灯火の星 〜The One Story of Ours〜   作:蘭沙

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明けましておめでとうございます。
あつ森で島を作り替えております。このお正月、ほぼ書きだめの執筆が進みませんでした。ごめんなちゃい。


それと、今回歌詞つけたいと思っていたのですが、原作の主題歌使用許可が出てませんでした… 急遽手直ししたので無理矢理感ありますが見逃してください。もしくは脳内再生か3DSやCDを引っ張ってきてください。

章タイトルですか? 命の灯火は任天堂の版権なので任天堂二次創作のガイドラインを侵さなければ大丈夫という判断です。新年早々ちょいと生々しい話しちゃってごめんなさい。



八十五話 想う

 

ジッと見つめ続けていた。

左右のポケモンなど気にならない程に、赤い帽子を被った少年を見続けていた。

 

予感があったのだ。この少年なら、自分を高みへ連れて行ってくれると。

 

 

最初は互いに未熟だったが、どんどん強くなっているのを感じる。頂点だって目指せるかもしれない。そう感じさせる程だったのだ。

 

 

仲間が増えるのも別にいい。自分一匹ではどうやっても限界があるだろう。どれだけ仲間が増えようと自分が最初のパートナーだということに変わりはないのだから。

 

そう、思っていたのに。

 

 

 

 

ひとり、想う。

親を、子供を、恋人を、友を。あるいは─

 

 

 

 

科学者が誰かを問う問題を尻目にそのまままっすぐ進んだら先に進むだろう道。そこにはまたクイズがあった。揶揄われているのだろうか。

 

しかし、真っ直ぐ進まなければ雲の道。躊躇していた者がいるのも無理はないが、見た目とは裏腹に人を支える硬さと質量はあるようだ。

 

 

「こういう文化の違いは慣れないんだよなぁ…」

 

 

パラシュートもなしに雲の上にくるだなんて。乱闘中は深く考えないが、スネークは躊躇して進めない。その他にも戸惑っているファイターがいる。

 

 

「ガーハッハッハ! 軟弱者めが!」

 

「あ、クッパは乗らないでね、重さで落ちちゃうよ!」

 

「なんだとマリオッ!」

 

 

狭いところでクッパがマリオを追いかけ回す。ドンドンと幅を取りながら走るので他ファイターは良い迷惑だ。

そんなひと騒ぎの中でシュルクの肩からカービィが飛び降りて足場になることを証明した。

 

 

 

 

「大丈夫ですか?」

 

『ええ、ありがとう。私は平気よ。』

 

 

その他多数が先に進んでいる中、少数が残りその雲の上にいたスピリットを解放していく。

鮮明な姿が記録に残らず噂による姿が安定していない故に、女性の姿をしていたカムイのボディを倒し、スピリットアクアを救出したルキナ。白くてひらひらとした服は仲間の恥ずかしがり屋な踊り子を彷彿とさせた。

 

 

「こうやって少数の方に別れればよかったんだな!」

 

「全く君は…」

 

 

成り行きでついてきたものだと思ったが、そういう打算があったとは。

太陽の如く笑うリンクにルフレは苦笑するしかなかった。アクアの目がルフレの方へ向く。

 

 

『カムイ…?』

 

「えっ?」

 

『いえ… ごめんなさい、どうして間違えたのかしら…』

 

 

ルキナの隣のルフレを見ながら、違う名前を口にする。しかし、その名は彼らも知っている名だった。

 

 

「いや、構わないよ。僕達から見ても何故か他人の気がしないんだよね。」

 

「そうなんですか? 初耳です。」

 

「隠してた訳じゃないけど自分から口にするほどのことじゃなかったからね。」

 

 

そう言いながら奥のファイターに目を向けた。噂をすればというものだった。動いた視線に従いアクアもそこへ目を向けた。半透明な瞳孔が驚きにより開く。

 

 

『カムイ…!?』

 

「君だけじゃないんだ。この状態に陥っているのは…」

 

 

慌てて駆け寄るが、彼女に助ける権限はない。それを理解してしまい、俯いてしまう。

 

 

『私じゃどうする事もできないのね…』

 

「ごめん…」

 

『貴方が謝ることじゃないわ。気にしないで』

 

 

どうすることもできなかったとはいえ、ルフレは謝る。カムイがこの場で囚われていることは事実なのだ。だったら助けなければ。そう思い、ルキナに彼女を任せようとした時だった。

 

 

「待ってルフレ! 俺に行かせてくれ!」

 

「…! レッド!」

 

「んなぁにー!?」

 

 

大声でルフレを止めたのはレッドだった。側にいるリュカが何故か二つモンスターボールを持っている。

 

 

「おのれ、レッド! 略しておのレッド! お前さっきゲッコウガにもがもが」

 

 

くってかかろうとするリンクの口を塞いでルフレが話した。

 

 

「大丈夫かい? 今ゼニガメは…」

 

「大丈夫! 預けてある!」

 

 

サムズアップで答えるレッド。

 

 

「まあ、構わないけど…」

 

「OK! 行ってくる!」

 

 

駆け出したレッドは振り返らなかった。

 

 

「預けてあるって… それじゃあ何も変わらないんじゃ…」

 

「だ、大丈夫です、僕、預かってるって言っても」

 

 

ゼニガメじゃないんです、と続けた言葉に残るファイター三人は驚いた。確かにリュカが持つモンスターボールは二つだが。

 

 

「原点に戻る、って。知らないかもしれないですが、レッドの最初のポケモンはゼニガメなんです」

 

「マジ? 知らなかった… リザードンだと思ってた…」

 

「そう! それなんですよ!」

 

 

人見知りを忘れたのか、リンクにグッと近づいたリュカ。ワーワーと騒ぐファイターから離れたところからアクアはレッドの行った先を見ていた。

 

 

『原点に… きっと届くわ。だから私もできることをする。』

 

 

もうあのペンダントはないけども。きっとカムイに届いてくれる。信じて口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『攻城戦』の『終点』化。シンプルゆえに実力が現れるバトルフィールド。

神祖竜の血を引く相手カムイを目に捉え、唯一持ってきたボールを放り投げた。

 

 

「頼むぜ、ゼニガメ」

 

「………」

 

 

静かに呟いて。

ボールから出てきたはいいものの、ジト目でレッドを見つめるとそっぽを向いた。

 

 

『…!』

 

 

竜穿、神祖竜の力を操るカムイは左腕を竜のそれへと変貌させる。上を取って『跳槍突』だ。その鋭さは大地にも突き刺さる。

 

 

「かわして『たきのぼり』 …!」

 

「ニィ!」

 

 

体の小ささを活かして内に入り込み、竜化した腕を尾ではたいた。明らかに聞こえていながらレッドの指示を無視している。

 

 

『…!!』

 

「ニィガ!?」

 

 

しかし、常人よりも硬くなった腕を払うのにゼニガメの攻撃は火力不足だった。

フリーだった右手の夜刀神・終夜で地殻ごと斬りつけられた。後方へ吹き飛ばされる。主が駆け寄った。

 

 

「ゼニガメ! …! 飛び道具がくる! まもる!」

 

「ンニィ!」

 

 

まるで竜の大口のように変化した両腕からは水の塊が放たれる。トレーナーの指示を無視して『みずてっぽう』をくりだした。

真正面からの力勝負、威力自体はカムイのそれの方が上だが、ゼニガメは本人が後押しし続ける。そのおかげで相打ちに終わった。

 

打ち消したゼニガメはからにこもり、辺りに乱雑に水を撒き散らした。それは寄っていたレッドにもかかり、うっかり吹き飛ばされそうな気すらした。

 

 

「ゼニガメッ…!」

 

『…ッ!』

 

 

それは流れ弾が当たったことによる苦渋の声か、指示を無視されたことによる屈辱の声か。

そんなことどうでもいい側のカムイは両腕を変化させたまま水の攻撃を切り裂いた。

 

 

「ニィ…!?」

 

 

攻撃の奔流を裂き、道を切り開いた鋭い牙がゼニガメへ裂傷を穿たんとする時、何かが横へ通り過ぎていく。

 

土壇場でゼニガメの体をさらって攻撃から守ったのはレッドだった。獲物を見失った牙は地面深くへ突き刺さった。

 

 

「いっつ… とっしんだ!」

 

 

地面を擦ってできた擦り傷を痛がりながら、指示を出してゼニガメを勢いよく放つ。

 

 

「ゼニィ…!」

 

 

だが、ゼニガメは真っ直ぐはいかず、カムイの側面からとびげりを放った。隙ができたため当たると思われてた攻撃は背中から変化した翼に阻まれ、吹き飛ばされた。

 

 

「ニ… ゼニィ! ニィガ、ガーガッ!」

 

 

抗議するように何かを捲し立てるゼニガメ。伝えたい内容をレッドは見事に感じ取っていた。

 

 

「お前がこっちの方がいいって思ったんだろう? なら俺はお前の判断を信じる!」

 

「ゼ…!」

 

「俺の最初の仲間はお前なんだ。フシギソウもリザードンもお前も。俺の大切な仲間なんだ。パートナーなんだよ!」

 

 

リュカ以外の全員が、レッドのポケモンといえばリザードンを上げる。最終進化系で実力があって。彼が相棒だと思っていた者も少なくない。

それでもレッドだけでもわかってくれていたのなら、それでよかったのだ。

 

 

「『からにこもる』だ! 右へ回れ!」

 

 

高速で突き進む甲羅。腕の防御を潜り抜けてカムイの脇腹に突き刺さった。

ゼニガメもレッドの判断を信じたのだ。

 

 

『…ッ! グワアアア!』

 

「…くっ! それでもパワーの差が…!」

 

 

脇の衝撃を感じて、全身を竜に変えた。周囲に激流を撒き散らしレッドもゼニガメも吹き飛ばした。

指示そのものは戦力を変える力を持たない。力の差をカバーすることはできるが、差そのものをなくすことはできないのだ。

 

 

『…』

 

 

胴体と刀を持つ右手以外は竜の肉体のままで、こちらを冷徹に睨みつけている。細くなった両足の先を近づけて立つ姿は神聖さすら感じられる。でも呪縛はそこにあった。

 

 

「くそっ…!」

 

 

打つ手無しか。せっかく信じてくれたのに。そう思ったその時だった。

 

 

─♪

 

 

「…? 歌声…?」

 

『…?』

 

 

今が乱闘中だと言うことも忘れてそっと耳を澄ました。何かが聞こえる。何故かカムイも何かを感じるように上空を見上げた。

 

 

「もしかしてあのスピリットの女の人…? ってそれどころじゃない! 水を辺りに撒き散らすんだ!」

 

「ニィ!」

 

『…!?』

 

 

『スプリンクラー』のように水を吐く。カムイがハッとした時には、自身が起こしたものも併せてステージ全体がびしょびしょになっていた。

 

 

非常に無防備になっていた頭部にずつきをくらう。辺りに水があるからか、ゼニガメの総合的な移動速度が素早くなっていた。

後ろへ回ろうとしていたゼニガメに狙いを定めて夜刀神を斬りつけるも水飛沫を上げるだけだった。レッドの声もよく聞こえないほどに何かがカムイの心をざわつかせる。何処からか聞こえる歌が何故か非常に懐かしい。

 

 

上手く体が動かない。魔法の類は込められていない筈。戦うことのみ許された体が、歌声に無意識に反応している。

ホースの口のように、弾を小さくすることで『みずてっぽう』の威力を上げる。動揺している隙をつき、右手の夜刀神を手放してしまった。水流に巻き込まれ、後方へ飛んでいく。

 

 

両手を口のように変化させて、小亀を喰らおうと噛みつく。ゲッコウガの『ハイドロポンプ』の如く水流で緊急離脱された。

腕を払い、腹部に尾をぶつけられる。先程の攻撃と威力が全く違う。いや、痛いのは体じゃない。

 

いつだったか、今と同じように自分のための歌を聞いた気がする。

 

 

 

 

そうだ、あの時。母が殺された時、嘆きの中で内にある獣の衝動を抑えきれなくなった時だ。

その時もこうやって正気の元にいない自分を想ってくれたのだ。

 

ステージに溜まった水には、レッドとゼニガメ、自分の姿。その中に彼女もいた、気がする。

 

 

 

小ささを生かして完全に懐に入られた。辺りの水を足して、強力な『みずばしら』が上がりカムイの体はスピードを持って打ち上げられた。

 

 

『(また… 助けられちゃった…)』

 

 

大切な仲間を、想う。

 





ルフレ「何かレッドと話してたのかい?」

リュカ「えっと… ひ、ヒント、です」

ルキナ「ヒントですか? どのように出したのですか?」

リュカ「あの、その、最初のポケモンなんだ、って」

ルキナ「リザードンではないのですか!?」

リュカ「違うんです… ゼニガメが、レッドの最初のポケモンで、フシギソウとリザードンは別で手に入れたんです…」

ルフレ「驚いたな… 僕はフシギダネ派だ。」

ルキナ「私ヒトカゲ派です。」

リンク「だが、俺はゼニガメ派!」

リュカ「好みの話じゃないんですぅ…!」


ルキナ「次回、『くらえッ!!!』!」


ルフレ「ここに三人の主人公がいるじゃろ?」

リンク「ルフレブラック、リンクブルー、リュカイエローだな!」

リュカ「あわわわわ…」
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