灯火の星 〜The One Story of Ours〜   作:蘭沙

76 / 135

ゑ…?
ブレワイの前日談…? ヤバ…
安易にアドベンチャーにせず、ミッション方式の無双ゲーにしたのはいい判断ですね。リンクの強さと自由に動けない立場を設定として盛り込めます。

って、感じに冷静に分析してるように見えて内心めちゃくちゃ心臓バクバクしている。その調子で覚醒の断章ルートのお話とかゲームにできません?(強欲な壺)



七十話 知りたくなかった

 

「おまえ…! しつこいぞ! 勝負はもうついただろう!」

 

「うるせえ! オレ様が知らないからノーカンなんだよ!」

 

「くそうるせえ…」

 

「ガンナ… ハウスハウス…」

 

 

城の塔から地上を通り過ぎてはるか下。地下では木材によって支えられた空洞の地下室。大砲や影も存在しているそこでデデデとワリオの言い争いが起きていた。地下の空洞ではいつも以上に響き渡り、ガンナでなくともフラストレーションは溜まる。

思わず大砲を二人へ向けようとしたのも共感はできる。ソードが止めたのもガンナが強行しなかったのも後で更にめんどくさくなるのがわかっているからだ。

 

 

「なんかゴメンねー、でも割って入っていってもさらに煩くなるし…」

 

「…いや、わかっている。こういうのは無視が一番いい。」

 

「置いていこうか。静まったら追いかけてくるよ。」

 

 

マリオが謝るが彼は何もしていない故に何もできない。サムスとロックマンと共に先に進んでいる。

 

 

『おーい!』

 

「ピカチュー!」

 

「ウォッチにピカチュウじゃないか、どうしたの?」

 

 

トンネルのような抜け道から二人が手を振って呼んでいる。三人はそこへ向かう。

 

 

『ここにひとりファイターがいたんだよ!』

 

「そうかー、じゃあスーパースターのボクが行ってこよう!」

 

「あ、待って、ぼくもいくよ。暫く何もしてないから。」

 

 

マリオとロックマンが駆け出す。二人の勢いにやられてMr.ゲーム&ウォッチがグルグルと回転して目を回した。

 

 

「まったく… …ッ!?」

 

 

二人の後を追って囚われたファイターを視認した途端、サムス・アランは全身の血が凍りつくかのような錯覚に陥った。瞳孔が開き、足元が崩れていくかのような感覚。覚悟はしてた筈だ。でもこいつは─

 

 

「ピカチュウ!?」

 

「待てッ!!!」

 

「「えっ?」」

 

 

自分でも驚くほどに大きな声を出すがもう遅い。二人は移動しかけている。せめて自分も…と滑り込むように走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『終点』化された『ブリンスタ深部』でサムスは毛を逆立てるように全てを警戒していた。

 

 

「サムス!? 一体どうして…」

 

「警戒しろッ!」

 

 

サムスの口から出たとは思えない程の怒声に反射的に二人は警戒を強めようとした。だが、戦闘体勢に移るその一瞬。

 

 

「…!」「わっ…!?」

 

「おい…!」

 

 

何かをかっさらうような風切音が聞こえて反射的にそちらへ向いた。直後、視界が爆炎に染まる。

 

 

「くぅ…!!」

 

 

奴が火を吐いたんだ。呪いかと思われる程散々戦ったのだからこれぐらいわかる。

二人は? 二人はどうしている? 身に危険が迫っているとすれば、急がなければ。スピードが必要だ。

 

 

「リドリィィィッーー!!」

 

『…ァッ!!!』

 

 

なんとなく予想はできていた。奴は見た目とは裏腹に知的且つ狡猾だ。今だってサムスを狙うことはできた。警戒していたからというのもあるだろうが、何故二人を狙ったのかはというと、サムスを絶望させるためだ。ならば二人はもうこの戦いから脱落しているだろう。あの鋭い槍のような尾にやられたのか。

 

自らの意思を失ってもなお、リドリーは怨敵を苦しめることを選択している。これは単なる恨みではない。遺伝子にまで刻まれる程の深い憎悪だった。そしてそれはサムス・アランにとっても同じだ。一体こいつに何度家族と呼べる存在を奪われたのか、数えたくもない。

 

パワードスーツを脱いだゼロスーツのサムス。彼女の怒りに染まった目を直接見て、リドリーもまた、ない筈の意思が虐殺を求める。その殺戮本能だけは何も変わらなかった。

 

 

「っ!」

 

『…!』

 

 

撃った『パラライザー』の光弾が羽を掠め、頭の場所へ尻尾の槍を突く。チリっという音がしたので髪が少し斬れたのだろう。でもそんなものどうでもよかった。

 

 

「ふんっ!」

 

『…ッ!!』

 

 

靴のジェット噴射を活かして奴の体躯に強烈な膝をたたき込んだ。

頭でタックルされ、スーツの重さがなくなった分より大きく後ろへ仰反る。両足を踏み込んで衝撃による後退を最小限にすると、迫りくるリドリーの姿が見える。行動が早いリドリーに地面に押しつけられ、ステージ限界まで縦横無尽に引きずる。

 

 

「ぐぅ…!!」

 

 

スーツがない分ダメージが大きく、今はピカチュウの支援もない。痛みを無視し、その常人離れした身体能力で敵の腕部を蹴りつけた。手が離れた隙に空中で一回転。両足をリドリーの体につけてジェット噴射と、攻撃と退避を同時に行った。

 

 

「はっ…」

 

『ゥゥ…』

 

 

のけぞったリドリーと着地したサムスが睨み合う。互いにファイターとして能力を制限されているとはいえリドリーに立ち向かうのにスーツもない武装は心許ない。もう少し早くあの二人の所在を予想できれば決断を急ぐことはなかったのに。今スーツを着ようにもその隙を狩られるだけだ。

 

 

「いつもおまえは私の邪魔をしてくる…ッ! 私を殺したければ私だけを狙えばいいものを…!」

 

『グ……』

 

 

例え相手が格上でも戦いに飢えているとしても、能力を制限される、実際には死なないというこの世界に奴が好き好んでやってくる訳がない。サムスがここにいると知っていたから奴はファイターとなったのだ。サムスを殺すためにここに来たのだ。いつも人が嫌がることをやって、周りを苦しめて…

 

 

「くっ…!」

 

 

覚悟した筈だった。この戦いは奴を救うことになってしまうのだと。自分だってわかっている。そんなことを言っていられる状況ではないのだと。でもこいつだけは…!

 

 

「このぉ!」

 

 

ジェットでの急加速によるキックに奴はついてきた。右足を腕で防ぎ、口元から爆発を発生させる。だが、歴戦のバウンティ・ハンターはそれに動じず至近距離から『パラライザー』を撃つ。

 

 

『…ッ』

 

「─ッ!!」

 

 

光弾を間近で受けて痺れるリドリー以上にサムスの顔は歪んでいた。悪夢を振り払うように顎へとジェット噴射を当てる。そのまま上体を一回転させ地を蹴って構え直した。

 

 

「まだやるか…!?」

 

『ゥゥ…』

 

 

当然だと言わんばかりに微かな唸り声が聞こえる。終わりたいのはサムス自身なのかもしれなかった。

 

 

『ォォ…!』

 

「…っ!」

 

 

大きく両翼を大地に叩きつける。風圧が起き、思わず顔を両腕で覆う。髪が激しく踊り、リドリーが飛び立った。空中から空襲の如く振り撒く火の玉。

 

 

「…っ」

 

 

右へ左へ前へ後ろへ空中へ。立体的にステージを使い逃げ回るサムス。一部掠めて熱くなるが気にしていられない。呆然一方に見えなくもないがチャンスはある。

 

 

「今だ!」

 

『…!』

 

 

リドリーとて無限には飛べない。高度が落ちてきたところで電撃の鞭が奴の足を捕えた。グイッと引っ張りバランスを崩して落下したところで助走までつけた蹴りを入れ、鞭の拘束が離れるとその鞭で強烈な一撃を叩き込んだ。

 

 

『ゥゥォォ…!!』

 

 

一心に睨め付けるリドリー。その眼が人類のものであったならとっくに充血していただろう。

 

 

『ゥゥ…!!』

 

「っ…!」

 

 

体全体を使った突進に足が大地と離れ、体が吹き飛ばされる。元の世界でくらえば内臓までダメージが響いていただろうか。

 

 

「くぅっ…!」

 

 

なんとか体を屈ませ、リドリーから離れる。ジャンプで飛び上がり電撃の鞭でステージから離れる。フィールドから離れたなら復帰に掴むのは崖。

 

 

「…っ…」

 

 

サムスが雑兵と同じく奴に対抗する力のない人間だったなら。リドリーもここまで執着を見せなかっただろう。でもその場合は奴諸共ここには居なくて…

 

 

「……っ! ううううぅぅ!」

 

『…!?』

 

 

崖に掴んだ手へと急降下のキックを撃ちつけた。ありもしない未来を振り落とすが如く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先に戻っていたマリオとロックマンをMr.ゲーム&ウォッチに任せたピカチュウはじっとリドリーのフィギュアとサムスを見ていた。サムスの表情は見えず、ただ背中がいつもより小さく見えた。

 

 

「ピカチュウ…か…?」

 

「ピカチュー…」

 

「…悪いがしばらく一人にしてほしい。…頼む。」

 

「ピカ…」

 

 

可愛らしい足音を鳴らしてピカチュウは出て行ったと見せかけて物陰に隠れる。ほっとくことなんてできなかった。いつもなら気づける距離なのに、彼女は本気でピカチュウが未だいることに気づいていない。

 

 

「…っ…」

 

 

倒れている金色の台座に手を伸ばす。

 

 

「…ッ!」

 

 

怨嗟の声が聞こえた気がして伸ばした手を引っ込めた。サムスの親だけではない。奴が殺した人間は沢山いる。その全員が奴を見捨てろと言っている。

 

 

「(私は…! 彼らのようにはなれない…!)」

 

 

思い出すのはタブーとの決戦前に当時のリンクとゼルダがガノンドロフのフィギュア化を解除したこと。戦力は多い方がいい。奴はプライドが高いから身に起こったことを話せばダーズの討伐に参加してくれるだろう。

それでも、その選択を選べない。こいつに一体どれだけの人間が苦しめられたのか。死人の思いをたやすく無碍にできるほどサムスは非情ではなかった。

 

このフィギュアをどこか取り返しのない所へ捨ててしまえばこの呪いのような関係も終焉を迎えるだろう。

…そして、ファイターの仲間達は二度と友と見てくれなくなるのだ。

 

 

暗い銀河の中でも手に入れることができた友は本人が思っている以上に重要な位置に置いていたのだ。でも、心のどこかでリドリーが救われるのを許せない自分がいる。

 

 

「…くそっ……」

 

 

静かに吐き捨てるように口から発していた。

自分がこんなに弱いとは知りたくなかった。

 

 

「ピカチュ…」

 

 

俯いた姿が自分ですら滑稽だと自覚していた。





リンク「まさかの前日談キターー!」

シーク「反響がすごいね… ブレワイが流行ってからオープンワールドのゲームも増えた気がするし、ましてや同じリンクで三作目なんて…」

ルキナ「オープンワールドですか… 羨ましいです!」

リンク「聖戦の系譜がある意味そうじゃなぁい〜?」

ルキナ「マップが広いだけではオープンワールドとは言えませんよ!」

シーク「完全に調子に乗ってるね…」


リンク「ヒャッホウ! 次回『自分のためにならない』!」


シーク「しかし、まさか無双ゲーも来るとは…」

リンク「俺の時代… キタアァァァーーー!!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。