灯火の星 〜The One Story of Ours〜 作:蘭沙
メロディオブメモリー買いました終わりました。
いやー、続き楽しみですね。
基本スタンダードで進めていたのですが、最終戦で展開が熱かったのと続きが気になりすぎて全く集中できずにビギナーで終わらせたことはみんなにはナイショだよ。
七十八話 母は強し
暗く古びた悪魔城からファイター達は抜け出した。ダーズの配下たる城主を討ち滅ぼした以上、あそこにとどまる意味はなかった。
入り口とも言える、混沌とした闇の世界に戻り、別の道を進むことになったが…
「長い… 長い長いながーい!! なんで何にもないところばっかりこんなに長いのっ!」
「落ち着けよ…」
道中、呟いた愚痴が大きな言霊になってインクリングの口から飛び出した。参加出来なかったハイカラスクエアのハロウィンフェスの代わりにと悪魔城の探索をと肝試し気分で楽しみにしていたのに、いつの間にか門番は倒れていたのだ。消化不良である。
ここの辺り一帯は別れ道が多くて広々としている。更に所々スピリットが道を塞ぐように配置されており、飛行能力や跳躍力を持っているファイターが先に進んでいた。インクリングとフォックス、ファルコなどは一々スピリットを倒して牛歩で進むしかなかったのだ。
「ディディーのヤツは先にいっちまった。ドンキーのヤローもな。あんな見た目で跳べるんだな…」
「野生児ってところか。オレ達も頑張れば飛び越えられなくもないかもだけど…」
「やっぱ野生であることが関係あったりする?」
「どういう意味だガキィ!」
「ふぇ!? 違うの!?」
雉も鳴かずば撃たれまいとはいうが、この場合鳴かずば雉に撃たれまいだ。インクリングの余計な一言でファルコが胸ぐらを掴んで激怒する。
「……あっ、野生といえば」
「話逸らしてんじゃねェぞ!」
「違う違う!? レッドの手持ちってフシギソウとリザードンが野生で捕まえたんでしょ?」
「そんなこと言っていたな。ゼニガメが最初のパートナーだって。」
胸ぐらを掴まれたまま、ただゼニガメのボールを見つめるレッドの方へ視線を向ける。
「………」
リザードンは飛べるので、レッドは先に行っていてもおかしくなかった。だが、彼は戦うことも出来ずここにいる。あれからゼニガメのモンスターボールは一度も開いていなかった。
ドラキュラとの戦いに参加出来なかった人々の中にもその異様な雰囲気を敏感に感じ取っている者はいたのだ。
「えと…」
レッドの近くでまごまごしているのはリュカ。何かしなくてはいけないが何をしていいのかわからない。声一つもかけられなかった。
「嫉妬しちゃってるのかな?」
「そのことか… 余計な手だすなよ、つーか、必要としてねえだろ。」
「なんで!? なんでー!?」
インクリングに制しておく。このファルコという男、仲間思いで熱血漢なのだ。
「トレーナーとポケモンつー関係の他に色んな関係をアイツらは持ってるんだ。第三者が入る余地はねえだろ。」
「んむむー…」
真の意味で彼らの関係に共感できる者はいない。ここにポケモントレーナーは一人しかいない。彼らの間に積み重なる関係は多過ぎる。ポケモンを仲間と捉えるも家族と捉えるも相棒と捉えるも当人次第なのだ。
悩めるポケモントレーナーがいる場所の奥。塞がれた道を飛ばして先に進んでいた先行隊。
四又の道に分かれた分岐点に幾人かのファイターが集まっていた。
「ウホッ! それじゃ、オレはこっち!」
「ウキキッ!」
ドンキーコング、ディディーコングが選択したのは一番右の道。
「ん〜… じゃ、俺はその隣で!」
リンクは真ん中の右。ドンキーコング達が行く道の隣を選択した。
「ならば、私は左を行こう。ウォッチとダックハントは…」
『みんなとおなじでいいよ!』
「それだと困るんだが…」
「イッシッシッシッシ」
亜空軍の一件で善悪の概念を教えるために色々しているが、進展の気配がなくこういう意見を求めると決まって同調してしまうのだ。彼には難しいことなのかもしれない。ため息をつきながら残った道を指し示す。
「この道を進んで欲しい。危なくなったらすぐに引き返すんだ。」
『はーい!』
「ワフッ」
心配はあったが、先に進む道は一つしかない筈。
「(運悪く彼らが道を当てる… そんなことないだろう。)」
そう考えながらオリマーは自分達で決めた道を行く。確かに彼らは先の道を見つけなかったが、当たりを引いたのは確かだった。
上空どころか真下を見ても、真黒の空にぽつぽつと光る星が散りばめられている。まるで球体のプラネタリウムの中に浮いているような光景だ。
『わー! おほしさまー!』
「クウー」
明らかな宇宙の光景にMr.ゲーム&ウォッチはピョンピョンと跳ねる。足元から浮くと一瞬彼がどこにいるかわからなくなる。ダックハントの犬は慣れぬ宇宙の風景に少し怯え気味だった。
『…』
『んー? あれ? ロゼッタだ、どうしたの?』
「ワンッ」
マリオが救った銀河、『マリオギャラクシー』が昔の思想の如く平らに『終点』の形となった惑星に彼女は立っていた。水色のローブドレス、ミルク色に近い髪。でも、その目には確かに闇があって、付き従う星の子チコの瞳もどこか虚だった。
『…!』
『わー!? わー!? なんでー!?』
「グワフッ!」
飛ばしたチコから殴られる。小さな体の割に攻撃は手痛いものだ。ダックハントが投げたクレーで母の元へ撤退する。
『もー、らんとうするならいってよね!』
「クバッ!?」
どうやら、彼女の現状を全く理解していないようだった。彼の中ではいつもの大乱闘と変わりないのだろう。あまりの能天気さにダックハントですら笑うを通り越して驚き呆れるしかなかった。
『よし、それならボンバー!』
『…ッ』
跳び出して空から爆弾を落とす。
チコの献身的な防御を潜り抜ける爆風を起こし、まとめてダメージを与えた。
「ワンッ!」
「グワワ!」
犬から鴨が離れてチコをクチバシで弾き出す。後は第三の狙撃手がロゼッタ本人を撃ち抜くのだ。
『…!』
『きれい!』
チコの力を借りて、ロゼッタが大きく飛び上がる。狙撃の弾を潜り抜けて高く飛び上がった。鴨が弾いたチコも慌てたようにロゼッタの方へ戻る。
『…』
攻撃から離脱し、ロゼッタは即座に振り向いた。彼女は自らの魔力により、少し浮いている。多少ならば体勢を無視して動けるのだ。
なので、鍵を突き刺そうと駆けてきたMr.ゲーム&ウォッチに対してもシールドを張って防ぐことができた。
『─!』
『うきゃあ!?』
側にいたチコが『スターピース』をばら撒く。顔面にクリーンヒットし、珍妙な叫びと共に大きく仰け反った。
「ヴヴヴゥ…」
ダックハントが困ったように唸り声を上げる。即興の相方が何も考えず戦っているのでダックハントお得意の絡み手が使い辛い。無理に使えば射線や爆発にMr.ゲーム&ウォッチを巻き込んでしまうのだ。
「ワン、フワン!」
「グワー!」
ならいっそのこと遠距離からの援護を諦めてしまえ。そう伝える。二匹の近距離攻撃は主に鴨クチバシがメインである。
『…!』
『わー! こわいー!』
ロゼッタ自身は一歩下がり、チコが直接平面の人間と相対する。チコの回し蹴りを咄嗟にマンホールでガードし、流れるように振り回して縁がチコの側頭部らしき箇所へ殴打する。
「ワンッ!」
『ふべっ!』
『…ッ!』
背後からMr.ゲーム&ウォッチの頭を踏み台にしてロゼッタに接近する。その姿を認めたロゼッタは杖を構えた。
「ガー!」
『ッ…』
空中を舞いながら、鴨が素早くクチバシで突っつく。ロゼッタの持っていた杖で弾くも、全ての攻撃を防ぐことはできない。ロゼッタの陶器のような素肌に傷がついていく。
「ワフー!」
『─ッ!?』
犬が鴨と離れ、その足に噛み付いた。突然の痛みに足と杖を振り回しダックハントを弾き飛ばした。
その後に目を向けたのはフラフラとしたチコとMr.ゲーム&ウォッチ。
『うわわっ』
体を横に倒しての両足蹴りでMr.ゲーム&ウォッチを蹴散らす。
『いたーい、つよーい!』
「ウウゥ…」
母は強し。
操られていようが、本質は変わらないのだ。
未だに能天気なMr.ゲーム&ウォッチに呆れ果てる。ダックハントが人間だったらとっくに頭を抱えていた。
『でもどうすればいいのかわかったよー!』
「クゥ?」
えいっ、と気の抜ける掛け声で、Mr.ゲーム&ウォッチはバケツをチコに被せる。
「バウッ!?」
『かわりにおさえてー!』
一瞬固まったものの、衝動的に動いて地面に押しつけたバケツの上に乗った。平面であるが故に中でジタバタしているチコを視認できるが、脱出することはできないらしい。
『…ッ!!』
『せいっ!』
明らかに動きが悪くなったロゼッタ相手に椅子を横薙ぎにする。非道な方法で相手の動揺を誘ったことに対する戸惑いは彼の中にはない。善悪の判断がつかないMr.ゲーム&ウォッチはこういう策を普通に使う。
『もえちゃえ!』
『…ッ!』
だが、実際効果的だった。
視線がチコの方へ向いている。目の前の敵に集中できていない。隙だらけの体躯に燃え盛る松明が突き刺さった。
オリマー「なんだこの変な生物は…」
リンク「外れたぁー!!」
オリマー「リンクか。この生き物… 四角の体に… こんな体格で立てるのか…?」
リンク「でた、オリマーの生物考察。」
オリマー「癖みたいになってしまったな。最初の冒険は遭難してしまったから、できるだけ情報は欲しかったんだ。」
リンク「へー」
オリマー「次回、『指導者を求める』…」
リンク「それで… この四角は食えるのか? 油揚げみたいでうまそうだぞ。」
オリマー「ルーイ君みたいなことを言うんじゃありません…」