〝勝利〟は誰の手に 作:幻想の詩人
レウウィス大公とかバイヨン卿しか覚醒してくれそうな鬼がいなかったんだ……。なのでいきなりGPです。
あと文字数がいつもよりちょっと多めです。あとノリと深夜テンションで書いてるので読みにくいと思われる。
──エマ、何処にいる⁉
そう思いながら少年──ベルはGP内を駆けていた。拐われた少女──エマを探すために。
☆☆☆☆☆
それは一日前のこと。
「…………」
剣を男──本人は名乗らなかったのでエマにはおじさんと呼ばれてる──の首に突きつけながら睨み付けているベル。
その理由はと言うと……
「いくらお前が化物染みてても無茶だ!
男がエマを諦めるなどと言ったからである。
「そんなことはどうでもいい。エマは何処にいる?」
冷たい声と視線で男を問いただすベル。そんなベルを見て男は諦めたように言った。
「あいつがいるのはA08-63ゴールディ・ポンド」
それを聞いた瞬間、ベルは飛び出した。
「おい待て!」
それを見たレイや男が止めようとするが、ベルはそんな声に振り向きもせずに走っていった。
──待っていろ、エマ。必ず、必ずそこから助け出してみせる。
そう思いながらゴールディ・ポンドに侵入した。そこで何が起きているのかを知らずに。
いや、ベルには本能と呼ぶべきものでわかっていたのかもしれない。
そこには
しかし、それは本人も知らぬこと。誰にもわからないことだった。
ちなみに追跡者はベルを追おうとしたが、殺気のせいで身体が動かなかった。そして、その鬱憤を晴らすべく執拗に男やレイのことを追いかけ回したせいでベルより後にGPに着いたのだがそれは完全に余談である。
☆☆☆☆☆
「実に見事でした」
ベルがエマを探して走っていたときにそんな声が聞こえた。
刹那、ベルはその声が聞こえた方向に向かった。行かなければならないとそう感じたから。それが正しかったのかはわからない。
そして、鬼らしき影を捉えるとベルは躊躇いなく剣を縦一文字に振るって、鬼を斬殺しようとした。
「──‼」
しかし、その一撃は鬼が回避する。背後からの攻撃を判っていたように避けた。それを見てベルが問いかけた。
「何者だ?」
「フフ、何者かですか」
鬼は少しだけ笑うと己の名を口にした。
「私の名はバイヨン。君の名前は?」
そして問いかける。君は誰だと。
「……ベル」
その問いかけに、ベルは素直に答えた。何故かと聞かれたならば、こう答えただろう。
バイヨンとベルは暫しの間睨み合う。すると、ベルが奇妙なことを言った。
「──場所を変えよう。バイヨン」
「! ……どういうことです?」
ベルの言ったことにバイヨンは怪訝そうに聞き返す。
その場にいた二人の子供もまた〝何を言っているんだ?〟と考えていた。
「ここじゃない。……そう、あそこ。そこで殺りあおう。俺がお前たちを纏めて殺す」
そう言うと、ある方向を指差すベル。
バイヨンはその方向を見た瞬間、ベルの考えていることを理解した。ベルが指差した方向はレウウィス大公と呼ばれている鬼の気配があった。つまりだ。
──私とレウウィス大公を纏めて殺すと。そういうことか。
「フフ、ハハハ、ハハハハハハハ‼ その言葉、後悔しないことですね」
「後悔などしない」
ベルが力強く断言する。それが一番良いとベルは判断したのだ。
──どうやら反乱の最中らしい。エマも協力してるだろう。なら、最強格を俺が相手してやる。そうすれば少しは楽になるだろうから。
そう思いながら、ベルは宣言する。
「〝勝つ〟のは俺だ」
それを聞いたバイヨンも言う。
「〝勝つ〟のは私たちです」
そんなバイヨンの言葉を聞いたベルは獰猛に笑う。そして、そんなベルを見てバイヨンも獰猛に笑っていた。
互いに笑みを浮かべながら、レウウィス大公のいる場所に向かって行った。
「……何なんだよ」
呆然として会話を聞いていた二人の子供。その内の一人──ナイジェルが呟く。
「……わからない」
もう一人の子供──ジリアンも呟いた。
二人にはベルのことが
これが反乱にどんな影響を及ぼすのか。それは誰にもわからない。
☆☆☆☆☆
「? これは……」
最初に異変に気がついたのはレウウィスだった。
──気配が二つ近づいている。一つは恐らくバイヨン。だが、もう一つは何者だ?
レウウィスがそう考えたときだ。
「──!」
ぞわり、と寒気のようなものが走った。そして、すぐにそれが1000年前に感じていたものだと気づいた。
「──フフ」
──1000年前ならともかく、今の時代にこれほどの殺気を放つ人間がいるのか……!
そう思いながら口角を歪ませるレウウィス。
そんなレウウィスに怯えるように離れるパルウゥス。いや、パルウゥスが離れたのはレウウィスの邪魔になると悟ったからかもしれない。
「何がおかしいの?」
エマが急に笑いだしたレウウィスに問いかける。
「どうやら君の仲間が来たようだよ、エマ」
「!」
その言葉にエマは誰が来たのかを考える。だが、その答えはすぐに現れた。
「無事だったか、エマ」
ベルが嬉しそうな表情をしながら現れた。
「ベル!」
エマはベルを見ると、ベルと同じく嬉しそうな表情をする。だけどそれは一瞬、すぐにレウウィスを警戒するように見る。すると、
「それでは始めましょうか」
レウウィスの隣にいつの間にかバイヨンがいた。
「ああ、始めよう。……エマは避難してて」
ベルがエマに避難するように言いながら、剣を構える。それを見て、エマは素直に避難する。……いいや、せざるを得なかったと言うべきかもしれない。
「あぁ、そういうことか。……良いだろう」
レウウィスがベルを見て口角を歪ませる。
そして、三人が同時にその言葉を口にした。
「〝勝つ〟のは俺だ!」
「〝勝つ〟のは私たちだ!」
「〝勝つ〟のは私たちです!」
レウウィスが爪で、バイヨンが槍でベルを攻撃する。凄まじい速度で放たれたそれをベルは回避すると、お返しと言わんばかりに剣を横一文字に振るって二体の首を切り落とさんとする。
「──ッ!」
レウウィスは跳躍して避け、バイヨンはしゃがんで回避した。そして、剣を振り切ったベルの心臓に向かって、レウウィスは爪で、バイヨンは槍で突きを放つ。
二体の攻撃は凄まじい速度で放たれ、ベルは剣を振り切ったことで反撃することが出来ない。必殺と呼ぶに相応しい攻撃は、ベルが空中を蹴ったことで心臓ではなくベルの腹を貫く。その瞬間──
「──まだだッ!」
爆発する狂気。意思のみで道理をねじ曲げる怪物が、覚醒という手段を以てして動き始め、二体の鬼を上に殴り飛ばす。
「なにッ⁉」
二体が驚愕する。人間に殴り飛ばされたのだ。驚愕しない訳がない。そして、二体を殺さんと空中を蹴って追撃を仕掛けるベル。追撃とした放たれた一撃は、二体の面を破壊した。
「‼」
面が破壊されたことに驚く二体の鬼。
しかし、その驚いたことで生じる隙をベルが見逃す訳はない。
「そこだッ!」
即座に頭を切り落とさんとベルが剣を横一文字に振るう。空中であるが故に二体の鬼は避けられず──
「いいや、まだだッ!」
ベルの攻撃が届く刹那、二体の鬼は空中を蹴って避ける。
「!」
今度はベルが驚く番だった。先程までの二体なら空中で動くなど出来なかった。だというのにそれを行ったのだから、驚かないほうが無理がある。
だが、当然二体の鬼はその隙を見逃しなどしない。
二体の鬼の爪の連撃がベルを襲った。致命傷になるものだけは防いぐものの、あっという間に傷だらけになっていく。
「どうした? その程度か」
「君の力はその程度ですか?」
二体の鬼が嘲るように言う。面を割られたのは驚いたが、その程度かと。
その言葉と同時に一人と二体が地面に落ちる。ベルは地面に落ちたまま動かない。
「これならばエマのほうが楽しめたか」
そんなベルを見て、レウウィスがそう言いながらエマの逃げた方向に歩いて行こうとした瞬間だった。
「──!」
レウウィスの頭に先ほどよりも鋭く速い一閃が走る。間一髪避けたが、気づくのが一瞬でも遅れていれば間違いなく死んでいた。そう思わせる一閃だった。
「まだだ!」
ベルが立ち上がる。狂気を爆発させ、まだ終わらないと道理をねじ曲げ、立ち上がる。しかし、敵はレウウィスだけではない。
「私もいることを忘れないでもらおう!」
その言葉と共にバイヨンがベルの首を落とすために槍を横一文字に振るう。だが、
「───ッ⁉」
ベルは屈んで避けると、バイヨンを殺さんと中央の目に突きを放つ。しかしそれは──
「させんよ!」
レウウィスが背後からベルを攻撃したことによって当たらなかった。
「チッ──!」
レウウィスの攻撃を避けきれずに、背中に大きな裂傷を刻まれたベル。だが、どうしてだろうか。その場にいた全員が笑っていた。口角を釣り上げて笑っていた。
命をかけた殺し合い。それはレウウィスが望んできたものであり、バイヨンもまた望んだもの。それを今行っている。それをどうして喜ばずにいられるのか。
ベルは殺し合いを望んでいた訳ではない。しかし、それでも何故か楽しいと感じていた。言い様のない高揚感を感じていた。
──こんな感覚は初めてかもしれない。
そう思いながらベルは呟いた。
「俺は今──生きている……‼」
全力を出しても容易ならざる事態の発露。少しでも間違えれば自分が死ぬような状況。そんなときに生を実感するなど──あぁ、どうしようもなく狂っていると自嘲する。
しかし、生を実感していたのはベルだけではない。
「「私は今──生きているッ!!!」」
二体の鬼もまた生を実感していたのだ。
二体で殺そうとしているのに殺せていない最高の
「来なさい! 我等の屍の上にこそ君たちの未来がある!!!」
「来るがいいッ! 我等を殺した先に君たちの未来があるッ!!!」
お前の守りたいものは我等の屍の上にあるのだと宣言するレウウィスとバイヨン。
そんな二体の言葉を聞いたベルは血だらけの姿で笑いながら突撃して宣言した。
「お前たちに
「「よく言った‼」」
突撃してきたベルを歓喜と共に全力で迎撃する。手加減などしない。そんなもの失礼でしかないだろうと二体の鬼は本気でベルを殺しにかかる。
ベルに死が迫る。この殺し合いを始めてから数えるのもバカらしいほど迫ってきたものだ。
「まだだッ!」
死を前にして当然のように覚醒しながらベルは二体の鬼の腕を切り飛ばす。しかし、もはや覚醒はベルだけにしか行えないものではない。
「その程度ではないだろうッ!」
レウウィスは年老いたことなどが理由で再生限界を迎えかけていた。だが、そんなもの知ったことかと言わんばかりに腕を再生し、爪を振るってベルを殺そうとする。
いや、正確に言うならば、レウウィスは覚醒して再生限界を超越してみせたのだ。
それを見たバイヨンも全力で槍を振るう。一秒経過するごとに槍が速く鋭くなっていく。バイヨンもまた覚醒していた。
「当然ッ‼」
そんな二体の鬼をベルもまた全力で殺しにかかった。
覚醒を続けるベルと、ベルが覚醒したからと覚醒するバイヨンとレウウィス。もはや彼等の戦いに割って入れるようなものなどこの場にはいない。度重なる覚醒の結果、武器をぶつけ合った余波だけで戦いの舞台となった村が壊滅し、森は吹き飛んだ。
エマたちがもし地下に避難してなれば巻き沿いで死んでいただろう。そんな天災のごとき怪物たちの戦いは永遠に続くかと思われたが──
「──ッ⁉」
ベルの、レウウィスの、バイヨンの身体から不吉な音が聞こえてくる。何かが砕けていくような、ひび割れていくような音が響く。それは後先考えずに覚醒し続けたが故に発生した事態。度重なる覚醒に身体が耐えられなかった。
意思だけで限界を超え続けた代償がこれだ。本来行ってはいけないことを行った結果がこれなのだ。
これ以上覚醒しようものなら、自滅するだろうことは全員すぐに理解した。──だが、だからどうした?
「「「まだだッ!」」」
怪物たちは止まらない。
自滅するから? 死ぬから? だから止めろと? この戦いを? この
レウウィスとバイヨンはそう思いながら覚醒を続ける。
そして、二体が覚醒をし続けるが故にベルもまた止まらない。
「──俺の〝勝ち〟だァッ!」
ベルだった。二体の鬼の動きが覚醒のしすぎによる自滅が近いことが原因で止まった瞬間、ベルが全力で剣を横一文字に振るう。その一閃は秒も経たずにレウウィスとバイヨンの頭を両断するだろう。
「──嗚呼、やはり人間は良い」
死の間際にレウウィスは清々しい笑みを浮かべ、
「──ああ、良き狩りだった」
バイヨンもまた満足したような笑みを浮かべた。
そして、ベルの一撃はそんな二体の頭を弱点の核ごと両断した。
「──……」
そんな二体の死体を一瞥すると、ベルは地面に倒れる。そして、
「ゲホッ──‼」
ベルが血を吐き出した。自滅に突き進んだのはベルもまた同じ。すぐにでも治療しなければ危険な状態だった。
しかし、ベルにはもう歩く力すらない。このまま死ぬと思われたが……
「ベル──‼」
エマが泣きそうな表情で駆け寄ってきた。そんなエマを見てベルは微笑み──そこでベルの意識は途絶えてしまった。
これはもう続かない(断言)
てか、なんでバイヨンとレウウィスを纏めて相手させることになったんだろ(知るか)
あとやっぱり戦闘描写とか苦手だわ。