灯火の星 〜The One Story of Ours〜 作:蘭沙
ルカリオ 数百年
リンク 百年
こどもリンク 七年
ベレト 五年 ←NEW!
ピット 三年
やっぱ勇者は格が違った。
ドンキーコングを解放したファイター達は、土管を通ったことで未探索だった氷山を目指し、北へ進んでいた。
しかし、氷山の頂上にあったのは無惨にも壊れたグレートフォックスであった。
「あっ……あっ…あっ…」
『うわわわ! 何これ〜!?』
「あ、スリッピーじゃないか!」
受け止めたくない現実を前に語彙力がどこかにぶっ飛ばされたフォックス。
何処にいたのか唐突に出てきた、スピリットのスリッピーも驚きを隠せない。
「あれ? この機体ステージでも使われている物のオリジナル…だったよね?」
「なんかこれがローンの原因らしいよ?」
「フォックスさん、ローンがあったんだ…」
『ローンを組んだのはフォックスのお父さんなんだ。』
「わあ! び、びっくりしました…」
「機体を自分の物にするから返済義務が生じるんだよ。相続放棄すればよかったのに。」
「なんで小僧の年齢でそんなこと知ってるんだよ、金関係だからか、金関係だからだな!」
「一瞬で自己完結してないかい?」
貧困族のよしみなのか少し事情を知っているむらびとが話す。
「フォックス、この宇宙船どうにかして直せないのか?」
「………ハッ!? なんだオリマー、なんの話だ?」
「オレ、寒い…」
「ああ、寒いよな…」
「現実エスケープ。」
「いや、どうにかして直せないのかって。」
「…じっくり見ないとなんとも… 直るにしても時間がいりそうだ。」
オリマーが顎に手を当てて考える。これが直れば手の届かない場所の探索ができるし、上空にいるキーラのところへ行けるかもしれない。時間をかけてでも直す価値はありそうだ。
「スリッピーは言い出しっぺの私の体を使えばいい。フォックスに協力してくれ。」
『え〜… でもキミ小さいからなあ。』
「………き、君たちが大きいんだ…」
スリッピーとしては何気ない一言だったが、オリマーにしては相当ショックだったようだ。
結局スネークを指名したスリッピーとフォックスを頂上において麓の探索に向かった。
ソードがコックピットに向かおうとしたり、むらびとが手の甲を下に向けて親指と人差し指で丸を作りながら無言でスリッピーの方を見たり、それをしずえが止めていたりしていたのは余談だ。
「ウホッ! 森だ森だ!」
自然への帰巣本能か。否、普通に先に進みたかっただけだ。氷の上を滑って一番乗りした。
「でも、さっきのところと違ってなんか怖くなってるよ…」
「おっと、早いね。」
順にヨッシー、ロックマンも合流する。
そこで一番がファイターを視界に入れた。
「ウホッ! ファイター見つけた! オレ、行ってくる!」
「うわ! 早い早い!」
ロックマンが止めるが、既にドンキーコングはワープした後だった。
この景色は先程までいた山の頂点によく似ているが、細かな細部と周りが異なっている。名前はそのまま『頂上』だ。とある二人組が踏破してきた多くの山々をイメージして創造されたステージだ。その山の上で戦っている訳ではなく、『終点』と同じ地形で今は戦う訳なのだが。
「ウウッ… ここも寒い…」
体毛があるとはいえ、裸同然なのだ。震えるドンキーコングの反応は同然のものだ。
そこにいかにも氷山らしい防寒着を着た二人組のファイターがいた。
『『…』』
「ホッ?」
二人の関係は兄弟か双子か恋人か。本人達にすらわからない。ポポとナナのアイスクライマーだ。山の麓に囚われていたのは登山家だった。
「オレ、助けるよ!」
ドラミングをして自らの気合を入れる。確かに彼は人間ではないのだが、悪を憎み仲間を助ける、人間と変わらない価値観は持っている。
アイスクライマーの最大の強みはそのコンビネーションだ。キーラに操られている今の状況ではコンビネーションとは言えないかもしれないが、古今東西の戦いにおいて、数が勝敗を分ける一つの大きな要因であることは間違いない。
個々で見れば、子供のために大した力はないが二人組で戦うことにより、歴戦の猛者達とも劣らぬ実力を見せるのだ。
そんな相手に勝つには、とにかく相手のペースに乗せないようにするべきだ。
「ウホホッ!」
『『…』』
ドンキーコングの両腕から打たれる地ならしを二人でかわす。そこから微塵も違わぬタイミングで『アイスショット』を放つ。二つの氷塊が迫ってくる。
「オウオウゥ…!」
『『…!』』
氷塊をかわしたドンキーコングにポポが飛びかかる。木槌を振りかぶり、打とうとした初撃をかわすが、丁度ポポの背後に隠れていた二撃目が彼を襲い、強かに頭部を打ちつけた。
「ウッ… グオッ!」
『っ!』『…!』
打たれた視界にもいたポポを掴み、背後へ放り投げる。ステージの外に出たポポを追いかけてナナが飛び出す。
自分達から大きく離れて戦うということをしないアイスクライマーの二人は、分断されるとどうにかして合流を目指すのだ。操られている現在でも体そのものに染み付いた癖は隠せないらしい。
「ウホッ!」
『…っ!』
合流はさせない。ポポとは逆方向へナナを蹴る。地面へバウンドして倒れる。ピンク色の厚着はショック吸収剤のように働き、バウンドした反動はあまりナナまでこなかったが、直接攻撃まで防ぐことはできない。それを見て、ポポ側も動き出した。
『…ッ!』
「ホッ…!?」
体ごと木槌を回転させる攻撃が背後から襲う。『トルネードハンマー』と呼ばれる技だった。
「ウ〜!」
フィニッシュでより強く打ちつけられ、宙へとんでいく。アイスクライマーの二人はステージ中央付近で合流した。
「痛いぞ… でもオレ、助けなきゃ!」
着地したドンキーコング。自らの怪我や痛みよりも、目の前の二人のことの方が優先だった。
両手も使って走り出し、巨体で前転して攻撃する。二人まとめて吹き飛ばし、再び空中に相手を投げ出す。
「オウッ!」『…ッ!』
二人を追い、自らもステージ外へ飛び出した。それに気づいたのはポポ一人。握り込んだ拳とハンマーが交錯するが、これは明らかなパワー不足だ。
彼らだって別に力がない訳ではない。山を飛び跳ねるかのように登る跳躍力。山登りで鍛えられた体力と体幹がある。
しかし、踏ん張りが効かない空中であること。
ジャンプの勢いを加えられるドンキーコングに対して、ポポはぶっ飛ぶ勢いに抗う方向へ木槌を振るっていること。
更には少し鍛えた程度では問題にならない程のパワーをドンキーコングが有していること。
何よりナナはまだドンキーコングの追撃に気づいていないこと。
ここまで不利な条件があればポポが力勝負で勝てる道理はない。
『…わ…!』
『…!』
無意識下で声が漏れ出し、ようやくナナも気づいた。力負けしたポポは先程よりも飛ばされた位置にいたが、二人が合流出来ない距離ではなかった。ステージの崖を蹴り、相方の元へ飛びだす。
「ホッ…!?」
勢いをつけたナナを、まだ攻撃した体勢から戻っていないドンキーコングでは反応することができなかった。二人で協力して高く飛ぶ連携技、『ゴムジャンプ』でドンキーコングにぶつかりながらステージへ復帰する。ここで少しドンキーコングは戸惑いを見せた。今のは完全にポポを助けるための行動だった。普段の二人ならば特別疑問にも思わないが、キーラに操られているとなると話が違うのだ。
ドンキーコングでは答えは出なかったが、彼らが一人になってしまえば、もう一人は次にならなければ復活できない。使い捨てたから補充、というわけにはいかないのだ。
さらに言えば、今回は最悪ナナが倒れても乱闘は続けられるが、ポポが倒れればその時点で終了だったから。だから無茶をしていたのだ。
「ん〜… ま、いいや! 負けない!」
そこまでには至らなかったドンキーコングは早々に思考を放棄した。今は勝つことだけ考えよう。
揃ったハンマーの打撃をシールドで防御すると、足元を払うようにビンタした。サイズの関係で足元には見えないのだが。
怯んだ二人を両の張り手で吹き飛ばす。再び崖側の空中戦となった。
「ウッ〜!」
『…』
二人を追って跳び上がる。狙うは青い服。ポポの方だ。
「叩きつける!」
『…ッ!』
底の遠い氷海へ叩きつける。その為に拳を握って頭上へ待機させた。ハンマーの頭部に片方の手を寄せて防御体勢に入るが、最早焼け石に水だった。木槌が叩き折れるかと錯覚するような勢いで奈落へメテオスマッシュされた。
『…ッ!!』
「…?」
置いてけぼりにされたナナが、撃墜により上がった光の柱を真っ直ぐ見つめていたのがとても印象的だった。
「うおっと…」
「あ!戻ってきた!」
何かを考えていたのか着地にバランスを崩したドンキーコング。目の前には待機していたロックマンと、アイスクライマーのフィギュアがある。二人一組のファイターである以上、出てくるフィギュアも一つで二人分なのだ。
「…? どうしたの?」
「んむ〜、まあいいか! 悪いことじゃない!」
またもや思考を投げ出した。本人とかけ離れた行動を取るならともかく、あの時は本気で片割れを心配していたのだろう。ならばよし。
仲良し二人組を元に戻す。平和に一歩前進した感じがして、ドンキーコングはウキウキした。
むらびと「ローン… ローンかあ…」
リュカ「まさか… むらびとその年で…」
むらびと「あいつ増築すると金せびってくるからね。ほんと油断も隙もありゃしない!」
しずえ「たぬきちさんは商売として普通のことをしているだけですよ!」
むらびと「これならリュウみたいに家無しでテント張って暮らしててもよかったなあ…」
リュウ「…まて、俺だって普段は普通の生活を送っている。家ぐらいあるぞ。」
むらびと「えっ」
リュカ「えっ」
しずえ「えっ」
リュウ「…え?」
しずえ「次回!『私の名は』、です!」
リュウ「俺はそんなに旅人のように見えるか…?」
ピット「ストファ勢でもそう見えるユーザーの方が多いんじゃない?」