灯火の星 〜The One Story of Ours〜 作:蘭沙
最近のDLCファイター複雑になっているな、とは薄々思っていたけどスティーブはトップレベルでややこしい。ルフレレベルでややこしいな、と思っていた過去はもう戻ってこないのです…
勿論私は難し過ぎて使えません。正直参戦ムービーの時点で確信していました。
ルキナが決死の思いでルフレと戦闘していた頃、大勢の足音が響いてきた。疲れきったガンナとカービィ、二人の耳に響く。
梯子を上がってきたのは三人が置いてきたシュルクとオリマー。そして彼らと合流したのだろうシモンとレッドだった。
「レッドに… シモン? あんた、どこ行ってたんだ? お前が先頭走らないでどうすんだよ?」
「カービィとガンナか、少し探索に時間がかかってしまった。それに… 君は…」
ガンナとカービィが戦ったのであろう相手。
青白い肌、銀色の長い髪、貴族らしい服装。吸血鬼に連なるだろう存在なのは理解できた。だが、不思議と敵意は湧かなかった。
『そうか、ラルフの子孫… ベルモンドの血族か…』
「…!」
相手側も手に持つ武器を見て、シモンの素性を把握したようだ。
『アルカードだ』
「シモン・ベルモンド。私の先祖とともに戦った吸血鬼の話を聞いたことがある。君なのだな。」
『ああ、それにリヒターとも…』
そう言ってアルカードは話を続けようとしたが、言葉を紡ぐことなく黙り込んでしまった。
『…二人に助けられた。手間をかけてしまったな。』
「ぷぃ?」
ちょっとの沈黙の間、唐突に話を変える。その不自然さにシモンは気づいていたものの、追及することはなかった。
「見るからに大物だが… 二人で?」
「…カービィいなきゃ危なかったよ畜生」
オリマーの問いかけに対してガンナがぶっきらぼうに答える。事実は気にくわないものの、受け止められないほど子供ではなかった。
「それでカービィ傷だらけなんだね。」
「へぇー、 強そうだなー! チャンピオン目指して俺も強くならなきゃな!」
無邪気に笑うのはレッド。リザードンのボールを握りながら気合いを入れるように腕を上げる。
『この先には我が父ドラキュラ伯爵、そしてリヒター・ベルモンドがいる。父を倒してくれ。そしてリヒターを見ていて欲しい。…今の私にこれ以上の助けはできないだろう。』
「わかっている。充分だ。私は一人ではない。だが…」
全員に振り返って言う。
「リヒターについては私一人に任せて欲しい。ベルモンド家の問題を他に任せるつもりはない。」
「うん、構わないよ。でも、カービィとガンナは疲労が激しいから…」
「………チッ」
「はあい…」
反対意見は出せなかった。足手まといになるかもしれないのは事実なのだから。
「うん、ルキナや他のみんなを待っていて欲しい。頼んだ。」
カービィの片足を掴んで梯子を降りていく。上下逆さまになっているのも気にせず手を振るカービィに振り返す。
「リヒターを救出したらすぐに進むつもりだ。そのように備えていてくれ。」
「任せろ!」
『………』
階段を登るシモンは振り返らずに言った。
それに威勢よく返すレッドに、アルカードは何かを感じていた。あの時のリヒターに近い何かを。
周りの景色は、先程までいた場所と殆ど変わらない。だが、『ドラキュラ城』は戦いやすく地形が変わり、『終点』の形となっている。シンプルだからこそ、ファイター自身の腕や相性差がモノを言う。
『…』
「……勝機は薄いのだろうな。君は強い。」
ベルモンド家最強のヴァンパイアハンターと称させるリヒター・ベルモンド。単純に考えれば彼の先祖たるシモンよりも強いということになる。それはこの世界に来れたからこそ知れたこと。
しかし、それを知っていてなお負けられないという闘志が湧き上がってくるのだ。これは、子に易々と追い抜かれたくない親心に似ているだろうか。
先にベルモンドの姓を受け継いだ者として、先にヴァンパイアキラーを握った者として。
闇との戦いの先駆者はただ純粋な対抗心を燃やしていた。
「…ふんっ!」
『……!』
双方の右腕が激しく動き、聖鞭が放たれる。
しなる鎖が打ちつけ合い、互いの攻撃を逸らしあった。
『…!』
「…っ!」
後ろへ仰け反った鞭が手元に戻るのも待たず、シモンに対して『スライディング』を仕掛けた。鍛え上げられた肉体に違わぬ鋭い一撃を足元へ仕掛ける。
シモンは咄嗟に跳びながら『クロス』を投げるがリヒターは止まらず、屈んだ状態からの飛び蹴りが腰を打った。骨に響いて痛みが暴れる。
「好きなようにはさせない…!」
『…ッ!』
苦しげに放った『聖水』はリヒターの胸部で中身を散らした。上がった火柱は流石に無視できず、床を蹴って距離を取る。敵の方を向きながら、左手で乱暴に払って鎮火させた。
「………」
一方のシモン。先祖という少々偉大に感じる肩書を持ってはいるが、やはり実力はリヒターの方が上だった。鍛え上げられた肉体に宿る力を十全に振るっており、武具を扱う腕も見事なものだ。体に染み付いた戦闘技術は操られている身でも遺憾なく発揮されている。
「ハッ!」
そんな最強相手に勝てるものがあるとしたら、心持ちと気合いだろうか。ああ、それなら。勝てる見込みはありそうだ。負けたくないこの気持ちは本物なのだから。
まだ手が空いていない左側へ、鞭先の鉄球を走らせる。シールドに弾かれるも、それで防いでいる間はあちらも攻撃はできない。
「っ!」
『……!』
再び『聖水』を取り出し、リヒターの足元を狙って投げた。上がる火柱を飛び越え鞭をしならせるリヒターを目で追う。
なぎ払うような軌道の鞭を左手で掴む。掌で受け止めたことで肩に到達するほどの刺激を感じ手を離しそうになるが、気合いで抑え込んだ。
『…ッ!』
武器の一つを抑えられた敵は『斧』を投げた。利き手とは逆の手ではあったが、手斧は正確に狙ったところへ吸い込まれていく。
「…!」
そこはヴァンパイアキラーを抑えているシモンの左肩。狙うだろう箇所は予想通りだったので最低限動いて回避した。
足元へ振るう鎖。石の床ごとリヒターの膝をぶつ。同じことはさせないようにと左側を避けてぶつける。
『…ッ、─!』
遠距離から手を離させるのを諦めたのか、リヒターは手に持つ武器をそのままに走り出す。
「─ッ!」
相手の意図に気づいたが、もう遅い。
左手に敵の武器を、右手に自分の武器を握るシモンは自由な手がなく近距離の攻撃を防ぐことが困難だった。
絡み手を使えぬ距離で肉弾戦に持ち込まれてしまえば身体能力の差が如実に現れる。
左の拳が顎を捉えシモンの脳髄を揺らす。瞬間視界が暗転し、抑えていた相手側の武器を手放してしまった。
「─ッ!?」
それでもラッシュは止まらず、足払いをかけられシモンの体勢が崩れた。宙に浮かぶ体が首から地面に叩きつけられる。鋭い手刀は的確にシモンの首を打ち、肺の中の酸素を吐き出す。
「…ッ、うおおっ!」
『……』
倒れ込んだ体勢で、ヴァンパイアキラーを振り回した。後ろへ跳ばせて距離を作り、起き上がる。
「ゲホッ、ゲホッ… ハァハァ…」
空気を取り込み、思わずむせた。
近づけてはならないと再認識する。普段の相手が悪霊の類であるため目立たなかったが、筋骨隆々の肉体は格闘術にも優れていた。
「…待て、焦るな…」
自分に言い聞かせるかのように呟く。
相手にとって優位をとれるのが近距離ならば、また隙をつくって距離を詰めてくるだろう。
「( ならば鞭の軌道は…!)」
なぎ払うように鎖が動く。左から右へ持ち手が動き、鞭もそれに従う。
「通れッ!」
『…ッ!?』
鞭の軌道を潜り抜け、シモンの武器の先についた鉄球が腹部ど真ん中に直撃する。
走る痛みに一瞬目を閉じて。再び開いて目に入ってきたのは赤い火柱。今度は目眩しの『聖水』。
「食らえッ!」
『!!』
炎を裂いて飛び込んできた『フルスイング』の鉄球がリヒターの胸部を打ちつけた。防御体勢も整わないまま不意に撃たれた一撃はリヒターの体を軽々と宙へ誘った。
何かに座った体勢から唐突に意識が戻っていく。はっとすると飛び込んできたのは真顔で自分を見つめる御先祖様。
「あ、あれ? シモン? 俺は何をしてたんだ?」
「目覚めたか、リヒター」
いつもの自分にも他人にも厳しそうな顔から、自分が何かをやってしまったということは理解した。朧げにしかない記憶に答えがあるのだろうか。
「えっーと、」
「後で詳しく説明するが… 今は君の力が必要なんだ。」
シモンの背後のオリマーが声を上げる。更に後ろにはレッドとシュルク。不思議な組み合わせだった。
「とりあえず登ろう。この先にいるんだよね?」
「ま、どう考えてもラスボスって雰囲気だしな…」
そう言いながら、先にいく他のファイター達を疑問に思いながらもリヒターも立ち上がって階段を上がっていく。
そこにいたのは。
『………』
「「ドラキュラ…!」」
悪魔城の主。ドラキュラ伯爵が人を見下すように玉座に座っていたのだ。
ルキナ「いえ、いえ、そんなことは… 私…」
ガンナ「なんでこんな時に…(ヒソヒソ)」
カービィ「るき…ぶっ」
ガンナ「やめろ! こんな時に口出すもんじゃねえって! わかんねーのか、桜餅ぃ!(ヒソヒソ)」
リュカ「ガンナさっ…ぶっ」
ネス「カービィも…ぶっ」
むらびと「何して…ぶっ」
ガンナ「こいつら次々きやがって…(ヒソヒソ)」
ガンナ「次回『これが奴の真の姿だ』… 今言わなきゃダメか!?(ヒソヒソ)」
ロックマン「あっ、先がある!」
トゥーン「いこ! もう戦ってるかも!」
ガンナ「くそっ! 腕が足りねえ!防衛線突破しやがったぁ!」
ルフレ「ガ、ガンナ!?」
ルキナ「居たなら言ってくださいよ!?」
ガンナ「私は悪くねえ!」