灯火の星 〜The One Story of Ours〜   作:蘭沙

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2020年の投稿は最後になります。
意図的に世間の現状は書かないようにしていたのですが、色々ゲームの開発やニンテンドーワールドが延期になったのはやっぱり辛い。

来年はもっと穏やかな年になりますように。
では、良いお年を。



八十四話 今までも、今もスターフォックスは戦っていた

 

「それじゃあオレは先を見てくるから、他の奴らが戻ってきたら出迎えてくれよ」

 

「合点承知の助!」

 

 

ピシッと敬礼するインクリングに、疲弊したファルコを任せ、先の道を進む。

 

繋がった光の道筋に任せるがままに進むと、現代的な飛行機の左翼に降り立った。

以前光の世界でリュウがいた場所に着くため乗り込んだのを思い出す。外見をまじまじと見ていなかったので断定は出来ないのだが、もしかしたら同じ機体なのかもしれない。

 

 

「っておいおい…」

 

 

飛行機の尾翼の方。感じるあの凝視感。

顔も姿も形すら見えない筈のそれをフォックスは正確に読み取っていた。無意識に体の毛が逆立つ。ウルフだった。散々ぶつかり、死闘繰り広げてきたライバル。

 

 

「さて、どうするか…」

 

 

このまま自分が戦うにしても、一度戻って何があったか伝えた方がいいのはわかっている。だが、そうすると誰かがついてくるかもしれない。流石にこの状況、彼だけは無事だったなんて言い訳が通じるとは思っていないが、それでもこんな姿を直接見られるよりはマシなのではないか。このような形でウルフの尊厳を貶める趣味はなかった。

 

 

「…そうだな! やっぱりオレ達だけで決着をつけたい…!」

 

 

今のファルコは連れて行ける状態ではないし、他の誰かを連れて行こうとも思わなかった。

 

何度か助けてくれたのは事実なのだ。スターフォックスとの決着をつけるのが彼の望みならば、部外者を連れて行くのは野暮というものだろう。

 

黙ってそのまま戦うことにした。

後で怒られるかもしれないな、と考えながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隕石の間を駆け抜ける、高速宇宙艇プレアデスに似た『終点』。この空間は見慣れた宇宙。『ライラットクルーズ』。アーウィンに乗っているかいないかの違いがあるとはいえ、フォックスにとっては、もはや慣れた戦場で一番冷静に戦えるフィールドだった。

 

 

即座にブラスターを構える。相手の銃口がこちらへ向き、自分の銃口もまた相手に向いた。ガチャ、という音が静かな宇宙に響く。二度音はならなかった。全く同時に構えたのだ。

 

 

「いくぞ、ウルフ!」

 

『…ッ!!』

 

 

眼帯に隠れ、片方の目しか見えないが、ダーズの闇を宿したそこから感じられるのは確実な闘志。

 

 

『…!』

 

 

ウルフの『ブラスター』から放たれる赤い光弾がフォックス目掛けて放たれる。

ファルコのそれよりも連射と速度を犠牲にして火力を上げたもの。

 

ぴょんと跳ねてかわす。弾丸が砕いたのは足場だけだった。

 

 

「…ッ!」

 

 

走って距離を詰めながら、構えた『ブラスター』を撃つ。

フォックスのそれは威力はあまりないものの、速度と連射性能は全ファイターを見てもトップクラスだ。

 

フォックス自身のスピードもあって、回避は至難の業だが、ウルフは精々数発当たった程度だ。躱された光弾が足場を少しだけ焦がした。

 

 

 

走り出した双方がすれ違う。

視線だけが、お前には負けない、と語っていた。

 

 

 

靴の底を擦り減らし、ブレーキをかけるとフォックスはすぐに飛び出した。低い姿勢でいつでも全力のキックができるように。

 

ウルフは低く腰を下げ、両手の爪をギラつかせる。正面から打ち破ってやろうという魂胆だった。

 

 

「(乗ってやる!)」

 

 

択は無限にあったが、あえてのることにした。全身に闘志の炎がつき、触れるだけでダメージを受けるような危険な領域に移行する。『ファイアフォックス』だ。

 

ウルフは腕を引いて、その一撃に力を込める。勢いをつけて切り裂けば、その爪は深く体を抉るだろう。

 

 

「ファイアーッ!!」

 

『──ッ!』

 

 

速さと鋭さ。二つがぶつかり合い、しのぎ合う。風圧すら感じさせるのではないかと思うほど力のこもったこの鍔迫り合い。

 

 

「うぐっ…!」

 

『…!!』

 

 

双方が後ろへ飛ばされ、地に伏せる。

ぶつかり合いは相討ち、痛み分けで終わってしまった。

 

どちらも簡単に立ち上がれないほどに消耗している。この攻撃にしか被弾していないようなものだというのにこの有様だ。一撃に集中しすぎて消耗が激しかったのだ。

 

それでも、ノコノコと相手が攻撃をやめてくれるような甘い世界ではない。すぐに立ち上がらなければ。

 

 

「─!」

 

 

先にウルフが動いた。とはいっても彼もまだ立ち上がっていない。完全に立ち上がっていないままに、倒れているフォックスへスライディングを仕掛けてきた。

 

仰向けに倒れていたフォックスは咄嗟に両肘で地面を思いっきり叩き、体を浮き上がらせる。体の下へ、ウルフの片足が入っていくのを感じた。

 

 

「まだ、だ!」

 

 

咄嗟に下半身を横にしてキックを飛ばした。不完全な体勢のキックはウルフの右腕に防がれる。互いに不安定な体勢のままにこの攻防を繰り広げていたのだ。

 

 

しかし、ここは無重力な宇宙ではなく重力のある紛い物だ。翼もない彼らはそらにとどまることができないのだ。

 

 

浮き上がらせたフォックスの体が落ちていく。体の下にはまだウルフの片足が滑り込んだままだ。

 

 

「う゛っ」

 

 

左足で蹴り上げられ、フォックスは短い呻き声を上げた。攻撃を続けたフォックスにはこれ以上防ぐ手立てがなかった。

 

 

「…っ!」

 

『ゥ…!』

 

 

体を捻らせ、なんとか着地するフォックス、低い体勢のままに体を起こすウルフ。

 

 

『ァァ!』

 

 

ウルフの脚が動いた。鋭い爪をギラつかせ、肉薄する。咄嗟に『ブラスター』を取り出して対応するが、右へ左へかわし続けるウルフにはあまりダメージにはならなかった。

 

 

「!」

 

 

凶爪が襲い掛かろうとするタイミングで『リフレクター』を作動させる。レーザー光線などをはね返すための道具だが、接触した相手を弾き飛ばすぐらいはできるのだ。

 

 

「とりゃあ!」

 

『ッ!』

 

 

爪が弾かれ体勢を崩したウルフへ、振りかぶった蹴りを入れる。隙をつかれたウルフはステージ端まで押し飛ばされた。

 

 

「(…! そうだな、オレは一人で戦ってるんじゃない…! ここにいないだけでスターフォックスとして戦ってるんだ…!)」

 

 

今両手に持っているブラスターは、リフレクターは、顔も知らない誰かが作った市販品ではないのだから。

 

ファルコ、スリッピー、ペッピー、クリスタル、ナウス。

 

 

そう、この場にいないだけだ。

今までも、今もスターフォックスは戦っていた。

 

 

「勝てる…!」

 

 

気づいたからにはもう負けない。負けるビジョンが見えない。ごく自然に体が動いた。

 

 

宇宙にふさわしい静寂が世界を支配し、異質な空気だけが辺りを満たす。

 

嵐の前の静けさというべきか、臥龍が眠っているというべきか。

 

そんな思考すらも、まとめて『フォックスイリュージョン』が切り裂いた。

 

 

『…!?』

 

 

すれ違い様に身を斬られるような痛みを受け、体を浮かされ飛ばされたウルフは、再び銃口をこちらへ向けるフォックスの姿を認識した。

 

反射的に『リフレクター』を起動させ、身を守る。上空を狙って撃たれた光弾は雨のようにフォックスへ降り注ぐはずだった。

 

 

「…!」

 

 

予感していたフォックスは自慢の俊敏性で自ら放った弾丸をかわしていた。

自分で撃った弾なのだからはね返る軌道も想像がつく。予想がついたこともあって、簡単ではないが難しいものでもなかった。

 

走りながら再び『リフレクター』を作動させ、自分の身を守りながら猛追した。

 

 

「うおおぉ!!」

 

『───ッ!!』

 

 

相手の抵抗、反抗の痛み全てを抑え込み、身を護って蹴りつけた。

シールドとシールドのぶつかり合いに矛が加わる。赤い守りは貫かれ、本体に衝撃が叩き込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なんてザマだ、フォックス」

 

「誰のせいだよ…」

 

「…チッ」

 

 

意識が正常ではない間に頭に入ってきた知識により、自分に起きたことを理解したウルフ。フォックスを揶揄するような口調だったが、内心苛立っていたのは己に対してだ。

 

操られていた自分を正気に戻すためにフォックスが自分と戦っていたのはわかる。

気がついたら、フォックスが傷だらけの状態で近くにいたのだから。

 

無様に操られた自分も、フォックスをここまで追い詰めたのが正気の元ではない自分だった事実も、ウルフには腹立たしいことだった。

 

 

「停戦だ。」

 

「えっ?」

 

 

フォックスよりも先に倒すべき相手がいる。

 

 

「キサマを倒す前に、ダーズとかいうヤツを始末してやる。キサマと決着をつける前にこの世界を奪われてたまるか!」

 

「協力してくれるのか? 助かるよ」

 

「仲良しする訳じゃねえぞ。オレがヤツを許せねえだけだ。」

 

「理由はいいさ。」

 

 

礼は言わない。今まで相対してきて、性格は掴めてきたのだ。

 

混沌の化身に爪を立てんと、謎の空間に獣の咆哮が響いた。

 





インクリング「はーい! 動かないでねー、オーキューショチするからー!」

ファルコ「お前やったことあんのかよ…」

インクリング「シオカラ節歌えば元気になるんだよ!」

ファルコ「…マリオ連れてこい」

インクリング「だって人体のコウゾウ? って難しいじゃん!? ホネって何!?」

ファルコ「経験以前の問題だったか…」


インクリング「次回! さらば、愛しのファルコ!」

ファルコ「ンなわけあるか! 次回、『想う』!」


ガンナ「魚じゃないんだし、鳥のたたきとかどうなんだよ…」

ファルコ「んだと、コラァ!!」

ソード「ワオ、エナジー!」

インクリング「やっぱ元気があればなんでもできるんだね!」
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