灯火の星 〜The One Story of Ours〜 作:蘭沙
ハアハア… おちつけ…
要するにゼルダ無双の新情報がかぼちゃ育てられるようになりレスラー登場してスープレックス系涙目になったメロディオブメモリーの中で風花雪月のサントラが流れるんでしょ、かんたんかんたんー!
「…ふうぅ…」
大きく、深く吸って吐いて。
豪鬼を下したリュウは深呼吸をして精神統一と休息を兼ねていた。
「リュウじゃない。行かないの?」
「そういう訳じゃない。だがケンの実力は知っている。だから少しでも万全の状態に近くなければ。」
「ああ! そういう考えもあるわね。」
返答にデイジーは納得した。
早くあの呪縛から解き放ちたい、助けたい。その考えは素晴らしいものだ。だが、負けたら元も子もない。ケンの実力を認めているから休息を取っているのだ。これも一つの信頼の形だった。
「全然思いつかなかったわ、早く助けてあげなきゃとしか考えてなかったもん。」
「俺もそれは否定しないぞ。」
「ふふ、ありがとっ!」
ウインクして手を振って別の場所へ行く。
通路のような場所にはまだ数多くのスピリットが囚われているのだろう。まだ先もある。そこにもスピリットは必ずいる。
デイジーは自分の考えに従ってそれらを助けにいったのだ。スカートの長いドレスを着ていながらも心は普通の少女と変わりなかった。
「………そうだな、そろそろ行くか。」
まっすぐ対戦相手となるものを見る。
全快とまでいかなかったが、ふと今行こうと思えたのだ。デイジーに感化されたかもしれない。それでも構わない。自分が行けると感じた時が一番のベストタイミングなのだ。
通路から抜けて、城の外となるバルコニーのような場所。正面に見えるのは巨大な塔と最大のライバル兼親友。
ここは何度も来た。『終点』化されている『朱雀城』。模造品と知っていても感動する、赤く輝く夕日は見事なものだ。軽い性格のケンにとっては木造の古風な城よりも、ボクシングのリングのような場所を好みそうなものだが、そもそもフィールドを選べるものではないのだろう。
「…いくぞ」
『…』
言葉は必要ない。拳と拳を合わせて、競い合う方がリュウは多くの物事を語れた。感じられた。ぶつけた体から様々な意思や感情が伝わるのだ。
敵愾心も、情景も、殺意も、友情も。
戦いから伝わる全てが必要なもので望まぬ戦いも少なくはなかったが、それすらも真の格闘家になるための大切な一戦だった…と考えられるようになるのは、その境地に辿り着いた後になるのだろう。
「っ!」
『…!』
仮に全てがそうでなかったとしても、意思を縛られ無表情に戦わざるを得ない友を救うための戦いが全くの無駄なんてことあるわけが無い。
横腹へと振るった足を下げた左腕で止められる。
ケンのカウンター、茶色のグローブを握りしめた拳が動かした顔を掠め、頭部に置いてかれた鉢巻を射抜いた。拳がとらえるにはあまりにもそれはつかみどころのない。
「ふんぬっ…!」
『…っ』
左の拳が相手の胴を打つ。防御に回せる余裕はなく力ある一撃がケンの胴を打ち抜き、僅かながらに姿勢を崩させる。
それは本当に僅かなもので、戦いと縁の薄い者たちには見逃してしまいそうな程に微々たる違い。だが、リュウはそれを認識した。そして、これを挽回する為にケンは動けることも予想できた。リュウと同じ師の元で共に教えを学び、ライバルと謳われる格闘家。全米格闘王という称号とて容易に手に入るものではないのだ。
だからあえて攻撃ではなく、さらに相手の体勢を崩すことを選択した。その二脚へ向かってほぼ180°の軌道で足払いを仕掛けた。
『…!!』
ケンはそれを耐える。木材に踏み込んで脚部に力を入れたことで、崩しの技は単なる攻撃のキックに成り果てた。技を打ち終わったリュウの腹部へ向けて『波動拳』を叩き込んだ。
「…っ!」
両腕を組んで受けたリュウが後ろへ動かされる。その技もかなりの威力があったが、相手が裸足ではノックバックもさほど大きなものではない。それが良いものかどうかは捉え方と相対する敵次第になるだろう。
「はぁッ!」
『…ッ!!』
白の足と赤の足が交差し、Χの字に似たものを形作る。衝突する打撃から衝撃が生まれ、髪を、服を揺らした。だが互いの足はバランスを保つための本能的な震えすらなかった。
二人の足は重力に従い降りていき、ぐっ、と材木を踏みしめた。まっすぐな左の拳たちがぶつかり再び辺りに風圧を巻き起こす。
「むっ…!」
リュウの手刀が、戦いによっていつもよりはだけた道着から見える、鍛え上げられた胸部を打つ。横薙ぎの刀に斬りつけられ反射的に身を竦めた姿をしっかりと見ていた。
「ふんむッ!」
『ッ』
追い討ちの回し蹴りは、滑らかな球体に防がれる。ケンがシールドを張ったのだった。
基本的には元の世界でも戦いに身を置いている者ほどどうしてもシールドの頻度は少なくなる。元の戦いの方に慣れているからだ。
中には使えるものはなんでも使うの精神を持つ者もいるが、ケンはその例外に当てはまらなかった。
当然ながらダーズはそんな事情など知ったことではない。誰かにとってどれほど重要な意味があろうと、人の感情など興味もない。
「! 『波動拳』!」
シールドを蹴ってバックステップ。しかしこれは攻めのための引きだ。前傾姿勢で『波動拳』をうつ。
だから勝手にリュウが元の世界の戦い─ストリートファイトに似た戦いをする。
ギブアップはない。観客もいない。
ラストは場外まで飛ばすか飛ばされるか。
限界はあるが、大乱闘は極力しない。つまり、シールドは可能な限り使わない。
『…!』
元はカウンター狙いだったのか、被弾覚悟でシールドを解き、正面から迫ってくる。右足に炎が上がり、辿った軌跡に小さな火柱を立てる。
「…ッ!」
親指を握り込み、ぐっ、と力を入れる。
強烈な拳と灼熱のキックがぶつかるが、よっぽどの力の差がない限り、キックの方が力強い。ジン、と腕に痺れが走った。しかし次のことを考えると適解なのは拳の方だ。
「…! 『昇竜拳』!」
『ッ!』
上げられた足を痺れた右腕で退かし、空いていた左の拳でかちあげる。利き手でない分多少威力は減るだろうが、強力な一撃であることは間違いない。はじめてファイターの背が地面につくが、幾ら自分の中で割り切っていようがこれは大乱闘。まだ勝敗は決まっていない。
『…!!』
すぐに立ち上がり、『波動拳』を打ち返す。
半身を引いて容易にかわした。これはこれからの攻勢をつくるための一歩。気の塊に隠れた左足が燃え上がっているのをリュウは見逃さなかった。
「…!」
次の攻撃を受けるために左腕を動かした。
そこで動いた相手の右腕。派手に火が上がる左脚は単なる視線誘導だと気付いた時には遅かった。
「う…っ!?」
頬に限りなく近い顎が穿たれた。
蹴ろうとしていた体勢を無理に右のパンチに変えたのだから当てようが当てまいが大きな隙ができる。だが、結果的にその一撃を当ててしまえばその隙は帳消しになる。強かに打った衝撃を殺せずにリュウは倒れる。頭に近いところが揺れた影響か視界が回って見える。
「…ッ!」
そんな状態でも、無理矢理体を起こして立ち上がる。試合中に寝たまま、手足が満足に動けない状態で居続けるよりずっとマシだった。
互いに1ダウン同士だ。次を決めて勝つと両者の中で通じあったかのように正面から睨み合う。
「…!」
『…!!』
接近したのは同時。
リュウの蹴りが腕に阻まれる。
ケンの拳が弾かれる。
リュウの肘打ちが止められる。
ケンの足払いがかわされる。
近距離戦の攻撃のどれもが決定打にならない。
「竜巻…」
『…!』
右足を回そうと上げるリュウを見て即座にシールドを張る。これを阻んでカウンターでスマッシュ。そう動くつもりだった。
「ふんっ…!」
『…!?』
違う。蹴りではない。守りの型を崩す掴み技。『背負い投げ』。フェイントに使われた足はそのまま投げの威力を上げる為に自在に動き、相手を宙へ放った。
『…ッ!』
「これで決める…ッ!」
『昇竜拳』。今度は利き手で放つ全力の技。
己に宿る気合いと同じくらいに彼は叫んだ。それらに応じるように場外へ打ち上げた。
金の台座に触れると、それは人らしい暖かさを取り戻した。こじ開けた瞳に親友が映る。
「ううっ… なんだここ…」
「気づいたか、ケン」
意識のない時が気がかりで、無意識に記憶を辿る。そして朧げなそれを認識した。
「あんまりよく覚えてないが… また迷惑かけちまったな」
「気にするな。今いる殆どの人がそうだからな。次に戦う時に勝つ!」
「ダーズ、か…」
不鮮明な記憶の中で唯一はっきり覚えている存在。どの道それを倒してこの世界を元に戻さなければ家族の元には帰れない。
「首を洗って待ってろよ、ダーズ!」
「ああ!」
拳と拳を重ね合う。
不安もあったが、それ以上にケンは負ける気がしなかった。
ケン「いやー、やっぱりスマッシュブラザーズは美人揃いだ! 眼福ってヤツだな!」
デイジー「…」
フィットレ「…」
シーク「…」
ケン「つ、冷たい視線ッ!? 待ってくれ、俺何かしちゃったか!?」
フィットレ「ケンさん… あなた既婚者でお子さんもいらっしゃると聞きました…」
シーク「それでボク達に言い寄ってきたなんてね…」
デイジー「サイテーね!」
ケン「えっ、なんで誰から… まさかピットか!? ピットだな!」
ケン「次回、『借りがあるのはこっちの方だ』!」
ケン「ルキナちゃーん… 慰めてくれ…」
ルキナ「アズールで多少慣れていますが… すみません、好ましくは思えないです…」
ケン「フラれたッ!」