけもなく。

 

 

ドガァーン!!!!

 

 

「きゃあー!」

 

 

大きな衝突音をたて、近くの建造物に正面衝突した。バスの前方部分がひしゃげている。

 

 

「なんだなんだ!? 何があった!?」

 

「!? これはいったい?」

 

「ソードさんがバスを運転しようとして…」

 

「はあ!? アイツまたなんかしたのか!?」

 

 

フォックスとシモンが戻ってきた。

しずえの返答に、ソードの自由人っぷりに飽きてながらも急いで救出に向かう。変形した扉はフォックス一人では開けられなかったが、シモンが参戦してようやく開く。

 

 

「おい、ソード!」

 

「きゅ〜…」

 

「気絶してるか… 運び出そう。」

 

 

目を回した元凶が横たわっていた。フィギュア化はしていないようだが、なんてことをやらかしてしまったのか。

だが、これにより上がった黒煙が、二手に別れたファイター達を合流させることになるのを彼本人はまだ知らない。




ソード「きゅ〜…」

しずえ「大丈夫ですかね…」

フォックス「大丈夫だろ。しかし、本当に気絶してると、きゅ〜、とか言うんだな。」

シモン「寝言で、むにゃむにゃと言うよりはよっぽど現実的だが。」

ソード「…むにゃむにゃ…」

しずえ「あ、言いましたね。」

シモン「…本当は起きてないか?」

フォックス「言ったからってムキにならなくても…」


ソード「ねくつとぉ… 『足で飛んでいるのだ』…」


シモン「やはり起きているだろう…」

フォックス「流石に言い逃れできないぞソード…」
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