灯火の星 〜The One Story of Ours〜 作:蘭沙
スピリット戦は閑話が多い。せいぜい伏線張るぐらいしかできない。
でも書かなきゃ… ここまででもだいぶスピリット戦削っている…
薄味な回かもしれませんが許してください。
え? もうすぐスマブラSP二周年? 嘘だろ…
「………」
惰性のように彼らファイターの後ろをとぼとぼと力ない足で歩く。見下ろした右手のモンスターボールは何の反応も示さない。
「レッド!」
「…っ!」
前が見えず、道端の単なる石ころに躓いた。前のめりになった体を右足が支える。危うく転ぶところだった。
「大丈夫…?」
「うん… 少し考え事してただけさ。」
リュカの心配する声に応えた。そこまで注意力が散漫になっていたとは。
「レッド、レッド」
「どうした?」
「ゼニガメの言うこと… 僕ならわかるよ。出してみて?」
確かに手っ取り早く解決するにはリュカのテレパシーに頼るのが一番だろう。どれだけレッドがポケモンと心を通わしても、それだけはできない。だが…
「ダメだ… 俺がわからないとダメなんだ… そうじゃないと俺はもうゼニガメのトレーナーを名乗れない…」
「レッド…」
ごめん、とか細く謝罪するレッド。
リュカは自分に苛立ってしまった。その配慮のなさに。言っている言葉がわかれば、なんて。人は隠し事をするのだ。その真意は本人が言わない限り、決して他人にはわからない。ゼニガメの心も、レッドの苦悩も。その中に踏み込むことを許されていないリュカにはわからないこと。外野から応援するしかないのだ。
どれだけ仲が良くても、崩れる時は容易く崩れる。願わくば、タツマイリ村のみんなや自分の家族のようにならないように。
今度は三択の問題だった。岩山が道を三つに分けている。
「『ノポン族のスピリットはどれ?』ですって。なんか遊ばれてるみたいで嫌ねー…」
デイジーが目の前に現れた文字を大声で読む。後方のファイターにも聞こえるように。
「ノポン族は…! 僕の世界に居る種族だっ…と」
「なごっ!」
シュルクが後ろから潜り抜けて来た。無理に押し分けたせいで一部ファイターはご立腹である。頭の上のカービィはマイペースにスピリットを呼んだ。
「後の一人は… イエロースターだ! 久しぶりだねっ!」
残念ながら和やかに談笑できる空気ではないのだが、それも構わずマリオは呑気に声をかけた。
「残りは一択になったが… 合っているか?」
「うん。彼本人に会ったことはないけどノポン族自体は知ってるからね。特徴はそっくりだ。」
確認を求めると、シュルクは肯定する。身近なノポン族を思い出し、心のままにスピリットの姿を感じ取った。
「だからどうしても僕じゃないということは…」
「「はい!はい、はいはい!」」
「…ない…けど…も…」
急激なダブルリンクの挙手にシュルクの言葉が失速する。二人に言い寄られてタジタジだ。
「こほん、とりあえず先に残ると言ったのはトゥーンだ。まずは君に任せるよ。リンクは…シークが戻るまで待っててくれ。」
「イエイッ!」
「おのれマルスー!」
見かねてマルスが助け船を出した。先程話した順番に従っただけだと言うのに。
「だからガキか、って。動いてないと生きていけねえのか? テメェ脊髄で動いてんのか?」
「それはガンナのことじゃなくて?」
呆れたようにガンナが毒を吐いた。彼女にとっては停滞している方が嫌いらしい。
「他二つも誰でもいいからさっさと決めてくれ。コイツが死んじまう。」
「いっー! イッー! 死んじまうってガンナが、ブレス! ブレスゥ!」
一瞬のうちにソードの背後に回り、腕を交差させて首を締め上げる。ガンナがやっていることと伝えたかったのに、痛みがそれを許してくれなかった。だが、見たままの情報で十分だ。
「なんて見苦しい… トゥーン、先に正解のスピリットへ行ってくれ。他のスピリットについては後で決めておく。」
「そうなの? わかった!」
見るに耐えてオリマーが背中を押した。彼は完全に蚊帳の外であったため、いてもいなくても変わりないのだ。
「うわあぁ…! やっぱりここ凄いや!」
『ガウル平原』。シュルクの世界の土地をマスターハンドが創造して作ったものではあるが、トゥーンリンクは、地平線まで広がる程の巨大な原を見たことない。海に囲まれた島しか知らない彼にとってここはお気に入りの場所だった。
「やっぱりハイラル王国を作るならこういうところがいいなー! そうだ! 船みたいな乗り物を作っていろんなところに行けるようにしよう! それで、風に当たりながら見えるところまでどこまでもっ…!」
相手のことも忘れて背景に興奮しきっているトゥーンリンク。突然風が揺れたのを感じて、咄嗟に屈んだ。
ビンタをかわしたトゥーンリンクが慌てて距離を取り敵のいる場所へ振り向いた。
『『…』』
「二対一…!」
青いドレスを着たデイジーのボディと、小さなプリンの形をした敵。
数的に不利な状況だが、トゥーンリンクは不利な状況に燃えるタイプだった。
いつまでもテトラになよなよしてるなんて言われないように男らしくなければ。でも居眠りぐらいは許してほしい。
「ふんっ!」
バックステップで距離を取りながら『勇者の弓』を放つ。狙いは後方のプリンのボディだ。なるべく二人を近くに居させたくない。連携を取らせたくなかった。
『…!』
「それ怖いって!」
振り回したゴルフクラブをマスターソードの柄で止める。それでもお構いなしにクラブを振り回す。トゥーンリンクはその棒状の物を知らなかったが、本人やピーチから受けたことがあるので怖さは知っている。しかし、問題はそこではなかった。
「(攻撃できないよぉ!)」
本来攻撃を防ぐ筈の盾は役に立っていない。左利きのトゥーンリンクは盾を右手に持っている。相手の右手の打撃を盾で受け止めるには体を捻らなければいけないが、そこまでしたところで隙を晒すだけだ。トゥーンリンクは武器で防ぐしかない。盾を前に構える暇がなかったことが響いていた。
「でも、ここは直線のステージじゃないし!」
この平原はひたすらに広いステージだ。
終点とは違って逃げ道は前か後ろか上なんていう単純なものではない。
「とっ!」
『!』
転がり込むように飛び降りる。下にもしっかりした足場があり、そこ目掛けて落下する。デイジーも後を追って飛び降りた。
『… ッ!?』
「置き逃げー!」
追ってくるだろうと予感したトゥーンリンクは爆弾に火をつけて宙へ放った。重力に導かれるままに動く敵に避ける術はないだろう。
「ってぶわぁ!?」
しかし、トゥーンリンクにも避ける暇はなかった。近くなくとも自身の起こした爆発に巻き込まれ、口に煙が入ってくる。
「げほっ、げほっ… 砂が口の中でジャリジャリする…」
咳き込んで体外へ出そうとするが、飛び散った砂片が口の中に入ってしまったようだ。異物を咥えた不快な感覚にえづく。
『…!』
「おええっ!?」
ダーズの眷属には気持ちを整えることすら許されなかった。突き刺さるようなキックが額に刺さり、頭が強制的に上を向いた。吐き出しかけた砂が喉の奥へと入っていく。
「気持ち悪いって…」
爆発を受けていたデイジーのボディが追いついた。トゥーンリンクの背後を取り、挟み撃ちにする。
「言ってるだろー!!」
『っ!』
怒りのあまりに繰り出した『回転斬り』が二人まとめて吹き飛ばす。感情が爆発したせいか、目が回っているのを自覚していない。
「このやろっう!」
『…ッ!』
体を反らし、デイジーのボディに対して斬りあげるように思いっきり剣を上げた。吹き飛ばされていくボディは力を失い、光となって消滅していった。
「最後はそっちだー!」
『…っ!』
仲間がやられたからか、ビシッと指差すトゥーンリンクに気圧されているようにも見える。それを気づく者はいなかったが。
『…!』
フワッと飛び上がる。空中ならば軽いこちらの方が有利だと言わんばかりだった。
「好きにさせない!」
『…ッ!?』
小さい体の口に、何か遺物が入り込む。フックショットの先かと判断したのは自分の口からトゥーンリンクの右手に向かって鎖が繋がっていたからだ。
「とりゃー!!」
『…!!』
フックショットを外し、身動きの取れない相手を宙へ蹴り出す。空中へ飛び出したトゥーンリンクが剣の刃と共に突き刺すように落ちてくる。
避ける手段もなく、偽りのからだは奈落へ落ちていった。
リンク「せめて! せめて一緒に!」
マルス「どうして止めているのかわかってないのかい…?」
ソード「そろそろ…! 止めてくれないと…! 確実にダイ!」
ガンナ「確実に日々? ついに英語もおかしくなった?」
ソード「ちがーう! 死ぬ死ぬ!」
シュルク「あのー… そろそろ決めたら…?」
シュルク「次回、『わかんねぇよ』!」
デデデ「なんと醜き争いかー!」
ファルコ「鏡見ろや」