灯火の星 〜The One Story of Ours〜   作:蘭沙

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花粉症のせいで執筆が進みません!(アホ)

後ペルソナをやっててもフォックスの声がクロムにしか聞こえないので集中できません!(難聴)


四十四話 電気色のインク

「ふう… ようやく戻ってこれた。」

 

 

電気プラント。以前ピチューを解放し、最深部のスピリット相手に撤退した場所だった。

 

 

「ピッチュチュ! チュー!」

 

『やる気十分といったところか。』

 

「ウホッ! ピチュー、インクリング、頑張れ! オレ、応援する!」

 

「あっはは、あたしも負ける気がしないよ!」

 

「キャラクターがブレブレだね。」

 

「ロックマンの言う通りだねー!」

 

「「ねー!」」

 

「ハッ!? ご、ごほん、失礼、インクリングの口癖がうつったんだ。気にしないでくれ。」

 

 

思わず素になりかけていた口調を戻した。

危ない、バレるところだった、と思っても既に手遅れなのだが。

 

 

全員で協力してデンチナマズを動かし、足場を設ける。もう他にスピリットはいないので、仕掛けを解いている最中も穏やかに会話をする余裕があった。ピチュー以外は。

 

リベンジの機会は自分で望んだものとはいえ、結局足場を流れる電流は何も解決していない。

ピチューでも、無策に突っ込んでいってもまた同じけっかになるだけだというのはわかっている。

 

 

「ピチュー、ピチュー。」

 

「ピッ…?」

 

「電撃のことなら、私に一つ考えがあるんだ。君はいつも通り戦えばいい。」

 

 

3号はそういうと、先に奥へ向かう。

具体的にどうするのか聞きそびれたが、大丈夫だろうという謎の信頼感があった。ならば言う通りに戦おう。足場がありながらも軽い体で穴を飛び越えショートカット。3号の背中を追って走り出した。

 

 

 

 

「ふう… さてと。」

 

「ピチュ…」

 

 

目の前のスピリットを睨みつける。本来の戦っている姿など見たことないが、一度ピチューが負けているのだから強いことには違いない。

 

 

「二人とも、激情に呑まれず冷静に戦うんだ。頑張ってくれ!」

 

「うん、ありがとう!」

 

「ピッチュウ!」

 

 

マルスが代表して激励の言葉を送る。そして向き直り、それに触れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

降り立ったのは見覚えのある『終点』化した『プリズムタワー』だ。相手が巨大なピカチュウのボディなのも足元が電流が走るステージなのも同じだ。

 

 

「ピチュッ…!」

 

「あくっ… そういうことか… それなら!」

 

 

電流の洗礼を受け、飛び上がる。だが、今こそ秘策を実行する時だ。

『スプラシューター』で地面に落ちるまでに出来る限り床を塗りたくる。追撃を警戒しながら塗る。塗る。

 

 

「着地!!」

 

「チュウー!!」

 

 

電撃の痛みに耐えようと歯を食いしばって着地しようとする。

 

 

「ピチュ…!?」

 

 

思っていた刺激は来なかった。多少の痺れは伝わったが、乱闘に支障が出るほどのものではない。何故だろうと周りを見るが、そこには3号がばら撒いたインクしかない。よく見れば少し金属の光沢に似た輝きをしているような気がしたインク。

 

 

「私のインクがある場所に着地すれば問題はない! 思いっきり戦うぞ!」

 

「ピチュ!」

 

 

頬袋から電気が溢れる。これならば完全とはいかなくとも、いつものように戦うことができるだろう。一体どんなタネがあるのかわからないが、今それはどうでもいいことだった。

 

 

「(…まあ、実際は反則レベルなんだけどさあ…)」

 

 

電気を通さないインクがあるのをご存知だろうか。普通は主に電化製品に色をつける用途で使われるものだ。携帯の色をつけるのにも使われ、流行りというものに敏感なインクリングという種族の彼女も微量ながら持っていた。光沢があるのは携帯につけるためのメタリックインキだったからだ。単体で使える程の量はなく、普通のインクと混ぜて使っているが為に完全に電撃をシャットアウトできてはないが、十分だ。

 

当然いつもの乱闘で使えば完全黒の反則ものだろう。これ単体で使ってしまえばピカチュウのボディ相手なんて完封できる。だが、床に電流を流しているのは相手側だ。先にやらかしているのは相手なのだから何も言わせない。

ファイター達を捕らえ、スピリット達を操り、戦闘をしない人々さえも戦わせるキーラを許してはいけない。一刻も早くあるべき日常を取り戻すため反則承知で掟破りの戦法を取ったのだ。

 

 

『…ッ!!』

 

「うわっ…と!」

 

 

飛びかかってくる相手を『スプラローラー』で防御する。どうやらタネがわかった、とまではいかなくても電流を防ぐ術を彼女が持っていることに気づいてしまったようだ。

実際、床の電流を確実に防ぐためにはインクが消えないように床を塗り続けなければならない。掟破りとは言ったが、対策の術がないほど完璧な策でもないのだ。

 

 

「ハッ!」

 

『…!?』

 

 

鍔迫り合いを続けている中、3号がイカになって後ろへ回り込む。突然対立する力が消えた敵はバランスを崩して転倒する。

 

 

「ピチュウゥゥー!」

 

『…!』

 

 

ピチューの呼んだ『かみなり』が敵に直撃する。同じ電撃とはいえ、自らも痛みつける電撃は敵に手痛いダメージを与えた。

 

 

「よっと!」

 

「ピチュッ」

 

 

敵の裏側の床も塗っていたインクリングの前方にピチューが降り立つ。流石に『かみなり』一つでは乱闘に影響が出る程のダメージはなかった。だが、未だに相手自身から攻撃を受けていない。初手の滑り出しは上々だ。

 

 

「…っ!!」

 

「チュ…!」

 

 

床のインクを蹴り出して二人は同時に走り出す。敵の放つ『でんげき』までは防ぐことはできないが、ならばかわしてしまえばいい話。右に3号、左にピチューが飛び退く。

 

 

「いけっ!」

 

「ピーチュー!」

 

『…っ!!』

 

「あっ!」

 

 

3号が『スプラシューター』の射撃、ピチューが『でんげき』を撃ち放つ。だが、本来のファイター以上の体を持つ相手には矮小な攻撃であった。体を丸めて攻撃の体勢に入ったことを認識するのは遅かったのだ。

 

 

「ああっ!」

 

「チュゥ!」

 

 

丸めた体で、電気を纏いながら回転する『ねずみはなび』。近づいていた二人を丸ごと吹き飛ばし、更なる追加攻撃と『でんこうせっか』で倒れた二人を風圧で打ち上げた。

 

 

「いっ… っ!」

 

 

空中でひっくり返りながらもピチューを引き寄せ、敵に対して『スプラッシュボム』を投擲する。

 

 

「ほっ、よっと!」

 

 

ブキを持たない左手を地につけ、体を押し上げて着地する。驚きの身体能力だった。

 

 

「ピー…」

 

「ほら、まだ来るよ!」

 

 

その声にハッとして即座に敵に向き直る。体と同じ色なので見づらいが、確かにインクの爆弾はヒットしているらしい。

 

 

「チュッ… チュ… ピチュッ!」

 

「…あっ!!」

 

 

電撃を織り交ぜたずつきが敵にヒットしようとしたところで、3号はこの策のとある盲点に気づいてしまった。

非導電インクは電気を通さない。あらゆる電気を弾くのだ。床に走る電流を、ピカチュウのボディから放たれる電撃を、ピチューの攻撃に使う電気を。

それを相手にかけてしまえば、電撃が効かず、ピチューの攻撃力は大幅に下がってしまう。軽く小さい体にある純粋な筋力など期待出来るものではない。

 

 

「(やっちゃった…!)」

 

 

慌ててフォローに走り出す。インクを使わない攻撃で敵との距離を作って立て直さなければ。

床に新しくインクを撃ちながらシューターを握りしめる。

 

 

「ピチュウ!」

 

「…あれ!?」

 

 

そんなことは、とっくに気づいていたのかもしれない。近づいた3号の目に写ったのはインクがかかっていないところに上手く攻撃を当てているピチューの姿だった。

 

 

『…ッ!』

 

「プイ、ピチュ!」

 

 

『ずつき』を屈んで避け、しっぽをふるってはたく。ただでさえ小さいピチューの相手が巨大化したボディだ。サイズが違い過ぎて距離感が掴みにくい。ピチューの強みである、軽さと小ささで当てては避けのヒットアンドウェイで上手く立ち回っていた。

更にいえば、黄色の体についた黄色のインク。遠くだと見分けにくいが、使用しているのはメタリックインキ。ステージの太陽光に反射して光沢を持つ。この相対している距離ならば見分けるのは難しいことではない。

 

 

「そうだよね! ピチューは子供扱いが一番嫌いだもんね!」

 

「チュッチュ!」

 

 

そう言うとピチューは振り返って返事をする。

気にする方が失礼に値するのだ。既に彼はヒーローにも負けない強さを持っている。

インクを溜めたバケツを頭の上からひっくり返す。最低限顔を拭って視界を確保する。

 

 

「よおし! あたしたちで一緒に倒すぞ!」

 

「チュー!」

 

 

後ろへ戻り、インクリングが手に持っている『バケットスロッシャー』にしがみつく。

 

 

「いけっ!」

 

 

勢いよく、上に向かって振り上げた。最高地点に到達し、飛び出す。

 

 

「チュピピー!!」

 

『…ッ!?』

 

 

敵の眉間に向かって『でんげきドリル』。地上のインクリングに届く程の電流とスピードが最高に乗った一撃が突き刺さり、相手は後ろ方向へ倒れていく。

 

 

「まだだあぁ!」

 

 

『パブロ』に持ち替えて走る、走る。転んだ相手に筆先をぶつけた─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電力プラントに戻ってきた。スピリットの気配が消え、また建物内の電気も消えた。辺り一面が真っ暗の中、デンキナマズの周囲だけが微かに光をおびていた。

 

 

「ウッ、ウホッ!? ま、真っ暗!」

 

「スピリットを倒した影響か? ピチュー、3号、いるか!?」

 

「ピッチュ!」

 

「ふふふ。ヒーローは時間が命。また会おう、英雄達よ!」

 

「えー、待ってどこいくのー!?」

 

「ナナー! そこ足場ないよー!」

 

「「うわああああ!?」」

 

 

アイスクライマーの二人が落ちかけている中、暗闇なのをこれ幸いに3号は退場する。

 

 

『どこにいく… いや、先に二人を引き揚げて外に出よう。』

 

「そうか、波導のお陰で暗闇でも見えるのか… 先頭を任せていいかな?」

 

『構わない。インクリングも先に外へ出たようだ。』

 

「うん、戻ろう!」

 

「ロックマンすごーい!」

 

「片手でボク達を持ち上げてるー!」

 

『乱闘でしょっちゅうやっているだろう… 全く…』

 

 

ルカリオが仕掛けを戻して進むことで、落ちかけることはなかった。眩しい光に目を細めながらも電力プラントから外に出ると、待っていたのはインクリング。

 

 

「いたいた、ゴメンね? ちょっとナワバリバトルにお呼ばれしちゃって。」

 

「ピチュ?」

 

 

3号がインクリングということを理解しているピチューにそんなことを言っても意味がわかっていないようだ。

 

 

「(今そのナワバリバトルが出来る人数が集められないと思うけど…)」

 

 

マルスは心の中だけで呟く。

ピチューは3号がインクリングだということを理解できている。だからこそ友情に亀裂が走ることはなかった。ならば余計なことは言わなくてもいいだろう。

 

 

「よーし! そろそろ飛行機直ったかな? フォックスのとこ戻ろうよ!」

 

 

歯を見せて、にかっと笑うインクリング。その頬には拭いきれなかった電気色のインクが残っていた。

 





ポポ「ボク達ー、」

ナナ「ワタシ達ー、」

アイクラ「「不思議に思ってたー!」」

インクリング「なんか宣誓みたいに聞くねー。」

ポポ「ヒーローの時も使うブキは普通のブキー」

ナナ「なんでヒーローブキ使わないのー?」

インクリング「…ミッション全部クリアするの大変なんだよ、ちょくちょく進めてるけど…」

ポポ「確かにー!」

ナナ「ブラシの時は大変だったー!」

アイクラ「「ねー!」」

インクリング「それは時代が違うけど…」


アイクラ「「次回ー! 『何もかもが異色』ー!」」


ポポ「ところでインクリングー?」

インクリング「何ー?」

ナナ「今のインクリングは3号じゃないよねー?」

インクリング「あばばばばばばっ!?」
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