灯火の星 〜The One Story of Ours〜   作:蘭沙

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ぶつ森ダイレクト中

緊急脱出サービス… 多分迷ってなくてもワープ目的で使われるやつなんやろなあ…


…ん? この口調…
リセットさん生きとったんかワレェ!?


四十三話 とびだせ

畳まれている姿を見たヒーローギアが着られている。円錐形のイヤーカフのようなもの、ベストのような上。そして少しゴツい靴。だが、3号=インクリングなのは割とバレバレであって…

 

 

「…インクリング?」

 

「3号!」

 

「インクリングさん?」

 

「3号!」

 

「「インクリングー?」」

 

「3号!」

 

 

何をしているのか、という意味の本名連呼にも全く取り合わない3号。余程頑固のようだ。

 

 

「こほん。あた…私は3号。ナワバリバトルの裏に潜む闇を討ち、人知れず平和を守るNew!カラストンビ隊が一角!」

 

「つまり…伝説のヒーロー! こんな時に助けてくれるなんて!」

 

「えっ… ピット…?」

 

 

気づいてないやつが一人いた。ピット以外はわかっている。それこそヒーローギアのことを知らないアイスクライマーの二人やドンキーコングまで。彼らと条件は一緒とはいえ、気づいている様子はなく、ふおぉぉ、と興奮している。

そんな様子を見て満足そうに3号は頷く。

 

 

「ふっふっふ、じゃあ君には他との連絡を取る為にこの場に待機してもらおう。」

 

「かしこまり!」

 

 

紅潮した顔で敬礼する。それを確認すると3号は木を蹴り出して宙に飛び出す。

 

 

「あぶなっ…おわっ!?」

 

 

みんなは慌てるが、3号は器用に着地時の衝撃を殺して降り立った。そして片膝をつき、まだ呆然としているピチューと出来る限り目線を近くする。

 

 

「ピチュー、インクリングは来れなくて本当に心の底から謝っていた。だから私に代わりに戦うよう頼んだんだ。彼女には代えられないかもしれないが、私も君に合わせて全力で戦おう!」

 

 

片手を差し出す。そしてピチューの返答を待った。その小さい口から出た言葉は…

 

 

「…ピチュチュ、ピーチュチュッチュピー?」

 

『インクリングなんでそんな格好と口調してるの?』

 

「だから、3号!」

 

 

イメチェン程度にしか認識されていなかった。

 

 

 

 

一方、まだ森の中。周りをぐるりと見渡すむらびととしずえ。本当は一人で珍しいフルーツでもないか探したかったむらびとなのだが、運悪くしっかり者のしずえに見つかったのだ。

 

 

「むらびとさんから積極的に皆さんを助けに向かってくれているだなんて! なら私は秘書としてめいいっぱいサポートしますね!」

 

「あ、うん、そ、ソーダネー」

 

 

ややこしいので話に合わせておく。

一人でいるファイターは自分だけではないのに。ピーチを先に取られたクッパとか、乱闘自体好きではないが故に話の輪に入りにくいプリンとか。

その確率を潜り抜けて自分は見つけられた。村長になったのだって何かの手違いだろうに。運が悪い。

 

 

「あっ! 一人見つけました!」

 

「あっ、本当だ。」

 

 

氷山からの入り口から対称的な場所にある出口の近くにファイターはいた。先に見つけたしずえはかわいらしいドヤ顔を決めている。

 

 

「さてと! じゃあ…」

 

「一緒にいきましょうね、むらびとさん!」

 

 

内心変な顔をしながら先程の彼女の言葉を思い返す。確かにむらびとのサポートとは言ったが、本当に乱闘中のサポートのことを指していたらしい。

村長らしく命令もできない。何か村長の認識が間違っている気がするが。その内心を表には出さないように答える。

 

 

「あ、うん。そうしよっか。」

 

「はい! 私、むらびとさんの足引っ張らないようにしますね!」

 

 

やけくそ気分でファイターに触れ、乱闘の舞台へワープする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー? あの二匹…」

 

「ダックハントさんですね!」

 

 

犬と鴨のコンビ、ダックハント。本人達曰く、トリオらしいのだが、もう一匹を誰も見たことがない。彼らの攻撃の銃撃はその謎の一人が放っているらしい。

 

このステージは『終点』化しているが、間違いなく彼らのホームグラウンド。名前も彼らからそのままとって『ダックハント』だ。

 

 

『…』

 

「わわっ!」

 

 

走り出したダックハントに驚くしずえ。正面から向かってくる相手に対し、むらびとは傘を広げて驚かし返す。

 

 

「わあー! むらびとさんありがとうございます!」

 

「この前野生の熊と遭遇したらこうするといいって聞いた気がする」

 

「ダックハントさんは熊じゃありませんよ!」

 

『…!』

 

 

まるでここまでが一連の流れのようにやりとりを続けるが、そんなこと今のダックハントに関係ない。

どこからか爆発する缶を取り出し、設置する。ここまでだと、ただ見え見えの罠を設置しただけだが、異次元からの射撃はここで終わらせはしない。器用に缶に射撃をして缶を動かしているのだ。

 

 

「うわ、こっちきた!」

 

 

パチンコを取り出し缶を撃ち返そうとするも、それと三人目の射撃では数も質も違う。

パチンコの弾によって軌道が狂うこともなく、むらびととしずえの間に入って起爆する。

 

 

「キャー!」

 

「いってー!」

 

 

缶から出来るだけ離れるが、爆発のダメージは少なからず入った。

 

 

「ちぇっ!」

 

 

思わず舌打ちをし、反撃の攻勢を整える。あの鴨はアイスクライマーとは違い、離れて攻撃しない。なので相手はトリオと言いつつも数では勝ってるようなものだ。数で優位をとっていこう。

 

 

『…!』

 

「後詰めお願い!」

 

「はい!」

 

 

再びダックハントが缶を蹴りだす。射撃に従い独特な軌道を描きながら飛んでくる飛び道具に近づいてしまった。むらびとの懐ならば三人目に狙われることはない。

 

 

「えーい!」

 

 

しずえから壺が投げられる。犬の頭部にヒットし破片が飛び散った。

 

 

『…っ!』

 

「まだ!」

 

 

遠くに引いたむらびとがあの缶を取り出し、ダックハントの近くに設置される。まだ起爆はしていない。慌てて距離を取るが、それも計算内だ。

 

 

「やあっ!」

 

「…っと!」

 

 

二人分のパチンコ玉が缶を移動させ、ダックハントの足元に転がり込む。黒煙を上げ爆発する。

 

 

「やったか?」

 

『パッ…! クァ…!』

 

「まだです!」

 

 

咳き込む二匹だが、まだ乱闘は続く。撃墜するかされるかまで続くのだ。

 

 

「ならっ…と!」

 

 

『ハニワくんロケット』を発射させ、追撃を狙うが、犬の低い体勢をさらに低くして潜り抜けた。鴨の翼は少し煤汚れている。目立った反応はなかったが、そっちは避けきれなかったようだ。

 

 

「んー… カスってない…? 鳥の方…」

 

「気のせいじゃないでしょうか…?」

 

『…ッ!!』

 

「わわっ!?」

 

 

当たってないぞと抗議するがの如くむらびとに飛びかかる。むらびとは少し過剰に下がり、ダックハントは彼を追い、また飛びかかる。

その時、ダックハントの足元から攻撃が起きた。

 

 

「『しかけハニワくん』。気づかなかった?」

 

 

しずえが設置していたハニワがロケットのように上昇する。

 

 

「むらびとさん気づいてたんですか!?」

 

「ファイターとしてはちょっと先輩だからね。」

 

「(す、すごいです…! 流石すま村の村長です!)」

 

 

自分で誘き寄せて罠を踏ませようとしたのだが、それは村長がやってくれた。

それにしてもこっそり埋めていたのにまさか気づいていただなんて。

しずえの中でむらびとの株が上がった。

一方のむらびと。

 

 

「(…ぜっんぜん気づかなかった…)」

 

 

冷や汗をかいていた。下がったらダックハントが罠を踏んだだけで、ヒットしたのはただの偶然であった。

 

 

「えーい、終わり良ければ全て良し! ここで決めてやるー!」

 

「はい!」

 

 

むらびとが懐から手探りで何かを探している。大きなチャンスだ。フリスビーの形に似たクレーを取り出し無防備なむらびとに一撃をくらわせようとした。

 

 

「ダメですよー!」

 

『…ッ!!』

 

 

しずえの『つりざお』の先が顎に引っかかる。突然の痛みで、『クレー射撃』の投擲に勢いが加えられなかった。

 

 

「あったあった。そおい!」

 

 

懐から『ボウリングのたま』を取り出し投げる。へろへろのクレーを難なく弾き飛ばし、ダックハントを襲い、吹き飛ばした。

釣り針を振り切り、ステージの外に飛んでいく。ここは逃せない。

 

 

「とびだせぇ!」

 

 

声と共にむらびとはダックハントを追ってとびだした。カブを取り出した姿を二匹は確認してしまった。

 

 

『…!』

 

「だああぁぁ!」

 

 

カブを振り回し、二匹を奈落へ叩きつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダックハントをフィギュアから元の姿に戻した二人は、匂いを嗅いで何かを探しているような様子のダックハントの後ろについていた。

 

 

「ハッハッハ…」

 

「何探してるんだろ?」

 

「う〜ん… わかりません…」

 

 

しょんぼりとした顔になる。二匹に関して相談していた時、ワン、と一鳴きしてどこかに走り出す。

 

 

「あ、行っちゃった!」

 

「追いかけてみましょう!」

 

 

森の出口へ向かうダックハントとそれを追うむらびととしずえ。途中、ピットが待機していた場所を通り抜ける。

 

 

「あ! マルス達がさ…」

 

 

天使に目もくれず走り去っていく。

 

 

「ちょっと無視するなよー! …どこ向かってるんだろ…?」

 

 

待機はしろと言われたが、それ以上に彼らの目的地が気になってきた。

 

 

「待ってー! ボクも行くー!」

 

 

むらびと達の背中を追いかけて走り出す。しずえが手を挙げて迎えるが、彼らはまだ止まらない。





ダックハント?「ミニチュアダックス、チワワ、シーズー、ダックスフンド… ライバルは沢山いるワン…」

ダックハント?「でも、負けないワン! 保健所の職員なんかに捕まらないワン!」

ダックハント?「ニンテンドックスへの友情出演枠を手に入れるのはボクだワン! イヌヌワンやツインベロスなんかに負けないワン!」


ダックハント?「次回、『電気色のインク』だワン!」


しずえ「何してるんですかー?」

ピット「うわあああああああああ!?」

ダックハント「イッシッシッシ」
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