灯火の星 〜The One Story of Ours〜 作:蘭沙
ダイレクト!ダイレクト!ダイレクト!おめでとう!
キンハーの音ゲーもいいけどそろそろ新ファイターの情報カモン!
一弾と違って一年に三人ペースだから待つ時間が長いッ!
やらかしたこと(誰がとは言わない)の印象が強すぎたこともあり多くの者が見逃していたのだが、あの黒い影は大砲を当てることで消えていった。これで先へ進めるようになったのだ。
城内を進んでいくが、いかんせん分かれ道がなく、ほとんど一本道なので誰かがスピリットと戦っている時は大半が待機せざるをえないのだ。複数でスピリットと戦えば多少は待機時間も短くなるが完全に解消することは出来ず、ダラダラと牛歩のような遅い攻略が続いた。
そして、ようやく外、屋上の空が見えるところへ辿り着いたのだ。
「ふぃー… やっと外だ…」
欠伸しながらリンクが洩らす。散々外から城壁を登ることを提案してきた者なので相当飽きていたようだ。待機中も剣の稽古をしていたりとじっとしていられない性格らしい。
「同感、同感ー… っておおっ!? ファイターはっけーん! 確認されたし!」
ビシッとインクリングが指刺した先にはファイター。先程見た黒い影が道を塞ぐように存在していた。
「あの子って…!」
「デイジーだ!」
マリオとピーチが顔を見合わせて確認する。この感覚が嘘をついたことは一度もなかった。
「また大砲直してぶっ潰せばいいんだな? おし、任せろ。」
「ストッパーソード!」
「ノー!? ムリィ!」
「そのデイジーごとぶっ飛ばせと」
「ノーノーノー!」
「冗談に決まってんだろ、頭にまで花咲かせてんのか?」
「そろそろアングリーしてもいいと思うんだよね…!」
ソードの顔も三度まで。それはともかく現状黒い影をどうにかする方法が大砲を使うしかない以上、彼女などの機械構造に詳しい者の知識は必要だった。
「んで… これでいいだろ?」
「流石に二度目だと早いね。」
「中身がぐちゃぐちゃなだけで部品は足りてたしな。構造も簡単だし余裕余裕。…で、誰が砲弾持ってたっけか」
「俺が持ってるぞ。」
スネークが砲弾を補充すると、ガンナが射線に誰もいないことを確認して火をつける。やはり先の事件は故意で起こしたものらしい。ドカンと音が鳴って蝙蝠の影が飛び散っていく。
「やはり奴がいるか…」
「マリオ、私に任せてもらっていいかしら?」
「う〜ん… いいよ! ボクが行ったらなんでルイージじゃないのって言われそうだし!」
シモンが決意を新たにする傍らで彼女の身内が和気藹々と話す。戦う人は同郷の者たちで決めようというのが暗黙のルールとして一部を除いた全員に伝わっている気がしていた。
「まー、私じゃないなら誰がやろうと誤差だわ。私別の道行ってくる。」
「ウエイト! ちょっとトークすることが」
「めんどいからパス」
「ノオオオオオ!?」
そうやって階段を降りていくガンナをジト目で見つめるファイター達。マイペースなピーチはそれに目も暮れずまっすぐファイターに触れた。
「あら? ここは…」
ピーチは覚えていないようだが、彼女がキーラの手先としてマリオと戦った時のフィールドと同じ場所だった。『マリオUランド』のクッパ城内。グルグルと回り続ける足場だ。
『…!』
「きゃ…!」
よそ見をしていたら何かが腕にぶつかる。咄嗟に身を引くとデイジーが頭のクラウンで叩いていたらしいと推測できた。
「もう、せっかちさんね」
何処からかカブを引っこ抜いて投げる。ウインクをした茶目っ気のある顔が橙色の姫君にぶつかって落下していく。
「チャ〜ンス♪」
隙のできたデイジーを掴み、お尻で突き飛ばす。その間にピーチは別の足場に移る。
『…っ』
流石にダメージがまだ溜まっていないので彼女が復帰するのは容易だ。とはいえ早く復帰しないと足場が重なって手が届かなくなる。スカートを押さえて出来るだけ早く目的の場所へ行ってなんとか崖側に手をつけられた。
「むっ」
ちょっとだけピーチがむくれる。ダメージはあまりなかったとはいえ、思ったより復帰が早かったのだ。顔はそのままに両手に魔法の力を纏って走る。
重なる足場に上がろうとするデイジーに『レディープッシュ』を仕掛ける。傘でガードされた。彼女の傘も見かけ以上の頑丈さを持っている。
「…きゃ!」
『…!!』
開いた傘を押し付けられては距離を取らざるを得ない。足場に上がらせない作戦は中々上手くいかないようだ。同じ目線に立たれてしまった。
「せい!」
『…っ!」
テニスラケットがぶつかり合い防ぎ合い。戦闘力が拮抗しており得手不得手も殆ど同じなため戦闘の起点が作れないのだ。互いに思う。自分が優位に立つためには相手より先に仕掛けなくては。
「えいっ」
ヒップアタック、『ピーチボンバー』を仕掛ける。この至近距離ならば避けるのも防ぐのも間に合わないだろうという判断だった。
「えっ…」
『…!』
しかし、相手にぶつかる衝撃はこなかった。デイジーは浮遊の魔法により宙へ浮いていたのだ。だが攻撃を見てからでは間に合わない筈。幸運にも相手は同じ考えを持っていたのだ。そして彼女は浮遊して空中戦を仕掛けることを考えたのだ。
「いっ…」
地面に上手く着地できなかったピーチは尻餅をついて苦痛の声を洩らす。そして、それは相手にとっては絶好のチャンス。
「あぅ…! たっ、ううっ…」
真上からの四段蹴りを対処する術はない。体を打ち抜かれ顔を歪める。
「んっ…!」
片腕を起こし、転がりながら抜け出す。続けた連続キックは地面だけを踏み抜いた。桃色のドレスが二転三転して起き上がる。お姫様に似つかわぬ泥臭い勝利をもぎとれ。
「せぇい!」
『っ!?』
ゴルフクラブに打たれた肉体が上に上がる足場へ飛んでいく。手に持った物はそのままにピーチもそちらへ向かっていく。
『…っ!!』
咄嗟に投げたカブはゴルフクラブで打ち返されてあらぬ方向へ向かっていく。
それを見たデイジーは飛び道具は効かないと判断したのか、空中へ浮いてこちらへ向かってくる。
「だとしたら…!」
スカートの中が見えてしまうと思われるほどに片足を高く蹴り上げる。空中に浮かんでいたデイジーに届くほどに。
しかし、怯みはしたが浮遊は絶やさなかった。
「(そう… なら私は…!)」
ピーチもまた同じ魔法を使い、戦場を空中に切り替えた。真下の暗闇がより一層濃くなったように感じる。
「えい!」
『…!』
互いに虹の魔法がぶつかり合い、相殺して消え去る。ハートとヒナギクが拮抗して互いに弾かれ地に足をつける。
「やっぱり互角かしら… でも負けていられないわ!」
駆けるデイジーを足払いの要領で転ばせる。体勢が崩れ、体が落ちていくところをドレスのスカートを回転させて飛ばす。足場と足場が重なり、狭い場所での一手。追撃は相手方の少し乱暴な防御で断念せざるを得なかった。
『…ぅっ!!』
「近づけない…」
オレンジのパラソルを振り回すデイジーにピーチは近づけない。粗末な防壁だが、近づけさせないという点に関してはその機能をこなしていた。何か打開策はないかと引っこ抜いても普通のカブ。投げても弾かれるだけだ。
「…! そうだわ!」
カブを持ったまま走り出すピーチ。
それを視認したデイジーは剣のようにパラソルを振り下ろす。
「えいっ!」
『…!?』
傘が捉えたのは金髪の乙女ではなくただのカブ。せっかく引っこ抜かれたというのに傘に潰されてしまっては目が点になるのも無理もないだろう。元からだが。
「はあぁ…!」
隙だらけになった相手に『レディープッシュ』で押し出す。魔法の威力が加わった攻撃が無防備な体躯に押し付けられたことで堪らずぶっ飛ばされてしまう。足場に残れないほどに。
『ッ!!』
それでも負けてはいけないと頭の中で誰かが囁く。それは今の彼女にとって何よりも優先すべき至上の命令だった。だから諦めてはいけない。
痛みもダメージも無視して手を伸ばす。
周り続ける足場へ向かう。
回る足場はあざ笑うかのように上に上がる。
僅かに届いた指先を掬わずただ回った。
最後まで綺麗に命令に従った傀儡は綺麗に落ちていった。
「んっ…」
重たい目蓋が煩わしい。喉から声が洩れながらようやく開いた瞳には見慣れた赤とピンクが映った。
「デイジー、大丈夫かしら?」
「…あれ? ここどこなの?」
「ダーズの作った世界だよ!」
「ダーズ… あ、そういえばそいつ知ってるわ! 聞いたもの! 本人から!」
ルキナと同じく彼女にも伝わっていたようだ。フィギュアから戻って目を覚ましたデイジーがその旨を伝えた。
「うん、キーラを倒したと思ったところに現れたのがダーズ。今はそいつの世界を回りながらみんなを探してるんだ!」
「なるほどね。いいわ、アタシの体を勝手に使った罰は重いわよダーズ! 次はどこにいけばいいの?」
快く協力してくれそうだ。プリンセスに似合わないガッツポーズ。混沌の世界に一輪の雛菊も咲いた。
デイジー「アタシ達スマッシュブラザーズは闇の世界に潜っては見たものの、じめじめしていて嫌だった… ので! 」
ピーチ「すぐさま地上へと取って返し、卑怯にもダーズの背後を突いて壊滅させてやりました!」
マリオ「次回予告で終わっちゃった!?」
ピーチ「かくして、次回からは普通の日常編となります! お楽しみに!」
マリオ「嘘だよ!」
デイジー「次回!『覚えてるか』!」
デイジー「熱き闘志に、チャージイン!」
マリオ「これわかる人どれぐらいいるの!?」
ピット「最近作者がちょっとハマっちゃったんだよ」
マリオ「それ言うためだけに出てきたの!?」