〝勝利〟は誰の手に   作:幻想の詩人

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書いたので投稿~。見てる人とか知り合い以外にはいないと思うけども。


動き出すものたち

 ……良し。これで仕込みは終わった。いやー、思ったより簡単だった。仕込みに二日しか使わなかったし、魔術でボクを忘れさせてるから農園のほうも問題ないよね。

 思い出させて、違和感を消して細工完了!

 ノーマンが出荷されるとき、エマとレイはどんな表情を見せてくれるかな。愉しみだ。

 

 

 

 

 で、農園に戻ってきたのはいいんだけど……エマたちはシスターと手を組んだんだ。……いや、あれは利用しあってるだけみたいだけど。あと本当のことをもう教えたのか。つまんないの。

 まあシスターと組むのは悪くない手ではあると思うけど、どうだろう。エマたちは経験が足りてないし、シスターに情報取られるだけじゃないかな。もう取られたかな?

 まあいいか。どっちだろうとボクは困らないし。

 それにしても、たった二日でいろいろ起こりすぎじゃない?

 

「……はぁ」

 

 こんなことなら、先にドンに仕込みをしとくんだった。タイミングを逃しちゃったよ。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

「確認するぞ」

 

 どうやらレイが計画の確認をしてくれるらしい。これはとても嬉しいね。

 

「昼飯の後。自由時間に入ったら、俺がママを引きつける。ノーマンとエマは塀に上って〝下見〟」

 

 なるほど。つまり残ったボクたちの役割は伝達かな?

 

「ドンとギルダとナイアは屋外。ハウス2階の南窓が見える位置にいろ」

 

 やっぱりか。まあいいけどね。

 

「万一、俺がママを引きつけられなかったら合図する。エマ達(こいつら)に伝えてソッコーで下見中止させろ」

「!」

「多分ママは疑っている。バレてるって感じではなかったけど、楽観はできない。土壇場でこっちの誘いに乗らない可能性もある」

 

 ……たぶんレイは既に切り捨てられてるね。イザベラならわざと誘いに乗って下見に行かせたあと心折りにくるでしょ。

 

「多分ママは疑っている。バレてるって感じではなかったけど、楽観は出来ない。土壇場でこっちの誘いに乗らない可能性もある」

「そうなったら諦めるのか? 下見を」

「ああ、場合によって一旦はな」

 

 イザベラはどうするのかな。わざと誘いに乗るか、乗らないか。

 

「いいか? 〝制御できない〟と思われたら終わりだ」

 

 そりゃそうだ。制御できるから放置なんだし。

 

「ママの目的は俺達の満期出荷。特にフルスコア4匹」

 

 正確に言えば、()()()()()()()()()()3()()()()()()()……まあいいか。訂正することでもないし、そもそも訂正したらダメなことだし。

 

「ここまで育てて中途で出すなんざ意地でもしたくない。制御できる内は絶対制御したい。自分になら出来る。それがイザベラって飼育者だ」

 

 何かドンとギルダはショックを受けて……いや、ショックというか出来るのか不安になったみたいな感じのほうが正確かな。

 

「疑われようと怪しまれようと騒がず〝制御できる〟と思わせればいい。幸い来月の定例出荷はない」

 

 来月の出荷はない、ね。やっぱりレイはもう切り捨てられてる可能性高いか。

 ノーマンの出荷はもう決定してる……というか、ボクが細工して決定させた。まあ殆ど細工する場所なかったけどね。

 その通達が遅れてる可能性も否定はできないけど……どうなんだろ。その辺りは手を加えてないから判断できないな。

 

「結構日までは6日だが、究極 次の1月俺の満期出荷まで2ヶ月半の時間がある。何かあれば下見は即中止。あくまで水面下、制御可能を装うんだ。いいな?」

「……わかった」

 

 他も頷いたりしてるし、確認作業はこれで終わりかな。あとは自由にしよう。いや、やることはやるけどね。

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 結局、あのあとは代わり映えのない日常だった。ほんと普通にいつも通りで……ちょっぴり退屈だった。まあいっか。

 それにしても今日のエマとノーマンは何かを気にしてるみたいに見える。ついでにシスターも何か変なことしてる……。もしかしてシスターは証拠探ししてる? ってことは、重要な〝何か〟をシスターに知られたな。

 何を探してるのかは……そういえばシスターは星の精で監視してたの忘れてた。…………もう用済みだし、回収しとこ。結局、何の役にも立たなかったな。

 ……いや、どうせだし星の精が監視して得た情報くらいは確かめておくか。

 

 

 

 

 ドンとギルダはボクが仕掛けるまでもなく侵入してたかぁ……。それが原因でエマたちと喧嘩になり、シスターにバレたから利用し合う関係になったと。

 そりゃバレるでしょ……。バレないわけないじゃん……。でも何が原因で本当のことを話してたのかはちょっと気になってたし、これで疑問解決か。

 それで、シスターから情報を抜くためにその日の夜に会った……か。いまある情報が合っているのかを確かめてるのか。あとはイザベラとかの年齢を確認していたのは……ああ、もしかしなくても本の出版年から外の状況を推理してたのか。

 外のことを聞いて表情を変えたのはシスターやイザベラなら外を見たことあると思っていたからかな? まあエマはその後に教えられた食われない人間の存在を聞いて〝ミネルヴァが生きてる可能性が高まる〟なんて考えてそうだけど。

 あと発信器を無力化する手段があることバレてるし……。なんでそういう重要な情報を抜かれるかなぁ……。いや、シスターにだけバレてるのなら問題ないか……? イザベラの方針は制御することだし、シスターがイザベラの足を引っ張る形になれば嫌でもそっちに意識を向けざるを得ない。発信器を無力化する道具がシスターに見つからなければの話だけど。

 でも、上手いな。まさかそういう形で()()()()()()()()()()()()()。ちょっと前のエマたちなら考えもしなかっただろうに。成長したみたいでボクはとても嬉しいよ。言い出したのはエマかな? 反省を活かせるのはいいことだ。

 ……いや、本命は()()()だったのかな? だとしたら大成功だ。なぜならシスターは気づいてない。今後のやり方次第ではイザベラも気づかない。とても良い作戦じゃないかな。

 これからどうなるのか楽しみな情報ばかりでボクは大満足。

 ところで何か忘れてるような……?

 

「あっ……」

 

 情報確かめるのに夢中で準備サボっちゃった……。今日はサボる気なかったのに……。

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 あれ? 昼になったけど……シスターがいない? ……切り捨てられたのか。それとも、何か仕事を任されてるのか。

 

「いただきます」

 

 まあいいか。シスターを視て確認しておくか? ……いや確認する理由はないか。

 ……? エマはどうしたんだろ。いきなり門のある方向を見るって……虫の知らせ的な何かがあったのか?

 

 

 まあいいや。ボクもそろそろ離脱して奴のところに行くタイミングを決めないとかな。

 

 

 

 ちなみにこの後、昼御飯の準備をサボったことがバレてたから普通に怒られた。魔術で誤魔化すの忘れてたよ……。ボクとしたことがこんなミスをするなんて……!

 ボクが悪いとはわかってるけど、それはそれとして腹が立った。

 今夜、黄色のムキムキマッチョで丸い頭に訴える表情をした化物に追いかけられる夢をイザベラとついでにボクが怒られてるのを見て笑ってたエマやノーマン、レイ、ドンに見せてやると決意した。せいぜいよくわからない悪夢に苦しむがいい。

 というか、何が〝ナイアがサボるなんて珍しいね!〟だエマめ。ボクは普段から魔術で誤魔化してるだけでサボってるよ。今日は珍しくサボらないでやろうと思ってただけで。……結果的にサボってるけど。

 

 

 

 

 

 

「脱獄決行は6日以内。でもできるなら明日決行したい。ママとシスターに動かれる前に──」

 

 さあもうすぐだ。ボクを愉しませてくれ。

 

「発信器はもう壊せる。あとはこの〝下見〟を残すのみ。行こう」

 

 13:00になった。エマたちの下見開始だ。

 まあボクは待機組なんだけどさ。ボクには子供たちも寄り付かないし、ただ待つしかないかなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……。

 ……………。

 …………………………。

 …………………………………飽きた。待つのはいいんだけど、本当にやることない。退屈すぎる。遠見の魔術とか使う……いやでも面白くないしなぁ……。

 だからと言って、ただ待つのも退屈だし……本当にどうするか。気軽にお喋りとか無口キャラだとできないし……。

 次にこういうことがあったら無口キャラは絶対やらない。やっぱりボクは狂言回しや演出家のほうが性に合ってる。

 

「大丈夫かな」

 

 ギルダがそんなことを言うけど、ボクからしたら大丈夫ではないね。

 

 

 

「!! ねぇどういうこと!?」

「なっ…」

 

 あ、イザベラが出てきた。レイから合図なしってことは、レイは閉じ込められたかな。……こっち見てきたことを考えると、ボクとドン、ギルダが引き込まれたことをわかってたな。

 

「一体どうすれば……」

「ギルダ、ナイア。お前らはここにいろ」

「ドン!?」

「……なにする気?」

「ハウス見てくる! 何かあったら知らせる。すぐ動け!」

 

 まあすぐに行動できるのは良いこと……か? 場合によるか。

 

 

 ……? ハウスの中から何か凄い音が聞こえた気がする。扉を壊しでもしたか?

 

 

「あっ」

 

 ん? って、レイたちが走って出てきたな。

 

「ギルダ! ナイア! 来い!!」

「えっ下見中止!? エマ達止めるの!?」

「下見強行(・・)だ!! ママを(・・・)止めるぞ!!」

「!? ママ(・・)!?」

「……わかった」

 

 ちょっと急ぐかな。見逃したくはないし。……ギルダは驚いてないで動こうね。というか、その子供──名前は忘れた──をいつまで抱えてるんだよ……。

 

 

 

「っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!」

 

 

 

 この悲鳴……エマのか。下見を中止しようとした結果ならイザベラは何もしないだろう。

 たぶん下見強行しようとした結果、エマは囮にでもなった。それで何かされた、みたいな流れ。その何かは……って、そんなことは後でいいか。

 あと少しでエマとノーマン、イザベラのいる場所に着くから、すぐにわかる。

 

 

「おめでとうノーマン。あなたの出荷が決まったわ」

 

 

 着いた瞬間にそれ言われると、タイミングが良かったのか悪かったのかわかんないや。でもまあボクとしては悪くない。

 漸く始まるんだ。これからが本番だよ? エマ、レイ。キミらの試練は……ね。

 

 って、エマ足折られてるし。さっきのはその悲鳴かよ。

 イザベラのことだから綺麗に折ってるだろうし、あまり心配する必要はないか。

 あり得ないけど、ここで退場とかされたら興ざめだったから、そこは安心だね。

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