灯火の星 〜The One Story of Ours〜 作:蘭沙
皆さまお魚がプレイするポケモンルビーを知っていますか?
私も別に真剣に見てる訳ではないのですが、たまにチラ見しています。
いやー、発想がすごい。と、一見感心したのですが私ふと思いました。
お魚といい捕まえたポケモンの体重分移動する動画といい最初の草むらでレベル100といいルビーだのオメガルビーだのには超人にしか集まらんの?
これまでに起きたことを心の中で思い返しながらマルスは思考の海を泳いでいた。
討つべき標的が謎の存在へ置き換わってからファイターたちは闇の世界を進んでいた。確かにキーラの居た世界とは違い、この世界の全ては違和感に満ちていた。空は絵具を塗りたくったように真っ黒だし、宙に浮かぶ大地は所々崩れているものの落下していかない。まるで重力という概念が存在しないかのようだった。
「(おかしいのは世界そのものだけじゃない…)」
この闇の世界にも多くのスピリットが囚われていた。瞳の色と仕える主が違う以外はキーラのそれと同じようだった。
奴が元の世界で何かしたとは聞いたことがない。危害を加えたのはキーラの方だ。逃げ出した形のキーラと何か関係があるのだろうか。キーラから戦士を奪いとる時といったらそのタイミングしかない。
「(ならば… 他のみんなもこの世界のどこかに?)」
キーラからスピリット達の支配権を奪いとったなら、ほぼ同じ状態のファイターがここにいてもおかしくはない。
そう考えながらどんどん奥へ進む。今のところファイターは見つけていない。
「うひゃあー! ピチューピチュー、でっかい歯車がいっぱいだ! 動くの? 動くよね!」
「ピチュー…!」
「動いたら困るんだが… 落ちないように。」
他に足場らしい足場は存在しない。つまり奥を調べる為にはこの歯車の群れを渡っていくしかない。恐る恐る片足を伸ばし動かないか確認しようとするも。
「ぐるぐるだよ!」
「大揺れ… しないっ!?」
『もはや予測できても止められないな…』
そんな石橋を叩く行為を無駄にする者がいるため、先行隊を先へ行かせる。
「勝手に動いたりはしないようだけど… 一応人数絞って行こうか。」
「つまり重量級ボクサーは待てってことッスか?」
「リトル・マックはー?」
「適度に絞ってるんで問題ないッス!」
先に行ってしまった者達の人数を考えて前方から適当に数を決めて進む。
「暗い…」
「足を踏み外さないように気をつけないとね!」
歯車の中央部を歩く。屋根のようについた一回り小さい歯車がファイターの視界から光を奪っている。所々破損しているのか、中々思い通りの場所にはたどり着けない。その時、ピカッと照らされる。
「おーい! これで見えるかなー?」
「インクリングー!」
離れた場所からインクリングが携帯の懐中電灯を使って照らす。足元が照らされて道が判明した。彼女の元へたどり着く。
「ふう… ありがとうインクリング。助かったよ。」
「えへへ、気にすることないない!そうそう、あそこなんだけど…」
「…! あれは!」
先程までいた世界にもあった転移の光。違う場所へ移動する扉。
「マリオ、みんなを呼んできてくれ。あそこへ行こう。足元に気をつけて。」
「OK! 任せてよ!」
走って元いた道を戻っていく。あとは他を待つだけだった。
「いや、待って! あっちは…!」
気づかないところだった。向かい辺りに何かがいる。インクリングに灯りを頼むとそちらへ歩き出す。歯車の下を通って見つけたものは。
「ルキナ…!?」
キーラだけではなかった。奴もまたファイターという戦力を欲していたのか。キーラのそれとは違って人型の駒には触手のようなものが巻きついている。
彼女も。全員を助けなければ。意を決してそれに触れる。キーラのそれよりも黒い黒に包まれ、自分の体がここではない何処かへ飛んでいく。
『終点』の『闘技場』。王族たるマルスが観覧席に座ることはあれど、戦士として戦う経験はなかった。それもこの世界で慣れてしまったが。この戦いを見ている者はいるのだろうか。きっとあの元凶は遥か上で見ているのだろう。
「…っ!」
『…』
「ルキナ! なんて姿に…!」
初めて会った時にえらく感涙されて、まるで壊れ物を扱うかのように慎重に握手された姿を覚えている。でも今は。
聖痕を宿した左目ごと瞳は薄い紫に染められ、赤黒く痛々しいオーラを纏っていた。一筋の希望として振るわれていた彼女の刃が今度は絶望として振るわれる。彼女の憎んだ邪竜のように。
「… ごめん。僕はこんなやり方しか知らないんだっ…!」
本意で戦っていない女性に剣を向けるなどやってはならないことだろうが、別の方法を考える暇などなかった。実際彼女に憧れられるほど力量も技量も差はない。未来の歴史書には載ってないだろうが、何も自分一人の力で戦った訳ではないのだ。
振り下ろした神剣が弾かれ、左肩を狙った裏剣による刺突を腰から捻ってかわす。横薙ぎの脇腹を狙った攻撃が当たり、突き出された刃が横へ移動し。互いを傷つける。
「っ…!」
『…!』
ルキナを突き飛ばし、距離を取って一時休戦をとる。彼女は優しい子なのだ。どうしようもなく絶望にまみれた世界で生きてきたというのにそれでもだ。
それなりに打ち解けられたある時にふと彼女の口から溢れた謝罪。勝手に自分の名前を名乗ったことの懺悔だった。
彼女から見れば自分は遥か昔に亡くなっている先祖だ。偶然にも本人と邂逅する機会があったとはいえ、自分の名前を使うことに難色を示す者などルキナ本人しかいない。
でも。そんな絶望の未来で、自分の名前を名乗ることで少しでも彼女の救いになっていたのならばこれほど嬉しいことはない。
「見ていてくれ…!」
彼女の光になれるなら何度だって剣を握ろう。彼女の言う英雄王に相応しいマルスとなるように。掲げるは光の剣。
「っ、ハッ!」
『……ッ!』
剣先をルキナに向けると、相手も応えるように剣先を向けた。足を踏み出し、すれ違いざまに互いに斬りつける牙が音を立てる。左足で踏ん張ってすぐに体の向きを変える。上空から体ごと振り下ろした剣を受け流し、そのまま剣先を上げて腕の内側に刃を入れる。
『…っ!?』
ルキナの顔が歪んだ錯覚が見える。でもそれはどこまでいっても錯覚でしかなくて、マルスの願望だった。…戦うしかないのだ。
体勢を立て直したルキナが背後から剣を振るのを感じとってシールドを張る。シールドが削られて小さくなるのが見えた。
「…っ! やあっ!」
『…!!』
振り向いた勢いのままに鍔迫り合いが始まる。拮抗する実力。彼女はそこから逃げて膝を入れ込む。
「く…ふぅ…!?」
思わず入れていた力を逃し、腹部を押さえて後ずさる。汚く勝つのはルキナの方が得意だった。裏剣を両手で持ち、頭の上から振り下ろす。
「っ!」
でも、今のマルスには負けられない理由がある。即座に神剣で受け止めて上へ打ち上げる。ファルシオンが手から離れ、勢いをつけたままにルキナの胸へ吸い込まれる─
ルキナの顔は真っ赤だった。憧れの人物に多大な迷惑をかけてしまった。それでも今言うべきはそのことではなかった。
「今の目標はその突然現れたものの討伐になる。どうして現れたのかわからないけど君がここにいるってことは他のみんなもこの世界のどこかに居るんだと思う。」
「混沌と、闇の化身です…」
「ルキナ?」
突然降ってあらわれた二つ名。思わず空を仰ぐ。闇と称された空は暗く見る者を不安にさせる。
「頭の中に響いたんです。私に従えと。直接声を聞いた訳ではないのですが、キーラを倒せ、ファイター達を始末せよと。そればかりが頭に入って…」
「そう… ごめん。早く助けられたら良かったんだけど…」
「いえ、マルス様は悪くありません! 誰もあんな目に合うなんて予想できませんよ! お父様もルフレさんも誰も責めたりしません!」
「うん、ありがとう。それであれは…」
同じくルキナが闇の空を見上げる。
まるでその奥に潜む何かを睨みつけるように。
「光の化身キーラと対をなし、調和を保つ存在。この世界の終末を目論む混沌と闇の化身。ダーズと名乗った…気がします。」
「ダーズ…」
その名を口走った途端、睨まれているような感覚に陥った。宣戦布告のように睨み返した。
ルキナ「よくよく考えてみれば、私=覚醒のマルスって大き過ぎるネタバレですね… スマブラでは今更ですが…」
シュルク「そんなに気にすることでもないと思うけどなあ。」
ルキナ「公式のCMで躊躇なくネタバレしたゼノブレイドから言われても…」
シュルク「ネタバレの仕方にも色々あるし、発売後の話なら許容範囲じゃないかな?」
ルキナ「そう、なのでしょうか…?」
ルキナ「次回、『打ち倒すだけだ』!」
シュルク「ネタバレの許容範囲はゲームによって違う!」
ルキナ「もしかして… 全部ピットさん達が悪い?」